劇場公開日 2025年6月6日

国宝のレビュー・感想・評価

全2138件中、141~160件目を表示

4.0血筋と才能、挫折と再起、友情と嫉妬の物語

2025年6月7日
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tomato

5.0圧巻の歌舞伎シーン

2025年6月7日
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とにかく歌舞伎シーンが素晴らしい。
特に吉沢亮さんの歌舞伎シーンは、涙が出るほど美しい。

普段歌舞伎を見ないので実際はどうかは判らないけど、素人目には芝居が上手い歌舞伎役者という役を立派に演じきっていたと思う。

映画なので見せ方もあると思うけど、本物の歌舞伎役者でもないのに、短期間であれだけ演じられる役者さんって、やっぱ凄いと思った。

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ただの映画好き

5.0あなうつくしや、あなおそろしや

2025年6月6日
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鑑賞方法:映画館
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つとみ

4.03時間の歌舞伎大河ドラマ

2025年6月6日
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鑑賞方法:映画館

歌舞伎は母を連れ年一回観に行く程度のにわかですが、歌舞伎というのは世襲制の家業のため、その分甘さを指摘されないよう芸を徹底して磨くことにこだわり続けていく伝統芸能だと思っている。

一方で歌舞伎を支えている古くからのお客さんの中には、芸そのものよりも、3才で初舞台を踏んだあの◯◯屋の可愛い男の子が何度か世襲し名跡を継ぎ立派な役者になり、その子供がまた成長していくというのを親戚のおばさんさながら見守ることに生きがいを感じているという人もたくさんいる。(昔の人気コンテンツだった「五つ子ちゃん」とか「ビッグダディ」とか最近のオーディション番組みたいに)
歌舞伎役者が子供が小さいうちからメディアに出すのは、重要な役割としてそう言う効果を狙っているためだと思う。

そう言うことも含め、もし部屋子さんが主役を演じたり家を継いだりすることがあれは、関係者だけでなく、お客さんからも批判されることが考えられるため、事前に養子縁組して伝統だけでなく体裁を守るのかなと思ってる。

本作は長崎の極道の家に生まれた喜久雄が歌舞伎役者に引き取られ、跡取りの俊介と切磋琢磨し女方として(人間)国宝になるまでの成長譚だが、養子・女方・人間国宝とくれば坂東玉三郎がモデルなんだろうと思うが、ドラマティックで波瀾万丈のストーリーは完全なるフィクション。

背中にミミズクの和彫を背負った天性の才能をもつ女方を当て書きしたかのように役者バカと評判の吉沢亮が鬼気迫る迫力で熱演し、ライバルの俊介を横浜流星が憂いと弱さで人間臭く演じており、2人の美しい役者が見えない絆や縁のようなものをうまく感じさせながら魅せる演技は感動を誘う。

田中泯の白粉と女喋りはあまりに似合わなさすぎて少しおかしかったw。

珍しく初日に鑑賞したのであまり多く書き込むことは控えるが、3時間の長尺を感じさせないほど没頭して観ることができるオススメの映画です。

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カツベン二郎

5.0現実と映像が溶け合う世界

2025年7月18日
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僕が生きてるふたつの世界で個人的にめちゃ注目する俳優になった吉沢亮が主演だったというなんとも単純な理由で観に行った。故にヒットしていることもほとんど知らず。いつも閑散とした映画館がなんとほぼ満員。驚愕。
ちなみに歌舞伎に関しては生で鑑賞したこともなければ、知識もほとんど0であることを付け加えておきます。

見始めて…関西が舞台なのか💦これは関西弁大丈夫かしら…私が邦画を観ない理由の一つはけったいな関西弁を聞きたくないというのもある。これに関しては割と自然。ところどころやっぱり変やけど気になるほどではない。

