国宝のレビュー・感想・評価
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鑑賞動機:この座組10割
なんかもう、とてつもなくすごかった。
2025/6/7追記というかここからどうやって言語化するか。
歌舞伎の知識が1mmくらいしかないので、公式ページ内で演目の予習しておいたのが正解だった。それだけでわかんなくてもわかるような気になったし、歌舞伎の場面で引き込まれる度合いが全然違う。中でも『曾根崎心中』は圧巻。1度目は舞台上と舞台外を二重写にするかのような使い方だし、2度目はお話と現実をより直接的に二重写しにしていて、感情を揺さぶられ続けた。
ストーリー自体も毀誉褒貶激しくて、鑑賞中に何回「!」となって前のめりになったことか。 2人の愛憎絡み合った関係は演技と真意が混ざり合っているように見えて、複雑なのだけれど、目を逸らさず観続けるしかなかった。3時間近いけど、それでも前半の濃密さに比べると、後半は駆け足に感じた。でもあのペースで最後までやったらこちらの身が持たないから、結果的によかったのかも。
吉沢亮と横浜流星は…あなたたち悪魔と取引したでしょ? 絶対したでしょ。そうでもしないと、おかしいでしょ、あんなにできないでしょ。
『さらば我が愛 覇王別姫』は大好きな映画だが、私は違うと思う。
あそこで「順風満帆」という言葉を使うことで、逆に波瀾万丈で苛烈な人生だったことを際立たせる感覚が素晴らしい。
映像が目に焼き付いた
タイトルなし
結構入ってた。大島さんの絶賛するほどではないけど、歌舞伎がよかった。歌舞伎のような伝統的芸能を裏側から見せたのはすごい。
雪の景色は、死んだ父親の大舞台だ。でも父に何で逃げない必要があったのかとか、いまいちよく分からない。あと、永瀬は少し若くて、もっと貫録ある人がよかった。
渡辺は二人道成寺を袖で見守る不安そうな表情が良かった。連獅子はきれが悪いし。父というより、母的ポジション。
歌舞伎で血より才能のある人に継がせるのはありえないそうだし、しかも彫り物があるので、間違いなくフィクションなのだけど、歌舞伎界の非情さもちゃんと描かれている。
返り咲けたのは、3代目ができて、その後見人としてだったのではと思えば、高畑はそこまで計算して主人公を助けたのかとまでうがった見方も。
2人の道成寺の再現はもとより、曽根崎の反復。演劇そのものが上演という反復なのだけど、そしておそらく現実にもあるあるなのだろうけれど、感慨深い。すでに片方しか残っていない足を見せるためにこの設定にしたのかと思うほど、劇的な仕掛け。その足もすでに指先は黒ずんでいる。
横浜流星もとても目の涼しいイケメンで、2人主演の女形歌舞伎というだけで、もうこの作品は十分豪華なのだけど。
田中泯は、セリフの意地悪な感じと佇まいだけで様になる。何を考えてたのかよく分からないけど。
吉沢くんは顔が端正な点にポイントがあるので、子役の子は演技力はあるけど、この点ではミスキャスト。女性としての色気はあったけれど。
吉沢くんという人は、顔が端正すぎて、その外見に比して演技は下手なのではと思われてきたゆえ、それをバネにしてきた人。まさにこの映画の初期設定。その吉沢くんの努力とこの映画が重なる。
女形歌舞伎の表情は見事。
流星くんの曽根崎も良かった。
歌舞伎は、すでに見せ場が定型化されているだけに、話が分からなくても鑑賞できる点もこの映画の成功の理由。
運命に翻弄され、不条理を身体に受けるのが名俳優の定めなので、どうしても受動的になりがちなのだけれど、吉沢くんにはさっきの要素があるだけに余計に受動的ポジションで、それは女形というポジションと重なった。名キャスティングだった。
見応えあり。
得体の知れない尊いモノ
芸ロードまっしぐら!いや、寄り道いっぱい?
歌舞伎の裏側が覗けて、
ラッキ〜〜、ウッキ〜〜
その他見ていて思ったエトセトラ。
以下
ネタバレ
注意
です
!!
