国宝のレビュー・感想・評価
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75点
映画評価:75点
【才能と血筋】
古ければ、古いほど血筋が優遇され、
令和の時代とは相反している。
勿論、才能なんかがなくても
努力すれば、それなりのものは完成する。
だけど、成り上がってくるやつらは
才能と努力と運を持っている。
じゃあ、それに対抗するには
血筋やら、家柄やら、環境や権力を使って圧力をかけるしか勝ち目なんかない。
今回のストーリーは、
歌舞伎を舞台にした
純粋な若者二人によるものでしたが。
それでも、
才能に嫉妬したり、
血筋に嫉妬したりしている。
文化やら、伝統を重んじる世界だからこその
ジレンマなのかもしれないですね。
でも、それは今回どうでもいい!
そんな事よりも大切な事は主役の二人が一生懸命、そして真摯に練習したんだと感じられた事。
そこに心震わせたし、感動した。
ストーリーも渋くて良かったけど、
主役二人の真剣さに勝るもの無し!
興味なかったですが、
歌舞伎を見に行きたくなりました。
そう思わせた時点で、
この作品は素晴らしかったということです。
人間国宝とは、
その努力と才能を人生かけてきた
運が味方した人なんですね。
本当に凄いです。
尊敬しました。
主役の二人を尊敬しました。
ただ、ストーリーとしては、
3時間あっても足りてないと感じるくらい
どこかにありそうな設定で、そこまで凄くはなかったです。ですのでストーリーへの過度な期待はやめましょう。
両雄の勇姿を見る作品だと思って頂ければ、
ガッカリしないと思います!
ps.前情報を見ずに映画館に行ったものですから、
これは……ノンフィクション?と錯覚しかけました。
【2025.6.11観賞】
PG12(閲覧注意)映画です
高評価レビューが多く、注意喚起も見当たらなかったので、観に行ってきました。
歌舞伎の映画ということで油断していたのもあります。
でも、
PG12は、暴力的な表現や性的な内容が含まれている場合があり、小学生には不適切とされるものに付けられます。
実際、冒頭から父親が銃殺される場面あり、その後も、殴る蹴るや厳しい指導、中盤以降は病気による吐血、足の切断等、凄惨な場面が散りばめられています。
私は、血を見るだけで気分が悪くなる体質のため、途中から気分が悪くなってしまいました。
美しい歌舞伎の舞台と、凄惨な場面とのミルフィーユを3時間、何とか耐えましたが、行くかどうか迷っている方で、血や暴力に弱い人はやめておいた方がよいです。
以上、注意喚起でした。
あっと言う間の約3時間
人の執念を描いた映画だと思う。
それでいいの それでもやるの
(人間)国宝
文化財保護法第71条第2項に基づき
文部科学大臣が指定した
宝物や建築物などでない技能などの
「重要無形文化財」の保持者として
認定された人物を指す
人間国宝という言葉は俗称で
法定上は単に「国宝」である
国宝に認定されると助成金が
年額200万円ほど支給される
吉田修一原作李相日監督コンビは
ヒット作「悪人」「怒り」に続き3作目
人知れぬ歌舞伎の世界を
舞台にした人間模様を描いた今作
いんや凄かった
なにせ歌舞伎役者を演じるのは
吉沢亮 横浜流星ら
いつもの俳優というところである
当然梨園の方の指導によって
作られていくのだろうが
実際に檜舞台での演目シーンの
緊張感が半端ないのである
そして撮影
ソフィアン・エル・ファニの
外国人特有のアングル
