国宝のレビュー・感想・評価
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圧巻の一言
まさに圧巻の一言です。日本映画の本気と覚悟を観たと感じました。トイレもあって上映時間の長さがかなり気になりましたが、結果作品に没頭しててあっという間に終わった感じでした。特に舞台から客席へのカメラアングルは鳥肌ものでした。一瞬ドキュメンタリーかなと思わせるくらいのストーリーです。少しだけ、ん?って思わされた部分は、襲名披露の時の吐血のタイミングと、最後の娘だったあのくだりはかなり無理があったのと、それと全体的に主役の二人の関西弁が少し違和感はありましたが、作品としてはレビューを書く10月の地点で今年観た映画の満足度や面白さはダントツです!主役の二人は今後他の作品に力を出せるのかなと心配になるくらいの演技でした。まだ上映しているので観ていない方は是非一度!
とにかく長かった
大物ヤクザ組長の息子が人間国宝になるまでの一生。
途中、途中の歌舞伎演出には引き込まれるが上映時間がとにかく長く感じた。
しかしながら吉沢亮と横浜流星の歌舞伎と演技には圧巻でした。
芸の為に犠牲にするものが多すぎる。
10代で背中にミミズクのもんもん
私見ですがthe昭和でした。
あっという間の3時間
複数の友人に薦められて鑑賞しました。今をときめくイケメン俳優が女形に扮する...というだけでも話題性はあるよなぁと思いつつ観たのですが、ストーリーは分かりやすいし、映像は文句なしに綺麗で、とても洗練された映画でした。長編小説の映像化って難しいのに成功してる稀な例。吉沢亮さんはハマリ役ですね。
ラストの「お父ちゃん、いい役者にならはったね」
という娘のセリフは要らないのではと思いました。少し安っぽい映画になってしまう気がして。
登場人物に感情移入はできるのに映画的カタルシスを感じなかったのはなぜなのかな?
ドラマというより、美しい絵を見た感じがします。ちょっと不思議に思ったので原作も読んでみます。
そういう決着の仕方をしますか
中盤までは、血なのか、芸なのか、みたいな葛藤が強く押し出されていて、これがどういう決着に至るかが気になって、凄い面白かった。
お父さんが亡くなった辺りからは、結構チープな方向に向かっていって、芸側が挫折して、逆転人生になって、また復活みたいなのはありきたりが過ぎて、そんな方向に向かうのかとがっかり。
最初の問題提起も結局、一番強かったのは糖尿病であり、それも血の遺伝要素で皮肉めかしているのだと思うけれど、スッキリする決着ではなかった。
でも適度に説明しない作り方とか、あえて口元にソースつけたまま撮るのか、みたいなワンカットに対するこだわりがビンビンに伝わってきて、そういう部分は観ていて映画の力を感じる。
歌舞伎を観たいと思わされる作品
とにかく出てくる俳優さんの圧倒的な存在感、演技が素晴らしかったと思う。特にメインのお2人の歌舞伎の部分、素人目に観てもどれだけ努力されたのかと思わされる。壊死した足を撫でる場面が心中へと向かうところも胸に刺さった。舞台には魔物が住んでいるのだろう。様々なものを捨てても掴んだラストも悲しみと共に救いもあった。内容的にも、このラストは現実にはありえないと思うと、これが歌舞伎界ではどう受け取られるのだろう?と興味深い内容だった。ただ、あくまでも好みの話をするならば、青年時代の2人の役者さんもとても良かったので、もっと青年時代の2人の歌舞伎での成長や2人の取り組み方の違いが分かりやすく表現されてほしかったし、歌舞伎に取り憑かれる様がもっとドラマチックに表現されてほしかった。2人の栄光と挫折の繰り返しも、ちょっと長く感じた。でもこれは私の好みの話で、この作品を観るならばテレビやスマホの画面ではなく映画館で観るべき映画だと思う。
