国宝のレビュー・感想・評価
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オールタイムベスト級
興味深い作品が多い今週公開分から、迷わず「初日はコレ」とチョイスした本作。大きな劇場であるTOHOシネマズ日比谷SCREEN1は、平日にもかかわらずかなり多くの客入りです。
ちなみに私、吉田修一氏による原作は未読。また、歌舞伎そして梨園について知識がないばかりか、(歌舞伎の)観劇経験も皆無で完全なる門外漢。とは言え、作品を重ねるごとに凄みが増していく李相日監督ですし、劇場でトレーラーを観て今回も間違いないだろうと楽しみに。ただ、一点気になるとしたら約3時間ある上映時間。ところが、観終わればそんなことは全くの杞憂で、175分は一切長いと感じないばかりか、無駄と感じるシーンは一つもありません。特に歌舞伎を演じる「舞台シーン」は複数回あってどれもしっかりと長尺で、撮る側と撮られる側双の方に一切の妥協が感じられず、そのあまりの凄まじさに度肝を抜かれて震えが止まらないほどの迫力です。そのためこれからご覧になる方は、吉沢亮さんと横浜流星さんの素晴らしい演技を堪能するためにも、是非とも劇場へはお早めにお越しいただき、しっかりと備えて作品に集中してください。(勿論、無理は禁物です。)
と、冒頭から抑えきれない絶賛が駄々洩れして止まりませんが、本作、(全ての俳優の)演技、演出、脚本、撮影、照明、音響、美術、音楽、編集などなど、どこをとっても素晴らしい「プロたち仕事」の集積が正に「映画」として仕上がっていて、「非の打ち所がない」と言う言葉すらおこがましいと感じるほどに完璧。作品全体の構成から見れば「中弛み」しかねない中盤のドラマシーンも、キャラクターそれぞれの心境がこれ以上ないほど伝わってきて、だからこそその後の展開に更なる感動が生まれます。
或いは、昨今当たり前となった「キャンセルカルチャー」の目線からみれば、作品冒頭の出来事(事件)に始まり、その設定や更に劇中に起こるアレコレに昭和後半の時代感も強く感じて、全く理解や共感が追いつかない方もいて当然かと思います。そして勿論、その時代を生きてきた私だって、現代(いま)それを肯定することは憚られますが、自身も少し前に世間をザワつかせた吉沢亮さんに対し、恐らくは多々あったであろう難しいことを乗り越えられたことと、今作における見事な演技を心から賞賛するとともに、今年度の映画賞を席捲してくれることを切に願ってます。
それにしても、本当に素晴らしかった。当然に配信ではなく劇場鑑賞を強くお勧めする一本です。私にとってはオールタイムベスト級の作品で久々の満点評価に。いやぁ、感動しました。
歌舞伎の真髄に挑戦した映画
3時間が長く感じなかった。
映画館で観た方が良い
歌舞伎シーン、圧巻でした。絶対に映画館でみたほうがいいと思います。
吉沢亮の演技が凄かった。他の作品をみてもいつも思うけど、同世代で頭ひとつ抜けていると思う。
何百年もこうやって文化を守り続けてきた歌舞伎役者さん達は特別なんだと思う。
本物の歌舞伎を観に行こうと思いました。
主題歌の井口さんもとても良かった。
芸に身を捧げる姿はまさに圧巻
歌舞伎にはあまり興味がなかったが、本作のかなり高い評判と個人的に日本の伝統文化にはなにかと縁があるため、せっかくならと劇場にて鑑賞。
邦画を劇場で観るのは「高校教師」の映画版以来か…なんてノスタルジーに浸っていたのも束の間、いきなりのピーンと張り詰めた空気感。研ぎ澄まされた映像と音響、そしてそれをも優に上回る役者陣の迫真の演技、劇場で観て本当に良かった。
前半の「東半」コンビで登り詰めていく様も華やかでとても良かったし、後半の芸に身を捧げる息をもつけぬほどの緊張感も痺れる。
特に印象に残ったのは「曾根崎心中」の稽古シーン。「死ぬ怖さと惚れた男と死ねる嬉しさ」が込められた「死ぬる覚悟が聞きたい」は、それだけで息苦しくなるほど胸に響いてくる。初めて歌舞伎の奥深さを垣間見れた気がした。
