劇場公開日 2025年6月6日

国宝のレビュー・感想・評価

全2138件中、41~60件目を表示

2.0人間国宝も軽く見られたもんだ

2025年6月7日
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鑑賞方法:映画館
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トルティーア

4.5撮影、俳優、脚本、及び監督が凄い、久しく見ていない芸術至上主義の映画に拍手

2025年8月1日
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泣ける

知的

ドキドキ

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Kazu Ann

4.0男の世界。ウ〜ン、マンダム。

2025年6月18日
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知的

幸せ

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Mr.C.B.2

4.5どこ見てたんやろな

2025年6月7日
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鑑賞方法:映画館

あっという間とは言わないが、175分が長くない。田中泯を筆頭に、描かれる人物の佇まいだけで十分に画面が持つし、主人公喜久雄(黒川想矢、吉沢亮)の、内なる狂気が溢れ出て隠せない感じとか、ほんの少しだけ届かない俊介(越山敬達、横浜流星)の演じ方とか、巧者たちの演技合戦が贅沢で見事。
それでも、「人間のまつ毛って、上からライトが当たるだけで、こんなに影が伸びるのか」とか、「あの白粉どうやって落とすのかな」とか、観ていて、ちょいちょい思考が脱線気味になったのは、歌舞伎に詳しくないこちら側の責任。
ポスターのコピーがいう「血筋と才能」の問題や、そもそも「芸とは何か」とか、そこに「国宝」という言葉が当てられる意味とか、明確な輪郭を持たないものが個人を超えて伝承されていくのはどうしてなんだろうかとか、諸々についての問いかけを受け取った。

この映画、逆予告編詐欺というか、ネタバレのように切り取られて、軽く描かれているセリフや場面の数々は、本編で観ると全く違った重みで届いてくるので、やっぱり映画館で腰を据えて観るのがよいと思う。

特に「震えが止まらんのや」のシーンはものすごくよかった。
あと、個人的には、ホテルの屋上での「どこ見てたんやろな」の吉沢亮と、ラスト近くの瀧内公美がものすごく好み。

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sow_miya

4.0持つ者と持たざる者の苦悩

2025年7月4日
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かぼ

5.0国宝級の評価を受けるべき映画

2025年6月10日
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全てに圧巻の日本映画です。李相日監督はもはや巨匠の域に達したと言える程である。
日本はこのような作品で米アカデミー賞やカンヌのパルムドールを獲るようにすべきだと思う。
歌舞伎については全く無知識なので、歌舞伎on the webで調べると重要無形文化財各個指定(人間国宝)の歌舞伎俳優は物故者含め過去28人(重複も含め)いた。女方では5人しか到達していない。生きている間が指定されてるので現在、女方では坂東玉三郎のみ1人である。人間国宝はとにかく凄いのだと思う、。又多くの歌舞伎俳優が現代劇の映画やテレビで素晴らしい演技をされている。なので、歌舞伎は伝統文化を継承しながら日本のエンターテイメントをも下支えしていると言える。
映画は吉沢亮と横浜流星の歌舞伎俳優になりきった舞台での演技がとにかく素晴らしい。映画館の大画面でさまざまな演目を観れたが歌舞伎をちゃんと観たことがない私からすれば本物としか思えなかった。特に2人がそれぞれお初を演じた「曽根崎心中」ラストに吉沢亮が演じた「鷺娘」には目を奪われた。稽古は1年程度だったそうだが、役者としての魂を感じます。昨年は吉沢亮は「ぼくが生きてる、ふたつの世界」横浜流星は「正体」で高い評価を得たが、この「国宝」はその評価を超えるものと思います。
又少年時代を演じた黒川想矢と越山敬達はそれぞれ近年の重要作品である「怪物」「ぼくのお日さま」で主演し評価を受けたがこの大作で更に注目を集めたので5-10年先には今をときめく映画俳優になってるであろう。更に田中泯、渡辺謙、永瀬正敏、寺島しのぶら重鎮の演技が映画を重厚なものにしたし、高畑充希、森七菜、見上愛の存在も欠かせなかった。
そして、瀧内公美がカメラマン役で数分だけ国宝となった吉沢亮と言葉を交わしたが、悪魔との取引を知る唯一の存在の言葉は、この壮大な物語の本質を示していたのかもしれない。
もう一回、いや何度も観たい。と思える素晴らしい作品でした。