3時間
良かった点
①人間国宝の爺の「芸に身を捧げてきた人間らしい異質さ」
②歌舞伎の演出の華麗さ、見たことない人間にも伝わる魅力
悪かった点
①ともかく冗長な暴力シーン、色気シーン(男性の裸含む)
②前半あれほど語られてた努力の要素がどこかへ消えた、呆気ない主人公の復活
③周囲の人物が舞台装置と化すご都合主義、特に隠し子に最後あれを言わすのは尊厳の否定に等しい
④「芸に身を捧げた」割には凄みを感じない主人公
作りがTVドラマの拡張版に過ぎず、作り手のこだわりや思い入れが微塵も感じられない無味乾燥な出来上がり。
取捨選択をできなかった結果が3時間という長さに過ぎず、これで絶賛してる人はマトモな「お話」を観てこなかったのだろなと。
観客が、
・若い男の裸を見たい女性
・分かりやすい劇を摂取したい高齢者
に偏ってたのも、当然の帰結かと。
修羅の道は、人を捨ててようやくスタートライン。
■まだ見てない君へ
感想以降はネタバレなので見ないよう。
気になるよな。分かる。
この映画の人気レビューは結構当てになるよ。
それ見て行く気になったら見に行くと良い。
あと病んでる君。
見に行くな。そういう時に見ていい映画じゃない。
もし病んでる状態で見に行きたいなら、一つだけ。
この映画から何かを得ようとするんじゃない。
いってらっしゃい。
■前置き
前から噂だけは聞いていた国宝。
ついに見た。
正直、女形の役に取り憑かれて、自分の人生も女形に引っ張られるとかいう安直な物語を想像していたのだが、安直なのは私の方だったらしい。
■感想
見る前から長そうだなという印象はあったが、実際はそれ程長く感じられなかった、なんて感想が多く見受けられる。
個人的には、後半はもう少し畳み掛けても良かった様な気がする。
飽きたとかではなく、
「半二郎が自身の代役に俊介ではなく喜久雄を指名し、演目が始まるまで」
がピークに見え、その後は落ちて上がるの繰り返しの「一般人の日常」を見せられている気分にさせられたのだ。
何か一つの人生の終わり、死後の世界を見せられているような感覚。その感覚が何とも遣る瀬無かった。
また、後半の「喜久雄のサイコ感」が、役者特有の異質な物ではなく、そこら中に転がっている無気力な若者達が持つ様な、「浅はかなサイコ感」であったのも、後半に魅力を感じなかった要因の一つである。
これに関しては、同じ人間なんだから、そらそうやろ、と言われればそれまでなのだが、「プロの役者」に、得も言われぬ様なカリスマ性を求めてしまう感覚は、皆にも理解出来るのではないだろうか。
次に肝心の歌舞伎。
歌舞伎に関しては何も知らない。知識で言えば本当に一般人以下だ。
その上で、感じ取れるだけの物を得ようとして、2シーンだけ響いたものがあった。
一つ目は、化け物爺さんの演目。
そこかよ、と、浅はかに思われるだろうか。安心して欲しい。恐怖を感じさせようと音楽が流れ始めてからの演技ではない。むしろそこらは全然顔が映らなかったのでガッカリした。
注目したのは、演目の始まりの部分。
何の調味料も無い状態の爺さんに、鳥肌が立った。
人生で始めて、ちょっとだけ思わされた。
「妖か?」と。
あのお爺さんは誰なのだろう。歌舞伎を全く知らないが凄い人なのだろうか。無名の役者だったとしても、あの演技にはとても引き込まれた。この際、名声の有無はどうでもいい。