◯やくざ組長の息子が歌舞伎へ進出が斬新!
◯今後、新しい感覚で極道の世界を捉えた・描いたニュー仁侠映画が生まれてほしぃ
◯組の新年会でのミニ歌舞伎シーンや若い時の稽古シーンがすごく良かったです、引き込まれたぁ〜
◯めっちゃ厳しい稽古。
それでも楽しいと取り組む喜久雄。
現代の若者は、あのシーンを歌舞伎だから当たり前と受け取るのか。映画だから大袈裟でしょと納得するのか。
ひと昔前の現実はもっと厳しかったのではないでしょうか。
ひと昔前、自分は日常的にあのようなイジョウに厳しい状況を何年間も経験したことがあります。いまでも忘れられない辛い思い出です。
歌舞伎等の真っ当な稽古ならなんの問題もありませんが、、、(申し訳ありません、余談でした🙇)
◯生意気言ってすみません、
暑苦しく感じる演技、熱演部分は
あまり好みではなかったです。
◯ジョーカーみたいなシーンはよかったぁ〜
◯世襲制って、どうなんでしょうか。
歌舞伎のことを知らずに言えることではないですが。
自分は世襲制(男女差別等)への問題提起も含まれているのではと思いました。
◯のし上がって、廃れて、また輝いて等の
二転三転劇におろおろの心境でした。
小ステージの地方巡業までやって、時間経過後、晴れ舞台の転換にそわそわしました。
映画(フィクション)ならではのおもしろみなのでしょうか?
◯歌舞伎を体感したことがないから、
歌舞伎鑑賞が好きな方々に
劇中歌舞伎演技がどうだったかをすごく聞いてみたいです。
後でレビュー読んでみます。
◯ラスト(エンドロール時)の歌、
すごくよかったぁ〜♪ ♪
追伸
余談
◯「ニュー歌舞伎」には興味あります。
ノーマル?歌舞伎に未来はあるのか?
(失礼いたしました)
歌舞伎は伝統文化のまま
しっかり保存され続けるのか。
今の10代、20代が歌舞伎に興味を持つと
いいですねぇ〜
※一部修正済 2025.8.13
人間のクズに感動するなんて
ストーリーよりも俳優の役者魂にただただ感心させられる作品。
ストーリーはまあ、あらすじにある通りヤクザの息子が歌舞伎の世界に入って才能はあるけどいろいろ苦労していく話。正直ストーリーはそんなに面白くはないです。なんせフィクションなもんで。
ただ、ただただ俳優さんの演技というかこの映画にかける熱量に感嘆させられます。
すごいと。映画のためにここまでやるのかと。この映画のドキュメンタリーを映画で上映してもいいんじゃないかと思うくらい。
吉沢亮、すごいですよね。最近の若手俳優さんの中では演技力は頭三つくらいとびぬけてると思います。
しかも本作のあとが『ババンババンバンバンパイア』ですよ。嬉しいですねえ。
吉沢亮さんには、本作のせいで大物役者扱いされちゃうかもだけど、これからもおバカ作品に出続けてほしいです。
最初見た時と印象が変わったので
チュニジア人カメラマン
面白かったけど感動は?
