劇場公開日 2024年11月8日

  • 予告編を見る

「イミフな国道で迷って、旅した気分にもなれん」ルート29 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0イミフな国道で迷って、旅した気分にもなれん

2025年6月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

人気俳優を起用すれば大ヒット!…とは必ずしもならないのが映画の常識。
『カメラを止めるな!』や『侍タイムスリッパー』を例に上げるまでもない。映画は脚本や中身、面白さに尽きる。
綾瀬はるかも人気・実力は申し分ない。が、最近主演作に不発続く…。
またまた一本、加わってしまった。別に綾瀬はるか自身が悪い訳じゃ決してないのだが、演技だって悪くないのだが魅力が殺され、これならユニクロのCMを見てる方がマシ。

鳥取で清掃員として働くコミュ障ののり子。ある日仕事先の病院で入院患者の女性から、娘ハルを連れてきて欲しいと頼まれ、姫路へ。
見つけたハルは自由奔放で風変わりな女の子。のり子を“トンボ”と呼ぶ。
国道29号を姫路から鳥取へ、2人の不思議な旅が始まる…。

あらすじだけを見ると、THE王道。普遍的。
人付き合いが苦手な女性と個性的な女の子。育まれる交流。
ユーモアあって、感動あって、ハートフルあって、いい旅だった。綾瀬はるか主演だし、そんなロードムービーだろうと思っていた。
地に足付いた作品かと思ったら、道路を漂う巨大金魚…? 突然のファンタジー。
いや、そのファンタジーを通り越して、シュール。
ロードムービーの醍醐味は出会う様々な人たちだが、犬を連れた赤い服の女、事故ったじいさん、釣り中の父子、のり子の姉…皆揃いも揃って頭のネジが一本外れちゃってる。
出されたカンペを棒読みしてるような感情の無い台詞。
意図不明の演出…と言うより、何もかもイミフ。
監督の森井勇佑もハル役の大沢一菜も『こちらあみ子』で絶賛されたそうだが(未見)、今回は29号線で迷っちゃったのかな…?

大沢一菜のナチュラルな好演。いつもとは違うイメージの役に挑んだ綾瀬はるか。
ロードムービーならではの美しい風景、悪くない描写やエピソードもあるにはあるが、作品を補助するまでに至ってない。
舞台の国道29号線も地元民には嬉しいかもしれないが、全く知らない者にとっては舞台にされてもちんぷんかんぷん。何か、名所なの…?

独特の作風。生死観。分かる人には分かる。感性の作品。
人それぞれスタイルがあるのは分かるけど、もっと面白味とか、“映画”である事を考えて欲しい。
ロードムービーも大抵外れナシなのに、こんなにも味気ないロードムービーを見せられてがっかり。

近大
PR U-NEXTで本編を観る