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アベちゃん

4.5要るべき場所。

2025年6月6日
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SAKURAI

4.0血か才能か…相克の大河ドラマ

2025年7月11日
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しゅうへい

5.0なんか、すごいものを見た

2025年6月13日
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なんか、すごいものを見た、というのが、見終わった時の感想。
3時間の長さを感じさせない、濃密で無駄のない感動的な映画だった。
出演者すべてよかったが、吉沢亮と横浜流星は別格の、役が憑りついたような演技。二人が歌舞伎の舞台で踊るシーンは、厳しい稽古シーンの前振りもあって、ぞくぞくするような凄みを感じた。
劇伴の盛り上げ方、カット割りとアップの使い方のうまさ等々、映画としての質が極めて高く、感情のうねりがもろに伝わってくる印象的なシーンが多かった。今年のベストワン。

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ファランドル

奇々怪々な部分が多い映画でコンペティション部門に出品ならず

2025年6月8日
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marieluise

4.0酷法と果報

2025年6月9日
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uz

4.0梨園の女性はしたたか

2025年7月22日
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公開から一月半ほど経過しましたが、いまだに満席状態が続く超人気作品。
高齢の女性グループが目に付くのは珍しいですね。
ワタシ的には吉田修一さんの作品(原作)は苦手で映画は敬遠しがちなのですが、余りの人気ぶりにその理由を探るべく鑑賞しました。
結果、映像が美しかったですね!最前列で観たからこその白塗りの毛羽立ちや首の皺、そして目頭から湧いてきて今にも零れ落ちそうな涙など、圧巻でした。
主人公たちの中学生時代を演じた二人も良かったですね、大人になってからの吉沢亮&横浜流星はもちろん美形で、その姿を観るだけでも十分な価値を感じました。
ただ、描かれる世界はやはり吉田修一ワールドでドロリとしたもの、そして男どもは大概どこかクズなのに、女性たちはしたたか(途中で姿を消した森七菜さん以外)、特に高畑充希さんの常に微笑を浮かべる姿や、家にしがみ付きながら、きちんと成果を残す寺島しのぶさんの生きざまはあっぱれでした。

さて、歌舞伎絡みでひとつ。歌舞伎役者とは本作のように「家」や「血」が重要とのイメージは多くの方が抱いていると思いますが、歌舞伎にとって欠くことのできない存在である「清元」や「竹本」、知り合いの方の親戚がこの竹本であり、しかも人間国宝!
ただ、竹本に関しては代々その血筋ということではないらしく、この人間国宝の方も若い頃に【ビビビッ!】と来て入門、芸を極めたとのことですから、同じ舞台に立つものではありながらこちらは実力次第の世界なのだなぁと、この作品を観て、教わった話を再度思い出した次第でした。

上映時間は長いですが、ダレることなく一気に観られた佳作でした。

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ニコラス

4.5鋭い眼光が射る才能、しなやかに手招かれたただならぬ運命

2025年6月28日
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hum

5.0その道と芸を極めた者を“国宝”と呼び、それを魅せてくれた映画を“至宝”と呼ぶ

2025年6月8日
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近大

4.0…血筋

2025年6月6日
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しろくろぱんだ

5.0心持ってかれた・・・

2025年6月6日
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今年の邦画No.1は確定かと。

もうめちゃくちゃ圧倒されました!!
すごい映画です。

吉沢亮、横浜流星、渡辺謙、そして田中民の迫力ったら。
歌舞伎を通して人の生き様を見事に表現してると思う。
李監督はすごいわ。

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後日談

【国宝】2度目の鑑賞。
公開から2ヶ月過ぎてもすごい人気。
平日なのに茨木イオンシネマほぼ満席。

あらためて観てみると、実に怖い映画だと思う。
人の運命の無常、栄華盛衰、天国と地獄…

鬼ほど稽古しても、本番前に震える手。
自分を奮い立たせながら何度も何度も舞台に立つ。
そして容赦なくやってくる試練。
誹謗中傷や妬み、やっかみ…
おかみさんはいつまでもキツい態度だし…(火垂るの墓の実写版は、あの親戚のおばさん役は寺島しのぶしか考えられないと思う)

でも、考えてみた。この映画ほどドラマチックでないにしても、みんな、誰しも、多かれ少なかれいろんな山谷がやってくる人生です。
私も日々仕事でナレーションのために故人さんの人生を取材するたびに、本当にいろんな人生があるものだと思ってます。

この映画の2人が2人とも、スポットライトを浴びて全身に喝采を受けた煌びやかな日々もあれば、地に落ちて一時は文字通り這いつくばって苦渋の日々を過ごしながらもまた表舞台に上がれたのは、きっと人生をあきらめなかったから。自分のことを見放さなかったから。
しみじみ今日はそう思った。

