国宝のレビュー・感想・評価
全1327件中、661~680件目を表示
ミミズクの意味
喜久雄が「他に何も要らないから日本一の歌舞伎役者になりたい。」と悪魔と取り引きした事を娘にまで言ってしまったのは、歌舞伎の世界での確固たる地位と居場所が欲しかったからなのではないだろうか。それ位、歌舞伎界のしきたりが厳しい事を亡くなった師匠である半二郎からも聞かされていたから。
何一つ約束されたものは無かったけれど、生まれ持った才能と実の父の見事な死に様、そして半二郎への恩、切磋琢磨して互いに成長して来た俊介への思い、自ら望んだかの様に背負い、全ての苦難を乗り越えた喜久雄が手にしたものは、皮肉にも自らを犠牲にしても喜久雄を支え続けてくれると言う、無償の愛を貫いた女達を演じた様な「女方」によるものだった。
人間国宝となった際にカメラマンになった娘からの質問に「忘れた事はないよ・・・」と自分の名前を言ってくれた。日本一の役者になった父にそう言われ、綾乃にはまるでお正月でも来たかの様な嬉しい瞬間だったのでは。
最後にアナウンサーの順風満帆と言う言葉にも感謝の気持ちを表せる位、心は満ち足りたものだったけれど、父が最後に残した雪が静かに降るあの美しい景色は未だ見れてない事を言った様に思えた。
波瀾万丈
それにしてもこんなにも波瀾万丈の人生があるんだろうか。
任侠一家の息子に生まれ警察沙汰になった後に歌舞伎界に弟子入りし、一度離れて地方営業した後に復帰し名跡を継いで人間国宝とは。
話が出来すぎではという思いも浮かんでしまうが唯一共感しうる点が喜久雄が常に芸に対して真摯であったこと。
もし劇中に喜久雄が浮かれて遊びに耽ったり芸を疎かにする描写があったとしたらもっと低評価をつけていたかもしれない。
正直なところ歌舞伎には知識もなく昔一度鑑賞したことがあるくらいでその時も特に興味を持てなかった。
たぶんこの作品は歌舞伎の世界に造詣が深く知識が豊富な人のほうが楽しめるのかなと思う。
そんなわけで吉沢亮の歌舞伎の演技が国宝に値するような演技なのかは判断できないが吉沢、横浜両氏の熱量のある演技については良かったとは言える。
ただ世間的な高評価ほどではなかったかなと感じている。
本物の歌舞伎は観た事ないが…
吉沢亮、横浜流星の演技はお見事!
世界的舞踏家の田中泯の役柄配置がよりリアルに感じた
歌舞伎を知らない私でも3時間しっかりと最後まで観れたが、中盤は中だるみを感じたのでもう少しコンパクトにできたのがも
家のビデオでは絶対に一気見できないと思うので映画館で観てよかった
ずっとハラハラした
映画の力を感じた。
今年NO1の超大作 吉沢亮、横浜流星の代表作になる作品
映画館全体が吉沢亮君と横浜流星君の演技に飲まれてたと思う.....漫画の主人公も血統がよよければみたいに歌舞伎の世界も世襲制
血が血こそ全てと言ってたけどそこだけではない友が居て競えるライバルが居てこそ成り立つ事もある友情それぞれの想いそして優しさがある
吉沢亮君は屋上のシーン悪魔にとりつかれたのかと思う程の壊れ具合
横浜流星君は最後のは演技の悪魔と言うか役者として最後の最後まで居たいという欲望を感じた
濡れ場が過激でそりゃあPG12なるなぁと思えた(●´ω`●)
幸せな映画体験
吉沢亮は「国宝」黒川想矢は「怪物」?
原作は既読。吉田修一作品はどれも好き。
しかし今作は上下巻で長すぎるし、あんまりかな?と思った。
結論から言うと原作よりも映画の方が良かった。
歌舞伎役者の一代記を3時間にまとめるのは、端折った部分もあるので、原作未読の方はわかりにくかったのだろうか?それでも核となる部分はしっかり描かれていた。
評価したいのは、少年時代を丁寧に描いてくれた所。黒川想矢は、怪物?後の吉沢亮になるべく才能を遺憾無く発揮している。あの年代でああいう芝居ができるのは、感性がよっぽど鋭いのだろうな。
しかし何と言っても吉沢亮。大絶賛されているので、天邪鬼な私は何とか粗を探そうとしたが、なかった。歌舞伎は数回しか観たことのない素人には完璧な女形に見えた。芸にまっすぐで粗野な喜久雄と才能溢れる女形を見事に演じ分けていた。
人間が作る物に完璧なんてない。しかし4.5の評価は低いように感じた。
本作がなぜ年末公開でないのだろう?これからまだまだ映画は公開されるのに、こんな超大作を観てしまった後では、全て霞んでしまうのではないか?
