国宝のレビュー・感想・評価
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悪魔との契約(加筆修正済)
芸のためなら何でも捨てるという契約を悪魔と交わした主人公が、艱難辛苦遂に人間国宝になるという、50年間にわたる一代記である。ちゃんと伏線回収があるんだよね。
梨園の名門の御曹司(横浜流星)とヤクザの家に生まれた主人公(吉沢亮)が、ライバルとして鎬を削る。
スポーツ界では、エリートと叩き上げのライバル話は、よくある。古くは英国の陸上選手セバスチャン・コーとスティーブ・オベット、米国のフィギュアスケートのナンシー・ケリガンとトーニャ・ハーディング、大相撲の大の里と豊昇龍もそうかな。
大抵は、エリートが勝って、叩き上げが涙を飲むことになるのであるが、この映画は、そこがちょいと捻ってある。
様々なエピソードがあって、展開が早いので退屈しないが、「禍福は糾える縄の如し」そのもののストーリーは、陳腐。もっとピカレスクに徹すればいいのに。
寺島しのぶサンがいい味を出しているのは、さすがである。彼女は歌舞伎役者になりたかったんだよね。
舞台の映像は、まことに幻想的である。バックの伝統的な囃子に、現代のシンセサイザー音楽を被せるのは、趣向であるが、なかなかよかった。
しかしながら。
歌舞伎に関する素養がないと(例えば曽根崎心中のストーリーを知っていないと)、クライマックスシーンの意味がわからないだろう。足フェチじゃないんだからね。
その意味で、外国人には、理解し難い映画だと思う。あ、日本人でも、ミーハーには無理か。
結論:吉沢亮くんと横浜流星くんは、本当によく頑張った。田中泯サンの怪演も見ものである。
吉沢亮さんの映画
芸にいきた人間の一生を追いつつ、誰しもが通る道を描いた作品
男の友情を超えたドラマ
歌舞伎の道を究める女形2人。
美しかった。
梨園の血を恨む半弥とその血を渇望する東一郎お互いの苦しみを理解しながらも、時に憎しみ、哀れみ、惹かれあう。この二人のつながりがたまらなく切なかった。半弥の最後の舞台では2人の絆の強さが強烈に伝わってきて、涙が止まらなかった。映画の締めくくりの東一郎の舞台は、東一郎が求めている景色があり、それは東一郎の父親が殺されるときの風景だったり、半弥との舞台風景だったり愛する人たちの一番命を燃やす瞬間だったんだろう。 この映画に出てくる女優たちは、梨園の女のように本当に脇役だった。 正直、森七菜の存在はいまいちだった。梨園のお嬢にも、甘やかされたお嬢にもみえないし、東一郎に寝取られるくらい軽い女にギアチェンジしてくれたらもっと面白かったかな。ドラマの森さんと変わらない。そこだけ減点。
カルマ、カルマ、カルマ!
序盤。雪景色に広がる父の「赤」から始まったこの物語。
終盤。今度は主人公自身が、舞台一面の白に、鮮やかな「紅」を花開かせる。
その対比を見ての、私の解釈。
「ラストで主人公が見た景色は、
父親が(に)見た景色と同じだったんじゃないか」。
◆
つまり、
「やくざ者」(父)と「(人間)国宝」(主人公)。
傍目には、そこには「大きな違い」しかない。
しかし、その両者は、本質的にはほぼ「同じ」。
どちらも、人間のどうしようもない「業」を背負っていて、
周りを傷つけながらも、必死に生きている。
風が吹けば、いとも簡単に吹き飛ばされてしまうような、
「儚い」存在にすぎないのに。
だけど。
そんな人間が、それでも美しい。
いや、それだからこそ愛おしい。
そんな物語として、私は受け止めました。
◆ ◆ ◆
原作未読ですが、
この物語を映画にしようとした製作陣の勇気と、
ここまで素晴らしい映像作品にした、
監督・脚本・出演者に、心からの賛辞を贈りたい。
李相日さん、相変わらず、ヒリヒリさせてくれます。
感情だけでなく、人生ごと。
三浦貴大さん、いい味出してたな。
黒川想矢さんも、どうか「芸」につぶされず、
役者として、人間として、生き抜いてほしい。
完璧に作られた映画は苦手なのだが
カメラワーク、音楽、俳優さん演技が素晴らしい
本物はもっと凄い