ほんとに素晴らしい作品ですよね。
アカデミー外国語映画賞獲ってほしいな。
吉沢亮くんと横浜流星くんと田中泯さんに、ぜひ賞を🏆

それにしても今日は隣の席の人のお腹がグーグー鳴ってて気になった…
これは仕方ないにしても、前の席の初老爺が上映中に携帯LINE見始めたから速攻言ってやめてもらった…

こういうメジャーヒットの映画では普段あんまり映画観ない人がわんさとやってくるから、あるあるです💦

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Mariko

0.5我慢の3時間でした

2025年7月14日
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とにかく脚本と演出が良くない。
映画らしい映画だとは思えませんでした。

最初の子役から、踊りの良さが出ていないのに、「美しい、大したものだ」とセリフで全部説明して、どんどんシーンを繋げていく。
歌舞伎や文楽、演劇をよく見るので、必要以上に厳しい見方になってるのかな?と思いましたが、未経験者が上手く踊れないのは当たり前だと思うのです。
でも、映画なら演出とか編集で魅せるものじゃないでしょうか?エピソードが詰め込まれすぎて、余白のようなものがないのです。
これは俳優ではなく監督、演出部の問題だと思いました。

ファーストカットから違和感があって、主人公が白粉を塗られて、感触にビクッとするのが、どうも一瞬遅く、無理に誇張されているような気がする。
その後の物語が、病気や死、子供ができるなどと、ずっと即物的で残酷で、人の心理が細かく描かれてなくて、脈絡がない。
美術も映像も粗い。道成寺というのは僧が大勢後ろにいる演目のはずなのですが、素舞台のようなところで、役者が走り回っていて、小劇場のように見えてしまった。曽根崎心中の台詞回しも義太夫の発声になっていないし、芝居の内容が踏まえてあるようには見えなかった。

歌舞伎を知らない人に、親しんでもらえるチャンスかもしれないのですが、残念なのは、江戸や上方の粋人のユーモアの結晶、みたいな部分はまったく取り上げられず、ドロドロした生々しいお家騒動、スポ根的な価値観とばかり結びつけられている。
役者を精神的に追い詰めてるのをアップで撮って、真に迫った演技と見せかけているような感じ。役柄に個性や深みがないから、俳優も演じる内容がなくて、素を出すしかない。
苦しそうで、正直、見てるのが辛かった。
フィクションではなく、歌舞伎に挑戦する俳優のドキュメンタリーとして楽しめばいいのかもしれませんが…歌舞伎も映画も、もっといいものだけどな…と思いました。

ファンタジーだから、人間国宝をどさ回りやドヤ街のイメージと結びつけ、悪魔に魂を売った、などと設定してもいいと思うのです。しかし実際の人間国宝の方々がされるような地道な努力や、伝統を継承しようという思いに目が向けられないのも残念でした。
人間国宝に限らず、人としての品や知性がないと、いい役者にはなれないですよね…個々の俳優たちではなく、あのフィクション世界のキャラクターたちに、それがあるとは思えなかった…。

ヤクザ映画としても、七十年代の東映映画なんかとつい比べてしまうと、演出や様式美の面でもう少しなんとかできないのかと…。

イケメンが出てればなんでも良いって訳じゃなくて、自分は映画を見たかったです。そりゃ見方はそれぞれですし、これだけ人気のある作品ですが、宣伝を過信してはなりません!と注意喚起。

……
最初に書いた記事がわかりにくかったかと思ったので、加筆しました。個人の感想です。
日本の伝統芸能のお稽古事を続けていますが、感動を強要するようなものではなく、見る人を自分自身に出会わせてくれるような、懐の深さやおおらかさを感じます。その上で矜持や美学もあります。
それぞれの見方、考え方があって良いと思っています。

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Yuyu

4.5話題のこの作品(傑作!!!)。いつ?どこで?誰と?どのような関心を持って臨むか?

