「少年オルフェ... 見つめながら」イマジナリー Paula Smithyさんの映画レビュー(感想・評価)
少年オルフェ... 見つめながら
NHKによって1972年から始まった『少年ドラマシリーズ』
エピソード 7の『少年オルフェ』って、あまり知られていないはず。だって、シリーズの第一話『タイムトラベラー』は、NHKですら映像が残っていない。今私たちが視聴できる筒井康隆原作の『タイムトラベラー』は一般の人が録画していたことで幸いなことに映像が蘇っている。
それは、本作『イマ ジナリー』と同じモチーフとして黄泉の国へ旅立ったり、行方知らずになった大切な人をこの世にもう一度戻すことは、なくした人でしか決して分かりやしない。
話は変わって...
We are oft to blame in this, - 'tis too much proved,
- that with devotion's visage, and pios action we
do sugar o'er the devil himself.
- William Shakespeare
※余談ですが
シェイクピア時代の英語は「古英語」と言われたり、そうではなく「近代英語」とする人もいる。それは、どうも彼が生きていた時代の英語はアメリカ英語に近かったと言われる所以なのかもしれない。そのことは、創立から145年続く "ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー" の演劇監督時代のトレバー・ナンが次のように語っている。
Trevor Nunn, of the Royal Shakespeare Company
(a British theatre company), said, “I really want to
use American actors in Shakespeare, who will use
their own accent, as this is a different dynamic and
a different use of language. Some people make fun
of this idea, but it’s almost an absolute truth that
today’s American accent sounds much closer to
what Shakespeare heard when he wrote.”
シェイクスピアまで持ち出して、何が言いたいのかと言うと
本作『イマジナリー』に登場するテディベアで知られるクマのぬいぐるみが、ちょうど皆さんと同じようにシェイクスピアさんの戯曲『ハムレット』の中で形容したと同じように、この映画のサブジェクトにもなっているので、長くなったけど載せてみました。
映画自体は、2022年にブラムハウスが製作したロボット人形のフェノメノン『M3GAN ミーガン』の、少し大げさでしかも自意識過剰で、どちらかと言うと怖いというよりは面白さを追及し、嫌悪や悪寒と同じくらいにお笑いの存在を感じさせる珍しいタイプのファジー・フィルムとしてディズニー・キッズに少し毛の生えたコンディションに登場人物の少なさや時代を感じさせるあまり精巧でないギミックと映画全体の包括的内容がギリシャ神話のオルペウス伝説の冥府下りやキングの『IT』のようでもあり、義理の娘のアリスが迷い込む次元空間のセットアップが『コララインとボタンの魔女』をそのまま使うあたり、ありふれたプロットから客観的に見れば決して優れた作品と言えるものではないのかもしれない。
アリスは母親を亡くした悲しみに暮れる少女である。母親は何らかの心理的問題を抱えており、そのせいで幼い腕に火傷を負い、アリスは火を恐れるようになった... その心理を利用しようとする誘いが "The scavenger hunt" を集める行為で次元空間への誘いとなる。
よく似たことが協調性をみる企業向け新人研修で行われたりもしている。しかし日本語では、「宝物探しゲーム」とか「借り物ゲーム」とか訳されていたけど本作の"The scavenger hunt" に関しては、ニュアンス的にしっくりくるものとは思えない。集めるアイテムは次の通り...
Something Happy.
Something that burns.
A bowl.
A paintbrush.
A lock of hair.
Something that scares you.
Something that you would get in BIG trouble for.
Something that makes you MAD.
Something that HURTS.
個人的な事で恐縮するけど多くの方は、本作に限っては評価はあまり芳しいとは言えない。でも映画の質と言うよりも感覚的なところで何故か?映画製作者がアリスに対して惨い事をしなかったことへの愛情を通じた共時性であり、ママハハと言う立場を通念的な義理の子供への母性としての存在にしている事への共感が私的に生まれている。 それと同時に...
Buckley has been called "The Voice of Broadway"
by New York magazine.
不思議な事がある。
1982年、彼女はミュージカル『キャッツ』のオリジナル・ブロードウェイ作品でグリザベラ役を18か月間演じている。♪メモリーの彼女の澄み切った歌声は今でも耳に響く。何故? トニー賞受賞歴を持つブロードウェイのアイコンが、悪く言えば子供だましのような映画に出演を決めたのかは、彼女はその事に関してインタビューに答えている。
Well, I love Jason Blum and we became friends when
he produced split for M. Night Shyamalan and I'm one
of the co-stars of that opposite James McAvoy. I just
think Jason Blum is the greatest guy in show business.
・・・・・(略)
So they sent me the script and I was like, "Yeah, this
seems fun." I think it's really a very creative script,
really imaginative, to quote Imaginary, I think it's a
very creative place that he designed.
キャリーで見せた彼女は、映画の主題ともいえるシェイクスピアの言葉
"we do sugar o'er the devil himself." の意味が分かれば
ハムレット、第3幕第1場... オフィーリアのように
映画の質うんぬんと言うより、前も言ったように感覚的なところであたしにとっては、本作品がトータルで良かったとしか伝える方法を知りませんので...
「どうぞご容赦を」