劇場公開日 2025年6月6日

国宝のレビュー・感想・評価

全1374件中、201~220件目を表示

4.5探していた雪景色

2025年7月21日
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鑑賞方法:映画館

歌舞伎界を舞台にした本作『国宝』は、単なる芸道ドラマではなく、血統と実力、伝統と個、愛と孤独、死と芸術の交錯する構造的悲劇でした。鑑賞中から、私は『さらば、わが愛/覇王別姫』との共通性を強く感じていました。どちらの作品も、「演目の中の死」と「現実の死」とが交差し、登場人物の実存が演技に呑み込まれていくという、メタ演劇的構造を持っています。

本作で演じられる『曽根崎心中』の演目は、その典型です。前半で吉沢亮演じる主人公が「お初」を演じ、横浜流星はその様子を舞台袖から見つめています。しかし、血統を継ぐはずの自分ではなく、実力で役を奪い取られたこと、そしてその演技の純度の高さに、自らが舞台を降りるという決断に至ります。この「役を譲る」行為は、単なる物語上のエピソードではなく、実人生の敗北と芸の前での降伏を象徴していました。

その後、彼は吉沢亮の恋人に手を引かれるようにして駆け落ちし、8年間行方をくらませます。演目内でも、女がお初として男を死へ引っ張る構図が描かれていましたが、それが現実の人物関係でも繰り返されているのです。この「女が手を引く」構図は本作において繰り返し現れ、それはもはや女性の象徴ではなく、「運命」「芸能」「死」のメタファーだと感じました。

やがて、先代(渡辺謙)が死に、横浜流星は帰還します。彼は糖尿病に侵されており、足を切断し、もう一方の足もやがて失われる運命にありながらも、舞台に立ちます。そして、演目『曽根崎心中』の中で「お初」を演じ、吉沢亮が「徳兵衛」を演じる。役は入れ替わり、まるで魂が交差し、芸が人物そのものになっていくような錯覚を覚えました。

そして物語の終盤、横浜流星は舞台の上で死んでいきます。彼の死は、まさに「役の死」であると同時に、「人としての死」であり、「芸の完成」でありました。吉沢亮はその彼に手を引かれて、つまり芸の死者に手を引かれるかのように、終幕へと向かっていきます。

この映画は、「血統主義の否定」というテーマを持ちながら、同時に「実力主義の残酷さと孤独」も描き出しています。才能ある者が、その才能ゆえに、すべてを捨て、倫理も家族も感情も捨て去り、ただ芸の頂点を目指していく。その果てに待つのは、必ずしも“幸福”ではない。人であることをやめて、芸そのものになるしかないという孤絶の境地です。

最終盤、吉沢亮が演じるのは『鷺娘』です。鷺娘とは、白鷺の精が人間の男に恋をし、報われぬまま狂い、雪の中で死んでいく舞踊演目です。この舞いは、彼の人生の総決算として選ばれたのでしょう。鷺娘は、一つの踊りの中で「清楚な乙女」「狂気に満ちた情念」「死者としての精霊」を演じ分けなければならず、それはまさに彼が生涯で演じてきた全存在の統合だったのです。

しかも、『国宝』という映画では、最初に父親が銃殺される場面でも雪が舞っており、その雪が映画全体を通して繰り返し現れます。父の死を見届けた少年時代の記憶、駆け落ち、別離、引き裂かれた娘との再会、そしてラストの鷺娘へと至るまで、雪は常に死と記憶と芸とをつなぐ結晶として現れていました。

終盤、リポーターに「なぜこの仕事をしているのか」と問われた吉沢亮は、こう答えます——「見たい景色がある」と。それは、舞台上で舞う自分の姿でもあり、父の死に際のきらめきでもあり、失った家族や愛の残像でもあり、芸の果てに見える“真実の雪景色”だったのかもしれません。そして、その景色は、ただ芸の最奥でしか見ることができない場所に存在していた。