一体これは何を観ているんだ
という感覚にさせられるのである
歌舞伎が題材なのだから
梨園の歌舞伎役者がやってしまえば
きっとこんな感覚にはならない
それでいて訴えるものが
すさまじい
「鷺娘」「二人道成寺」「曽根崎心中」
有名な演目を「てんどん」する
ことにより得られるそれぞれの思い
の演出など歌舞伎のしている
本質を追求しようとする
素晴らしい完成度でした
親を殺された任侠の息子喜久雄の
女形の才能を見抜き引き取った
花井半二郎が息子俊介と芸を磨かせる
うちにたった7年で生まれた時から
しごいてきた俊介を
半二郎の芸の観点で抜いてしまう
そして突然訪れた半二郎の
曽根崎心中の代役に選ばれたのは
「磨き上げた"芸"で身体が勝手に動く」
喜久雄
「花井の役者の"血"が守ってくれる」
はずの俊介も心のどこかで喜久雄を
認めていたが
演じ切った喜久雄に衝撃と絶望
喜久雄の邪魔にならぬよう
身を引いた幼馴染春江と
失踪してしまう
こうしてこの映画は常に
舞台の上で与えられた
役者の演技の衝撃によってのみ
話が進んでいく演出が効く
やがて半二郎は糖尿病を患い
その名を喜久雄に譲ろうとする
周囲は当然異論を唱えるが
これは俊介の失踪もあるし
芸の側からの英断であった
そして白虎を襲名するが
襲名挨拶の場で壮絶に果てる
週刊誌はスキャンダルに走り
やはり暴かれる自身の任侠の過去
隠し子などで転落していく
そこへドサ周りをしながら
俊介が戻ってきて
若いころの喜久雄に
「その美しい顔に負けない役者に」
と告げていた国宝・小野川万菊の元で
歌舞伎をやり直すことに
立場は逆転してしまう
やはり最後は「血」か?
というと俊介は遺伝か父と同じ
糖尿病に侵され足を切断せざるを
得ない事態に陥ってしまう
ではやはり「芸」か?
というと才のある芸で人は魅せられ
花井家の父から子供に継がれる
道を壊してしまった悪魔の力である
喜久雄も俊介もその苦しみを味わい
迷うところで万菊は
「あなた 歌舞伎が嫌いでしょう」
「でもいいの それでもやるの」
「それが役者なの」
という言葉は響く
役者の演じにはその役者の
人生や過去が乗り移るらないと
出てこないという事か
芸か血か
どれかだけじゃなく
どれも染みるほど苦しみを
味わってきた者こそ
日本一の最高の役者になっていき
国宝級になっているもの
なのかもしれない
不倫や不祥事などのイメージ失墜
だけでバタバタ消えていく
昨今の芸能人
果たして人前に現れていいのは
潔白な聖人だけなのでしょうか
そりゃ限度もあるが
禊はあってもいいと思う
それは芸の肥やしだから
でなければ誰も出なくなる
30年前上岡龍太郎は
芸人なんてものは
売れれば万歳
売れなければあとは哀れ
野となれ山となれ
そもそもまともな商売や
ないんです
最近のテレビ
女性も子供も安心て観られる
テレビなんて目指したら
芸人の居場所はありまへん
と言ってましたが
本当に今そうなってませんかね
もっと「棚」のある世の中で
いいんじゃないかと思う作品でした
見事に演じきり
この作品の真髄に本当に迫った
役者・吉沢亮や横浜流星らの
今後も期待ですな
才能の見返りは……
衝撃的な入り口から始まってちょっと面食らいました。
ヤクザや入れ墨やらがでてくるのが苦手なので、ちょっと個人的には苦しかったです。
…しかし周りの人たち、自分が窮地に陥ったら(嫌なことがあったら)すべて喜久雄のせいなんかい!
喜久雄は周りに流されてただけなんじゃないのかい!才能があっただけなのに!