心に残ったのは田中泯さん演じる万菊が布団で寝て喜久雄と接するシーンにて。
この部屋は美しいものが何も無い、だから落ち着くのだ、と。
これ逆を言えば美しいが過ぎると疲れてしまうという事ですね。
歌舞伎という美しさにこだわった世界で、この言葉はなんだか印象的でした。
ヤクザの息子であり、落ちぶれてしまった喜久雄にとっては慰め。
そして今のルッキズムやキャンセルカルチャーに対する批判とも、汚い世界への肯定とも取れました。
泯さんはどの役も本当に素敵に演じるのでいつも眼福です。
歌舞伎、私は一度だけ御園座の最前列で見たことがあるのですが…。
うーん、若かったせいもあるかもしれませんがその時はそこまで良さが分からなかったんです。
国宝は映画なのでカメラワークや音楽で演出されていますから、そりゃ劇的に面白く見える。
では実際の歌舞伎でこの映画以上に面白いと感動するのか果たして、と思ったり。
俗物的な見方ですみませんが、考えてしまいました。
あと喜久雄も俊介も挫折して外でドサ回りをしますが、結果そういう経験をしないと芸を極められないのか?と疑問に。
それは歌舞伎の世界を否定しているようにも私は取れましたが、見当違いでしょうか。
3時間の長さを最後まで飽きることなく観れたので、面白いのは間違いないです。
でも見終わった後の感動は私にはさほど訪れませんでした。
主役よりそれ以外の人たちの方が面白く興味深い動きをしていると感じたのもマイナスかな。
偉そうな意見ですが、出来の良い洋画にはとてもかなっていないなと思います。
高評価すぎることがよくわからない‥
ドキュメント映画
言葉もない
スゴイものを観たというか凄まじいものを観たというか。。大して歌舞伎の知識なくて逆に良かった。詳しくないからただただ圧倒されている間に3時間終わってた。3時間の中に無駄な画も無駄なセリフもなかった。とにかくずっと美しかった。
才能はあるのに血筋が無いことがコンプレックスになる喜久雄と恵まれた血筋なのに芸の才能は喜久雄に勝てない俊介。しかも俊介に才能が無いわけでも努力してないわけでもないからこそつくづく残酷な世界だよな。名跡継いでも役が貰えないことがあるなんて知らなかった。家柄も才能もない平凡な人間で良かったとつくづく思った。
個人的に最も残酷だと思ったのは墓場での寺島しのぶのセリフ。それを寺島しのぶに言わせるのか、いやでも寺島しのぶじゃなきゃ言えないわ、と。
そもそも喜久雄と俊介並に吉沢亮と横浜流星が俳優という芸事にストイックだし、田中泯という唯一無二の存在や、寺島しのぶに三浦貴大、渡辺謙など役柄と現実との間にリンクが感じられるのも深い。邪推もあるけども。
すぐ影響受けるマンだから観終わったら歌舞伎を観に行きたくなるんだろうと思ってたけどいざ観終わったらしばらくは観たくない。というか、マトモな気持ちで観れる気がしない。看板背負って立つ役者のことを何にも知らずに観ることはできないや。
頼むから
とても良かったんだけど
既に高評価の映画で私も心を掴まれ、涙を堪える事がやっとだったので、素直に褒めたいんですが、あの時間内に収める事が前提ならば、脚本、台本はあれ以上を求める事は酷というか、無理ゲーだと思います。
元々の原作がおそらくもっと膨大な情報量だった事は容易に想像がつくほど、映画の脚本はどこを削るか、という作業が大変だったと思います。所々でストーリーの連続性に飛躍があり違和感をいくつか感じました。特に3代目花井半ニ郎が闇堕ちしていく部分は時系列に沿って組み立てた方が自然だし、その後、小野川万菊の計らい?があったからなのか、よくわからんけど再び復帰して半弥と共演することになったとか、すみません、時間を考えると最大限配慮している事がよーくわかるのですが、私は二部作にしてもよかったかな?と思いました。歌舞伎のシーンをふんだんに味わって欲しい、という作り手側の意図はとても伝わったのですが、ストーリーを楽しみたい気持ちがあったので意見を言わしていただきました。
かなり贅沢な悩みなので、映画の出来は素晴らしいので堪能出来ると思います。
凄い映画。でも・・危ない。
良し悪しではなく、ただ凄い映画です。
役者の方々、関わる人の思いはわかりましたが、個人的には危ない映画だと思いました。
30代前後の人が見るなら気をつけてみるべきだし、価値観をおかしくしてしまうことにもなりかねない極端な映画でした。
若者は、この生き方から刺激を受けてこのような生き方や思想に没入してしまうかもしれません。
ただ、人の人生は負けることのほうが多いし、人生は長く様々な喜怒哀楽で生きていく。
追求した究極系の作品ですが、もっと普通の生き方を多くの人はするわけで、負けに慣れていくことが人生になってくる。
慣れることは悪いことではなく、そのワビサビが人生であり、だからこそ生きていけるわけで、ここまですべてを捨てた生き方は、私は好きにはなれないなと思うし、見た人が感化されて同調圧力的におかしな方向になっている印象を受けたし、怖いなと思います。
すごい映画ですが、感想とレビューは冷静になるべきものだなと思いました。
すごいものを観た
凄まじいものを見せられた I witnessed something incredible.