技法的にも本作は見事でした。ディープスペースの使い方、舞台の奥行き、照明による雪のきらめきの際立たせ方、特にラストの鷺娘のシーンの紙吹雪とライティングは、まさに映像詩としての完成度を見せていました。

この映画は、表面的には「国宝になるまでの物語」ですが、深層では「芸が人をどう殺し、どう救うのか」「芸は血統を超えられるのか」「演目とは何か」「死とは何か」といった根源的な問いが織り込まれていました。
そしてラストシーン、芸の極致でようやく“見たかった景色”にたどり着いた吉沢亮の老いた背中は、まるで一つの命が雪の中に還っていくような静けさを湛えていました。

『国宝』は、単なる芸道ドラマではありません。これは“演じる”ということそのものが、人間を変え、焼き尽くし、最後に美へと昇華していく過程を描いた映画でした。日本映画において稀に見る、構造と象徴と感情が統合された傑作です。

鑑賞方法: TOHOシネマズ 池袋 SCREEN7

評価: 90点

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neonrg

3.0期待ほどじゃない

2025年7月21日
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鑑賞方法:映画館

ぶっちゃけ、万人受けしないこのジャンルの題材で、ここまで評価高いのは違和感を感じる。
吉沢亮の熱演は、素晴らしいものがあるし、役者として一皮向けた感を感じた。
が、余りに展開が早く、描ききれていない所など、映画として不整合も感じるし、ラストもウ~ンという内容。
悪い映画ではないが、絶賛するレベルでもなかったのが、率直な感想。

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エピファ

4.0

2025年7月12日
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鑑賞方法:映画館

興奮

吉沢亮
凄い俳優さんだなぁ
横浜流星も色々出てるなかコチラにも出ていて凄い

歌舞伎役者を好きになる女は苦労しますね

歌舞伎観たくなる

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アプソ

5.0国宝級の役者さんたちが素晴らしい

2025年7月1日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

吉沢亮さん、横浜流星さんの美しさは言うまでもなく、お二人の演技力だけでなく出演されている全ての役者さんたちが素晴らしかったです。

映画では近距離から見られる息遣いが感じられ、歌舞伎を超える感動がありました。

映画館で観るべき作品です!

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YOTSUBA

3.0ファンタジーとして見れば、かなぁ

2025年6月18日
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鑑賞方法:映画館

就職して最初の仕事が歌舞伎でした。
今は亡き人間国宝の方々とも接することが出来たことは、とても良い経験でした。という自分の歌舞伎との関わりをいちおう前置きとして、見た感想です。

舞台や演劇を物語にした映画やドラマあるあるなんですが、稽古初日から舞台を使っていたり(海外ではあったりもするけど)、稽古初日から衣裳を着ていたり、最近では、舞台美術家が本番で小道具を忘れた俳優にキャットウォークをつたって上から舞台に落とすって表現もあったりしますが、実際の舞台、演劇としては「ありえない」と思うわけです。
(そういう意味では、医療でも警察でも弁護士でも、みんな「実際はありえない」のでしょうけれど。)

そんなことを踏まえたうえで、歌舞伎はたいてい、昼夜興行。
二人娘道成寺を演じたのが、昼公演か夜公演は分からないけれど、1時間上演したとしても、他にも演目はあるでしょう。幕間があって、次の演目があるでしょうし。
この映像時(物語時)が初日としたら、次の日も公演があるわけで。
20日間興行としたら、あと19日あるわけで。そこでやり切った感だされてもなぁと思ってしまったわけです。
この激しい舞踊をあと19回、同じテンションで続けるのか。う〜ん。
舞台美術家が小道具持っていく映画は、タイムリープものだったから、ファンタジーと思えたけれど、いろいろと細かく描いている分、ない、ない、ないと思う点が多々あり、それが気になってしまいました。

