愛はステロイドのレビュー・感想・評価
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想像をぶち抜く、いっそ痛快な暴走愛
A24は当たり外れがあるのでそこまで期待せずに観たが、いやなかなか面白かった。スピーディで先の読めない展開、いちいち色んな方向にぶっ飛んでるキャラたち。癖が強いので人にお勧めはしづらい。
時は1989年、マッチョな男たちの集う汗臭そうなジム、そこへやってくるムキムキのお姉さん。ジャッキー役のケイティ・オブライアン、なんだこのガチムチでかわいい人……と思っていたら、「M:I ファイナルレコニング」でトム・クルーズに潜水服を貸した人だった。
当然のようにステロイドを買いだめしているジム、好意を持った相手に善意でステロイドをお勧めするルー。80年代のジムでのドーピング事情など全くわからないので、あ、そういう感じなんですね……といったノリで観ていた。そういう感じがリアルか誇張かもよくわからない。
クリステン・スチュワートがカッコいい。若い頃のキアヌ・リーブスのような涼しげなイケメンぶり。
エド・ハリスの髪型に笑ってしまった。なんでこんな役をやっているんだろうと思っていたらエキセントリックなラスボスだったのでおおいに納得。
登場キャラが皆おかしい。デイジーのテンションは怖いし、JJはDV夫で普通におかしいし、妻のベスはDV被害者にありがちだがJJに洗脳されておかしくなっている。ジャッキーは見ての通り。相対的にルーだけがまとも……なのか?
有害な男性性への批判として女性がクズ男をとっちめる展開というのはよくあるが、腕力のみ、ステゴロで女が男を始末するのは新鮮だった(しかも砕けた顎がブラブラするレベル。気持ち悪かった)。だがこのジャッキーによるJJの撲殺は、そんな型通りのメッセージ性を見出そうとする観客など吹き飛ばすような、その後のカオスの序章に過ぎなかったのだ。
この時点ではまだ、ジャッキーは正義感から超法規的に悪を成敗したのだという解釈もできた。だがその後だんだん、あれ? なんか違うかなこれ……となってきた。人を殺した直後なのにルーの反対を押し切ってベガスのコンテストに行く(ルーがジャッキーの口から出てくる幻想は「サブスタンス」っぽい)、易々とデイジーを殺す。
多分、ジャッキーの行動原理は「ルーを苦しめる奴は許さない」「自分のやりたいことを諦めない」の2本立てで、そのための決断は単純かつ極端であり融通が利かないのだろう。彼女の行動で結果的にルーはひとまず困り、毎回後始末に追われるのだが、ジャッキーはお構いなしだ。正義とか道徳とか、果ては自分の行動によってルーが困るかどうかさえ、彼女にとっては関係ない。
暴走するジャッキーに困惑し振り回され、JJやデイジーの遺体を遺棄することで共犯のような立場になってしまうルーだが、ジャッキーへの愛が冷めることはない。彼女のルーへの愛が暴走の引き金となっていることをルーは理解していて、やり過ぎな点もその愛の強さゆえと思えばジャッキーに対する愛しさも増す、そんなところなのだろうか。
愛が暴走の燃料になり、暴走が愛を増強する。「愛はステロイド」という邦題、上手いこと考えたなという感じだ。どこか垢抜けない響きも、80年代に合っている。
終盤、ジャッキーの巨大化には笑ってしまった。これも幻なのか? エド・ハリスはその幻に押さえつけられていたが。ただ、彼女の愛の暴走とステロイドで膨張した筋肉の成れの果てのイメージとして、あの巨人の姿はぴったりだとも思った。
二人の幸せに邪魔なものは全て消す。勢いだけでそれを実行するジャッキーと後始末に奔走するルーだが、やられた側がDV男、病的ストーカー、闇の武器商人といった面々であるせいか、ラストには不思議と爽快感が漂う。
フィクションにおいてのみ許されることという側面はあるが、いやだからこそ、彼女たちの無鉄砲さがどこか痛快なのだ。
愛は人を大きくする‼️
