国宝のレビュー・感想・評価
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劇中劇に泣かされた。大変な稽古と撮影をよくぞ乗り越えてくれた。
劇中劇の演目、曽根崎心中に泣いた。配役が入れ替わって2回見たのに、それでも胸に迫ってくる。
歌舞伎にこんなに感動する自分がいたとは。本物の歌舞伎役者ではない吉沢亮と横浜流星が、ここまで真に迫って憑依したことにただ驚きしかない。
役者の魂のパワーをスクリーンを通じて感じたのは久しぶり。
渡辺謙、寺島しのぶ、田中泯そして最初の若い頃を演じたお2人、本当にありがとう。
宮澤エマ、凛とした品がでていていい俳優さんだな。
好みの問題だけど、女性カメラマンのシーンは要らなかったなぁ。すぐそうだってわかっちゃったから。
一流食材で作られた三流料理
梨園の女性はしたたか
公開から一月半ほど経過しましたが、いまだに満席状態が続く超人気作品。
高齢の女性グループが目に付くのは珍しいですね。
ワタシ的には吉田修一さんの作品(原作)は苦手で映画は敬遠しがちなのですが、余りの人気ぶりにその理由を探るべく鑑賞しました。
結果、映像が美しかったですね!最前列で観たからこその白塗りの毛羽立ちや首の皺、そして目頭から湧いてきて今にも零れ落ちそうな涙など、圧巻でした。
主人公たちの中学生時代を演じた二人も良かったですね、大人になってからの吉沢亮&横浜流星はもちろん美形で、その姿を観るだけでも十分な価値を感じました。
ただ、描かれる世界はやはり吉田修一ワールドでドロリとしたもの、そして男どもは大概どこかクズなのに、女性たちはしたたか(途中で姿を消した森七菜さん以外)、特に高畑充希さんの常に微笑を浮かべる姿や、家にしがみ付きながら、きちんと成果を残す寺島しのぶさんの生きざまはあっぱれでした。
さて、歌舞伎絡みでひとつ。歌舞伎役者とは本作のように「家」や「血」が重要とのイメージは多くの方が抱いていると思いますが、歌舞伎にとって欠くことのできない存在である「清元」や「竹本」、知り合いの方の親戚がこの竹本であり、しかも人間国宝!
ただ、竹本に関しては代々その血筋ということではないらしく、この人間国宝の方も若い頃に【ビビビッ!】と来て入門、芸を極めたとのことですから、同じ舞台に立つものではありながらこちらは実力次第の世界なのだなぁと、この作品を観て、教わった話を再度思い出した次第でした。
上映時間は長いですが、ダレることなく一気に観られた佳作でした。
哀しさを感じる
最高クラスの映画
邦画久しぶりの力作
朝鮮系の人が監督。それに製作、配給は東宝。歌舞伎座を興行している松竹は協力的立場。
日本伝統文化をちょっと斜めの立場から制作したのが結果大成功で、もし松竹が作っていたら歌舞伎をヨイショする退屈なプロモーション映画になっていたかもしれない。
歌舞伎は一度だけ観に行ったが、正直その良さは理解出来なかった。でも昔から続く日本の伝統娯楽芸術。映画ならその魅力を分かりやすく伝えてくれると言う期待もあったが、観たあと歌舞伎を観に行きたくなったので、その期待には十分応えてくれた。
ヤクザと芸能界の繋がりも描いて、現実から逃げていないのも良い。
ただ2人の女形歌舞伎役者の対立と友情はちょっと浅い。舞台シーンを削ってでも深く描く方が良かったと思う。
しかしこう言う力作が日本でも生まれ、それが大ヒットしている事は素晴らしい。
邦画実写は安上がりのホラーか、コミック原作の女子高生ラブストーリーばかり目立いますからね。
モノを食ってる場合じゃない
歌舞伎役者。芸の道。男が演じる女の美。
板の上の世界に取り憑かれた人物の人生を描いた3時間の重厚な物語です。
高みに登る。名声を得る。泥水を啜り地べたを這いつくばる。この世に唾を吐きかけられる。
憧憬も畏怖も絆も嫉妬も全てがメチャクチャに混ぜ合わされて、狂気の道を彩っている。
苦しくて仕方がなくとも、進んだ先に穏やかな幸福が欠片も見当たらずとも、這いつくばってでも前に進もうとしてしまう。
こんな感じの内容なので鑑賞後に希望や爽快感を得るような内容ではないのですよね。余韻を長く残す映画を観て、その後の数日間は浸っていたい人にお勧めです。
星0.5ぶん減らしたのはやや消化不良気味の部分や説明不足に思える箇所があったため。無駄なシーンなど一つもなく、これだけの内容を3時間に納めただけでも素晴らしいので、これ以上の理解を深めたいならば原作小説を買って読んだ方が良さそうですが。
この映画の鑑賞後に、喜久雄に贈る言葉があるとするならばどんな言葉があるのか様々な人々に聞いてみたいですね。賞賛するのか、励ますのか、罵るのか、口を噤むのか。
あとポップコーンを買って、食べ切れた人がいるかどうかも聞きたい。
重すぎるハッピーエンド
何も持たない、才能だけ持った人が、辿り着きたかった場所に辿り着いた物語なのかな。
と、思った。
辿り着きたかった、
手に入れたかった、
主人公はそこに辿り着いたけど、
手に入らなかったもの達がありすぎて苦しい。
中盤、
何処を見てここまで来たんだろう。
と、涙を流す姿が苦しい。
親代わりに思った師匠も、親では無く、
親友も、隣にはいてくれず、
結婚したかった子も、親友のものになり、
実子との距離も取り、
何もかもより選び取った景色が明るく綺麗で、
苦しみだらけの中、
たったひとつ最初から持ってた自分自身が見せた景色で、
そこにあるなんもかんもを飲み込んだように見えて、
苦しかった。
重たかった。
泣いちゃった。
よいものをみました。
最近の邦画で一番面白かった。
素晴らしかった!