実際の歌舞伎の顔寄せに初めて参加したとき、「當る平成⚪︎年⚪︎月興行〜〜千穐万歳大入叶〜お手を拝借、よぉ〜(うろ覚え)」みたいな様子で、心の中で、うわっ、映画の中のヤ⚫︎ザの襲名みたいだなと思ったので、反社の部分はファンタジーには思えなかったです。
背中に背負っていてもおかしくないかも(ないでしょうが)。

大絶賛している方が多いけれど、そこまでは……って感じでした。
何が自分にはハマらなかったかは上手くいい表せないですけど、今年イチとまではいかなったなぁ。(147本見て)

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su-zu

5.0映画館で観て欲しい

2025年6月17日
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鑑賞方法:映画館

バケモノ級
これは全て演者の力
鳥肌が立つ作品

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mary

4.5曽根崎心中のストーリーは調べてから行ってください

2025年6月13日
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鑑賞方法:映画館

興奮

驚く

最初に、-0.5点は、ストーリーの粗さゆえです。
少年が人間国宝になるまでの長い時間を3時間で、舞台の演技もしっかり見せながらなので、物語をはしょらねばならないのは仕方ないのはわかるのですが、喜久雄が歌舞伎の世界にもどった後、彰子がどうなったかは知りたかった。
春江がなぜ俊介に心を移したのか、もう少しきっちり描いてほしかった。
幸子の母としての思い、育ての母としての思いを揺れる心も、寺島さんの演技におんぶするんじゃなく、もう少し時間をとって描いてほしかった。

前編・後編に分けることはできなかったんでしょうか?
もったいない。

でも、それ以外は、ただただ圧倒されていました。
私は歌舞伎の所作はわかりませんが、ただ、喜久雄のお初は素晴らしいと思いました。

愛する徳兵衛がいなければ、遊女の暮らしは地獄でしかない。
だから、徳兵衛が死ぬのなら私も死ぬ。

近松の曽根崎心中を読んだとき、「なぜお初は、徳兵衛みたいなクズ男が好きなのだろう」と不思議に思いましたが、この映画を見てわかりました。
苦界に生きるお初にとっては、徳兵衛だけが救い。
心中は、むしろ遊女が強引に引っ張ってのことが多かったのかもしれません。
そういう機微が、喜久雄の演技ですべて伝わってきた。

でも、映画の終盤で俊介のお初を見て、まったく違うお初がいることに驚きました。
俊介のお初には、観音様を思わせる「赦し」「大悲」がにじみ出ていたからです。
観音の「悲」は、ただの哀しみではありません。すべての衆生を救わんとするからこその「悲」。
ただ、自分のためにお初を演じたかった喜久雄から、観音様の慈愛がにじみでているのが不思議。
でも、究極に自分を思うからこそ、すべての人への慈愛が生まれるのかなと、妙な説得力がありました。

喜久雄の「人間お初」と、俊介の「観音お初」と。
私の中では、俊介のお初のほうが、少しだけ上でした。

それにしても、吉沢さんも横浜さんも、本当にすごい。
本当にすごい。

映画館で鑑賞してよかったです。

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さくや

4.5描ききれないでしょう

2025年6月13日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

ポスターに感涙の文字があるが泣けた人いるのかな?3時間激しくて凄すぎて涙なんか出なかった。
歌舞伎はめちゃ見てる方です。5月の菊五郎襲名公演で菊之助と玉三郎の三人娘道成寺見たばかりですが、吉沢亮も流星もなんて上手いんだ!! 「親がいないのは首が無いのと同じ」中村獅童もそうなって映画のオーディション受けて有名になってから歌舞伎界にやっと役付きで出演出来るようになったんだよね。
香川照之が歌舞伎界に息子連れて入ったきていずれ猿之助襲名かと私は思ってた右近は主役じゃなくなって、、、愛之助はいずれ仁左衛門襲名するだろうし
血と才能 歌舞伎界だけでは無いけどドロドロがワクワクする
。一緒に観た歌舞伎良く行く友人が「渡辺謙は襲名口上で手が揃って無かったわ ありえんわ」と言うので糖尿病末期だから神経障害出てたからだよと私の私見でおしゃべりしたけど 調べたら事故の後遺症で右手が動かなくなってたと言うことでした。そういうセリフは無かったような〜3時間でも描ききれないよなーと思いました
出石の永楽館行ったことが無いので中が見られて嬉しかった
もう一回見に行きます