実力か世襲か
評判が良い様なので見てきました。
タイトル通り人間国宝になった人(架空ですが)の半生の物語です。まあ歌舞伎の話しと言うのは話題になるまで知りませんでした(汗)
歌舞伎も歌舞伎の世界のことも何も知りませんでしたが楽しめました。大迫力で歌舞伎を見て感動しウルウルしました。
切磋琢磨して友人ともライバルとも兄弟とも敵とも言える間柄の若者二人が歌舞伎の世界に入る。
順風満帆かと思われた二人の行先に次々と訪れる問題。その人間模様と生き様、最終的に人間国宝と言われる所まで上り詰めるまでの紆余曲折が凄い。
3時間位ある物語だがあっという間に終わってしまった。素晴らしい出来だ。
物語としては長崎の893の親分の息子だった立花喜久雄(後の芸名花井東一郎)は組の新年会の余興で歌舞伎の演目を若集と行い喝采を受けた。
たまたま新年会にお呼ばれしていた歌舞伎役者の花井半二郎がそれを見て端正な顔立ちと演技の立ち振る舞いを見て女方の才能ありとみそめる。
その後色々あって半二郎に弟子入りし半二郎の息子俊介と厳しい稽古に明け暮れる。同い年の二人は意気投合し兄弟のように親しくなる。友人でありライバルであり両者とも顔にも才能にも恵まれて女方としてメキメキと頭角を表していく。しかし芸事が好きで真剣な東一郎と、跡目は決まっておりいつか親父の後を引き継ぐ事が決まっているボンボンの俊介(いつまで経っても俊坊と呼ばれている)は段々芸に身が入らなくなっていく。そして芸で一歩先んじた東一郎が怪我をした半二郎の代役として急遽主役級の役を任される。ここから二人の人生が大きく変わって行く。
この後も人生が二転三転する出来事があり二人は苦難に何度も襲われる。
果たして人間国宝まで上り詰めるのは誰か?一人か二人か両人とも無理か。
二人の友情はどこまで続くのか?どんな人生が待っているのか?
いやあ芸の道は厳しいし世襲もどうなのかとは思いますが、才能があれば出世する世界という訳でもなさそうなのがなんとも。
ただ最終的には家柄云々より芸に秀でていればいつかは認められるかも知れない…かな?そうあって欲しい。
歌舞伎の暗部?とも言える所に踏み込んでいるのは良かった。
圧巻の内容、ただ長い
表現者の業を描いた傑作 若干の不満もあるが……
原作小説は未履修
正に、「表現者の業」を描いた作品だったと思う。
やはり主演の二人、吉沢亮さんと横浜流星さんの演技、歌舞伎のシーンも含め素晴らしい。
もちろん、少年時代の黒川想矢さんや越山敬達さん、脇を固める渡辺謙さんや女優陣の演技派かつレベルの高い映像は、一人の青年の人生を美談に描いてしまった。
特に田中泯さんの所作は、気持ち悪いくらいの色気を感じる。
映像の作り方に特にこだわりを感じ、色やカットに対しての熱を随所に感じられた。
音楽も情欲を駆り立てるようにシーンを彩る。
なにより、光と散るもの(花や紙や雪など)の写し方が素晴らしかった。
これらの印象的なシーンのおかげて、作品の感情への訴え方が強く感じられた。
良い映画を見たと、しっかりと感じられる傑作だと思う。
基本的には絶賛なのだが、
ここからはネタバレにならない程度の不満を書きたいと思う。
個人的には、主人公の最後のシーンでは、もう少し地獄への道が示されるような展開を期待してしまった。
特に、自分の勝手で周囲の人間を何人も不幸にしておいて、少し赦しを得るようなラストの描き方は、少しバランスが悪いようにも感じる。……まぁ少年時代を考えると、トントンなのかも知れないが……。
あとは、音楽の入るシーン。
特に歌舞伎シーンからの劇伴奏が入るところ。歌舞伎の鳴物が流れる上を、BGMが重なっていくため、音楽的に気持ちが悪く、せっかくのシーンでトリップ出来なかった。もう少し鳴物側の音が早めに消えて欲しい……。
とまぁ、細かい不満はあるものの、
圧倒的な映像の豪華さと、濃密な半生の追体験のような映画だったので、
集中できる環境かつ、良い音響での視聴を強くお勧めしたい。
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