予告編だけ見て観に行こうと思い観た。
芸の世界の華やかさと裏腹の業の深さ
その魅力に引き込まれっぱなしだった。
吉沢亮さん演じる喜久雄の状況で
芸を生涯の仕事とすることはどういうことか
光の部分と闇の部分が巧みに描かれていて
3代目桂米朝が桂米團治師匠から聞かされた
「芸人になる以上、末路哀れは覚悟の前」
を思い出す場面もあった。
劇中で使用された演目が
物語の起点、始まりと終わり、継承を
意味するように配置されているのにも
唸ってしまった。
演者が舞台から見る風景の画角も絶妙で、
そのリアルさに鳥肌がたった。
道成寺、曽根崎心中は
多少なりとも別の形で関わりがあったので
背景を知らないわけではなかった。
でもそんな事関係なく、
2回出てきた劇中の曽根崎心中では
違う意味で涙が止まらなかった。
1回目は横浜流星さん演じる俊ぼんの心持ちで、
ライバルに対する感動と嫉妬、挫折がないまぜになって
2回目は、俊ぼんと喜久雄の
二人の気持ちが痛いほど伝わってきて
涙が止まらなかった。
特に2回目の曽根崎心中の実際の台詞と
二人の状況が重なりすぎて、
気持ちが揺さぶられっぱなしだった。
虚構とリアルが重なった稀有な瞬間を映像化している
数少ない名シーンだと思う。
個人的には
歌舞伎の台詞にリアルタイムで心を揺さぶられたのは
初めてかも知れない。
終劇後、流れた主題歌、
どんな女性歌手が歌っているのだろうと注視していたら
King Gnuの井口理さん!?
歌舞伎の女形を意識したのか?
と最後の最後まで、気持ち揺さぶられ
唸されっぱなしぱなしだった。
素晴らしい映画、物語でした。
原作も読んでみよう。
I decided to watch the film after just seeing the trailer.
The dazzling world of traditional performance art is deeply entwined with profound human struggles. I was captivated by its allure from beginning to end.
Through Yoshizawa Ryo’s portrayal of Kikuo, the film masterfully illustrates both the light and shadow of dedicating one’s life to the arts.
There were moments that reminded me of what the third-generation Katsura Beicho once heard from Katsura Yonedanji:
“If you’re going to be a performer, you must be prepared for a sorrowful end.”
The play used within the film were placed in such a way as to signify the story’s beginning, end, and legacy — a structure that left me deeply impressed.
The visual perspective of the stage from the performer’s point of view was strikingly realistic — it gave me goosebumps.
I already had some familiarity with Dōjōji and Sonezaki Shinjū from past encounters, so I wasn’t entirely unaware of their background.
But honestly, that didn’t matter — even without that context, I couldn’t stop crying during the two Sonezaki Shinjū scenes in the film.
The first time, I was overwhelmed by the inner turmoil of Shunbon, played by Yokohama Ryusei —
his awe and envy toward a rival, and the sting of defeat all blending together.
The second time, I was completely moved by both Shunbō and Kikuo —
their feelings came through with such painful clarity that I couldn’t stop crying.
Especially during that second Sonezaki Shinjū scene, the overlap between the actual lines from the play and the two characters’ circumstances was so intense,
it shook me to the core.
It was one of those rare moments where fiction and reality merged — and the film captured it with stunning precision.
I think this was the first time I’ve ever been so emotionally stirred by kabuki dialogue in real time.
And after the story ended, the theme song started playing —
I was curious which female singer it was… and it turned out to be Satoru Iguchi from King Gnu!?
Was he channeling the essence of a kabuki onnagata (female-role actor)?
Right up to the very end, I was emotionally shaken and deeply impressed.
It was a truly magnificent film and story.
I definitely want to read the original novel now.
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