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ぽんこ

5.0「国宝」こそは生きる力を伝える国民へのメッセージ

2025年6月12日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

驚く

劇場で観たほうが良いという意見がネット上でかなり多かったので、ちょっとそれに乗せられて映画館へ……。
……結果、「確かにこれは劇場で観たほうがいい」「ここの皆さんが、映画館で観ることを強くおすすめしているのも、間違いではなかった」と、心から思った。だから皆さんにも感謝!

僕は歌舞伎についても詳しくなく、原作も未読。まっさらな状態でこの作品を観た。
しかし、ただ「舞台が美しい」とか「踊りが素晴らしい」とか、そういうレベルの映画ではないと認識した。

この映画が描いていたのは、「情念」でした……。

単に舞台を撮っているわけではなく、登場人物たちの内側から溢れ出る「情念」が、なぜかスクリーン越しにこちらへ迫ってくる。
その圧に、僕ら観客も息を呑んでしまう。
静かな場面では、映画館の劇場全体が凍りついたかのように静まり返ってしまった。
客席の一人ひとりがその張り詰めた空気に呑まれているのがわかる。

それだけ、俳優たちの魂が確かに映画の中に込められている。
吉沢亮氏と横浜流星氏……すごい役者に育っていると思う。彼らの血の滲むような努力が、映画の中で役として熟成され、完全に息づいており、舞台上での緊張感もそのまま、僕たち観客に伝えてくるといった凄味を伴った映画なのである。

気づけば、約3時間という上映時間があっという間に過ぎていた。
そしてエンドロールが終わったあと、自分の魂がどこかへ連れていかれたような、そんなぼんやりとした感覚だけが残っていた……。
僕は力を振り絞って、ゆらりと立ち上がり、劇場の外へ少しよろめきつつも歩いて行った……。
すごい映画を観たあとは、必ずこうなってしまう……。

ネタバレを避けつつ感想を語るのは難しいのだけど、前半は二人の主人公による、嫉妬と友情が入り混じった心のシーソーゲーム。
中盤からは、「舞台に生きるとはどういうことか?」という問いかけが、じわじわと浮かび上がってくる。

役者という生き方は、ときにその者の人生そのものを壊してしまう。
まるで悪魔と契約したかのように、その世界に取り憑かれ、他のすべてが見えなくなっていく。

人生、いい時もあれば……悪い時もあるさ。
言葉にすれば簡単だけど、本人が目の前にした時の辛さ、じっと耐え抜く生き方。
実際に目の前にすると耐え難い現実となる。
映画はその見せ方が上手い。切り取り方がうまい。人生における緊張感が、ぶつ切りで連続してくる。だから瞬きすら忘れるほどだ。

あるものを失って底辺に落ちれば、人から見下され、罵られ、そんな状況に耐えきれなくなった女からはあっさり見放され……惨めな状態。
自分もまさにそんな状態にあるから、すごく感情移入してしまった……。

特に印象に残ったのは、物語の初めに殴り合った相手が、親友になるわけでもなく、ただ見捨てず手を差し伸べる場面。
そこに乱暴だけど偽りのない人間らしさがあって、思わず涙が……。

さらに、ある因縁の再会の場面にも泣かされた。
カメラを向けるとある女性から投げかけられた言葉が、胸に深く刺さってくる。
そのときの主人公は、人生の荒波を越え、もはや神々しさすら纏ったような存在になっていて――そこでも人生を感じて涙がこぼれてしまった。