ただ素晴らしい、と思った。
二つ目は分かりやすい。
半二郎の病室での一幕。
自身をビンタした後の喜久雄の演技だ。
分かりやすくこちらに響かせようと演出してきて腹が立って、「響かんぞ」と構えていたが、あれは見事だった。
何と言っても目だ、鼻だ、口先だ、顎先だ。
そして、声だ。
あれは素晴らしい。
.....ただ他の演目は響かなかった。
客の中には喜久雄の演目中にすすり泣く方もいたが、私にはその感覚がイマイチ分からなかった。
「我が子が沢山努力や苦労を上で、形にしようと頑張る姿に泣けた」とかそういう感覚なんだろうか。
ならまだ理解は出来る。
「演目中の役者の姿に自分を投影して」とかだったら、すまないが普通に腹が立つ。おこがましい。
彼の歩んだ人生は誰にも歩めないし、それ故に誰も彼の人生を参考にする事は出来ない。
強いて言うなら、覚悟を決め過ぎると、人生どうなるのか、
覚悟という言葉を、我々がどれ程浅はかに浪費してきたのか、
それらは何となく学び取れるだろう。
修羅の道は、人を捨ててようやくスタートライン。
そんな事を感じさせられる作品だった。
■総評
国宝がいて、歌舞伎があった。
ただ、そこに人はいなかった。
あくまで、彼は国宝なのだ。
人ではなく国宝なのだ。
あくま、で。
■自由欄
外行きの感想はこれ位にして、後は浅はかに行くとしよう。
まず、雰囲気だ。
いいじゃないか。とても好きだ。やはり昭和中期あたりのセットは大好きだ。
そして歌舞伎。
こんなにも感情が読めるものなのか。正直舐めていた。
映画の内容抜きにして、歌舞伎がとても好きになった。
必ず見に行こう。あわよくばレビューしよう。
良い映画だった。
良い三時間だった。
3時間上映の長丁場だけど映画館で見たほうがいい!
原作は同名の小説を下にしたもの。
ちなみに読んではいない。
あと歌舞伎にも詳しくはない!(笑)
ロングラン上映を聞きつけてやっと足を運んだ!
大作だね!正直、上映時間としては長いのだろうが、
見てみるとそんな長さを感じることを忘れるくらい、
心に残る・心に刺さる作品だった。
出来ることなら、映画館で観ることをオススメする。
まぁ、どんなにつまらない作品でも映画館で観ないと、
正当な評価はできないと思ってるのであるが!
衝撃的シーンはいくつがあるが、あえて1つだけに絞るなら、
田中泯さん演じる小野川万菊が鷺娘を演じてるシーンだ!
主人公たち(吉沢亮・横浜流星)が高校生の頃に観劇して、
主人公が歌舞伎にのめり込むことになったところだ。
既に人間国宝となっていてお爺さんに近い役どころなのに、
妖艶に踊り切る姿が印象的だった。
もちろん、吉沢亮・横浜流星・師匠の渡辺謙も
相当訓練したのであろう。
素人目には、歌舞伎役者ってこんなんだろうなと
思わせる程度には演じていたのだと思う。
もちろん、詳しい人の厳しい視点で見れば、
ツッコミどころはあるのかもしれないが、
大抵の人にとっては十分なのではないだろうか?
波乱アリのサクセスストーリーは、
最近多い波乱なしのサクセスストーリーに比べて、
見応えがあるな!と思った。
森七菜演じる彰子はどうなった?とか、
気になる点もあるけど!(笑)
ここのコメントにPROが6人も投稿してるのも
注目度が高い作品なのだろう。
森七菜・高畑充希・見上愛など、今を彩る女優が
出演しているのも個人的には👍️な感覚だ。
わたしは刺さらなかった
映像、美しい
演技、美しい
きくおさんの人生、ひとりよがり
森七菜さんの役のひとはあの屋上のシーンでお別れになったのかな?