とても良い作品だが、ストーリー的には比較的先が読めるよくあるパターンだし恋愛も蛇足かななんて思いきや、観終えて色々な解説を読むとまさに目から鱗、この行間の深みは1度の鑑賞ではとても読みきれないほどの練り込みようだ。
これは評判通りの大作、すぐにまた観たくなる。
万菊は見た
前評判通り、主演2人は素晴らしかった。体の全ての使い方を覚えるところから、たった1年半でよくここまでできたと思う。その努力に頭が下がる。歌舞伎シーンは満点だ。しかし、詰め込み過ぎの感は否めない。喜久雄の芸への向き合い方、梨園の内情はよく描かれるが、女性キャストの存在が軽かった。鑑賞後に原作を読んだけど、たぶん映画3本にしないと、小説の世界は描ききれないんじゃないか。「ゴッド・ファーザー パート1〜3」みたいにやれば良かったねぇ。あと、原作では主要登場人物の徳次が、大幅カット…。徳ちゃん!! 尺の関係で仕方ないとはいえ、これはもったいない。しかし、うまいことつないで切って、人間国宝となる役者を描くことはできたと思う。
花井半ニ郎(二代目)は、女形だよね? 渡辺謙ではゴツすぎないか? もう少し細い感じの人だと良かったかも。渡辺謙の演技はさすがだし、やはり重みはあるのだが…。二代目の口上の席での吐血…フィクションだけど、これはいただけないねー。また息子まで上演中に消えるとか、二代続いて丹波屋の恥ですよ。流血の舞台で人々が騒いでいる中、万菊だけは客席に向かって頭を下げたまま。動じないねえ。歌舞伎はこの世ならざる美を見せるもので、役者の素を舞台でさらすものではない。万菊兄さんが無言でそう言ってるように思えた。
軽い扱いの女性キャスト達だが、寺島しのぶは梨園関係者なので、リアル感がずっしりあった。ラストに出てきた瀧内公美も、わずかな出番ながら印象が強かった。三上愛の着物姿と京言葉は、はんなりしていて良い。森七菜は、たくましさを見せたが、脚本の都合か、不完全燃焼。春江は元ホステスなので、少しはすっぱな雰囲気が欲しかったかな。高畑充希だとおとなしいかも。二階堂ふみだったら、どんな感じだっただろう。
万菊役の田中泯は、もう本当に素晴らしい! 大絶賛! 発声、口調、手の動き、歌舞伎役者を長年やってきたとしか思えない。本物の歌舞伎役者でないのに、人間国宝と言われて納得させられるところがすごい。
上方歌舞伎は和事、江戸歌舞伎は荒事、って日本史の教科書に載ってたなあ。上方はどちらかというと、町民の芝居が多いんだっけか。江戸は侍のお家再興の話が多いかな。私は関東なので、上方歌舞伎は観たことがない。曽根崎心中が上方歌舞伎なのも知らなかった。江戸歌舞伎も少ししか観たことないけど、久しぶりに歌舞伎座に行きたくなってきた。この映画をきっかけに、歌舞伎を観る人が増えるといいな。
あと、シネマ歌舞伎はいくつか観ているが、玉三郎の「阿古屋」は観てないので、何とか観たい。七之助との「藤娘」は観たが、すごくきれいだった。「鷺娘/日高川入相花王道成寺」とーっても美しかった。「桜姫東文章」も良かった。今年は新作「源氏物語 六条御息所の巻」の公開もあるので、これは観なければ。シネマ歌舞伎は、ナマ観劇よりもリーズナブルで、役者のアップも観られるので、とてもいい。それに、過去の舞台は映像でしか観ることができないので、資料としても有意義だ。
映画は、歌舞伎に全てを捧げた男の人生を描いたが、いかんせん周囲の人間まで描くには、時間が足りない。ここは、制作予算がかけられるNHKで、ドラマ化を検討していただきたい。松竹協力で、歌舞伎役者をたっぷり用意してもらって。女形の役者は若手から年配まで、たくさんいるから、年代に応じて交代できるよ。あまり雰囲気が違うと混乱するから、背格好の似た人をあててさ。それで、吉沢亮と横浜流星をカメオ出演させれば、サービス満点! ぜひご検討いただきたく、お願い奉りまする〜。
ドロドロの男世界。ウ~ン マンダ●
松竹系で鑑賞するのが義理だが、
日比谷のゴズィラシアターで鑑賞せし。