……他にも心を打たれる場面はいくつもあったのですが、ネタバレになるので控えておきます。

「人には夢がある」「やりたいことがある」と、そう簡単に言うけれど、実際はそんなに甘いものじゃない。
ときには人生を壊すほどの覚悟を持って、それでもなお進まなければならない。
誰かに「たとえ憎しみを持っても、舞台に立ってしまうもの」と言われて、舞台に立ち続けた先に見える景色は、言葉では言い表せない何かであり、それは極めた者だけに見える世界なのだと、深く感じさせられた。

この作品は、人生に迷っている人や、何かに傷ついて希望を見失っている人にこそ観てほしい映画。
観た人の心に、きっと何かを響かせてくれる。

そんな、神々しさすら感じる映画でした。

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おさ

4.0さらばわが愛、を彷彿とさせる

2025年6月12日
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これは最近の邦画の中では飛びぬけた出来ではないでしょうか。
血縁のない方が人間国宝のお稚児さんになって歌舞伎界で生き抜いていく話かと一瞬思いましたが、そんな話ではなかったです。
主演の2人は言うまでもなく熱演、田中泯さんもすごく良かった。
渡辺謙、寺島しのぶご両名は、、、全然悪くはないんだけど、どこにも出ていて、ちょっと食傷気味かな。
長かったのだけど、描かれてない、省かれているところが多くて(特に女性関係)、原作はどうなっているのか気になった。

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塩

5.0血筋と才能

2025年6月12日
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冒頭シーンからいきなり引き込まれて、美しい映像と相まってグイグイ魅了されて、見終わって感動と脱力。あー面白かった。これはかなりの傑作じゃない⁉︎。
吉沢亮と横浜流星の美形同士(狸顔と狐顔)のコラボも良いし、2人の迫真に迫った演技も感動もの。支える女達にも強い覚悟が。それにしても、血脈がなければのし上がれない世界、いい加減にもっと大きく門戸を開いたらいいのに。何にしても独占は良くないと思う。血脈は無くとも、芸があるやないか‥努力に努力を重ねたであろう吉沢亮の最後のシーンの鷺姫は憑依してたね。

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ダリア

5.0圧倒的映像美と残酷なまでの芸の道

2025年6月12日
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見終わって3日経ちますがまだ心が震えている。
とにかく映像が美しい、吉沢亮と横浜流星も美しい。そしてあまりにも残酷でもある。芸のために行き芸の前に夢破れる。劇場の大スクリーンで見るのにふさわしい日本が世界へ誇れる作品。吉沢亮の代表作になるだろうがほかの出演者も素晴らしい。 もう一度見に行きたい作品

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なつ

4.5芸のためには悪魔に魂を売る

2025年6月11日
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鑑賞方法:映画館

ヤクザの息子の喜久雄は父を殺された後、歌舞伎役者の花井半二郎の弟子のなって東一郎を名乗り、半二郎の跡取り息子の俊介(花井半弥)と切磋琢磨しながら女形として頂点を目指す物語。

約3時間の長尺が気にならないくらい引き込まれて観ることができた大きな要因の一つは素晴らしい映像美があるだろう。

また、吉沢亮や横浜流星などの演技も、踊りや所作が素人目にはすっかり様になっているように映る。

プロットに関しては、あれだけ長編の原作小説をどう映像化するのかを楽しみに行ったのだが、思った以上に大胆に刈り込んでいて、徳次は最初の場面のみ、弁天や辻村はないことになっていたのには若干驚いた。

