「敗れざるもの、まさに」室井慎次 敗れざる者 rieさんの映画レビュー(感想・評価)
敗れざるもの、まさに
ドラマは観ておらず、たぶんテレビで映画を見たかな、くらい。ストーリーや登場人物、関係性はなんとなく知っている、という前提。ストーリーについては後述するとして、室井さんや青島刑事やすみれさんのかつての映像が随所で使われているのだけれど、カッコいい…!こんなにカッコよかったのか、何故私は当時見なかったんだ…!というのが一番の印象(笑)リアルタイムで観ていたら、ただその懐かしさだけでも堪らない映画だと思う。
でも、ほんのり知っているという程度でも十分楽しめたし、かつてあった事件(おそらく過去作の)がベースにありながら、過去作を知らなくても置いていかれることがない。上手に説明がされていて、むしろ過去作を観てみようという気持ちになる。おそらく作品を知らなくても皆知っているであろう、あの有名な台詞がうまく使われていて、何度も吹き出してしまった。
ストーリーとしては前後編の前編だから、大きな事件の真相には辿り着かないし、後編に向けた種まき的な内容。でも、室井さんの新しい家族との関係性が丁寧に描かれていて、その中ではしっかり起伏があり、一つの答えに辿りつく。そしてそれもその先があるんだろうとわかり、後編が楽しみになる。
タイトルは「敗れざる者」であるけれど、室井さんは作中で、自分は「敗けて、逃げてきた」のだと言う。でも彼の仕事に対する熾火のような思いは、観ている側にはわかるし、松下洸平さんが演じるクセの強い刑事が言う台詞が、何気ないようで、まさにタイトルに繋がっているように思う。
総じて、とても質のいいエンタメ作品だと思う。後編が楽しみ。
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