理不尽だわ。
才能があったらそれ以外は手にしちゃいけない法則でもあるんかい。
俊ちゃんだけ得してずるい!って思いました。
印象に残ったのは、曽根崎心中を喜久雄がやる場面。
「俊ちゃんの血が欲しい」と緊張で震えながら気持ちを吐露するところ、すごかった。
その後、曽根崎心中の演目中に、俊介が劇場をあとにする所。
一緒に苦しくなってしまいました。
喜久雄と俊介の曽根崎心中の場面も凄かった。
迫真の演技ってこういうことなんだなと納得。
ストーリーのメインである歌舞伎の演目については、とっても有名どころで素人の私でも知ってるものでした。
知らなくてもなんとなくわかる感じで、これを機に歌舞伎を見たいと思う初心者もでてくるかもしれないですね。
あとは…やっぱり原作読んでいくんだったなと反省しました。
内容知ってたらもっとストーリーにぐっと感情移入できたかも。
お隣の席の方泣いてましたけど、私はそこまででもなかったです。
3時間があっという間
とんでもない名作でした
恥ずかしながら歌舞伎を見たことはありません。
そういう意味では、ヤクザの息子であったキクオと同じ立場での鑑賞でした。
カチコミによって親を失い、細い縁を頼って辿り着いた歌舞伎の家。
そこには同い年の御曹司シュウくんがおりました。
2人は切磋琢磨して女形の技術を磨いていきますが、渡辺謙演じる父親は、大勢の予想を裏切って、実の息子ではなくヤクザの息子に襲名させます。
そこから起きる波乱万丈。
要所要所で挟まれる歌舞伎の演目はどれも息を飲む美しさ。
特に目を惹かれたのは鷺娘です。
純白の衣装を翻しながら舞う様は正に鷺そのもの。
しかし国宝の眼力たるや凄まじく、けして美しいだけではない、恐ろしい迫力をも持ち合わせています。
キクオはその迫力に魂を奪われ、「何を失ってもいいから歌舞伎が上手くなりたい」と悪魔に願います。
そして願いは叶う。
お望み通り、すべてを失いながら。
糖尿病で瀕死の体を引きずりながら曽根崎心中を演じきったシュウちゃんと、その脚に縋りつくキクオの対比は涙無しでは見られませんでした。
凄まじく、素晴らしい映画でした。
これを映画館で見れたことに心から喜びを覚えます。
映画予告で、よくある音楽コンサートやバレエなどのリアルパフォーマン...
映画予告で、よくある音楽コンサートやバレエなどのリアルパフォーマンスを収録して映画にする、その歌舞伎版だと勘違いし、観に行くつもりはなかったのですが、そうではなかったようで観に行きました。(横浜 流星氏推しもあり)
歌舞伎世襲社会に対するアンチテーゼなのか、いやいや私のような歌舞伎を知らない人間に向けた異世界への誘いなのか、はたして・・・・。
前半は抗争で死亡した任侠組長の息子・立花喜久雄(吉沢 亮)と、歌舞伎名門の子・大垣俊介(横浜 流星)の二人の青春成長物語。互いに励ましあい、競いながら、やがて二人で晴れの舞台にて舞う姿にすがすがしさを感じます。また、演出も演題名が表示されて素人には親切ですし、スペクタクル系洋画のような壮大な音楽と歌舞伎のお囃子音が互いに邪魔をせず、引くところは引き、出るとこは出てと、全体を通じて大変良い音楽構成でした。(エンドロール時の音楽も良し)
中盤からは「世襲」を軸に物語は転じていきます。実子・俊介を推す母・幸子(寺島 しのぶ)と、芸で喜久雄を推す父・半二郎(渡辺 謙)との確執・葛藤は周りを巻き込みつつ、仲良くやってきた二人の関係を微妙にしていきます。芸能で歌舞伎だけでしょうか、こういった世界。他所を遮断し、実子を小さい頃から稽古積ませば、そりゃあ二番のいない「一番の芸人」になります。でもこの話で喜久雄は、任侠社会とはいえ組織の頭に成り上がれる才覚を持つ人間の「非凡な血」を持っているわけで、その非凡な血が歌舞伎世界に入り込み、その才を開花させれば、簡単に世襲社会は混乱します。(ですからこのように一本の小説が書けてしまうわけですが。。。)
そして終盤、小野川万菊(田中 泯)の芸や芸人に対する目利きが(とはいえこの方の舞踊は迫力がありスゴイ)二人の悩める若者を正しき姿へと導きます。そして同時にこの少子化社会やパワハラ、セクハラ、様々なエンタメの発展など、現代社会が歌舞伎に襲いかかる懸念からをも救う道を示した。そう感じます。「国宝」というタイトルは主人公・喜久雄ではなく、小野川 万菊に当てたものと想像します。
吉沢 亮さん、横浜 流星さんにおいては、当作品に向けて大変な努力で正に「芸を積まれた」のではと思います。リスペクトの思いで劇中ずっと観させていただきました。素晴らしかったです。
歌舞伎をよく知っている方なら言わずとも必見の一本でしょうか。そして歳取っても歌舞伎を観に行く機会は無いだろうなと思っている私にも楽しめた時間でした。
魂の演技
壮大な物語ですね
流星さん好きになりました❤️
今まで横浜流星さん出演作品、人気先行型で演技がついてきてないって思い大河を含め敬遠してましたが…
今作の流星。
流星演じるチャラチャラした歌舞伎界のボンボン俊介(私が思う流星そのまま)が、演技の為に悪魔に魂を売った喜久雄扮する吉沢亮に敗北。
のち、俊介もまた命を擦り減らして演技に打ち込んでいくさま
吉沢亮、横浜流星ともひと皮もふた皮も剥けた素晴らしい演技でした
あと…すずちゃんも頑張って欲しいな
すごいものを見た!!!
