国宝のレビュー・感想・評価
全1621件中、321~340件目を表示
魂を揺さぶられた渾身の作品!
全編を貫く凄まじいほどの歌舞伎愛に圧倒された。
脚本に無駄がなく感傷に浸る暇がなく涙が乾かぬうちに
スリリングに展開していく。時間経過を示す事によって後で
全体がすっきりと理解出来るように構成されている。
ドキュメンタリーかと思うほどの歌舞伎の世界の裏側で
リアルな家元制度の中で翻弄される主役の吉沢亮氏、横浜流星氏は
様々な困難な中で恨み辛みを抱えながら見事な歌舞伎を見せてくれた。
特に吉沢氏の舞いは妖艶で儚く美しかった。
黒川想矢君の舞踊も重要な意味を持っており
忘れてはならないシーンであった。
出演もしている4代目中村鴈治郎氏が歌舞伎指導に入っている事もあり
伝統芸能の峻厳さと緊張感が伝わってきた。
また綿密に計算された素晴らしいカメラワーク、映像美も
素敵だったし感動が増したのだった。
最後にキャスティング。寺島しのぶさん、渡辺謙さん、高畑充希さん…
もうこれ以上ない。
吉沢亮の演技が壮絶。芸事の美しさと残酷さが濃縮された映画
「血」「血族」に振り廻された歌舞伎役者の半世紀の物語
今年のベスト候補筆頭。
気持良い緊張の3時間
信念を貫いた一人の男の人生を見せられました。
人生が違っていたら別の「血筋」で生き抜いていたはずの彼だったからこそ、というところも面白かったです。
先代からの教えと観客からの歓声を背に、限られた人にしか観られない景色を求めて、何があっても女形として踊り続けた、だからこそ最後に、これ以上ない名誉にも負けないほどの「ご褒美」を思いがけず手にできたんだと思います。それは数多くの犠牲を払ってきた彼の救いにもなったんではないでしょうか。
少年期を過ごした長崎ではあまり観ることのなかった?雪景色、それは時折脳裏にちらちらと浮かぶ景色と重なり、最後の紙吹雪につながりましたね。
「どんなに歌舞伎が憎くても舞台に立ち続けるんだ」って言葉は何だか印象に残りました。
そして、3時間続いた緊張のなかでも、緊張で化粧できずにいる東一郎に対して半弥が手を差し伸べる場面では、緊張が伝わって涙が漏れるということを初めて経験しました。
終始ストーリーを昇華させる映像でしたが、中盤と後半の2回、二人の男の人生と「曾根崎心中」をシンクロさせる場面は特に見事でした。
「怒り」で最後の一瞬で強烈な印象を残した高畑充希さんが今作でも、大切な役回りを抑えたトーンで上手に演じられていました。
これまで吉沢亮さんの出演作はあまり鑑賞する機会がなかったですが、他の作品も観てみたくなりました。
そして、歌舞伎が鑑賞したくなりました。
見応え十分
悪魔
淀長さんに見せたい
評判の高い同作品を先日見てきました。
良くここまで日本の歌舞伎をドラマチックに描いてた。それも歌舞伎とは全くない経験のない役者を使って、その再現度に頭が下がる。在日の李監督の日本文化に対するリスペクトと脚本の素晴らしさ、話の流れからすると流星氏を悪役にして吉沢氏にシンパシーを観客に持ち込もうとするがこの脚本家は流星氏の苦悩と悲しみを観客に刷り込ませ最後のカタルシスに持って行く改めて脚色の凄さを感じた。撮影の美しさと衣装セットはこれほど時代を感じさせる再現度は半端でない。役者は言葉がないほどの出来。淀長さんとおすぎさんがさらばわが愛が公開された時、日本で歌舞伎を舞台に豊悦の主役で出来ないか。対談で話していたこと思い出した。
100年に一本のコピーに偽りなし
大傑作と思う。
原作を読んでいたので、この作品の映画化はハードルは高いと心配していた。
主演の吉沢亮のプレッシャーも相当のものだったに違いない。
その心配を吹き飛ばすような出来栄えだったと思う。
上下二巻の長編小説を3時間にまとめるのだから、半分ぐらい端折った部分があったように思うけど、小説では表現しきれない、映像だからこそできる演出が随所に用意されていて大満足。
まさか、大首の浮世絵を実写で見ることができるとは思わなかった。写楽の浮世絵に江戸庶民が熱狂した訳がわかったような気がした。
森七菜ちゃんの登場が、小説ではちょうど折り返し下巻(花道編)の冒頭附近になるのだけど、欲を言えば、そこから後が少々走りすぎた感じがしたことだろうか。でも5時間越えの作品になっちゃうね。
是非映画館で見て欲しい作品です。
人生いろいろ♪ ★3.4
約3時間の長尺、私は趣深く面白く楽しめました。とはいえ「心震わす域」にはあらずでした。
歌舞伎の世界を知らなくても楽しめるとの書き込みを多いようですが、私的には少なくともTVのワイドショーを見ていた世代でないと世界観が掴めず楽しめないのではと思いました。更に「人生なんてものは、いい時も悪い時もあるものだと」思える年齢であることも楽しむための条件かもしれません。
映像 ★★★ もっともっと鮮烈な画が欲しかった
音 ★★★ もっともっと美しい「静」の間(ま)が必要だったのでは
物語 ★★★★ ワイドショー見てた世代には楽しめる
役者 ★★★ 悪くはないし、どちらかと言えば良いのだが、素晴らしいとは言えない
編集 ★★★★ 少年期から老年までの人生の出来事をうまく3時間の尺に納めている
粗さ ★★★ 問題なし
総合 3.4 何かが惜しい・・・
画も音も演技も、全体を通して何かがちょっとづつ足りない。もしくは数秒の1シーンでも良いから「心震わす」ものが欲しかった。「国宝」と言う題名の重みに対して、ちょっと仕上がりが軽く感じました。十分楽しめはしたが★4や5の評にはならず。
ただただ吉沢亮と横浜流星を楽しみたいという人には素晴らしい仕上がりかもしれません。
歌舞伎の舞台は客席から見上げるものであるため、映画のカメラワークに...
