「敗れざる者の意味は何か?」室井慎次 敗れざる者 トムトムツトムさんの映画レビュー(感想・評価)
敗れざる者の意味は何か?
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所々に過去作のシーンが織り込まれており、室井慎次の老いを感じると同時に、自分自身の老いとも重なり、感慨深い思いを抱いた。
若い頃の室井は、熱い情熱を持って改革や変革を志し、その実現のためには出世が必要だと考え、ひたすら努力してきた。
結果的に、出世競争には敗れ、志半ばで改革を成し遂げることはできなかった。そのため、室井自身は「敗北した」と語っている。しかし、この点だけを見れば確かに敗者のように映るが、それこそが現実の厳しさであり、悲しさだと感じた。
とはいえ、映画の中の随所には、室井が取り組んできた改革の成果が垣間見える。たとえば、彼が上下関係を廃し、警察内部の垣根を取り払おうと尽力してきたことで、現在の警察組織の中にはその理念がしっかりと根付いているように感じた。そのため、外面的には敗北したように見えるものの、彼の信念は確実に、後輩、若い世代へと受け継がれており、過去の同僚や若手メンバー、さらにはこれから警察に入る若者たちの中に、室井の精神は息づいている。つまり、外見上は敗者のように見えても、実際には彼は決して敗れていない。
こうした映画のテーマが示しているように、室井慎次は「敗れざる者」であり、彼の存在が警察組織に残した影響は、確かに現在の姿に反映されているのだと強く感じた。また、年齢を重ねたとしても、立場が変わったとしても、まだ挑戦し続けることができるというメッセージが伝わってくる作品だった。
来月公開予定の次回作にも、さらなる期待を寄せたい。
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