ごめんなさい。
踊りが素晴らしかった!
以前本を読んでいたので、内容は何となく覚えていました。
でも映画を観たら本当に吉沢亮さんの踊りが素晴らしくて、映画の中の観客と一緒に拍手をしたくなりました。
出演されている他の俳優さん達もそれぞれ迫力があって3時間あっという間でした。
ただずっと体に力が入っていたらしく、鑑賞後は少し疲れました。
とても面白かったです。
吉沢亮の役作りの勝利!
吉沢亮がとにかくいい!とにかく色っぽい😅前半の「曾根崎心中」の舞で感動して…思わず号泣😭近くに座っていた太ったオバサンにガン見されました😅
僕は原作を読んでから、鑑賞したのですが、原作を読まなくても、充分楽しめます。歌舞伎が観たくなる。歌舞伎の素晴らしさが伝わる映画です。
歌舞伎は世襲世界。そこではあり得ない部屋子の出世物語…しかし…世に出るためにはいろいろな人が犠牲になる。芸は、家族や、友情、愛情も、超越すべきものなのか?しかし、誰もが彼に見惚れてしまう。例え彼に恨みを抱いていても。芸は人に夢を与える。しかし…芸は役者の命を削る。
芸に魂を奪われた役者に私達は夢中になる。ある意味、エンターテイメントの世界の怖さと奥深さを感じました。
原作は上下巻約800ページの超大作。これを見事な映像化に成功した監督と脚本家に拍手😆是非、ご覧ください!
強烈なスポットライトと影
吉沢亮さんが今ほどたくさんの作品にお出になるようになる前、なかなか吉沢さんの顔が覚えられなかった。SNSでフォロワーさんの投稿などで写真や映像をちょこちょこ見かけていたんだけど、なぜか「あれ、こんな顔だったっけ?」と毎回思っていました。たぶん多少の歪みとかちょっとした違和感こそが顔の個性として捉えられ、引っかかって記憶に残るのでしょうかね、あまりにも顔の造形が整っているせいか、逆に記憶に残りにくかったのだと思います。
その後は拝見する機会が一気に増えたのでさすがに顔を覚え、すぐ分かるようになりましたが、見るたび「いや〜綺麗な顔だな、まさに美形だな…」とまず造形のほうに意識がいってしまい、正直、あまり演技については注目できていませんでした。(本当に申し訳ないです。)
お芝居がすごくお上手だということに気づいたのは数年前、たまたま或るアニメ映画を観たときでした。主要キャラの声を演じてらしたんですが、正直みている間ぜんぜん吉沢さんだと気づかず、普通にプロの声優さんがやっていると思って聞いていて、エンドロールでひっくり返りそうになりました。声だけの演技だからこそ巧さに気づけました。
それからキングダムなどの実写作品を拝見したときちゃんと演技に注目するようになり、「あ〜あまりに演技が自然だからこそ上手い下手も思わずに観ていたんだな〜」と。
昨年観たコーダの映画では、もはや演技とも思えないくらいの自然さに達していて、ドキュメンタリーを観ているような気分に。手話にまで感情がこもっているように見えて、感服しました。顔立ちの美しさも忘れて演技に見入りました。
(余談ですが、同じく李監督&吉田修一原作の『悪人』で妻夫木さん、『怒り』で広瀬すずさんの素晴らしさに気づいたことを思い出しました。失礼ながらお二人ともやはりお顔立ちの美しさが強烈すぎて、演技について注目できていなかった…)
そんな経緯がありましたので、この映画で喜久雄が「本当に綺麗な顔だね。でもそれは役者には邪魔だ、自分の顔に食われてしまうから」(うろ覚え)というようなことを言われたシーンで、ものすごーく申し訳なくなりました。ほんと顔ばっか見ててごめんなさい…と。吉沢さん自身すごく共感できるセリフなんじゃないかなと想像してしまいました。本当に芝居が好きな役者さんなら、顔が整っていることはむしろ悩みの種にもなりそうですね。