さぁ。この監督はこの作品をどう料理してくれるか?楽しみでもあり、期待するのだが、やはり、彼にも大日本帝国のルシファー毒が回っているだろうか。何れにしても、3時間か!コストパフォーマンスは良くとも映画だからねぇ。14時10分
そろそろ幕あいの時間も終わりです。
それでは夢のある映画をお楽しみ下さい。
苦痛にならにゃいいのだが。
そもそも、日本の映画産業は貧困だよ。
ポップコーンだぞ。
「鷺娘」か!サンサーンス「瀕死の白鳥」だね。
小学校の下校の時の音楽。
原作では違う演目のようだが「鷺娘」は特筆だよ。かなり、坂●玉三郎に迫っていたと思う。
でも。映画の演出効果であったと後で気付く。
なぜか、五木寛之先生の「青春の門」を思い出した。
まだ昭和のど真ん中で、任侠が生きていたタニマチから、一人のデラシネが梨園に根を張る。
心が冷え切るクライムヒューマンドラマである。
旧国営放送出身の美人女優(俳優)を、微塵の如く使いきる。
演出家のアイデンティティは僕の心を癒やしてくれた。
最初のシーンを再び。つまり、彼に欠点があるとすれば「間」。つまり、瞬間。だから、最初のシーンをキル・ビルの如く殺陣ていればね。歌舞伎は殺陣のような、間のような。
チェン・カイコー監督
の「さらば、わが愛/覇王別姫」をリスペクトしている。
但し、大相撲と同様に世界の歌舞伎役者にはなれないよ。
朝ドラを二週間分見たような清々しさはないが、睡眠薬ではなかった。
玉三郎の鷺娘は必見ですぞ。でも、化け物のような美しさが本当の鷺娘何じゃないかなぁってこの映画見て思った。実際の歌舞伎役者で、綺麗な女方って玉三郎だけでしょ。オードリー・ヘップバーンが鷺娘踊ってくれたら、そっちのほうが綺麗だと思うけどね。
「ウ~ン マ⭕️ダム)
オール・ザ・ワールド・・・・
人間模様
ピカソが死ねばピカソ自身の美の探求は終わるが、世襲制の歌舞伎はそうもいかず、そこに加虐性や業の連鎖の主因がある
後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。
この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく...(公式サイトより)。
自身の目の前で愛人同士に喧嘩をさせてキュビズムの代表作「泣く女」を描き上げたピカソのように、歌舞伎の美しさに魅了された人たちの加虐性を底糸に、血、伝統、芸事、才能、男と女、興行の危うさなど視点から描く。
鴎外や漱石の純文学作品のように、とにかく無駄な要素がひとつもない完成度の高い映画。スクリーンには意味のないものはひとつも映っておらず、歌舞伎舞台上の義太夫が絞られて映画音楽であるクラシックが徐々に開かれていくタイミングや、場面切り替えのトランジションまで完璧である。
そんな完成度の中でひときわ印象的なのが、途轍もない重圧を背負う喜久雄がひとり楽屋で化粧ができずにいるところに、俊坊が訪ねてくる場面。本作の名シーンのひとつだろう。ほかにも歌舞伎の再解釈とも言えるような映像美が随所にみられるが、撮影監督がチュニジア出身の外国人ということを後で知って合点がいった。日本人ならもしかしたら、「歌舞伎」という固定観念に捉われて、無意識のうちに、馴染みの画角になっていたかもしれない。
幼少期の喜久雄を演じた黒川想矢と、当代随一の女形を演じた田中泯の演技力が圧巻。というか、主要キャストに歌舞伎役者を配していないところに、李監督のこだわりや配慮が垣間見られる。
ピカソが死ねばピカソ自身の美の探求は終わるが、世襲制の歌舞伎はそうもいかず、そこに加虐性や業の連鎖の主因がある。本作は、「美しいものを追求し、皆に感動を与え、後世に継承していくのだから、誰かを傷つけたり、普通では考えられないようなことをやっちゃっても仕方ないよね」とは開き直っておらず、徹底的に苦悩し葛藤し、落ちるところまで落ちるあたりに好感が持てたのだが、最後のカメラマンの登場でちょっとその気を感じてしまったのでマイナス0.5。