吉沢亮の代表作となるのは間違いない本作。
早くもアカデミー賞主演男優賞は決まってしまった感はある。
儚く、醜く、美しい
デコピン✕2回は無かった
ストーリーは、ほぼ想定内ではあった
しかし劇中劇である歌舞伎の「二人藤娘」、「二人道成寺」「曽根崎心中」は各2回、「鷺娘」等の演目を演じる二人の血の滲むような努力の跡と、歌舞伎の古くからの伝統に呑み込まれていく名家の跡取り息子(横浜流星)と、部屋子(吉沢亮)の運命の変遷に、3時間がちっとも長く感じなかった
歌舞伎を演じる方に言わせると、二人の演技はまだまだ本物には遠く及ばないようですが、ここを切っ掛けに歌舞伎の世界に興味をもってくだされば…とのことでした
【ちょっとネタバレ】
艶やかで艶のある女形の喜久雄の演技姿に惚れて、楽屋までやってきた男が、楽屋での素の喜久雄を見てキレるシーン。喜久雄が穏やかでゆったりとした女形の舞姿をかなぐり捨てて、一気に沸騰した怒りをぶちまけるのですが、「東京リベンジャーズ」等で演じた吉沢亮の本領発揮とも言えるドスの効いた素早い立ち回りとのギャップが好対照で、これはこれで良かった(笑)
②一番好きなシーンは、このレビュータイトルでもある本番前の二人のデコピン。撮影順番は異なるかもしれませんが、互いに緊張MAXでガチガチになってるところを、励まし合うシーン
二人の関係がよくある互いを蹴落とすライバルではなく、共に乗り越えていこうとする関係性を築いていて、それが本作を貫く柱になっている
【蛇足】
高畑充希の役回りと、森七菜ちゃんのキャラクターの扱いは酷かったなぁ…
よく撮れたな
キャスト、ロケーション、撮影技術、歌舞伎指導。よくこんな作品が撮れたなと。日本映画史に名を残す作品じゃないでしょうか。見て感じてください。
古今、主なキャストに歌舞伎役者がいなくて、ここまで歌舞伎界を、演技も含めてリアルに(知らないけどリアルだと思わされる)描いた作品は、あったんでしょうか。歌舞伎界の人たちがどう見るか。それが一番気になります。知りたい。
田中泯の女形が見られるというのが、本作の最大の見所と感じました。初登場シーンの笑わない目の恐ろしさといったら。
芸という、データで計れないものを受け継ぐ苦しさ、恐ろしさ、業の深さ。本作のテーマかと勝手に思いました。いろいろあるけど、書くと陳腐になってしまうので書きません。ヤクザと芸道、得体のしれない闇の部分まで似た匂いを、終演後に感じました。
ゾーンに至った役者を楽しむ
話の構成はがっつりベタな展開で、最後まで飽きさせずに見せてくれるが、やはり駆け足は否めず、細部の心理描写や芸のすごさを見せる部分が足りないので、山場の鷺娘にイマイチ感情がのめりこめない。
ただ、吉沢亮が無我の境地で踊る様は圧巻だ。ああ、今彼はゾーンに入っているな、踊りだけでなく、それにかける役の気持ちも最高に達しているな、とちょっと客観的になって見ていられるのは新鮮な感じだった。
吉沢亮には見得が似合う。「キングダム」1本目でも、クライマックスの戦闘で味方を鼓舞する檄を飛ばすシーンは実にかっこよかった。あの作品の主役は彼だった。
顔もつくづく美形だと思う。白塗りにしてみると顔の造形だけが際立ってきて、横浜流星は頬骨がやや出っ張り気味で、けっこう差がついていた。
昔、玉三郎の「夜叉が池」という映画を見て、その美しさに圧倒され、姿かたちが理想の女がいて、実は男だったら惚れられるか? と半分本気で悩んだことを思い出した。
長いようであっという間
上映時間が3時間もあるということで観るのを躊躇ってましたが、とても評判が良いので観てみました。
結果、観て良かったです。
美しい映画でした。
私には歌舞伎は分かりませんが、ずっと魅せられていた気がします。
最後の方のインタビューシーン、インタビュアーから役者人生を「順風満帆」と評されて、「皆様のおかげで」と返したのが印象に残っていて。
ドロドロした世界で、決して順風満帆ではないのに、そのすべてを飲み込んで芸で魅せる姿が、役者の業を見せられているように感じました。
吉沢亮さんは福田組の印象が強くて、イケメン俳優の一人というイメージしかありませんでしたが…この作品を観て認識を改めました。
ちょっと格が違ったなと。
あっという間の3時間でした。
劇場で観て良かった。
心眼
世界に誇る日本の伝統文化
生と死の美しさとは
レビューが二分していてオモロそうだったので観てみた
友情物語としてそこそこ面白かったかな
喜久雄少年を演じてた黒川さんの表情よかった