隠し子の娘のことも忘れていないと言いつつ何もしていないようだし、芸事ばかりでひとを幸せにしない、役者って不幸だなと感じた
渡辺謙の役どころも自分勝手で好きになれない
女が振り回される勝手な話だと感じた
シンプルに観ないと損
特別な理由やこだわりが無いのなら、是非映画館で観てほしい作品。大満足。
歌舞伎に馴染みがないとか演目や用語がわからないとか、三時間長いとかその程度の理由なら、じゃあとにかく観た方が良い。
血がある血がないという重要テーマがあるが、主人公に流れている血とは冒頭の亡き父のものであり、主人公が生涯通して見たかった景色とは雪の中で散った父の姿(もしくは父が見たであろう最期の景色)かと思う。彼は命をかけて「見得を切り」その生き様を息子に残してくれた。
からっぽの喜久雄が、芸をどんどん吸収して成長していく一方で実は周りの人の幸福をどんどん食べて最強のモンスターになっていく様子が恐ろしくて美しい。格が違う、吸い取られる、とでも直感したのか早々に離れていく春江の本能が素晴らしいし、そこに空いた穴にタイミング良くはまるような弱った俊介の演技が良かった。
ストーリーに口を出すのは論外だけど俊介を女方にしたのはお父ちゃん正しかったのかな?と思ったりもする。役者さんの骨格が男性ぽいから余計に、最初から立役/女方だったら運命は違っていたのかなとifを妄想したくもなった。(化粧した顔が、吉沢亮のつるっとしたフェイスラインが完璧すぎるものの対照的に笑顔を見せて愛嬌で勝負する横浜流星も可愛かったけども)
人間国宝万菊さんは出てくるだけで空気が冷えるような、でも主人公達に温かい重要な役。他ジャンルの方らしいですが、目線、手招き、何と言っても台詞まわしというか語尾の調子?が素晴らしかった。骨の髄まで女方が染み付いたみたいな演技が凄い。
ストーリー的には竹野という男がなんだかんだ見届け人という感じで良いキャラだった。
ところで落語心中という別作品が好きで、構図がよく似た話だなと思ったので、国宝の原作と共にそちらも再履修したくなった。
なんかすごい感じだった
原作読んでないので誰のせいかわからないですけど、ストーリーはちょっとぐだぐだかな・・・
でも見ててなんかすごい・・・と思えた。だてに130億を超えないよな、みたいな。自分的には何度も見たいタイプの映画ではないけどリピートする人がいるのもわかる。朝9時半の回だったけど、客層が若もんから老人までめちゃ広かった!
自分的には導入部の15分くらい?が一番刺さったな。吉沢亮の少年時代の子が出てくる場面がほんと衝撃的に・・・なんだろ。かっこいいとゆーかきれいとゆうか。これからどんな話が展開するんだろ?みたいなわくわく感。渡辺謙と一緒に、え?何これ?いったい誰?みたいなリアクションしちゃうよなー。
芸術!!
1ヶ月前以上に観に行ったこの作品。
見応えという言葉では足りないくらいの重厚感のある作品でした。
3時間はあっという間!ではなく、しっかりズシンとくる3時間に感じました。
まず、歌舞伎役者が本業ではない主演のお二人が、映画として世に出せるまでの努力をされたことが目で伝わってくるようでした。
言葉が見つかりませんが、汗と血と涙が本当に感じられる作品に思いました。
歌舞伎を今まで見たことがありませんでしたが、この映画をきっかけに興味が湧きました。作品名がテロップでも写し出されていて、きっと知識があればもっと楽しめたんだろうなと思います。
映画によって日本の文化を広くひろめる、興味を持ってもらうことに、文化継承のための価値を感じました。
渡辺謙さんの食事中のシーン、ご飯をかき込むところやため息をつく間合いなど、本当に何気ない仕草が日常そのままで、それを当たり前に表現するのってすごいなあと思いました。
画面は本当に美しく、作品全体が一つの芸術作品に思いました。
映画館で見ることができてよかったです。