すべて芸の肥やし
横浜流星と吉沢亮ならきっとやってくれると期待通りでした
歌舞伎は安い席も有るらしいが、とてもお金が掛かると聞いていたので関心ないので(幕の内弁当もお高いらしい、確か歌舞伎発祥)勿論鑑賞眼はさっぱり皆無だけど2人の指先までしなやか艷やかな演技素晴らしかった 歌舞伎界からオファー来るんじゃないの?と思った
肝心のお話は入れ替わり立ち代わりスランプの様子や藝妓さん遊びなんかはあるあるだよね、実は奥さんが大変な処なんかはあんまし無くてあんまり刺さらなかった
しかし日本独自の伝統芸能でこれだけ芸術的な映画が出来るということには、邦画の可能性を感じた
女形の美
私は映画を観る前に、原作を読みたくないタイプなのですが、この映画に関しては、楽しみ過ぎて我慢できず読んでしまいました。やっぱり、映画は尺の問題で、どうしても端折ったり変えないといけなくなるので、原作を先に読んでしまうと物足りなくなるからです。
確かに、映画『国宝』も、かなり大胆に登場人物やエピソードを削ったり変更していて、先に原作小説を読んでしまった身としては、物足りない部分が結構ありました。(小説でお気に入りやった徳ちゃんの出番が無いのが、悲しかった…)
凄く嫌がられるでしょうけど、この映画、前編後編ならもっと良かったのに…と思います。
この原作の小説、かなり面白かったのですが、出てくる歌舞伎の場面は、小説だけだと、歌舞伎を観たことがない人はイメージし辛いところがあるだろうなと感じていました。
映画では、もうちょっと登場人物のエピソードとかあればなと思いましたが、歌舞伎の「女形の美」に説得力を持たせるには、小説のエピソードを削ってでも歌舞伎の場面をしっかり見せることが必要だったのだと思います。
この作品のテーマのひとつである「女形の美」の表現としては、歌舞伎の場面がしっかりあったところと、もうひとつ、歌舞伎役者を使わなかったというところが、良かったのではないかなと思います。
みんなが知ってる俳優の吉沢亮と横浜流星が、この映画のために訓練を積んで絶世の女形になっているということを観る側は分かっているので、過酷な修行に裏打ちされた女形の美を感じることが出来るんだと思います。もし、本物の歌舞伎役者がやってたら、どれだけ綺麗でも、観る側がもともと知ってしまっているので、映像でしかも短い時間の歌舞伎の場面で、身震いするほどの美しさを体現することは出来なかったんじゃないかなと思います。
歌舞伎役者じゃない2人だから、いくらもともと綺麗な顔してるとは言え、こんな美しい女形になるなんて!って圧倒されるし、ここまで綺麗に魅せれるようになるという女形の「芸」の凄さの一端を感じることが出来たのではないでしょうか。
この映画のおそらく難しかったであろう取捨選択の中、映画で小説から変更していて、これは良かった!と思った場面は、俊介が足を失った後に『曾根崎心中』をやるところでした。その前に、喜久雄もお初をやりますが、喜久雄のお初は可憐で切なくて本当に美しいお初。一方、俊介のお初は、喜久雄よりももっと生々しくて狂気すら感じるお初。
まぁ、俊介がお初をやった時は足を切った後で、片方の足も壊死してる時だったので、違って当たり前と言えば当たり前なのですが。
ただ、歌舞伎ファンとして、歌舞伎の面白いところのひとつに、同じ役を違う人がやると、まったく違ったものにもなることがあるというのがあって、これはライバル関係でもある喜久雄と俊介の芸を、一瞬で分からせるいい場面だったなと思いました。
普通役者は「違う人になる」ことが仕事ですが、吉沢亮さんも横浜流星さんも、喜久雄と俊介になった上に、女になって、最終的にはちゃんと喜久雄と俊介のお初になってたのは凄いですね。
本当に凄い演技だなと思いました。
そういえば、これも歌舞伎役者を使わなかった理由かもしれません。例えば、中村壱太郎さんは綺麗だけど、歌舞伎をやったらきっと半二郎じゃなくて壱太郎になってしまうでしょう。
「血」なのか「芸」なのか?