2025年7月13日
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幸せ

ドキドキ

やっとこさ観れました。

シアターにとってよいのか?悪いのか?
梅雨時は従来の1か月前に訪れ、本作の幕開け6月はすでに灼熱地獄の日々。

ウィークデーはなかなか都合がつかず、ウィークエンドにどこで?どの時間帯に?と悩みます。暑い最中の外出は憚られる。我知らずドライブインシアターをググっていました(笑)

結局、日中は日差しで溶けてしまいそうなので💦、多少なり日影ができる夕刻を選択しました。

我が家は、皆それぞれ単独行だったのですが、一緒に観てすぐにでも感想を楽しむべきだったと悔みました。

いやぁ、驚きました。なんたる映像美。そして、吉沢亮、横浜流星はこの時代を代表する最高峰のアクターと思いますよ。
スゴイわ。この若さでてっぺん取れるわ。やはり、シアターで観ないとダメな作品でした。とくに後半ですね。前半はちょっと・・・。
しのぶさん、鴈治郎さん、謙さん、泯さんもスゴイな(とくに田中泯さんですね!!!)。

最近はネトフリやアマゾンの機会もありますが、初見がテレビ画像ではもったいないですね。

歌舞伎の世界に飛び込んだ男を描くために、歌舞伎のような舞台を見せはしますが、実際の歌舞伎舞台とは違います。俳優陣はそれなりの努力で「らしさ」を表現し、カット割りで伝統芸能の魅力をコンパクトに表現している作品です。
そこに魅せる男の生きざま。素敵ですね。血筋の話は玉三郎さんか・・・。
タニマチも芸能界(+スポーツ界)あるあるの話ですね

原作は未読ですが、ホン(脚本)が素晴らしいです。
トレーラー(予告編や宣伝用の動画)がいくつもあるので見ておいた方がよいと思います。ロンドンのグローブ座と比べても遜色のない、我が国の無形文化遺産である歌舞伎の世界を垣間見れるのではないでしょうか。

シアターでは若いカップルがたくさん鑑賞していました。これも素晴らしい!!

閑話休題、ほぼ週7日デイタイムは忙しいと、いつシアターに行けばよいのでしょうか?終電から逆算するのかもしれませんが、20時台の開演まで待つのはちょっと厳しいなぁ。シネコンってこんな商売だったっけ?当初の川崎チネチッタとはちょっと違うような・・・

それと、スタッフロールでとても驚いたのは配給が東宝???なんでーーー???

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月イチひとりでシアターへ

4.5修羅の道を突き進んだ先に見えた景色

2025年6月10日
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ゆり。

4.5国宝

2025年6月8日
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感想

一日本人として恥ずかしい話なのかも知れない。歌舞伎という伝統芸能に今までそれ程深く関知した事がなく、また深く知ろうとする事が無かった。しかし今回李相日監督の本作を鑑賞して感じたのは歌舞伎は17世紀頃から始まり歌舞伎の名跡ごとに得意とする演目がありそれぞれの時代にそれぞれの演目を得意とする役者の個性が重層的な文化として積み重なり現代にまで継承されてきている事。各演目の話の素晴らしさ、舞台上でのひきぬきの華やかさ、照明演出などの色彩の素晴らしさ、そして全て血筋が最優先する梨園の常識は現代社会の常識とは掛け離れる事もあるのたという事だった。

稀代の歌舞伎役者である花井半二郎に天賦の才能を見込まれ女形役者になるという道を選んだ長崎の任侠の遺児、立花喜久雄。彼が最終的に芸そのものが重要文化財に相当する以上の人間国宝となるまでの間には芸一筋を優先した余りに関わりあった多くの人間に迷惑を掛け、立場が失墜し地べたを這いつくばる様な巡業と修行の日々など人生の栄枯盛衰を繰り返す事もあったがそのような自身の生き様をも芸の肥やしとして全てを昇華させ創出された女形の数々の芸術的所作、指先の払いひとつまでに拘りを持つという深淵な心理と醸し出される優雅な品格、正当な継承権が無い中で芸そのものを己の力で更に磨き上げ、血統をも凌駕する事を体現し到達していく孤高とも言える精神と心理を描いており人間国宝推挙後、物語の最後に描かれた演目「鷺娘」での見事な舞は自分の内では鳥肌が立ち震えが止まらない程の感動を引き起こした。

方や血統を有している事だけを拠り所として芸の習得に励むも目に見えない「芸は名を助く」の本意を理解出来ずライバルである喜久雄が放つ渾身の一芸を目の当たりにしてその芸域に達する事は不可能では無いのかという不安が心理的な抑圧に繋がりその重圧に耐えられなくなり一度は現実逃避してしまう。しかしその連綿と続く歴史的大名跡と代々役者であるその血統が自己を再び奮い立たせ大成していく大垣俊介(花井半弥)。彼の人生の中で一命を賭しても関わりたいとした代々の名跡が受け継いできた演目である「曽根崎心中」を半半コンビとしてのお初を俊介、徳兵衛を喜久雄が17年振りに演じた最後の共演はまさに命懸けで全うしようとする姿が感動し涙を誘う。大垣俊介(花井半弥)はかねてより療養中であった糖尿病という不慮の病に倒れ片足を切断。活躍の余地を残しながらも早逝する。