とんでもないものを観てしまった.・・生涯脳裏にこびりつく映画。
歌舞伎って面白いんですね
「圧倒される」とはこのこと
大きいことを描くのに必死で、小さなことを疎かにしがちな印象を受けた
大味な出来事の羅列であり、キャラクター主体の映画ではない。主人公が主体性なく状況に翻弄されて終始転がされてばかりいる印象を受けたけど、それも歌舞伎という由緒正しいしきたりや世襲から逃げられないでその道で生きていくしかない仕える身としての雁字搦めを体現しているのだろうか?つまり、"細部に魂は宿る"というように、本当に映画として大切なことが蔑ろにされているような。全て凄いクオリティなのに、どこか薄い。
撮影が凄いし、映画としてのクオリティは否定しようがなくて観ていられるのだけど、それに惑わされることなく観ると展開先行じゃないかみたいな印象。梨園を描くという大義のうえで、敢えてそういう選択をしたのかもしれない。人間そのものを描くというより梨園や象徴する伝統芸能の世界を描く。本作でしたかったこととしてそれで正解なのかもしれないけど、「人間ってこうだよね」的一般論みたいな、大文字・大枠な展開での転がし方ばかりで進んでいる気がして、"喜久雄だから(こそならでは)"みたいな個性となるものをあまり感じられなかった。
もちろん2人のキャラは青年期以降に見えてくるけど、少年期パートが総集編みたいに薄くて、その後も長い年月を描く伝記映画ありがち"濃いのに薄い"を地で行くような印象を受けた。
李相日✕吉田修一。代わる代わる豪華キャストが顔を出すけど結局のところ、吉沢亮も横浜流星2人による、役者の力。イメージングシステムなど巧さはあるものの、李監督のあの否定できない力強さみたいなものが、本作ではあまりに大きな外枠や形式に囚われすぎて希薄だったかも。
血と才、家と芸。美しい顔に自分が食われるさまをよう見とけ。本物の役者になりたい、日本一の歌舞伎役者に。いつも誰かがそこから見ている芸事を極めるうえで、悪魔と取引。つまり、綺麗事だけじゃやってられない。主人公2人の間で、『時計じかけのオレンジ』みたいに同じ展開が繰り返される構成。天国と地獄。嫌になっても、憎くてもやめられない、それでも舞台に上がるしかない愛憎渦巻く厄介な思い。好きや楽しいだけでは続けていけない、一筋縄では行かないもはや執念みたいな。守ってくれる血がほしい、お前の血をコップに入れて飲みたい。嫉妬と友情、というより戦友。そして、赤。見たかった景色に辿り着くまでに払った多くの犠牲、その上に成り立った成功("順風満帆"否定せず安牌「ひとえに皆様のおかげ」発言)。
女性の仕事。寺島しのぶであることに否が応でも感じてしまう必然性。そして、日本でもちゃんとインティマシーコーディネーター。
P.S. あと、糖尿病は遺伝するものだと初めて知った。
"魅せる映画"
昔良く間違えてた俳優が遂に競演!
2025年劇場鑑賞163本目。
エンドロール後映像無し。
仮面ライダーフォーゼに仮面ライダーメテオ役で出演してブレイクしたのが吉沢亮なのですが、その変身前が朔田流星で、しかもその親友役に横浜流星が出ていたんです。しかも朔田流星はジークンドーの使い手で、実際の空手の有段者は横浜流星の方っていやこんなん間違えるやろ!それから2人が他の作品に出る度に「どっちだ・・・?」と混乱していました。べらぼうで毎週横浜流星見ていて、ようやく区別がつくようになったところでこれです。果たして区別がつくのか俺・・・?
大丈夫でした。去年だったらだめだったかも(笑)正直なっげぇなぁとは思ったのですが、歌舞伎シーンを逃げずに描いていたのと、渡辺謙演じる師匠から稽古を受けて何かつかんだ瞬間演技が変わったのが素人目にも分かった吉沢亮の演技、横浜流星の最後の出番の時の演技など、見どころ満載でした。
全1621件中、321~340件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。