父親の死に際をかぶりつきで見ようとしてる様から、喜久雄は死と美しさに魅了されてるのかと思ったけど、そこまで狂気的な人物ではなさそうでした
ただ、最後まで舞台の美しさを体感する表現が散らつく雪のような煌めきだったので、あの日の事は喜久雄の脳裏に刻まれているのだと思う。
「雨宿りや」ってセリフが現実としての雨宿りと、精神的に助けを求めているような心情が混ざり合ってるようで良かった。
「血ぃガブガブ飲みたいわ」って言ってたシーンが良かったなあ
直前の喧嘩で悔しさと妬みを滲ませた半弥が、東一郎の苦悩と恐怖にキチンと向き合った瞬間だと思う。
しかし、長い
襲名披露くらいまででよかったかなと、個人的には感じちゃう
三代目半二郎の凋落も、半弥の復活劇からの病魔との闘いもドラマチックではあるけど過激かなと感じちゃった。
後半の曽根崎心中は映画としては盛り上がり部分だろうけど、いち舞台として観た時に成立しているかはよく分からない……半分役から降りてるような芝居を見せられても不安になりそう
カメラマンの件もドラマチックねえと思う。
彼女の苦悩と悲しみは「他にはなんにも要らん」と悪魔はんに父親が願った時点で充分表現されてると思う。
エンドロールで流れる井口理さんの美しい高音の歌声は、女形の生き様を描いたこの映画にマッチしてて心地良い余韻を感じられました。
どこか腹に落ちない展開
3時間!見ごたえあり!
おトイレの準備は万全に
くれぐれもドリンクサイズは小さめに
流星さんも亮さんもいい役者だぁ
全身全霊で歌舞伎役者を演じているのが伝わってくる
3時間の上映時間中、歌舞伎演目も実にふんだんに魅せてくれる
若き二人が厳しい修行の中で芸を磨いていく過程は
秘めた野心に自分自身が押しつぶされそうになりながら
没落し、どさ廻りし、それでもチャンスと運を自身で引き込みながら
頂点に上り詰めるエンターテインメントになっている
鳥肌が立ったシーンがある
主役の二人は、厳しい指導の中で渡辺謙演じる師匠から、「曽根崎心中」の中の
象徴的セリフを指導、ダメ出しをされる
ダメ出しの後に発せられるそのセリフは、明らかに素人の私が聞いていても
感情の籠った、死を予感する主人公の情景の浮かぶ心震えるセリフに変わった
やがて、本番のシーンでも亮さん演じる主人公は、さらに情感を込めたセルフとして
昇華させてくるのだ
ここだけで感動していた私だったが、物語が進み、流星さんが同じ役を演じる場面が
出てくるのだが、この時のセリフは、なんと亮さんのそれと全く同じか、それ以上を
感じさせるほどビンビンと胸に響くのだった
歌舞伎ってすごい、と真剣に感じた 本物を見てみたい、と本気で感じた
私が泣いたシーンは、皆歌舞伎の舞台上のシーンだった
この映画、高く評価されるんじゃないかな
なんとなく、理解したつもりで入るのだが、本当のところはわかっていない
と思うシーン
亮さんの舞台を眺め、流星さんは劇場を去るシーン その流星さんを追って
亮さんの彼女(高畑充希さん)も劇場を出る
「逃げるわけじゃない」と言うセリフと供に充希さんは流星さんの手を引き
劇場を出ていく・・・
この充希さんの心理、考え方はどう解釈するのが正しいのだろうか
のちに流星さんとは夫婦にまでなるのだが、亮さんと共に背中に入れ墨を
入れるほどの恋路から、亮さんからの「結婚しよう」の言葉に「一番の贔屓さんになる」と
言って結婚をはぐらかした時点から、彼女の心理変化はどんな感じだったんだろう
流星さんにどんな思いを持っていたんだろう
邦画版ゴットファーザーと言える、重厚で豊かな大河ドラマ
最近の似たり寄ったりの、ラノベっぽい、タイムなんちゃらがらみの、安いアイドル主演の映画とははっきりと一線を画した力作です。ツッコミどころは多少あるし、少し長いけど、文句より、近年にない、本気の映画作りに心打たれます。そして、低予算とか、ワンカメとか、ワンカット、とか、無名の役者とか、本来、映画のクオリティと関係ない宣伝文句が踊る中、ゴットファーザーばりの、セット、カメラワーク、心情描写、を邦画でもやれるんだと嬉しくなりました。いちいちセリフで説明なんかしない。いちいち各章の結末をアホみたいに描いたりしない。とにかく、グダグダ言わず映画館でみてから話しましょう。薄っぺらいSNS的愚痴ではなく、豊かな映画談義ができる傑作です。
全1327件中、661~680件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。