肝心のストーリー。これぞ完璧な余白とでもいうんやろうか。沈黙全てに意味があるし、無駄がない。3時間という長時間の作品であったが時間の長さを感じさせない。それだけ引き込まれる演出、そして俳優たちの名演。どういう感情だか自分でも形容し難いが、曽根崎心中のシーンは自然と胸がいっぱいになり涙が溢れる。あと、予告でも流れてた手が震えて描けないんやというシーン。こちらまでプレッシャーで押し潰されそうになる。芸は血を超越するのか?その後の展開もドラマがある。それぞれの生き様をみて深く共感し、時に涙し、やりきれない思いになり…感情がまさにジェットコースターなみに乱高下🎢なぜ自分が泣いているのか頭と感情が追いつかない。久々の経験やった。(インターステラーで経験済み)吉沢亮、横浜流星の女形は本当に美しく魅入ってしまう。まさに映像と現実の境界線が曖昧になり、息をすることすら緊張する。

歌舞伎を知らなくても十分に満足できる内容。むしろ歌舞伎の知識がないからこそ先入観なくみられたのかもしれない。

映画を早送りで観る人たちという本を最近読んでいるが、倍速でサクッと観たいよ!という人にはこの映画は全く向かない。「間」が命の作品なので。現に上映終了後、なげーよと呟いている人もいた。でも、普段、配信とかで映画を倍速で観てる方もぜひ劇場で観てほしいです。早送りする人たちが増えている中で、観客にシーンの意味を自ら考えさせる構成にあえてしたこの作品はほんまに意欲作やと思う。そういう意味でも高く評価したいです。ぜひ、映画の醍醐味である観客が一体化する瞬間を味わってほしいです。

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める

0.5100年に一度とか片腹痛いわ

2025年6月16日
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全てが間違った方向に力を尽くしたぶっちぎり暫定2025年ワースト1

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p.h.o.e.

4.5吉沢亮の間違いなく代表作‼️と言っても過言では無いのでは‼️

2025年6月14日
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任侠の一門に生まれた、吉沢(喜久男)は、抗争で父親を亡くし、天涯孤独になってしまい、歌舞伎の名門、半次郎(渡辺 謙)に見出され、部屋子として引きとられ歌舞伎の世界へ
そこで半次郎の息子、俊介(横浜流星)と兄弟同様に歌舞伎を教わりながら育てられスターダムにのしあがる物語‼️

いやぁ‼️凄い‼️映画🎞️でした✨自分は歌舞伎は知らないけど。。。歌舞伎がいかに、繊細で難解なお芝居なのか?が伝わり、その歌舞伎の舞台の空気感が、すさまじく緊迫してるのがわかりましたΣ('◉⌓◉’)
そこに、跡取り問題や、二人の切磋琢磨して歌舞伎道を極める姿が、歌舞伎を通して実に情緒豊かに描かれています。

吉沢亮さんの演技が半端ないです‼️凄い‼️驚愕‼️Σ('◉⌓◉’)‼️名演ですね👑

横浜流星さんも凄い演技‼️渡辺謙さんも貫禄抜群の演技‼️サスガ👑

寺島しのぶさん、永瀬正敏さんの助演も、素晴らしい✨

歌舞伎の事、知らない人でも、見れば楽しめる映画🎞️だと思います。是非‼️みなさん、大きなスクリーンで「国宝」の世界へLets go✨

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ツン

5.0とにかく出演俳優、特に女優陣が皆素晴らしく、今が旬の俳優を集結させたキャスティングの選択眼の適切さに唸らされる

2025年6月11日
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興奮

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ITOYA

4.5歌舞伎の演目が劇中劇のように入ってくる素晴らしさ

2025年6月6日
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泣ける

興奮

約3時間の大作。
3時間近い映画だと「あそこのカットは端折れただろう」とか思うカットがあるもんだけど、一切無し。
ずっと本気、ずっと濃密。
いくつもの歌舞伎の演目が劇中劇のように入るから、飽きる事も無ければ、その歌舞伎の演技の凄さがそのまま二人の主人公の心を代弁していく。
こんな濃密な映画を作った監督と二人の主人公に脱帽です。
泣かせに来る映画ではないのに、それでも二回泣けて…
最後に歌舞伎の演目で、また泣けました。

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キブン

4.0そういう家系なのかなあ?