ただ、それは基本的に喜久雄と俊介に焦点を当てて視点がブレないようにするための工夫であり、その試みは成功していると言えるだろう。

そもそも原作を全部を入れようと思ったら、少なくとも本作の3倍くらいは必要になりそうだし、丁寧に舞台の場面を描いていけば「大河ドラマ」にすらなり得るだろう。

歌舞伎への見識があればもっと楽しめるのかも知れないが、歌舞伎弱者の自分でも十分に楽しめた。

昔、「読んでから観るか、観てから読むか」なんていう角川映画のコピーがあったが、どっちもありな気がするが、自分は事前に読んだ知識で欠けている部分を脳内で補填しながら観ることができていた。

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Tofu

4.0女性美の表現

2025年6月11日
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鑑賞方法:映画館

15歳の菊ちゃんの色気に登場から目が釘付けになった。
寺島しのぶなど複雑な心境を静かな表情、動作で表現できるところにさすがと感じた。主演二人?ともに世間の荒波を乗り超えて舞台に舞い戻った二人…。そこまでの丁寧な描写と変わって怒涛の後半戦。まったく予想できない展開にヒヤヒヤとした。しかし心に残る美しい感動のある素晴らしい映画だった。男性が魅せる女性の仕草の美しさが、女性が演じるよりも濃集されているように思えて、大事にしたい文化だと思った。日本の伝統芸の素晴らしさを伝えるべく海外の人にも見てもらいたいなと、個人的に思っていました。最後の音楽も映画にマッチしていてとても良かった。

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ししまる

3.5大作

2025年6月10日
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久しぶりに大作を観た気分になりました
(内容から原作もあり予想されたような展開で、意外性は一切なかったので気分と言いました)

ということで明らかなのは、日本の伝統芸能の歌舞伎について、それにまつわるあれこれが描かれ興味深さはありました
ただ細部を観るとあり得ないような、雑な点も目立つ(御曹司の失踪から、旅役者に紛れ込んで等)小説だと想像で納得をねじ伏せられても、この時代ありえない話ですね

人間ドラマとしては梨園のドロドロとした関係は割とよくえがかれてはいましたが、身内びいきの独特の社会に対する考察はかなり弱いですね〜

女性が公序良俗を乱すとして、男を女形として舞台で女性を演じさせたいびつな形はいづれ見直しも必要かもしれません

伝統と美の狭間に、対社会として存在するなら変革すべきは、変革した方がすっきりしませんか?それで残したほうがよいと時代が判断すれば、それも尊重すればいいですね

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ソルト

5.0力強くまっすぐで華やかなエンタメ

2025年6月10日
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鑑賞方法:映画館

興奮

よかった。
映画館でみてよかった。

力強く、まっすぐで、華やかで、変な媚びも目立たない。
音も画も話も、感じるだけで十分、頭使いすぎない快楽。一生モノの映画や絵や景色は、考えない、頭の真ん中から吹き出るマグマみたいなもの。

歌舞伎の演技が云々という評価は違和感。
将来大谷選手の映画作ったとして、俳優の打球や投球がーっとか云々言うのかな。エンタメなのに。

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たか

5.0映画館で全身で浴びるべき映画

2025年6月9日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

斬新

軽い気持ちで観に行ったら、3時間泣きっぱなしだった。言葉にせずとも、一瞬の表情から、行動から、仕草から、それぞれの感情が溢れ出ていて、心を揺さぶられ続けた。

特に舞台上での姿が圧巻。息をするのも忘れる勢いで見入ってしまう。迫力、映像美、音楽、役者というよりも魂そのものを目にしているような衝撃を全身で感じた。とにかく映し出される全てに心が共鳴してしまって、勝手に涙が溢れる。
TVやスマホなどでは味わいきれない、細部に宿るとても丁寧な芸術による感動。映画館で見られることの喜びというか、とても贅沢な体験に思えた。

没入感がすごく体感としてはあっという間なのに、数日は引きずる。心に喜久ちゃんと俊ぼんが住みつく。

感情移入しやすい方は特に
・メイク落ちる
・泣きすぎて頭痛くなる
・国宝のことしか考えられなくなる
の状態になっても問題ないって日に見に行くことをおすすめします。

とにかく映画館で見てほしい!!!