これは、この映画のもうひとつのテーマだと思います。
個人的には『「血」の方だと下手な間違いは無い』というのが答えだと思っています。
舞台上でたった一人で踊ったり芝居をしている役者を観た時に、舞台の広い空間を圧倒的なオーラと芸で、無駄にだだっ広い空間だと思わせない存在感は、やはり御曹司として小さい頃から真ん中に立つべくして育てられた賜物なのかなと思います。
ですが、とてつもなく凄い「芸」があれば、それを凌駕することも知っています。
もし「血」ばかりでは、歌舞伎はもう無くなっていたか、細々とやってる伝統芸能になっていたかもしれません。坂東玉三郎さんなど圧倒的な「芸」と美しさで真ん中に立つ人が出てきて新たな「血」が生まれるからこそ(玉三郎さんにお子さんはいませんが、例えば今の團十郎の曾祖父さんはもともと歌舞伎の家の人ではないみたいな)、歌舞伎が続いているのだと、この映画を観て思いました。
最後の場面。
『鷺娘』を踊る喜久雄。「歌舞伎」に恋をした門閥外の喜久雄が最高の女形となり、「きれいやなぁ」と言ったのは、その愛する歌舞伎の全てに向けて言ったものかもしれません。
あと、やっぱり歌舞伎ファン的には、この人とこの人がこの登場人物のモデルやろな〜とか、思いながら観るのも楽しかったです。
万菊さんがシュークリームくれたり人形飾ってるのとか、歌右衛門さんへのオマージュやろし、『曾根崎心中』で徳兵衛やってた生田庄左衛門役の人は、なんとなく仁左衛門さんに似てたし。
まぁ、一番気になってたのは、どう見ても荒事しか似合わなさそうな渡辺謙さんが、女形をやるのか?!というところでしたか、連獅子しかやらなかったですね。渡辺謙の女形は…うーん…だいぶデカいなぁ…笑
という感じで、お初と徳兵衛が心中した曽根崎村の隣の映画館で、よい映画を観ることができました。
凄絶なまでに美しく、醜い
最高でした!
知人に勧められて、原作を読んでから映画館へ。演目の予備知識あり、ストーリーを知った上で鑑賞しました。
原作の方は、とにかく文章が読みやすい!朝ドラのナレーション聞いてるみたい。歌舞伎というとちょっと敷居が高い感じがするのですが、非常にとっつきやすかったです。ただ、活字で舞台がいかに素晴らしいかを説明する感じになるので、野暮と言えば野暮。小説も良いのですが、視覚に訴える映画ならではの楽しさがありました。
上手く言えないのですが、映画の終盤では、歌舞伎の作品と、こちら側の私たちの世界の区別がなくなるような感覚に近づいたので、それは予想しておらず自分でもビックリしました。
そして、吉沢亮の上手いこと!
いや〜〜〜驚いちゃったよね…
ほんとに良かった、お見事でした。
他の皆さんも素晴らしかった。渡辺謙、田中泯はさっすがよ…涙 見れて幸せです。田中泯こそ国宝級。三浦貴大も良かった〜〜横浜流星好き〜〜寺島しのぶが居てくれて引き締まる〜
実際に歌舞伎を見に行きたくなりました。
道成寺も大好きなのですが、今回は曽根崎心中に興味津々に。
曽根崎心中とロミジュリ、似ているようで全然違うのね…(曽根崎心中は実際にあった事件を元にしています)心中って、現代ではなかなか死ぬとこまでは行かないんだろうけど、「まぁね、そういう事もあるだろうね」って妙に納得してしまうし、悲しくも美しいと感じてしまうのは、日本人のDNAのせいなんでしょうか。
そう感じる一方で、歌舞伎の演目に限らず、昔の話って女性があまりにも不憫過ぎる。
女性誌ELLEに、曽根崎心中について書かれている記事を偶然見つけたのですが、それが「お初が徳兵衛と結婚して、醤油会社の女社長として大成功する未来」の話。遊女だったお初ですが、現代に生きていたらそんなことになっていたかもしれません。本当に惚れた男と添い遂げて、バリバリ仕事しながら幸せに暮らすという世界線は、それはそれで涙が滲んで来ます。生きて幸せでいて欲しかった。
よし、ひとまず歌舞伎「曽根崎心中」を見よう!と思い立ちましたが、現在公演は無さそう。歌舞伎オンデマンドで探したら、海外向けで英語解説付き。字幕ではなく音声なのでガッカリ…せっかく歌舞伎に興味を持っても、きっかけになる番組が圧倒的に少ないのが悲しい。シネマ歌舞伎もありますが、期間も短く上映される映画館も少なめ。文楽も探したけど無し。
散々迷った挙げ句、まず手始めに現代語訳版と、原文の文庫を思わずポチりました。
雑誌ananで「国宝」に関する8ページに渡るインタビューが載っているそうなので、そちらも要チェックです!