2025年7月2日
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市丸よん

2.0いろいろスベった凡作。

2025年7月1日
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まず良いところ。女優陣はみんな立派ですね。少年喜久雄役の子役もすごい。あと異様な存在感を発散する田中泯そして渡辺謙。中村鴈治郎のイヤーな大物役者っぷりもさすが。この人はそれこそ血筋のせいで徳兵衛しかやらせてもらえないけど、九平次をやってもハマると思う。

が、カメラと編集と照明がとことん凡庸なのです。それは要するに監督の感覚が俗で凡だってことで、『流浪の月』で観客を感嘆させたあの見事なショットは要するに監督の手腕ではなくカメラマンの力量だったことを本作は証明してしまいました。

まず冒頭の料亭へのカチコミシーン、永瀬正敏はざらりとした印象を残して見事だったけど、画角のセンスと編集のスピード感が鈍くて緊張感も緊迫感も欠いている。寄りが甘いし引きがぬるい。以後、万事がこの調子で、いちいち隔靴掻痒感がのこります。

舞台上での歌舞伎役者の所作などを俳優ががんばって稽古したところでサマにならないのは、まあ仕方がない(田中泯の鷺娘ですら微妙にハズしているのに、現代の若手俳優にできるはずがない)。それでも、曽根崎心中の口説きを吉沢亮がはじめて見せるシーンは、なかなか迫力のあるショットになりかかっている…のに、そこにキセルのUPやら鈍いクロスカッティングやらを混ぜてスポイルしてしまっている。

男優二人は、おそらく才能ゆたかで意欲十分なのですね。だから稽古場での所作は、おおっと思うようなショットがいくつもあります。それを活かせていないのは監督と脚本の責任。

脚本は、とくに中盤以降が御都合主義なバタバタ展開で、中途半端なショットがそれをさらに助長していて、白々と見ていました。その頂点として現れる「人間国宝」であるはずの女形による鷺娘シーン。これを呆れずに見ていられる(それどころか賞賛する)映画評論家は、歌舞伎も文楽も能もちゃんと見てこなかっただけです。

そんなわけで、別に失敗作ではなくがんばって撮っているし俳優もそれなりに演じているのですが、監督の凡庸すぎる力量のせいで、締めるべきネジをことごとく締め損なった凡作、という結果に終わりました。

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milou

4.0A300 本当によくできた物語

2025年6月23日
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鑑賞方法:映画館

2025年公開
3時間弱全く退屈しませんでした。
普段歌舞伎は縁遠いのですが
見入ってしまいました。
監督の演出も隙がないし
美術は当然、光の当て方すら数ミリのくるいもない。
ともかく主演二人の演技に圧倒されました。
本物の方から見れば、ん-?だったかもしれませんが
ワタシのような素人からすれば
こんだけ歌舞伎の世界の技を
よく身につけたなあ、と感心する。
吉沢亮と横浜流星の距離感
ケンワタナベと寺島しのぶの葛藤
突如現れた映画史に残る作品。
そんな感じがします。
(流れが出来すぎなのでちょっとマイナス点)

人間国宝が坊やあんたちょっとこっち来なさい
と誘われたとき善からぬ予想をしてしまった。
ケンワタナベに誘われているのに紋々入れるのは
どやねん?
襲名披露に血吐いたら周りはどう収集つけるねん?
ドサまわりも大変やな―
あんまり悪魔と取引した感はなかったんですがね。
ジジイになった吉沢亮が一番キレイだった気がするし
それに絡むカメラマン瀧内公美ちゃん
出演は少ないものの存在感あるー
と雑感。
80点
鑑賞日 2025年6月22日 イオンシネマ草津
配給 東宝

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NWFchamp1973

5.0虚構の中にある一瞬の煌めきを彩る者たちの儚さと美しさ。

2025年6月15日
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近年稀に見る確かで優れた作品でした。原作の筆運びの正確さや信憑性の高さ、作り上げられたものの質の良さを実感することができました。

