国宝のレビュー・感想・評価
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血の世界🩸
歌舞伎と人間の業を垣間見たい人におすすめ
「垣間見る」のですが、「食らい」ます。
役者・映像・音響の凄さと人の意地汚さが直撃してきます。
400年の伝統を持つ歌舞伎を、1年半の新聞の連載後に加筆修正されできた原作小説。これを1本の映画にするのだから全ては描ききれない、と。
吉沢亮の喜久雄と横浜流星の俊介の藤娘のポスターを見たときは二人の区別がつかなかったけど、映像で踊る姿はまるで別の雰囲気でした。田中泯や渡辺謙もその内面を踊りでみせてくれます。
パンフレットの俳優・スタッフのコメントが充実しており余韻に浸れます。
見る人により評価が分かれそうですが、私は大満足しました。他の人物のストーリーも観てみたい作品です。歌舞伎も観たくなります。
上映前の予告に「ババンバ〜」が流れて、吉沢亮の振り幅の広さにくらっとしました。
期待しすぎたかも
品格と重みと血
一年半の猛稽古でここまで突き詰めたのかと
思うと考え深い。相当大変だったはず。
ある意味呪いと禁忌の職種に着手。
歴史的作品。
あの万菊の人間としての品格と重みを
ストレートに感じるシーン。
俊介を叱るふりを見せて喜久雄に言い聞かせる
姿は粋だ。
『あなた歌舞伎が憎くて憎くて仕方ないでしょう?
それでもいいの………。それでもやるの、それでも舞台に立つのが私達役者なんでしょう』
全身全霊を芸という悪魔に捧げた
人だから言えるのだろう。
黒川想矢さんが演じる関の扉の女形の独特の
色気、本当に美しく国宝級。
そりゃその演技と見た目を観てしまったら
大人役の吉沢亮さんも焦るし渇を入れられる。
横浜流星さんと頑張ったんだろう。
俊介は愛され続けるという無償の愛によって
芸の域を超えていった。
喜久雄の芸に対しての純粋さ、人間としての
欠陥を受け入れながら静かに去る藤駒。
喜久雄が生涯欲しかった『血』を
残した女性。それが血族。
色々な女性が目の前から消えて行く中で
佇む藤駒は凄い。重要な役割で偉大さを痛感
する。
吉沢亮さんが役者としての一線を
確実に越えた素晴らしい作品でした。
苦悩、葛藤を乗り越えた芸術作品
歌舞伎界で生きていく役者達のお話。
歌舞伎は10年以上前若い頃に何度か鑑賞したくらい。
嗜みもわからず、話の流れのみなんとなく頭に入っている程度の知識で、原作も読まず伺いました。
吉沢亮くん、横浜流星くん。とてもかっこいいですが、しっかり演技を観たことが無く。
可愛いキラキラした恋愛ドラマによく出てる様な勝手な印象を持っていたので、失礼ながらそこまで期待をしていませんでしたが、本当に2人とも息を呑む圧巻の演技でした。
元から美しい顔立ちの2人が女型をされると、ドアップでも芸術作品のようです。
歌舞伎を完璧に演じる事は難しくても、佇まいや振る舞いも短時間で身につけたものの様には見えませんし、喜久雄と俊介を演じているのだと思うと世界観にすんなり入り込めました。
お互いに挫折し憎み合ってもおかしくない数々のドラマがあったものの、寄り添い再び共演した時は涙が出ました。
若い時の喜久雄を演じる黒川君や、おかみさんの寺島しのぶさんも素晴らしかったです。
原作は上下巻ある長い作品ですから所々端折られており、高畑充希ちゃんの役が私的には理解できませんでした。
ですがそれを踏まえても、映画館で是非鑑賞していただきたい素晴らしい作品です。
料金が安い日に鑑賞しましたが、2000円払えば良かったと後悔しています。
本物の歌舞伎が生で観たくなりました😃
吉沢亮、横浜流星、今乗りに乗ってる大河ドラマ主役2人の、圧巻・迫真の演技‼️
映画ならではの魅力〜大胆なカメラワーク、荘厳なBGM、顔がアップされ表情が良くわかる等々〜が、2人の演技の迫力を倍増させてましたが、だとしても2人とも歌舞伎は初心者のはず、ここまで美しく感動的だと言う事は、本物の歌舞伎って、どんだけ凄いんだろ〜と改めて思いました😳
生で本物の歌舞伎がますます観たくなりました😃
血
人の執念を描いた映画だと思う。
才能の見返りは……
衝撃的な入り口から始まってちょっと面食らいました。
ヤクザや入れ墨やらがでてくるのが苦手なので、ちょっと個人的には苦しかったです。
…しかし周りの人たち、自分が窮地に陥ったら(嫌なことがあったら)すべて喜久雄のせいなんかい!
喜久雄は周りに流されてただけなんじゃないのかい!才能があっただけなのに!