乱れた衣装と崩れた化粧で、屋上で泣き笑いながら踊るシーンの演技、神がかっていました。いや、悪魔と言ったほうがいいか。何が乗り移ったような、何かに取り憑かれたような、あ〜この人はもう歌舞伎に狂ってるんだなと感じ、他の何もかも捨ててでも芸に全てを捧げる役者の純粋に狂った魂に、心を揺さぶられました。
横浜流星さんも凄かったです。横浜さんは同じく李監督の『流浪の月』でDV男役をやられていて、めちゃくちゃリアルで怖く、演技がお上手なのは知っておりました。が、横浜さんといえば真面目でシリアスな役のイメージが強く、今回のようなチャラい役を演じるのを初めて拝見したので、はじめ夜遊びしまくるシーンは少しびっくりしましたが、さすがお上手、だんだん『ちょっと軽薄なところはあるけど芸には真面目、愛嬌がある気のいいお坊ちゃん』を見事に体現されていました。
そして、映像がとてもとても綺麗でした。雪のシーンなどもさることながら、やはり歌舞伎のシーンがとてつもなく美しかった。
舞台を照らす強烈なスポットライトによって落ちる濃い影が、非常に印象的に映されていて、圧倒されるような迫力がありました。
ラストシーンは呼吸も忘れて見入りました。
歌舞伎については私はド素人なので何も言えることはないのですが、いつか生の舞台を観に行きたいと強く思いました。地方住みなのでなかなか難しいですが…
歌舞伎に造詣が深いと思われる方のレビューで、歌舞伎シーンが微妙というようなものも見ましたが、私のような無知な人間に「生で観てみたい」と思わせる力はありましたし、それが歌舞伎の観客を増やして歌舞伎界を盛り上げるきっかけにもなるでしょうから、このような映画が作られたのは悪いことではないのではないでしょうか、などと思ったり。
それでは、積読していた原作小説をさっそく読みたいと思います。
人間の一生を描くには短すぎる時間。
歌舞伎を見る映画ではなく歌舞伎役者の人生を見る映画。歌舞伎を全く知らなくても楽しめた。
類い稀なるセンスに努力を重ね、血筋が全ての世襲制で守られてきた歌舞伎界に食らいつく喜久雄と、恵まれた血筋を活かして幼い頃から稽古を重ねてきた俊介。お互いにないものねだりのように嫉妬し合い、歌舞伎に翻弄されながらも歌舞伎に生きる。2つのジェットコースターのような人生が交互にうなりながら駆け巡っていく重厚な3時間。
実際に歌舞伎を演じるシーンがやはり特に圧巻。画角が横長なことによって引きの絵なのに没入感があるという不思議な感覚。人生で一度だけ歌舞伎座で見たことがあったが、その時とはまた違って舞台を客席の上に浮かんで俯瞰して見ているかのような贅沢な体験だった。
ストーリーからは俊介の芸能人生どころか人生そのものの栄枯盛衰を血筋によって支配されてしまうという残酷さに痺れ、喜久雄からはどんなに順風満帆な人生だと思われている人でも血と汗の滲む努力があり、地獄の底を這いずり回るような絶望を味わったり、理不尽な現実に嫉妬を燃やしたり、人生とは絶対に一筋縄では行かないものだと改めて感じさせられた。
映画としては長いのかもしれないが、人間の一生を描くには短すぎる時間。一瞬の儚さがギュッと詰め込まれている作品なので、フラッと見に行くというよりも、しっかりと集中力を確保して見に行ったほうがより楽しめるかも。
全1420件中、1021~1040件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
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