原作者は、この作品を書き上げるために3年間黒子をしていたそう。

虚構の中に見る一瞬の煌めきを、フィクションで真の姿を描きだす優れた技術と、それを表現する緊迫感と、その熱量に胸打たれる作品でした。

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大粒 まろん

2.0歌舞伎界の想定内アルアルの羅列。退屈。

2025年6月14日
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非支持。
歌舞伎界アルアルを
沢山並べたよ、か。
全部想定内。
天賦の才か血縁に恵まれた
金満業界人の苦悩なんぞは
我慢しろよ。
涙目ドアップを熱演とする
記号的演出に飽きて、
引っ掛かり皆無のまま幕。
歌舞伎は退屈と再認識。
異形の田中泯に既視感あり。
長い。

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きねまっきい

5.0圧巻! 好き嫌いとか関係なく評価せざるを得ない一作

2025年6月14日
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すごい作品だろうな、と予想し、期待度をかなり高めで拝見しましたが、想像以上に物凄いものを見せてもらいました。
まあ、私ごときが何か語るより、ぜひ映画館でご覧いただきたいです。
邦画としては圧倒的なクオリティと映画的な質量を備えた作品で、満足できること間違いなしです。

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よして

4.5ハイカロリーにヤられる

2025年6月9日
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映画そのものから受けた印象は★4つ。
ただ、約3時間観客をスクリーンに釘付けにしたその熱量に★0.5をオマケした。

役者が役者を演じ、カメラは彼らの半生を追いつつ、我々は劇中劇の観客として観劇する。
映画館の客席と歌舞伎座の舞台はシームレスに繋がっているのだ。

物語の軸は、歌舞伎の名家に身寄りもなく引き取られた若き才能を主人公に、その師匠の御曹司という、地位の約束されたライバルとの争い。
ありふれたスポ根の様に見えて、描かれる人生はそんなに簡単なものではない。
歌舞伎という「血脈」が絶対的な価値を持つ世界で、他者が名前を継ぐということの意味。
「血」による栄光と呪い。
その「血」を持たぬが故の主人公喜久雄の苦しみと孤独。

師匠半次郎は、名前に「一」の文字をもらった喜久雄を羨ましがる息子半也に言う。
「半次郎と半也で『一つ』やないか」
この時点では、喜久雄の才能を見込んだ半次郎の思いの様に見えるが、血縁のない喜久雄は、ここでは自分一人で生きていくしかないということを暗示していた。

それでもお互いに「役者として生きていく」ことしかできないライバル二人が、共に学び、遊び、助け合い、奪い合い、舞台に上がり続ける姿を、吉沢亮と横浜流星が熱演している。

本編スタート前に「ババンババンバンバンパイア」の予告が流れた。
私の中では吉沢亮って「そういう役者」というカテゴリーだったが、本作に登場する、まさに命を削って舞台に立つ彼の姿は私の知っている彼とはまったく違った。
(もちろんそもそも私の偏見なんだけど)
とにかく綺麗だし。

また、その師匠半次郎演ずる渡辺謙の、舞台に未練を残しながら、それでも枯れていく演技、そして慣習に反して喜久雄に名を継がせることへの複雑な胸中もまた、真に迫るものだった。

歌舞伎なんて私にはよく分からない芸能だと思っていたが、ここでは決して小難しいモノではないことが分かるし、全編通して、その熱量に圧倒される。
彼らの経験する栄華と凋落、ステージの上と舞台裏、とにかくものすごい熱量がスクリーンから溢れ出してくる。

上映時間は長い。決して「あっという間」とは思わない。しかし、スクリーンからのメッセージをたっぷり浴び続ける濃密な約3時間。
歌舞伎の演目もしっかり見せてくれる。その中身もちゃんと登場人物たちの境遇と重ねられている分、退屈もしない。ただ、疲れることは間違いない。
最後の「鷺姫」も素晴らしかった。

若い人が観たらどんな感想になるんだろう。
吉沢亮と横浜流星という若手トップの人気俳優が演じることで、若い観客もたくさんおられるはず。
今もなお続く、血縁絶対主義や女性は歌舞伎役者になれないという独自の文化などには、現代社会のモラルの中では違和感を感じる方もいるだろう。
その「良い」「悪い」はともかく、だからこそそこにしか生まれ得ないドラマを堪能して頂きたい。