飽きることなく面白い 音響に迫力
3時間飽きる間が全くなかった。少し始まったところでアメリカ映画のセッションようなテーマかなと思ったらやはりそうだと思った。芸術を極める人は魂を売る。
映画館で観たが故に歌舞伎の伴奏に迫力り。物語は同じ母として寺島しのぶに感情移入。とにかく役者も衣装も何もかも豪華で贅沢な3時間でした。ストーリーは映画だけでは説明不足的な箇所が多い。さらっとしてる。故に凄い映画なのは感じるが物語的な余韻が殆どない不思議さ。他の映画だと暫く考えたりするけぢこれは特に考えない。 一番知りたいのはお爺さん国宝が最後ドヤガイの宿屋のようなところにいたこと。それは小説で補えばよいかと。小説まで読んで完成かな。長い小説を上手く3時間でまとめた脚本家もすごい。 小説だと音も衣装も分からないのでまずは映画館で観るべき一品。
何度見ても同じように新鮮で、もう一度見たくなる
何度見ても同じように新鮮で、もう一度見たくなる。
初めて見たときは喜久雄の絶望的なまでの孤独を感じて怖くなった。
2回目に見た時は、ここまで歌舞伎という芸能が今に残っていることに深く感慨を覚えた。
そして今回、我ながら不思議なことに「舞台の上では男ばっかりだな」と思ってしまった。
これは長い歴史がそうさせたもの。
舞台の表だけではないシーンを見て、芸だけに邁進できる環境はこれしかないのか、と思わずにいられなかった。
曽根崎心中の舞台で喜久雄と俊介が舞台で支えあうのも、男女ではあり得ない光景のように思えた。
友情というよりはとにかく芸、芸、芸、それだけが伝わって空恐ろしい気持ちになった。
また、舞台の外では軽やかながらも生きている人間らしいずっしりとした重量感をもつ喜久雄や俊介が、舞では人外のような存在になっていることもまたこの世界の恐ろしさと凄みを体感した。
70年代、80年代、90年代
人間国宝になった男の半生記。
前提として自分は歌舞伎をTVでしか見た事がないです。あまりにも話題なので一度は見ておこうと思い鑑賞。
【良かった点】
❶それぞれの時代の風景が懐かしかった。
メイクが現代風だったのが唯一残念でしたけど。
車、洋服、アパートの階段、カーテン、ランプシェード、灰皿、折りたたみテーブル、扇風機。
小物類へのこだわりが時代を表現していてとても良かった。
架空のワイドショー番組なんかも昭和感あって良かった。
❷伝統古典芸能、血縁だけが相続してきた技術。サラブレッドの息子 vs 才能があると見込まれて住み込みで弟子入りする事になった元ヤクザ組長の息子。
この対立構図は世界的にも普遍的なテーマであり、誰もが共感しやすかったと思う。
殴り合いするシーンはかなり面白かった。面白いというのは少し変だけど…。
それまで表面的に取り繕っていたのが決壊して腹の中の気持ちをぶち撒けてたのは良かったと思う。
❹スポンサー社長の付き人を殴る所
凄く良かった。キクオの個性が良く表現出来てた。
❺舞台&衣装が美しい。歌舞伎座の中を見れたのが良かった。思っていたより狭くてびっくりしたけど。
【良かった脇役陣】
いや本当に脇役が素晴らしかった。
✦ヤクザ新年会
全員素晴らしかった!
このシーンのみでご飯5杯いけます
永瀬正敏、宮澤エマ夫婦が絵になること。
✦主役の子供時代演じた2人。
この頃は見た目にも2人のキャラクターがしっかり撮れていてちゃんと区別がついていた。
✦キクオの最初の相手男役徳次
この子、もっと見たかったな…。こういう男らしい顔の少年俳優は今貴重だと思う。
✦人間国宝の万菊姐さん
最後まで女形の人間国宝の妖怪っぽさをよく表現出来ているなと思いました。
✦歌舞伎スポンサー三友社長、嶋田久作
いや〜この人の存在感、まだ健在ですね!大好き。一気に空気が昭和になる。居るだけで画面が映画になる、数少ない俳優さん。この方の演技が見れて凄い嬉しかった!貴重な映像。
✦俊坊の母幸子、寺島しのぶ
いや最高!
