「息づかいや儚い表情で観客の想像力を高めさせる手法に凄みを感じた。」港に灯がともる とらみいさんの映画レビュー(感想・評価)
息づかいや儚い表情で観客の想像力を高めさせる手法に凄みを感じた。
クリックして本文を読む
2025.6.26
第七藝術劇場にて安達もじり監督作品『港に灯がともる』を観賞。
阪神淡路大震災を経験した身として、ずっと気になっていたというか観なければ後々後悔するだろうなと思っていた作品。
「家族ってなんやねん。」をずっと問い続けている自分としては、家族だからこそ分かり合えるものがある一方で、近い関係性だからこそ口に出さなくても分かるだろうと曖昧にしてしまっていて、ある時一気に吹きこぼれる描写にとても共感できました。
上映後の登壇は無かったけど、たまたま鑑賞されていた富田望生さんと上映後少しお話できる機会があった。
言葉では簡単に表せられないぐらい迫真の演技だったので、「お芝居、大変だったんじゃないですか?」と聞くと、「現場のスタッフの皆さんが温かったので。」と笑って答えてくれた。
勝手に少し救われた気になった。
実力派の俳優さんが数多くキャスティングされていたけど、なかでも甲本雅裕さんと山中崇さんのお芝居は鬼気迫るものもあり、とてもひきこまれた。
灯がトイレに閉じこもるシーン。クライマックスの電話で灯と父が話すシーン。エンドロール。
上手く言えないけど、動きが少ないなかったり、良い意味で焦らされて、息づかいや儚い表情で観客の想像力を高めさせる手法に凄みを感じた。
安達監督のセンスが素晴らしい。
上映後の監督と写真家の平野愛さんとのトークショーも楽しかった。
何度も観てみたい作品。
パンフレットも読み応えある。
今後の上映予定はホームぺージ見る限り見つけられなかったけど、御当地映画の要素もあるので、神戸の皆様には是非観てもらいたい。
コメントする