「誰かにやらせるんじゃなくて、自分からやろうとするのが凄すぎる」YOLO 百元の恋 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
誰かにやらせるんじゃなくて、自分からやろうとするのが凄すぎる
2024.7.9 字幕 イオンシネマ久御山
2024年の中国映画(129分、G)
2014年の日本映画『百円の恋』のリメイク作品
引きこもりのアラサーが恋に目覚めてボクシングを始めるスポ根映画
監督はジア・リン
脚本はスン・ジビン
原題は『熱辣滾燙』で「ホットでスパイシー」、英題『 Yolo』は
「You Only Live Once」略で、「人生は一度きり」という意味
物語の舞台は、中国湖北省の襄江
32歳にもなって親の脛を齧っているローイン(ジア・リン)は、妹のローダン(チャン・シャオフェイ)から小言を言われ、母(チャオ・ハイイェン)と父(チャン・チー)からは呆れられていた
ローダンは娘ジャオシー(サン・ワンチュー)のこともあって、実家の権利を持ちたいと考えていた
だが、ことあるごとに衝突し、挙げ句の果てには大喧嘩に発展してしまう
ローインは家を出て、一人暮らしをすることになるが、勢いで飛び出たために先立つものがなかった
それでも、母の計らいにて、なんとか路上生活は免れることができたのである
その後、近所の串カツ屋で働くことになったローインは、店長(シュ・ジュンコン)のセクハラに耐えながら、一風変わった先輩のルオシー(シェン・チュエンヤン)と一緒に多忙な店を切り盛りしていく
ローインは仕事を始めた以外は特段の変化のない日常を過ごしていたが、ある夜に近くのボクシングジムのトレーナーのハオ・クン(ライ・チァイン)と出会うことになった
彼の忘れ物を届けたことで関係が築かれ、そのジムでボクササイズを始めるようになる
ジムでは大会を控えていて、ジム内で代表選手を選ぶことになっていた
ハオ・クンは出場を望んでいるものの、会長(シャー・イー)はジムのイメージのためにはモテ男のティエンフー(ズゥー・ティエンフー)を出場させたいと思っていた
映画は、ハオ・クンの試合に感化されたローインが、ボクシングに真剣になる様子が描かれ、100キロ近くあった体重を55キロぐらいまで落とす過程を克明に描いていく
監督自らが主演を務め、過酷な練習に耐えながら本当に体重を落とし、ボクサー体型になっていく
エンドロールではメイキングなるものも登場し、体重経過日記も字幕で表示される
映画のラストには、プライベートの目標が描かれるのだが、映画の冒頭とは同一人物とは思えない変わりようだった
映画は、邦画のリメイクになっているが、別物として鑑賞した方が良いと思う
それぞれにそれぞれの良さがあって、拘っているところも違う
急遽公開のようでパンフレットがないのが残念だが、減量日記が付録でついていたらよかったのになあと思った
いずれにせよ、半分ぐらいドキュメンタリーを見ている感覚があって、エンドロールのメイキングも含めたエンタメになっていた
監督自らが主演をする作品は多くあれど、この内容で実際にトレーニングをして、プロのボクサー相手に鍛錬を積むというのは相当なことだと思う
映画は、順列でしか撮ることができないし、ウェイトコントロールを失敗すると撮影も中断してしまう
それを思うと、よくこの作品を違和感なく完成させたなあと感心してしまう
物語も王道を行くもので、シナリオもきちんと練られているので、誰にでもオススメできる作品になっているのではないだろうか