ジムで働くルーは、そこに通うボディビルダーのジャッキーと出会い、恋に落ちる。ベガスでのボディビル大会で優勝するという夢を持つジャッキーだったが、街の犯罪組織のボスである父親やDV義兄など、様々なルーの家庭問題に巻き込まれていく・・・‼️女二人の犯罪劇は「テルマ&ルイーズ」を思わせるし、筋肉美を追求するジャッキーがステロイドに依存する様はデミ・ムーアの「サブスタンス」だし、そしてクライマックスは空想特撮映画みたいになってくる‼️特にジャッキーがボディビル大会のステージでルーを吐き出すシーンは「サブスタンス」の悪夢の再来かとビビッてしまった‼️結論から言うと今作は "愛の暴走" 映画‼️ジャッキーがルーの義兄を顔面破壊、ルーに好意を寄せる女性を射殺するのもルーへの愛の暴走‼️ルーがジャッキーの殺人の証拠隠滅をしたり、父の元へジャッキーを救出に向かうのも "愛の暴走"‼️ルーの姉がDV夫から凄まじい暴力を受け、それでも夫を愛し続ける姿も "愛の暴走"‼️エド・ハリス扮するルーの父親がルーの殺害を決意、大暴れして部屋中をメチャクチャにし、大切なカブトムシを食べてしまうのも "愛の暴走"‼️そしてクライマックス、そんな "愛の暴走" は文字通り人を大きくする‼️不思議なカタルシス、爽快感に満ちた作品でした‼️
タイトルなし(ネタバレ)
1989年、米国南西部ニューメキシコの田舎町。
20代の女性ルー(クリステン・ステュワート)は、父親(エド・ハリス)が経営するトレーニングジムで働いている。
ある日、女性ボディビルダーのジャッキー(ケイティ・オブライエン)と出会う。
ジャッキーは、ボディビル大会へ出場する途中、この町に立ち寄ったのだ。
無銭のジャッキーは、ルーの父親が経営する実弾を使った射撃場のウエイトレスとして働くことになった。
経緯は、ルーの姉婿の口利き。
ルーの兄とは、この町に流れ着いた夜に関係を持ったのだ。
ルーはジャッキーに、「父も姉婿もクズだから、早くウエイトレスをやめろ」と忠告する。
実際、父は町を陰で牛耳る悪党、姉婿もDVで姉に重傷を負わせてしまう・・・
といったところからはじまる物語。
あらすじだけ書き出せば、田舎町に流れ者がやって来、悪党どもを成敗し、可憐な娘を救い出す・・・お馴染みの物語だ。
が、観終わってすぐの感想は「ケッタイな映画やなぁ」に尽きる。
デヴィッド・リンチ監督『ワイルド・アット・ハート』『ブルーベルベット』をはじめて観た時と同じような感じ。
それ以上は、ちょっと言葉にするのが難しかった。
疾走感とか躍動感とか、そういうものとは懸け離れているし、共感とか切なさからも遠い。
おもしろいわけでもないが、つまらないわけでもない。
そんな感じ。
ベルリンの壁が壊される時代を背景に、壊すことのできない「見えない壁」がそこいらへん一帯にあるなかでの物語だからか。
現在では「見えない壁」のいくつは壊されているし、現在の視点でみてはいけないのか・・・
と、つらつら考えて思い至ったのは、
女性同士なのに、いざこざの解決は、男勝りの肉体と暴力、それに銃・・・というのが受け付けなかったからか。
特に、怒りに任せて暴力でカタを付けるの図に辟易したのだろう。
観るまでは『テルマ&ルイーズ』かしらん、と思ったが、しばらくして、どことなく雰囲気が似ていると思った映画は『バッドランズ/地獄の逃避行』。
『バッドランズ』における「わたしを何処かへ連れてって」感。
同作では、惚れた男のクズぶりに若い娘が途中で気づいて愛想をつかすあたりが面白かったが、本作ではルーはジャッキーのダメっぷり(ステロイド中毒になって、ルーを一旦は放り出す)に気づきながらも、助け出してくれることで、ジャッキーについていってしまう。
なんだかなぁ、としか思えない。
ある種、マチズモの肯定。
女性が憧れるマッチョ。
まぁ、見た目はおもしろいから、「おもしろいわけでもないが、つまらないわけでもない」と思ったのだろうなぁ。
STARGAZE
今年公開のA24作品とは中々相性が悪く、今作もどうなるかなーと期待半分不安半分で観ましたが、想像以上のぶっ飛びっぷり、それでいて破綻していないストーリーになっており、ここ最近のA24作品の中では1番好きな作品でした。
序盤はガールミーツガールで進んでいくのかなーと思ったら、早めにステロイドで筋肉バッキバキになっていきますし、街の中で様々な事件が起きていき、2人の愛も一筋縄ではいかない展開になっていくので飽きることなくノンストップで楽しめます。
ジャンルがドッタンバッタン変化していき、ラブコメかと思いきやノワールになって、かと思いきや体の変形が一気に出てくるボディホラーになって、最終的にはそれらをごちゃ混ぜにして独自の要素を醸し出すとかいうイカれた作りになっているので、ジャンル映画好きとしてはこの上ないくらいテンションが上がっちゃいましたね。
