「映像良し、音楽良し、ストーリー...。」好きでも嫌いなあまのじゃく そさんの映画レビュー(感想・評価)
映像良し、音楽良し、ストーリー...。
映像は綺麗でヌルヌル動いてて良かったです。音楽も好みです。ただ、はっきり言ってストーリーがダメでした。
期待していただけに残念です。設定の基礎の必要な説明はしないのにプラスアルファの要素だけどんどんと詰め込まれてこられたので、なかなか世界観に入り込めませんでした。世界観に入り込めなかったので、感動もありませんでした。そもそも「鬼」の定義とか、会って一日のつむぎに対する柊の重すぎる気持ちとか、全然説明がなくて終盤まで頭に?が浮かんでいました。あまりにも説明不足で違和感だらけでした。筋が通っていないし、キャラクターの情緒も不安定です。
テーマについては一貫していて「本当の気持ち」についてだったんですが、ずっと「本当の気持ちを伝えるのは大切」ということが最後まで続いて困惑しました。重要なテーマだということは分かるのですが、あまりにしつこく単純でした。その単純なメッセージが2時間に薄められていたので、全体として浅い映画という感想を抱かれても仕方がないと思います。
挿入歌も変なタイミングで流れました。楽しみにしていたんですが、ラップ調の歌詞の部分とキャラクターのセリフが重なってごちゃごちゃしていました。スタジオコロリドの以前の作品「雨を告げる漂流団地」の挿入歌のタイミングは抜群に良かったのに、今作はなんでここにしてしまったんだろう、と不思議で残念な気持ちです。
また、ストーリーの展開中に、とにかく「こういうのを描きたかったんだろうな」という感じのものが多かったです。その気持ちが先走ってしまっているのか、観ていて違和感がある場面が多々ありました。素敵な音楽と綺麗な映像でも誤魔化し切れないほど、脈絡のない展開がありました。とにかく、ストーリーがめちゃくちゃでした。もっと流れを整理してから世に出して欲しかったです。
本当に勿体無いです。映像と音楽がいくら良くても、ストーリーがダメだと台無しです。私は「映画」を観にきたんです。ただ映像と音楽を鑑賞しに来た訳ではなく、それらがストーリーと相互的に作用して感動を呼び起こすような作品が観たかったんです。次回作には期待しています。