ここ数年、下手したら数十年の映画の頂点が決定してしまった。
他の人のレビューを読みふけりました。
読むにつれ「確かにそうかも」「そのほうが良かったかも」「あのシーンは要らなかったかも」とも思いましたが、そういうのはあくまで「他の人が感じたこと」
自分が、緊張で胃が痛くなり、自分の腕を鷲掴みながら観て泣きすぎて頭が痛くなった事がすべて!
エンドロールが流れる間ずっと泣き続け、劇場を後にしてからも涙が止まらなかった映画ははじめてでした。
自分の感じたままで良い!
是非劇場で観てもらいたい作品!
数日経ってもフラッシュバックのように思い出します。
喜久雄の美しさもそうなのですが、俊介の優しさ。
「人の家に上がり込みすべて奪っていくなんて泥棒やないか!」それが本心でしょう。
でも、「芸があるやないか」と化粧を手伝ってあげる。
雨の中春江を訪ねても何もせずに帰る。
血があるから泰平なわけではない。
俊介ももがき苦しみながら芸の道にまい進する。
そんな俊介も亡くなり、時を経てひとりぼっち(国宝)になって立つ舞台の景色、それが美しかった。
鷺娘を舞う姿を観て「あぁ、私は花井半次郎を愛している」という感情が湧きました。
探していた雪景色
歌舞伎界を舞台にした本作『国宝』は、単なる芸道ドラマではなく、血統と実力、伝統と個、愛と孤独、死と芸術の交錯する構造的悲劇でした。鑑賞中から、私は『さらば、わが愛/覇王別姫』との共通性を強く感じていました。どちらの作品も、「演目の中の死」と「現実の死」とが交差し、登場人物の実存が演技に呑み込まれていくという、メタ演劇的構造を持っています。
本作で演じられる『曽根崎心中』の演目は、その典型です。前半で吉沢亮演じる主人公が「お初」を演じ、横浜流星はその様子を舞台袖から見つめています。しかし、血統を継ぐはずの自分ではなく、実力で役を奪い取られたこと、そしてその演技の純度の高さに、自らが舞台を降りるという決断に至ります。この「役を譲る」行為は、単なる物語上のエピソードではなく、実人生の敗北と芸の前での降伏を象徴していました。
その後、彼は吉沢亮の恋人に手を引かれるようにして駆け落ちし、8年間行方をくらませます。演目内でも、女がお初として男を死へ引っ張る構図が描かれていましたが、それが現実の人物関係でも繰り返されているのです。この「女が手を引く」構図は本作において繰り返し現れ、それはもはや女性の象徴ではなく、「運命」「芸能」「死」のメタファーだと感じました。
やがて、先代(渡辺謙)が死に、横浜流星は帰還します。彼は糖尿病に侵されており、足を切断し、もう一方の足もやがて失われる運命にありながらも、舞台に立ちます。そして、演目『曽根崎心中』の中で「お初」を演じ、吉沢亮が「徳兵衛」を演じる。役は入れ替わり、まるで魂が交差し、芸が人物そのものになっていくような錯覚を覚えました。
そして物語の終盤、横浜流星は舞台の上で死んでいきます。彼の死は、まさに「役の死」であると同時に、「人としての死」であり、「芸の完成」でありました。吉沢亮はその彼に手を引かれて、つまり芸の死者に手を引かれるかのように、終幕へと向かっていきます。
この映画は、「血統主義の否定」というテーマを持ちながら、同時に「実力主義の残酷さと孤独」も描き出しています。才能ある者が、その才能ゆえに、すべてを捨て、倫理も家族も感情も捨て去り、ただ芸の頂点を目指していく。その果てに待つのは、必ずしも“幸福”ではない。人であることをやめて、芸そのものになるしかないという孤絶の境地です。
最終盤、吉沢亮が演じるのは『鷺娘』です。鷺娘とは、白鷺の精が人間の男に恋をし、報われぬまま狂い、雪の中で死んでいく舞踊演目です。この舞いは、彼の人生の総決算として選ばれたのでしょう。鷺娘は、一つの踊りの中で「清楚な乙女」「狂気に満ちた情念」「死者としての精霊」を演じ分けなければならず、それはまさに彼が生涯で演じてきた全存在の統合だったのです。
しかも、『国宝』という映画では、最初に父親が銃殺される場面でも雪が舞っており、その雪が映画全体を通して繰り返し現れます。父の死を見届けた少年時代の記憶、駆け落ち、別離、引き裂かれた娘との再会、そしてラストの鷺娘へと至るまで、雪は常に死と記憶と芸とをつなぐ結晶として現れていました。
