「少し散漫。しかし、」八犬伝 mrkc7さんの映画レビュー(感想・評価)
少し散漫。しかし、
滝沢馬琴の生涯と南総里見八犬伝が並行して描かれる。実である馬琴が虚である八犬伝を書く。虚は理想である勧善懲悪も含まれるから、虚を実に寄せたいとも見て取れる。
虚と実は相容れないのか?ラストシーンは虚実が一体となる。
馬琴と鶴屋南北の虚実の問答は面白かった。
実である馬琴のパートは心の動きが微細に描かれつつも、セリフに頼るところも多く、ちょっと鼻に付くところもあった。息子が亡くなった後、雨の中で崩れ落ちる馬琴はちょっと不自然さを感じた。役所広司ならもっと魅せれたのでは?と少し残念だった。
作品の構造として虚実をパート別けして見せたのはちょっと残念な結果に感じた。八犬伝のパートはもうちょい少なくても良かったかな。ラストシーンに繋がるから重要だと思うが散漫になった印象だ。
八犬伝パートはVFXバリバリの戦隊モノの様相。「8人揃って八犬士!」くらいの描かれ方。日本のヒーローものに影響を与えたってのも真実だと見える。
決してつまらない訳ではないが、虚も実も和装なので慣れるまで虚実がわかりにくい。構造を把握してからは飲み込めたが繋ぎ方に工夫があってもよかったかな。もっと出来たのでは?を積み重ねると星3つまで下がったかな。
あと、TOHOシネマズ梅田のスクリーン2は傾斜が緩いのでどの席もスクリーンを見上げる形になる。今後は選ばないかな。
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