面倒くさい子供連れてきてまぁ…仕方ないわね、という梨園の妻の顔と自分の息子をもっと贔屓してよ、という母の顔をとても分かりやすく自然に演技されてて素晴らしかったです。特に墓参りのシーンは全方位にキレ散らかしてて笑ったけど「ごもっとも!」と拍手したかったわ。
✦キクオの最後の女アキコ、森七菜
梨園育ちの世間知らず、よくいるダメンズに引っかかる天真爛漫お嬢様。90年代の流行りである自立した女に憧れを持つタイプ。
凄く分かりやすくて3人の女の中でも一際輝いて見えました。彼女だけは見間違い起こさなかったw
アキコの父役も良かったです。
彼女が父にタンカ切って駆け落ちしたものの、最終的には彼女から「もうやめようよ」と冷静に判断したのは感動的でした。
【あまり良くなかった点】
✦メインキャラ4名見分けつかない問題
主役の2人が似過ぎててどっちがどちらかわからない。メイクしたらなおさら。もう少し顔の違いや背丈の差がある俳優が良かったかな。
藤駒、春江も見分けが難しく、春江はもっとヤクザの女です!っていう個性強めの顔を持った女優さん使ってほしかった。例えるなら昔の土屋アンナ的な人が良かったと思う。(土屋アンナみたいな顔の役者が令和にいるのかはしりませんが)
藤駒と付き合っていた事も知らず、突然子供出来てて驚いた。
これ恐らく外国でも言われると思うわ…、絶対あちらの人々は見分けつかないだろう。
全体的にこのような急な時間スキップが多くて、観客に説明する気はないんだなーと思い、最終的には歌舞伎CM、PVとして見てました。
✦娘との再会
キクオと芸姑・藤駒との間に出来た隠し子、綾乃との再会シーン。
このシーンもう少しなんとかならなかったのかな〜…とモヤモヤ。
若い頃は海老蔵みたいだったキクオが晩年は中村勘三郎みたいな落ち着いた大人になってるのも微妙に違和感。
でも原作がそういう終わり方なんだろうし、そこは映画に求めても仕方ないかも
【総評】
キクオの50年間を一気に振り返るムービーで楽しめました。
しかし映画としての構成は期待した程ではなかったです。まぁまぁかな。
しかし、歌舞伎という伝統芸能を世界へ紹介するには丁度よかったと思う。
ドキュメンタリーに近い感じに楽しめました。
道を極める壮絶な人生
「すごい映画だった」
映画館での観賞後に漏れ出た言葉は、語彙力を失っていた。
約190分の長編ということもあり、感動を語ろうとするとどうしても解説みたいになってしまうので、特に印象に残ったことを記載する。
まず全体感として、吉沢亮の演技力がまさに「神がかっていた」
芸に魅了され、芸に飲み込まれ、深く沈んでゆくように道を極める主人公を完璧に演じていた。
セリフではなく、演技力と映像センスで感情を表現するのも素晴らしかった。
昨今の過保護な説明をする作品とは対照的に、映画ならではの強みや表現が満載だった。
満点を付けていない理由は、ヒロインである幼馴染の駆け落ち。
あれだけ喜久雄に寄り添っていたのに、なぜ急に俊介と駆け落ちしたのか?