理不尽だわ。
才能があったらそれ以外は手にしちゃいけない法則でもあるんかい。
俊ちゃんだけ得してずるい!って思いました。
印象に残ったのは、曽根崎心中を喜久雄がやる場面。
「俊ちゃんの血が欲しい」と緊張で震えながら気持ちを吐露するところ、すごかった。
その後、曽根崎心中の演目中に、俊介が劇場をあとにする所。
一緒に苦しくなってしまいました。
迫真の演技ってこういうことなんだなと納得。
ストーリーのメインである歌舞伎の演目については、とっても有名どころで素人の私でも知ってるものでした。
知らなくてもなんとなくわかる感じで、これを機に歌舞伎を見たいと思う初心者もでてくるかもしれないですね。
あとは…やっぱり原作読んでいくんだったなと反省しました。
内容知ってたらもっとストーリーにぐっと感情移入できたかも。
お隣の席の方泣いてましたけど、私はそこまででもなかったです。
人間の一生を描くには短すぎる時間。
歌舞伎を見る映画ではなく歌舞伎役者の人生を見る映画。歌舞伎を全く知らなくても楽しめた。
類い稀なるセンスに努力を重ね、血筋が全ての世襲制で守られてきた歌舞伎界に食らいつく喜久雄と、恵まれた血筋を活かして幼い頃から稽古を重ねてきた俊介。お互いにないものねだりのように嫉妬し合い、歌舞伎に翻弄されながらも歌舞伎に生きる。2つのジェットコースターのような人生が交互にうなりながら駆け巡っていく重厚な3時間。
実際に歌舞伎を演じるシーンがやはり特に圧巻。画角が横長なことによって引きの絵なのに没入感があるという不思議な感覚。人生で一度だけ歌舞伎座で見たことがあったが、その時とはまた違って舞台を客席の上に浮かんで俯瞰して見ているかのような贅沢な体験だった。
ストーリーからは俊介の芸能人生どころか人生そのものの栄枯盛衰を血筋によって支配されてしまうという残酷さに痺れ、喜久雄からはどんなに順風満帆な人生だと思われている人でも血と汗の滲む努力があり、地獄の底を這いずり回るような絶望を味わったり、理不尽な現実に嫉妬を燃やしたり、人生とは絶対に一筋縄では行かないものだと改めて感じさせられた。
映画としては長いのかもしれないが、人間の一生を描くには短すぎる時間。一瞬の儚さがギュッと詰め込まれている作品なので、フラッと見に行くというよりも、しっかりと集中力を確保して見に行ったほうがより楽しめるかも。
1日してならず
娘。
原作を読んでいないので、自分なりの補完としてこうだったら凄いと思う想像での解釈です。
映画として、解釈の余白を残してくれたものとして書かせていただきます。
父親に捨てられたと、憎しみで生きていたものの、その芸には感動せざるを得ず、その父と直接会話をする日を夢見てカメラマンの道を選び、やっと対面した父にその積年の複雑な感情を伝える事が出来たのだと思い、僕の心のダムは決壊しました。
芸の道、表現者の道はただただ厳しく、果てしない道。
実父の仇を討てなかったものの、芸で仇を討つという一心だけでひたすら前に進む。
その時々に手を差し伸べてくる女性には甘え、その人生を吸い尽くし、また前に進む。
芸とは命を削るもの、自分の生き様を表現するものだと思っている自分にはすんなりと入ってきた上に、普段は見ない角度からの歌舞伎。
演者としての世界を素晴らしい演技と、カメラワークで魅せてくれる。何より、編集が素晴らしい。
静と動。溜め。呼吸。丁寧な編集でのモンタージュ。
小説の世界を丁寧に紡ぎ、映画の中で1人の人生を描ききっている。
映画としてのあるべき形が詰まっていて、後半の三味線をリズムにオーケストラを重ねる粋な劇伴で感情が一気に溢れてくる。
僕は監督の過去作の「怒り」が好きで、あの時感じた映画作品としての巧さが成熟して奇跡とも言える形になったのだと思っている。
6/11追記
最後の舞台へ赴くシーンで、過去の大道具が映される事で、主人公の過去が緩やかにフラッシュバックするシーンは流石だと思いました。
大釣鐘、藤棚…
細かい所に添えられた美しい演出の余韻は忘れられません。
p.s.
昔付き合っていた女性に、貴方と似てるから観て感想を聞かせて、というのが今回観るきっかけ。
その女性と、その娘さんの3人で今度歌舞伎を観に行くことになりました。
人生って不思議なものですね。
美しくもあり、泥臭くもあり
原作未読、歌舞伎の予備知識なしで鑑賞。
吉沢亮様の美しさと、蔦重と田沼様の共演と聞き、予告を観てから何ヶ月も楽しみに待っていました。
上がり切ったハードルを軽く超える出来の作品・演技・そして美しさでした。
多くの観客が、観終わった後にすぐに席を立たずに連れとガヤガヤと感想を語り合う姿が多く見られました。良い映画の特徴でしょうし、お年寄りが多かったのもあったかも知れません。
序盤、吉沢亮様と横浜流星様が舞台衣装に着替えると、どちらがどちらかの見分けがつかず、化粧でそれほど化けるという描写なのかなと思いました。もしくは自分の目が節穴か。
3時間近くあると、展開が退屈に感じる所もあり、また終盤に向かうにつれどんどん盛り上がるかと思いきや、盛り上がりが停滞してると感じる所もありました。
作りがどうのこうのではなく、いい時もあれば上手く行かない時もあるのが人生、という描写なのだと思いました。
そこに妙なリアリティを感じました。
役者・舞台側からしか見られない景色も貴重で興味深かったです。まるで自分が大拍手を受けているような気分になりました。
演目や歌舞伎について、専門家に教えてもらった後でもう一度劇場鑑賞したいと思いました。
映画館で見てよかった
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