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キレンジャー

4.0期待度○鑑賞後の満足度◎ 良く出来た小説の映画化は本当に難しいと改めて思う。だが映画という媒体の力を駆使して“「映画」の中で見事に歌舞伎の世界が構築されている”と思う。

2025年6月8日
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鑑賞方法:映画館

《原作既読》
①映画を観る前に原作を読んで、喜久雄と俊介の役はいっそ若手歌舞伎役者にやらせれば良いのに、と思った。
たとえ映画(TV)俳優が撮影前の練習でどれだけ頑張ったとしても、長い修行・稽古を積んできた役者には叶いっこないと思ったから。
でも其れは映画好きにも関わらず映画の力を信じていなかった己の不明を知らされることになった。

②吉沢亮も横浜流星もよくやっていると思う(横浜流星は正直どこが良いのかと思っていたが『べらぼう』を観て少し私の中で評価が上がってます)。
決して歌舞伎通ではないけれども、歌舞伎通の目から見れば、二人の芸自体は 本物に比べたら真似事にしか見えないかもしれない。
しかし、その足りない部分をカメラの動き・画面の構図/構成・編集という映画のマジックで見事に「映画という虚構の世界の中で存在する"歌舞伎"」になっていると思うがどうだろうか。

③大河小説と言っても良いくらいの原作の質量とものボリューム。
特に後半の中年以降の芸の道を極めていく辺りを若い俳優が演じきれるのか、との不安も有った。
そこを映画は「花道編」の部分をかなり刈り込んで「青春編」に比重を置いている。原作で印象的だったキャラクターも外されていたり、外されていなくても一場面のみの登場になっていたりする。
でも其れは仕方ないと思うし、其れで良いと思う。
勿論、芸の道を極めていく中年以降の喜久雄を映像で観たかったという気持ちもあるが、原作の芯のようなものは十分残っていたように感じる。

小説の世界では、読者自身の想像力の及ぶ限りの範囲で好きな様にイメージを脹らませ想像しながら読んでいける。
一方映画は写実に具体的に映像として観客に提示しなければならない。
然しながら今回は実写版として観ても殆んど違和感は無かった。
既に観たことのある演目はともかく、観たことのない演目については「実際はこんな舞台なんだ」とわかって有り難かった。

逆に、俊介の出奔と「曽根崎心中」の舞台とを平行して描いたところなど、上手い、と思ったし映画でなければ出来ない表現・手法だと思う。

④主役の二人も良かったが何よりも圧倒的な存在感・オーラを放つ万菊に扮する田中泯が素晴らしい。
歌舞伎役者ではないけれども、こちらもダンスという“芸”に一生精進・努力を続けてきた人。その佇まいは年輪は演技で出せるものではなく、何より指先の動きから所作、佇まいまでまんま歌舞伎の立女形としか見えない(少なくともこの映画の中では)。
『鷺娘』の舞も、カメラワークもあるのだろうが、本作に数々出てくる躍りの中ではピカ一である。
『それで良いの。それでもやるの。』という印象的な台詞も田中泯だから説得力を持ったと思うし、この映画を芸道映画として成り立たせているのも田中泯がいてこそと思う。
賞などどうでももよいのだが、助演男優賞(それとも女優賞か)ものである。。

⑤渡辺謙も白虎が亡くなる前の老いを露にした演技に凄みを見せる。
瀧内公美もワンシーンの出演ながら脚色でバッサリ切られた原作後半の部分を集約したような台詞を放ち鮮やかな印象を残す。何より正体を告げる前に撮影のために上着をそれとなく整えるところに、置き去りにした父への恨みと愛情をさ無言でさりげなく表現する。

寺島しのぶに関しては、今の日本映画界でこれ程この役に他に似合う人は居ないだろう。却って当たり前すぎるキャスティングなのが痛し痒し。

冒頭シーンのみの登場だが、永瀬正敏もそこに居るだけで役に成りきっている安定感・存在感が半端ない。

⑥原作の、至福感溢れる、然し浮世離れした幻想的な幕切れは小説だから可能であって、映画の場合、最初からファンタジー映画と謳っているなら兎も角、本作のように基本リアリスティックな描写をしている映画では難しい。
どういう幕切れにするか期待と不安と相半ばで観ていたが正直「こうするしかないよなぁ」という感想であった。