俊介が逃げ出したのはわかる。
しかし、あの流れで春江が一緒に駆け落ちするのは違和感を拭えない。
原作では喜久雄とのすれ違いや、俊介とのやりとりが描かれているのかもしれないが、映画ではほとんど絡みがないのに急に裏切るように駆け落ちする理由が理解できなかった。
とはいえ、それは強いて言えばというレベルなので、全体的には素晴らしい作品だった。
昨今多い「最低限失敗しない映画」ではなく、
今後もこのような本質的な観点からの創作を願っている。
歌舞伎vs映画の総力戦
東一郎の人生の物語。大変なヒットを飛ばすのも納得の大作。
物語的には東一郎の幼少/青年/壮年/老境、各章の区切りで大胆に世代をジャンプして時代が変わっていくので、緩急のメリハリは良い。東一郎と半弥の立場と栄枯がくるくる反転していく物語展開はかなりテクニカル。その反面、それぞれの時代に起きたイベントがブツ切りになって流れていくので、東一郎の蓄積した因果の積み重ねが希薄に見えてしまう瞬間はままある。
特に顕著なのは中盤と最後にだけ登場する東一郎の娘と、一番どん底の時に急に現れてボコボコにしていく三人組。三人組は普通に傷害事件なのでちゃんと訴えた方が良い。どちらも東一郎の罪と罰を象徴する存在だが、画面に映る瞬間がなんせ短いので記号性が立ちすぎて浮いて見えるのが残念。
しかし物語部分の引っ掛かりはこの際問題ではない。
東一郎が歌舞伎の為に全てを捧げたように、この映画も本題に全てを捧げている。この映画の本題とはやはり舞台シーン。
東一郎と半弥の絆を象徴する「二人道成寺」から人間国宝の凄みを魅せる「鷺娘」、東一郎を花形に押し上げた「曽根崎心中」 など数多くの舞台が描かれている。
その中でも「曽根崎心中」 は映画のテーマとも絡み合い、病を抱えた半弥と共に挑む二度目の上演は間違いなく作品的なクライマックス。
曽根崎心中の舞台は徳兵衛(東一郎)がお初(半弥)を手にかけると同時に幕が下りる。
病気のせいでこれが最後の舞台になる半弥にとっては幕が下りる瞬間が役者としての最期の時。それを理解しているから、お初を手にかけることを躊躇する東一郎。
命か芸か、その狭間の葛藤と痛みが重なる舞台。バックで流れる映画音楽、画角の変奏、アップが捉える表情の微細な震え、折り重ねられた東一郎と半弥の物語。
これは完成された歌舞伎の様式美に対して、映画という表現手法がどこまで真に迫ることが出来るのか、という挑戦であり決戦である。幕が下り、舞台の観客は万雷の拍手を送るが、映画の観客が見せられたのは芸に生きる者の重い決断。この映画のメタ構造をも味方につけた総力戦で、この作品は歌舞伎に挑む。
命か芸か。人か芸か。作中では折に触れて倫理的な問いかけが行われているが、東一郎の娘が最終盤で再び姿を現す瞬間はその最たるもの。
結局、東一郎 の罪は許される訳ではないが、しかし勧善懲悪を超越する芸の極致にはただ圧倒されるしかない。
2000円払う甲斐はある
たった一年か二年で、歌舞伎演目をあれだけ舞ったのは凄い努力なのだと素人目でも分かる。
国宝級の着物に舞台装置、鴈治郎の演技指導。これだけの舞台でやり切った吉沢亮と横浜流星のお二方の役者としての転換点になるんだろうなと思いながら観た。
3時間はむしろ短い。前編後編6時間やる位で、周りの人間関係や女性から見た国宝。という立場が描けたのかなとも思う。とにかく男性目線というか、人間らしい描写を悉く短く濃縮して、救いがある様でない様な、役者◯カとはこういうものだよね。。な3時間だった
興行主の息子?の「こんな生き方俺にはできんわ」
に私もそう思う〜。とため息が出た。
業を極める覚悟と孤独、美しさ
歌舞伎の舞台は美しく、1年前から踊りの稽古をして臨んだという吉沢亮さんの演技は素晴らしく、ちょっとみる目が変わりました。
業を極める人物像、その覚悟と孤独、美しさが花井父(渡辺謙)や万菊(田中泯) 、立花父(永瀬正敏) の生き様と通じる、という描かれ方でした。
ただ、ちょっと、脚本なのか原作なのか。
いやおうなく歌舞伎の世界で生きる事になった喜久雄(吉沢)がどう歌舞伎に向き合っていくのかその辺の葛藤がわかりづらく、その後の展開にちょっと違和感が残りました。
喜久雄にとって悪魔と取引してまで芸を極める意味はなんなのかとか、
血縁(俊介)を妬み憎みながらも生まれながらにそれを手にする俊介個人の苦しみに思いを馳せることができる「生い立ちの割にはまっすぐ」な人格設定とかにどう繋がっているのか、がわかりにくかった。
全540件中、21~40件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。