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Barbird

2.5ストーリーがイマイチ

2025年6月9日
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鑑賞方法:映画館

吉沢亮と横浜流星、メイン2人の演技がとても素晴らしくて圧巻だったのですが、何も把握しきれないまま場面や状況が変わったり、登場人物の思考が全く理解できないまま話が進んだりするので、見てる側を置いてけぼりにするタイプの映画だと感じました。
3時間あればもっと綺麗にまとまったのでは?と思うし、オチもよく分からず、ひたすら鬱々とした雰囲気が続くようなそんな映画でした。

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おい工藤

5.0制限があるが故の美に、なぜこんなにも人は惹かれるのか。

2025年6月9日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

難しい

予告編を観て、あまりにもエモーショナルで、本編を早く観たいと思いました。
歌舞伎は一度も鑑賞したことがありませんが、直感が面白い!と告げていました。
期待にたがわず、3時間、夢の中にいるような美しい世界でした。

まず、少年時代の喜久雄を演じた黒川くんが素晴らしい。
そして、寺島しのぶさん!
圧巻の存在感です。
俊介に対する母としての想いも、すごく共感しました。
きっと、ご本人も含め周囲の方々の胸に、一度はよぎったのではないでしょうか。
「しのぶさんが男だったなら、きっと稀代の女形になっていたはず」と。
天皇家の問題しかり、いつのタイミングでこれらの縛りが外れるのかなと思います。

青年期の喜久雄の短気さ、後先考えなさは、人格形成期まで極道の家で過ごしていたから。
父の代役を務めた喜久雄の演技を見て、劇場から逃げ出す俊介と好対照です。
俊介の遺伝子の半分は母親からで、必ず父親の才能を受け継ぐわけではありません。
歌舞伎の家に生まれ、幼少期から鍛錬することで、芸事は引き継がれていきます。
しかし、芸術の世界では、努力は才能を上回ることができないのかもしれません。
俊介が、父親から受け継いだであろう糖尿病で、舞台を降りるのは、皮肉です。

喜久雄の舞台を観ている時に、何度か涙が出ました。
ストーリーや吉沢亮さんの演技に感動したわけではなく、ただ、喜久雄の姿に、心が震えました。
舞台の上で生きて死ぬことを繰り返せば、いずれ妖怪のようになっていくよなと納得です。
もっと晩年の喜久雄も観てみたかったです。

題名に惹かれ、「罪名、一万年愛す」を読んで、作家・吉田修一さんにはまっています。
今読んでいる「パーク・ライフ」の後に、「国宝」を読みます。
そしてもうひとり、「正体」で横浜流星さんの演技に沼りました。
「べらぼう」の蔦谷重三郎もいいけど、「国宝」の俊介の方がささりました。
追いつめられる彼が好きなんて、我ながらサドだと思いますが、今後も応援していきます♪

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のりたまちび

4.5芸事を極めるとは

2025年6月8日
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李相日監督の乾坤一擲感、堂々たる作品でとてもおもしろかったです。
私は歌舞伎自体を観たことがない。けれどニュースで梨園の方たちの近況を頼んでもないのに報道したりしている近くて遠い芸能。なにか格式高くなって手が届かないのに国宝までにもなれる、よくわからない存在。それを映画という大衆芸能に落とし込み、その世界を垣間見せてくれた技量に感謝
小道具、ファッション、クルマもキチンと年代に合わせているし、カメラのフォーカスも心情にあわせて寄って撮ったりしている。俳優陣も心血注いでいるな、という覚悟を感じられる。吉沢亮、横浜流星、ともに次世代を担うスターが李監督の洗礼を受けて、また新たなステージにあがったと感じました。
惜しむらくは3時間あっても、まだ描写できないところはあったんだろうな、という気がします。ここらは原作小説で補うのかな
とにかく真っ当な邦画でしたのでぜひ

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うっか
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