もう一つ、監督は在日朝鮮人3世なんですね。大学時代にVシネマのアルバイトをされたのがきっかけのようですね。フラガールは見たことあるな。いや〜〜てっきり日本人の監督さんだと思ってました。こんな面白い映画撮ってくださって、感謝。
追記:曽根崎心中を読みましたが、薄っ!短くて驚きました。え、こんなページ数なの??と戸惑うくらい。恋愛が成就しないからではなく、やっぱり「身の潔白を証明するために」心中する感じで、腹切りに近い。夜中、皆んな寝静まっているところから2人で抜け出し、有名なあだしが原への道中の場面は、ただ歩いているだけとは思えない濃さでした。あのラップ調の醍醐味は原文で読んでこそ。高校生の文学史の授業では全くピンと来ずでしたが、今頃になってようやく手に取ることができ、読んで良かったです。現在は縁結びの地として観光名所になっているのですね、訪れてみたいです。
未知の世界に魅了される
国宝って芸に秀でたこともそうだけど、生き方そのもののことをいうんじゃないだろうか。そう思えるほどの歌舞伎に賭けた思い、歌舞伎の世界から離れてもなお、どんな境遇になっても体が求めてしまうものなのかもしれない。てっぺんを見るまでは。そう思えさせられるほどの長編大河のようだった。
なんといっても主演の吉沢亮さんの素晴らしさは言うまでもない。目で見てる以上の努力と鍛錬がなされたのだと思う。美しい所作と視線、べらんめい口調から妖艶な台詞回しまで見応えしかない。また、横浜流星さんや渡辺謙さん、田中泯さんなども元からそうだったんじゃないかと思えるほどの憑依体現にただただ圧巻です。なかなか見れない舞台裏が見れたのも面白かったです。映像もだけど、衣擦れや幕を引く音、足を響かせる床、補佐する役者の素早さと的確さ、メイクや衣装の着付け、そして息が詰まるほどの緊張感など、ほとんど歌舞伎を生で見たことがない私にとってはどれもが新鮮で、未知の世界に惹き込まれた。
物語としてはかなり年代を飛んでしまうときがあり、主人公の環境の変化についていくのが必死で、関係性の修復がどのようになされたのか、そしていつどのように離れていったのか想像で補うしかなく難しく感じてしまう人もいるかもしれない。
また、端役の人たちや黒子の人たちがどう思っているのか全く分からなかった。急に御曹司が戻ってきても受け入れられる世界、あんなに華々しくデビューし歌舞伎界を背負っていた東一郎が不在になっても庇うものがいない世界に気持ち悪さがあった。順風満帆と言った最後のインタビュアーにも。そして、3時間にも及ぶ上映時間に私の腰は悲鳴を上げてずっとモゾモゾしておりました。
主題歌の井口理さんの静かで美しい歌声に沁み入った。この声も唯一無二だなぁと。
魂が込められた作品
まずは、吉沢亮にやっと自身の代表作として
相応しい作品が出来たのではないでしょうか。
それほど素晴らしかったです。
3時間をもってしても、上下巻に及ぶ原作を
再現しきれませんが、脚本がとてもいいのだと思います。
原作ファンですが満足です。
横浜流星に持っていかれるんじゃないかと
心配してましたが、何が何が女形になったら
吉沢亮の方が美しさ際立って見えました。
梨園の醜聞、病いとの戦い、再起と再発
もっと俊ぼん(横浜流星)の葛藤も見たかったなぁ。
木戸銭が正札では失礼と恐縮しました🙇♀️
国宝
先ずは音響の透明感に満ち溢れて
撮影の構図、照明、色彩が
美術、衣装まで美しく、汚く、年齢や時代にマッチして
その上、年齢背景に合わせたいいロケ地や景色がずば抜けて素晴らしかった
最初の任侠乱闘シーンは、長崎の史跡料亭「花月」の一部だと思う。