筋肉はなんでも解決するし、引き金にもなるという、ステロイドを用いる前と後でも物語のキーになってのも印象的でした。
やっぱ筋肉羨ましいです。
終盤にかけた勢いは凄まじく、ルーとジャッキーが少し離れていく中で、ボディビル大会でブチギレて相手選手をボコボコにしてしまって収監されたジャッキーがルーのパパさんに保釈金を払ってもらい、その代償として人殺しの依頼が発生し、ルーはルーでめんどくせぇ女に絡まれていて、このめんどくせぇの酷い目にあったら面白いのになーと思ったらジャッキーが弾丸ぶっ放してくれたので、ルーにとっては衝撃的なシーンだと思いますが、いち観客としてはスッキリしました笑
パパさんがブチ切れてから部屋のものを壊したり、カブトムシの入ってるショーケースを割ったりするまではうんうんと思いながら観ていましたが、なぜかカブトムシをムシャムシャ食ったのが意味不明すぎてめっちゃ笑いました。
ピンチの時現れる大切な人が大きく見えるっていう比喩表現は聞いたことがありますが、まさか本当に大きくしてしまうとは思わずでめっちゃ面白かったです。
まるでハルクのように巨大化し、パパさんをとっちめてからの口の中に銃を突っ込んで警察に突き出すという社会的抹殺かつトラウマを植え付けるというエッジの効いた決着は最高にクールでした。
そこからの2人の逃避行は序盤のガールミーツガールのようで美しかったんですが、ある意味邪魔者なメンヘラ女がなぜか生きていたので絞め殺してからの捨ててからのタバコを一服というラストもめちゃめちゃカッコいいですね。
非喫煙者ですがこういうカッコいい喫煙シーンを観るとココアシガレットを咥えたくなります。抹茶味が好きです。
主演2人含め役者陣の体当たりな演技が素晴らしく、主演2人は可憐さとカッコよさを同時に解き放つビジュアルや体格、アクションがあって惚れ惚れしました。
素晴らしいパターンの邦題だったのも良きポイントで、原題のままだとテーマや内容と少しズレがあったんですが、邦題だと愛のパワーで障害を乗り越えまくれる、そしてステロイドという中毒性のあるものも同時に表現しているというナイスな邦題でした。
ジャンルフルミックスで色んな映画を楽しめるという点でも面白かったですし、好みは分かれると思いますがもう一回見たいくらいにはとち狂ってて良かったです。
A24作品、このくらいの塩梅でずっと狂ってて♡
鑑賞日 9/2
鑑賞時間 18:25〜20:10
ステロイドの過剰摂取もアレだけど、愛も行きすぎると色んなものを生み出してしまうのね
2025.9.3 字幕 イオンシネマ四條畷
2024年のイギリス&アメリカ合作の映画(104分、R15+)
ボディビルジムの管理者とビルダーを描いたクライムラブロマンス
監督はローズ・グラス
脚本はローズ・グラス&ベロニカ・トフィウスカ
原題は『Love Lies Bleeding』で「愛は血を流す」と言う意味
物語の舞台は、アメリカ・ニューメキシコ州のアルバカーキ
そこにあるクレータージムで働くルー(クリスティン・スチュワート)は、劣悪な環境の中でも文句を言わずに働いていた
彼女を慕うデイジー(アンナ・パリシコニフ)のアプローチを交わしながら、時間だけが過ぎていった
彼女には父ルー・シニア(エド・ハリス)がいたが、12年前に母親が家を出てしまい、それが原因で関係を断ち切っていた
ある日のこと、ベガスの大会に向かうボディビルダーのジャッキー(ケイティ・オブライエン)がジムにやってきた
ひと目で違いのわかる筋肉に見惚れたルーは、彼女のことを気にかけるようになり、住まいが見つかるまでの間、部屋に住まわせることになった
物語は、ルーの姉ベス(ジェナ・マローン)の暴力的な夫JJ(デイヴ・フランコ)とジャッキーが関係を持っていたと言う冒頭があり、それが露見するところから動き出す
ルーはジャッキーに好意を寄せていたが、それは寝床を確保するための嘘の感情だったと思い込んでしまう
ジャッキーはバイセクシャルであることを打ち明け、ルーに対する想いは本物だと告げる
そして、ジャッキーはその愛を証明するためにある行動を起こしてしまうのである
