「役所広司はナニモノなんだ」八犬伝 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
役所広司はナニモノなんだ
《PERFECT DAYS》でも思ったけど役所広司すごいね。
「そこの筋肉は、どうやったら動かせるの?」という感じで表情を作ってくる。
合わせる寺島しのぶもすごいんだよ。
役所広司と寺島しのぶでやり合ってるところに磯村勇斗が絡むんだけど、磯村勇斗をもってしても敵わない。格下に見えちゃう。
話は、物語《八犬伝》の世界と、それを描く馬琴の世界で交互に進むのね。
《八犬伝》パートはわざとだと思うけどちょっとちゃちっぽいというか作り物っぽい描き方なのも面白い。
玉梓役が誰か気になって「こんな顔した女優さんいたよな」って感じで、深津絵里っぽいのかな。エンドロールで栗山千明と分かって、なるほど綺麗だわと思ったな。
《八犬伝》面白いよね。一大スペクタクル爽快活劇じゃん。
木下グループが「黒澤映画みたいなのを撮ろう」と思ってやったのかな。角川映画にも似てた。
話は無茶なんだけど『主君の言葉の重さを知れ』っていう教訓が入ってたりすんの。
「実は大鳥にさらわれたお姫様でした」ってところは「ギリシア神話かよ」って感じなんだけど、いまこういう大仕掛けないね。
あまりにやりすぎて「さすがに作り物っぽすぎる」と思われちゃうんだろうな。
でも、いまは作り物にみんな慣れてないから、今こそまたやって欲しい。
実の世界ではなりたたない善因善果、悪因悪果を虚の世界で描いて、でもそれを貫けば虚も実となるのだみたいな話があるんだよね。馬琴の人生がそうであればいいってことだと思うんだけど。
だからラストに八犬士が馬琴を迎えにきたときは泣いた。
知っていそうで知らない八犬伝だから、歴史的名作を知る意味でも、観たほういい作品だと思ったよ。
トミーさん、コメントありがとうございます。
この作品の世界観だと犬に育てられるんでしょうね。八房は子孫を残してなさそうなので、どう因縁付けるのか見てみたいです。