⑦惜しむらくは、血筋や才能という前半で強調された要素を超越した、「何はともあれ結局歌舞伎が好きで好きでたまらない」「名声を得ることや注目されることは結局どうでもよいことで、シンプルに舞台に上がること、役者でいることが楽しい」という喜久雄の到達した境地は表現しきれていない。

⑧とは言え、監督:李相日×原作:吉田修一のコンビ作(『悪人』『怒り』『国宝』)では今のところベストだと思う。

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もーさん

4.5血と汗

2025年6月8日
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国宝級の演技を歌舞伎役者ではない者が演じる意味に興味を感じました。パンフレットにあった李相日監督の「歌舞伎を見せる以上に”歌舞伎役者の生き様”を撮りたかった」という言葉に表われているように、自分が観たかったもの、心を動かされたのもそういった部分だったと思います。とはいえ、歌舞伎の演技自体も大きな見所であり、吉沢亮、横浜流星の血の滲むような特訓の成果に目が釘付けになりました。今作のことを最初に知ったとき、御曹司・俊介役はどことなく品のある顔立ちの吉沢亮、外の世界から才能を見出される喜久雄役は孤高の風格が似合う横浜流星かなと思いましたが、実際に観て、このキャスティングで納得でした。頂点を極めようとすればするほど絶望も底なしに深く、それはビルの屋上で放心したように喜久雄が踊るシーンが象徴的でしたが、魂を揺さぶられるような深い感銘を受けました。自分の役を奪われる俊介の激しい心情も見事に描かれていて、橋の上で喜久雄に掴みかかるシーンは、横浜流星ならではの激しくも美しいシーンだったと思います。国宝級の役者が舞台の上から観ている景色をほんの少しでも追体験できる、とても貴重な唯一無二の作品でした。

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赤ヒゲ

5.0歌舞伎好きの隣りで妻が思わず口遊む…

2025年6月8日
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泣ける

悲しい

驚く

常に話題を集める吉沢亮さん、横浜流星さんのお二人、歌舞伎の舞やセリフをたくさん練習したでのでしょうね。
それを演技を脇で固める渡辺謙さんや田中泯さん、お家柄歌舞伎の血筋を持つ寺島しのぶさんと来た。
芸の才能を買われ歌舞伎の世界に導かれたヤクザのせがれと名紋の歌舞伎家のあと取り息子の友情が何とも切ない。
どん底に落とされ這いあがるそれぞれの人生模様がつぶさに描かれ引きつけられる。
芸を極めていくふたりだがそのふたりに寄り添う女性たちの姿もうなずけるがやっぱり血筋には敵わなかったね。(笑)

わたしは新しく建て替えられた新歌舞伎座のこけら落しの際に妻に誘わられお供したことがあり寺島しのぶさんの母の富士純子さんのお出迎えを目にする事が出来た。
演目とか目にする役者さんの名前すら覚えて無いけど坂東玉三郎が目の前の花道の下から登場した事は驚いた。
独特な言葉遣いがあって意味も分からずガイド機器を借りて観たがそれでも余り理解できなかったが観て良かった。

本映画の題名に値する迫真の演技を披露した全ての役者さんたちの演技力に魅了、長尺にも関わらず時間を感じさせない映画でした。

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倭

5.0国宝

2025年6月6日
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終映後、得も言われぬ感覚に浸りました。
このキャストに、暗記するに程見せられた予告。
そりゃ期待しましたよ。
そして、期待通り。
いやいや、遥かにそれ以上でした。
主演のお二人、同じ演目を演じて、観る者に比べられ、評価される。
凄い緊張感だっただろうし、プライドがぶつかり合う。
観てるコッチが緊張する程でした。
歌舞伎の演技がどうこうは、私如きには分かりませんが、吉沢亮さん、大喝采。
横浜流星さん、良かったです。
渡辺謙さん、老醜を演じ切られました。
伏線回収も見事。
重厚な3時間超。
面白い映画じゃありませんでした、素晴らしい映画でした。
2度は観ません。
この良さを、そのままにしたいので。

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