映画では、ルーと父の過去に語れぬものがあり、それが原因で疎遠になっているのだが、ルーは母親の失踪に父が絡んでいると考えていた
父はメキシコに武器を送ったり、麻薬を密売したりして儲けていて、FBIへの情報提供者を始末してきた
その手伝いをしてきたのがルーであり、彼女の特殊清掃は手慣れたものとなっている
ジャッキーはベスを愛するルーのためにJJを殺すものの、その後始末を巡って「あること」を思いついてしまう
それは、JJの死体を例の崖に落として警察に見つけさせると言うもので、他の死体が見つかることによって、ジャッキーが容疑者から外れると考えたからだった
だが、それによってJJの死体が見つかってしまい、ベスにも知れ渡ることになるのである
その頃、ジャッキーはベガスにてボディビルの大会に出場していたが、過剰なドーピングによって錯乱し、失格処分となってしまう
会場で暴れたジャッキーは捕まってしまい、ルーに助けを求めるのだが、その電話をデイジーが取ってしまう
デイジーは「もう会いたくないと言っている」と嘘を言い、ジャッキーは仕方なくルー・シニアを頼ることになった
ルー・シニアはジャッキーがJJ殺人に関わっていることに気づいていて、居場所確保のために「ある依頼」を突きつける
ジャッキーは引き下がることができず、さらにその依頼がルーとの関係を再構築できると考えていた
だが、その依頼をルーの目の前で行ってしまい、さらに関係は拗れてしまうのである
映画の前半でモブキャラのように登場するデイジーが後半では物語を推し進める役割になっていて、さらにオチに使われていた
ジャッキーはルーと出会ったことでステロイドを使うことになるのだが、その効果も相まって、徐々にエスカレートしていく様子が描かれていく
だが、精神的に負荷がかかりすぎると乱用状態になってしまい、それによって幻覚を見たりもしてしまう
これらの一連のシーンは某アカデミー賞ノミネート作品を思い出したが、そのシーン以外にも本作ならではの特異点が用意されていた
それが賛否両論を巻き起こしそうなジャッキーの巨大化だったが、このシーンを理屈で考えてはダメなんだと思う
ジャッキー自身が巨大化したことをルーもルー・シニアも認知している状態なので、ジャッキーのトランスが原因ではない
かと言って、ステロイドの過剰摂取によって、あのようなことは起こるはずもない
その後は巨大化したジャッキーとルーがルンルン気分で走っていくシーンがあって、一連の映像は効果的な演出と考える方が良いのだろう
結局のところ、警官も父も殺さなかったルーは最後の一線は超えていないように思えるのだが、これからも逃亡生活を続けていくことになるのだろう
砂漠で捨てられたデイジーもいずれは発見されるだろうし、不可解な事件の後に消えた女2人をFBIが見逃すはずは無いように思えた
いずれにせよ、A24なので変な映画だろうなあと思っていたら案の定という感じで、かなり特殊な映画だったと思う
ボディビルダーのレズビアン映画というのも新しいジャンルで、あの肉体がほぼ自前で鍛え上げているものというのはすごいと思う
ルーの方も結構筋肉がついている背中をしていたので、おそらくはあのジムで鍛えていたのだろう
ストイックな環境にいると感化されるのかはわからないが、彼女の中にある男性性にデイジーは惹かれているし、ジャッキーも女の子状態になっているシーンもあった
そのあたりは家庭教育の賜物であると思うのだが、ベスが言い放つ「あんたには愛がわかっていない」というのも、結構無茶なセリフだなあと思った
あー、黄身は私がいただきますぅ
ジャッキーは後先考えないこじらせマッチョ。ステロイド禍で拍車がかかる。
ルーは(多分A型の)片付けないと気が済まない性格。でも思考は内に向かいがち。デイジーが射殺された直後の、ルーの虚脱感溢れる表情が秀逸です。
性格の違う二人が惹かれ合うのもなんとなく分かる。愛がある故の暴走であり、愛あるが故の許しなのです。
死体や暴力描写のデフォルメが効いていて、なかなかインパクト大。
終盤はサスペンス、コメディ、シュールレアリズムなどの要素が混沌とし、最後はゾンビ映画になるのではと心配してしまいました。
でもこの世界観はなかなかに好きですね。
エド・ハリスとアンナ・バリシニコフ(ミハイルの娘!)の怪演も相当に楽しませてくれました。
女性同士の物語にする必要性はあったのだろうか?