終盤、リポーターに「なぜこの仕事をしているのか」と問われた吉沢亮は、こう答えます——「見たい景色がある」と。それは、舞台上で舞う自分の姿でもあり、父の死に際のきらめきでもあり、失った家族や愛の残像でもあり、芸の果てに見える“真実の雪景色”だったのかもしれません。そして、その景色は、ただ芸の最奥でしか見ることができない場所に存在していた。
技法的にも本作は見事でした。ディープスペースの使い方、舞台の奥行き、照明による雪のきらめきの際立たせ方、特にラストの鷺娘のシーンの紙吹雪とライティングは、まさに映像詩としての完成度を見せていました。
この映画は、表面的には「国宝になるまでの物語」ですが、深層では「芸が人をどう殺し、どう救うのか」「芸は血統を超えられるのか」「演目とは何か」「死とは何か」といった根源的な問いが織り込まれていました。
そしてラストシーン、芸の極致でようやく“見たかった景色”にたどり着いた吉沢亮の老いた背中は、まるで一つの命が雪の中に還っていくような静けさを湛えていました。
『国宝』は、単なる芸道ドラマではありません。これは“演じる”ということそのものが、人間を変え、焼き尽くし、最後に美へと昇華していく過程を描いた映画でした。日本映画において稀に見る、構造と象徴と感情が統合された傑作です。
鑑賞方法: TOHOシネマズ 池袋 SCREEN7
評価: 90点
初回と二回目の鑑賞で感情が全然違った!
本日二回目鑑賞してきました。
初回は予告を見て魅力され、とにかく観たい一心で映画館行きました。歌舞伎のシーンの圧巻の美しさ、内容にもに感動しましたが、感情が追いつかない状態でした。
でも観た後はもう一度観たいという気持ちがずっと頭から離れず…
そして二回目の今日は感情が追いついたのか、初回では理解出来ずにいた内容を感じる事が出来たのか、とにかくずっと涙が出て来ました。
この映画の本当の素晴らしさを二回目にしてやっと理解出来たと思います。
脇を固める役者さん皆さん素晴らしかったのは言うまでもないのですが、
やはり吉沢亮さんの内面から湧き出る美しさや悲しさに心打たれました。
喜久雄役は吉沢さんにしか出来ない役だと思いました。
映画館で観る価値が有る映画だと思います!
歌舞伎に魅入られし人生
歌舞伎役者の血に魅入られて背かれ…それでも国宝にまで登り詰めた男の人生の物語。
3時間ずっと引き込まれていたので、長いとは全く感じなかったです。
途中の歌舞伎の場面はとても綺麗で、普段歌舞伎に馴染みはありませんが、興味深くかつ純粋に綺麗だと思いながら観ていました。
歌舞伎という日本の伝統文化を舞台にした映画でここまでの完成度をみせてくれたのは素晴らしく感嘆した、といわざるを得ません。
演技力の高さはもちろん、映像美も圧倒的…観賞後、映画館が明るくなったのに一瞬席を立つのを忘れた作品は初めてです。
文庫本もあるとのことで早速読もうと思います。原作を読んでからまたもう一度劇場に足を運びたいです。
彼のキラキラと光る瞳が忘れられない
コップ一杯の血
面白かったです。
原作未読。
3時間という長さでしたが本当にあっという間でした。テンポよく、情報がいい感じに整理されているから見やすいのだと思います。
恐らく書籍の持つ深さやいるだろう他のキャラクターやエピソードを見せるなら前後編でするものかもしれませんが、それは映画よりテレビドラマ向きではないか、と思いました。
映像による舞台の見せ方は、まさに映画館でみるべき作品で、圧巻でした。没入感が素晴らしい。
喜久雄と同じ景色を私達も喜久雄の表情、舞台、観客を喜久雄側から見ることによって見せてもらえる、素晴らしい体験でした。
小さな感想:
上記意見の後でなんですが、喜久雄と俊坊が和解する様をもう少し欲しかった。喜久雄ドサ周り後ですね。その前が丁寧だったのに突然駆け足だったように感じた。(といって、そこやってたら時間かかりすぎだしなあ、と)
渡辺謙さんが女形は、ちょい無理ありそうだから、見せなかったの正解かもなあ、とか思ったり。でも、あの襲名式の演技凄かった。
あと原作未読ですから女性たちがその後どうなったのかは、気になったなあ……特にあのドサ周りにつきあった箱入りお嬢さん。よくやったよ。偉かった。自然な素敵な演技だったと思いました。
全2354件中、941~960件目を表示
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