特に気に入ったのは、
寺島しのぶさんの所作には梨園の女将が笑えるほどピッタリだった。
板子一枚下は地獄の世界に、悪魔と命の取引した芸の道は、ドス1本の任侠の血生臭い世界で父を亡くし、背中の梟を背負った時からの覚悟なのだろう…
タップ3時間楽しませてもらった。
木戸銭を倍払ってもまた観たい。
(⌒▽⌒)
国宝
李相日監督が「悪人」「怒り」に続いて吉田修一の小説を映画化。
任侠の家に生まれながら、歌舞伎役者として芸の道に人生を捧げた男の激動の人生を描いた人間ドラマ。
任侠の一門に生まれた喜久雄は15歳の時に抗争で父を亡くし、天涯孤独となってしまう。
喜久雄の天性の才能を見抜いた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎は彼を引き取り、喜久雄は思いがけず歌舞伎の世界へ飛び込むことに。
喜久雄は半二郎の跡取り息子・俊介と兄弟のように育てられ、親友として、ライバルとして互いに高めあい、芸に青春を捧げていく。
そんなある日、事故で入院した半二郎が自身の代役に俊介ではなく喜久雄を指名したことから、2人の運命は大きく揺るがされる。
主人公・喜久雄を吉沢亮、
喜久雄の生涯のライバルとなる俊介を横浜流星、
喜久雄を引き取る歌舞伎役者・半二郎を渡辺謙、
半二郎の妻・幸子を寺島しのぶ、
喜久雄の恋人・春江を高畑充希が演じた。
脚本を「サマー・ウォーズ」の奥寺佐渡子、
撮影をカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作「アデル、ブルーは熱い色」を手がけたソフィアン・エル・ファニ、
美術を「キル・ビル」の種田陽平が担当した。
2025年・第78回カンヌ国際映画祭の監督週間部門出品。
国宝
2025/日本
凄いものを観た圧倒的な重厚感。
凄かった。吉沢亮さんこんなに芝居うまかったのかと終始圧倒されていた。李監督は役者さんを引き上げて全部さらけ出させるんだろうなぁ。怖いなぁ。凄いなぁ。李監督がまさに宝なんだけど。あと黒川想矢くんの存在感がめちゃくちゃ良かった。キャスト、映像美、音楽、全て圧巻。血を吐きながら仕事していた、良いものを作ろうとしていた、自分や家族を犠牲にしてでも目指すべき取り憑かれた状態。ストイックという言い方すると薄っぺらいが
そうして死にものぐるいで仕事していた時代を生きた人にしか作れない作品だった。もうこれ以上熱量のある作品はしばらく観れないだろう。歌舞伎は観た事がないけど絶対にみる!
てか、この映画、他の作品と同じ料金で良いの?そして余談だけどたくさん観客いるのに緊張感あってマナーが良かった。きっとみんな没入してたということ。
よくやった!
映画で使う部分だけとは言え、歌舞伎役者に見えるレベルまで習得したのは、感服しました。東宝の作品ですが、歌舞伎の世界の話で舞台裏の話がいろいろあるから、松竹制作では却ってやり辛いのかも知れません。舞台のシーンで大向こうがあればもっと実際の歌舞伎に近づけたと思います。
ひとつ気になったのは、ガタイが良く立ち役専門に見える二代目がお初をやる予定だったことですね。
追記
舞台での演目については、どこが使われるか分からないので、部分的ではなく一段通しで踊れるように稽古したそう。ここまでしたことは、この映画だけでなく、彼らの今後の演技ためにも大きく役立つでしょう。
圧巻
全2138件中、161~180件目を表示
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