制御不能な事態に陥った登場人物達が、さらに面倒な事態を引き起こしていく様子は面白いし、どこに転がっていくか分からない予測不能な展開には引き込まれる。
特に、必死になって助けようとしている恋人から銃を向けられて、「何で?!」と驚くクリンテン・スチュワートの表情には笑ってしまった。
その一方で、「男性に虐げられた女性が反撃に出る」といったジェンダーを意識したような作りにはなっていないし、ボディビルダーの恋人やストーカーまがいの目撃者を、そっくり「男性」に置き換えても物語が成立するので、一体何のために女性同士の愛の物語にしたのかがよく分からなかった。
考えてみれば、恋人が、わざわざDV男を殺さなくても、主人公の父親が、娘に暴力を振るった上に密告者でもある彼を、うまく「処分」してくれたはずだし、そうであれば、恋人は、何のトラブルもなくボディビルの大会に出場できたに違いない。
元を正せば、恋人が、ついカッとなってDV男を殺してしまったのも、あるいは、ボディビルの大会で錯乱状態になって留置場に送られてしまったのも、ステロイドの過剰摂取による副作用のせいだろう。
確かに、ラストで、恋人が巨体化できたのはステロイドのおかげだし、それが、観た者の度肝を抜くような見せ場にもなっているのだが、それでも、この映画にメッセージがあるとすれば、「薬物の乱用は身を滅ぼす」ということだと思われるのである。
ところで、そのラストで、父親が、どうしてさっさと恋人を殺してしまわなかったのかが不思議だし、仮に、主人公をおびき出すために生かしておいたのだとしても、テニスコートで彼女達がよりを戻す時間をわざと与えていたとしか考えられず、「エド・ハリスは、やはり、娘想いの善い人だったんだなぁ」と思ってしまった。
それから、殺人に手を染めるという点において、主人公も、恋人と同等の立場にしたかったのかもしれないが、目撃者が息を吹き返した上でそれを始末するというエンディングは、必要なかったのではないかと思えてならない。
映画は最後まで観るもの・・・を再確認
いやー、途中まで嫌~な気分で観てたんですよ。
これ、配信とかだったら「やりきれない気分」で途中で観るの止めてたと思います。
しかし、最後の最後に僕にとって理想的な結末が訪れました!
「最後まで頑張って良かった!!」
もう、僕が切った身銭はこのシーンの為だったのでしょう。
という事で、私の「映画は劇場で」はまた延長です。
愛は人を盲目にする劇薬
ステロイドねぇ、確かに🤣🤣
家父長制を否定したいが為にシスターフッドがマチョズムに縋るって本末転倒も甚だしいな🤣
あぁ、それも【愛】故に?
なりふりかまってられないって?
嫉妬深くて、他責思考で、やらかす度に対処しようと藻掻けば藻掻く程、悪循環のドツボにハマる…
まさに…女さん定期🤣🤣
30年以上前から何も変わっちゃいない。
SNSで個の情報発信が多くなった結果、バカが浮き彫り易くなっただけ。
結果…自己中に異性愛者も同性愛者も関係ないと。
ただまぁ、品行方正じゃ映画にならないしね🤣
つか、ラストさぁ、あの娘が可哀想過ぎる。
A24あるある早く言いたい
人間、巨大化しがち。
A24に限らず巨大化するのが昨今のトレンドなのですかね⁇ それは置いておいて、ジムで働くルーがボディビルダーのジャッキーと出会い恋に落ちることからストーリーは始まります。
互いに親子関係も複雑な2人はすぐに惹かれ合いますが中盤からサスペンスが加速します。ルーやジャッキー、DVを受けていたベスといい、恋や愛は盲目です。
クリステン・スチュワート出演の作品を見るのは「トワイライト」以来なのでだいぶ久しぶりだったのですが、変貌ぶりに驚き!か弱い女性のイメージだったので男前な雰囲気と自分の人生にウンザリしたような役がとても良かったです。
グロもあり、血も多めな作品ですが2人の度を越えた愛の形が見所です。
全体的には間違いなく良作、しかし終盤でサプライズニンジャが急に現れる問題作
舞台は1989年のアメリカの田舎町、町を裏で仕切る父を持つルーは同性愛者。ボディビルの大会に出るために旅をしているマッチョ娘のジャッキーに一目惚れして、その日のうちに口説き落として肉体関係をもってしまう。ラブラブな二人の平和な日々が続くかと思いきや、ジャッキーがとある事件を起こしてしまうというクライムサスペンスもの。
犯罪ものの話では定番ですが、二人が事件を隠蔽しようとしてどんどんボロがでてドツボにはまっていく展開で、これがまたテンポがよくて面白い。なんせ突発的な事件ゆえ完全犯罪には程遠く、どんどん窮地に追い込まれていくのですが、思わぬところで事態が急変したり、意外な真相を最悪のタイミングで知らされたりと、中だるみなしで終盤まで駆け抜けます。
ところがなぜか終盤にとあるトンデモ展開が1シーンだけでてくるのですが…これがまたどうみても賛否両論といいますか、サプライズニンジャ理論を実際にやってみた、的なノリなんです。
…あるいはシリアスなミステリーものの文章の合間にちくわ大明神が現れたとでもいうような…。そのシーンだけB級を一気に通り越してC級のバカ映画になってしまい、そのあとなにごともなかったようにしみじみとしたラストを迎えます…。しかしこちらは宇宙猫のままですよ…。
とはいえそのシーンに目をつぶれば良作であることも確かでして、とくにルーとジャッキーの破滅的な共依存関係はクィア、百合映画が好きならポイントは高いはず。なお、濡れ場が前半に4回ほどあるため(男女で1回、ルーとジャッキーの女同士で3回)、エッチなシーンが苦手な人は注意。ボディビルダーという設定だけあってジャッキーのマッシブな筋肉美も当然濡れ場で惜しげもなくさらしていて目の保養でした。
【“汚物は直ぐに掃除。そしてステロイド注射。”今作は美しきクリステン・スチュワートが演じるヒロインが家族の闇に巻き込まれるも、女ボディビルダーと状況を打破していくぶっ飛びムービーである。】
ー 原題は"LOVE LIES BLEEDING"であるが、邦題”愛はステロイド”のセンスが炸裂している。-
■トレーニングジムで働くルー(クリステン・スチュワート)は、町の裏社会を取り仕切る父(エド・ハリス)とはある理由で疎遠である。というか嫌っている。
そんなある日、彼女はラスベガスで開催されるボディビル大会を目指す筋肉ムキムキのジャッキー(ケイティ・オブライエン)と出会い、恋に落ちる。
だが、二人はルーの姉夫婦や父の抱える闇に呑み込まれて行くのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭、ルーがトレーニングジムのトイレ詰まりの掃除をしている。
その後の展開を考えると象徴的なシーンであるが、私は”相変わらず、クリステン・スチュワートは美しいなあ。けれど、目の下のクマが気になるなあ。睡眠はキチンと取らなきゃ駄目だぞ!”などと、自分の事は棚に上げ、余計な事を考えながら、ウットリ鑑賞する。
・だが、そのウットリ感は直ぐに吹き飛ぶ。
ナント、ルーとジャッキーのレズシーンが描かれるのである。どっちがネコだかタチだか分からないが、何となくルーがタチのような感じがする。ウーム・・。
・という事はさておき、姉の夫JJによる妻に対するDV事件が発生し、怒るルーと父だが素早くジャッキーがJJを一撃で殺害してしまい、ルーは慌ててJJの車に死体を乗せ”いつもの地の割れ目の場所”で車ごと突き落とし、燃やしてしまうのである。
■ここからの展開が、左斜め上を行くのでグイっと面白くなるのである。
町の裏社会を取り仕切る父を演じるエド・ハリスの存在感が抜群で、且つルーと犬猿の仲という理由も描かれて行くのである。
ルーがJJの車を運転している姿を見た、ルーの元恋人デイジー(アンナ・パリシニコフ)が嫌らしく、ネチネチとルーとの復縁を迫ってくる中、ナント父は捕らえたジャッキーに命じ彼女を撃ち殺させるのである。ウワワわー。
この辺りから、トンデモナイ展開になって行くのである。そんな状況下でもジャッキーはボディビル大会に出場するも(マジっすか!)、自分の行いを思い出しステージで吐瀉して敗退してしまうのである。
・そして、父は全てに片を付けようと、ナント、ルーを殺そうとするのだが、ジャッキーはルーから貰ったステロイドを注射して(更にマジっすか!)巨大化し、父を押さえつけルーは父の口に銃を突っ込み、FBIがやって来るのを待ち、二人で新たな道に進むのである。
<今作は、美しきクリステン・スチュワートが演じるヒロインが家族の闇に巻き込まれるも、女ボディビルダーと状況を打破していくぶっ飛びムービーなのである。
イヤー、凄かったっす。>
ルーへの愛がステロイド
脚本も映像もインパクト大で強烈な作品。
ルーとジャッキーの出会いから愛し合うようになるまで
実に恋愛映画さながらに、情熱的にお互いを求め合う姿に
は集中力を欠くことなく没入できた。
ルーのためには人をも殺すジャッキーのキャラクターが
明らかになってからは、明らかに物語の方向性が変わり
愛情の異常性が浮き彫りになっていく。
殺し方も自身の筋力をいかんなく発揮したえげつなさ
なのだ。
ジャッキーがルーを想うとき、体に異変が生じて
肉体が強化且つ巨大化する。
父親に犯罪指南を受け、殺人の片棒を担がされていた
ルーの過去が明かされ、父とルーの対峙時には、
ジャッキーはハルクさながら巨大化し、巨人となる。
ここは正直笑えた。画的にも面白かった。
かくして愛を取り戻したルーとジャッキーだが、
ラストではジャッキーが殺したデイジーが生きていること
がわかると、ジャッキーが寝ている間に
デイジーを躊躇なく締め殺し、車からおろすルー。
これもまた愛なのだろう。
実に新鮮、強烈な印象のA24作品であった。
愛、愛、愛!!
めちゃくちゃクレイジーな映画でこういうの大好き。
愛って時として暴力的だよねっていうありきたりなテーマでは収まらないスケール。
ルーはお姉さんを愛していて、ジャッキーはルーの為にお姉さんにDVをした夫を殺す。ルーは愛するジャッキーの為に死体を遺棄する。父親は娘の為に警察に手を回すし、目撃者をジャッキーに殺させる。
でも、その愛の大きさ故に浮気をしたジャッキーはルーに向け発砲するし、お姉さんは夫への愛故にルーを憎む。
喫煙者がタバコを欲するのはニコチンへの依存症であるのと同じように、人を殺してでも護ろうとする行為は愛への依存症なのかもしれない。
いや、そうか?そうなのか?
愛ってこんな暴力的だっけ?
いや、時としてそうなる一面もあるけれど、ジャッキーは筋肉への執着が異常だし感情に任せてマッチョマンを殴ったり人を殺したりし過ぎじゃない?
ルーの父親も簡単に人を殺すサイコパス。
そう、そもそも人格に問題がありそう。
そんな中で比較的まともなルーは、純粋にジャッキーに恋をして禁煙もした。
だけど愛に翻弄され、身内とも縁が切れ、ついには平気で人を殺し、またタバコを吸う人生を歩む。
何が良いとか悪いとか、正解も不正解も善悪もこの映画にはあまり意味がない。
人は愛の力によっていろんな変化を遂げるもんなんだよという事実だけを伝えている。
そして前時代的なマッチョイズムを過剰な愛と筋肉でなぎ倒していく痛烈な作品!!
行き過ぎた愛、歪んだ愛、自己愛などなど、
とにかくすべてが過剰!!
あ、巨大化したジャッキーはドラゴンボールの悟空みたいやったね!
全16件を表示
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