その後16年の歳月が流れ三代目花井半二郎(喜久雄)は我が国最年少の人間国宝に推挙される。人間国宝となりイメージする風景を記者に尋ねられた瞬間、漠然と眼前に広がる漆黒の空間に粉雪が舞い降りる映像が広がる。喜久雄は眼前に浮かび上がるそのイメージが何なのか暫くは解らなかった。
時が経ち演目「鷺娘」をかつて小野川万菊が披露した時と同様に今度は人間国宝三代目花井半二郎として自らが今迄生きてきた自分の人生を振り返りながら全力で舞い踊り舞台に伏し倒れこんだ時にそれは起った。次に目を開いた時にそれまで舞台に降り注いでいた紙吹雪は本物の雪となり喜久雄の眼前に降り注いでいる。そこでスポットライトに照らされる喜久雄。その周りは漆黒の空間が広がる。優しく舞い降りてくる粉雪。

優しく舞い降りる粉雪ー。それは喜久雄の過去の消し難い記憶に始まり、歌舞伎という一芸道に孤高の存在を晒し身を削りながら捧げてきた苦労。その結果日々の精進が報われ、栄誉を得る事が出来て現在スポット浴びているという、一連の想いの全てが集約されている世界であった。その世界を感動し見つめている喜久雄。「この世界を見たかった!」笑顔になる喜久雄のアップ映像でエンドロールを迎える。

生涯に渡り歌舞伎道に邁進しその芸をそれぞれの立場で運命が変わりつつもその道を極める事となった立花喜久雄(花井東一郎)と大垣俊介(花井半弥)。このライバルとも言える両者の流転の人生を歌舞伎を通じて各自の芸の習得とその実践を克明に描き出す一大人生譚の作品となっている。

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配役

立花喜久雄/三代目花井半二郎:吉沢亮
とにかく役作りが気合いが入っており素晴らしい。歌舞伎役者として追求する芸の奥深さに悩む姿や人間として過ちもあるが全てを受け入れる姿勢や芸の高みを目指すひたむきな姿に感動。◎

大垣俊介/花井半弥:横浜流星
大名跡の御曹司役だか芸の奥深さに恐怖を感じ逃避してしまう俊介の役を好演している。死に際の「曽根崎心中」のお初の役作りは素晴らしく、こちらにも◎をあげたい。

二代目花井半二郎:渡辺謙
上方歌舞伎の大名跡を継ぐ歌舞伎役者を演じていた。流石!ハリウッド俳優。喜久雄の女形の才能に役者としての勘が働き立花組崩壊後貴久雄を大阪に引き取り息子の俊介と同様に厳しい稽古を付けて二人を大成させる礎を創り上げる。

小野川万菊:田中泯
女形人間国宝小野川万菊。歌舞伎に全てを人生の全てを賭けている大歌舞伎役者。門弟から大出世した孤高の役者であり二代目花井半二郎亡きあと、歌舞伎界に隠然たる影響力を持ち続け、三代目(喜久雄)に自分と同類の香りがあると本能的に感じ取り、更なる試練を与えるように距離を取り、花井半弥(俊介)の梨園復帰の後楯となる。その後三年、万菊は齢九十歳を超え自身の死を意識した時、歌舞伎界の将来を予期する様にそれまで路頭に迷う程に困窮していた喜久雄を突然呼び出す。歌舞伎からも引退し全てを投げ打ち、何もない伽藍堂の様な部屋に死を待ちながら起居する万菊。「この何も無い部屋で目醒めると全てから赦され解放された気持ちになる。」と喜久雄に素直な自分の気持を吐露する。徐に扇子を差し出し「踊りなさい。踊って見せて欲しい。」と喜久雄に語りかけ、万菊の前で「藤娘」を舞う喜久雄。
万菊は喜久雄を初めて本物の歌舞伎役者であるとお墨付きを与え、梨園への復帰も認められる。万菊は全てを投げ打ち失っても継続し自己の芸そのもの質をあげる精進をする事が芸事の真髄で有る事を喜久雄に身をもって自覚させる。この復帰のお墨付きがきっかけとなり喜久雄は人間国宝を目指すことになる。

少年立花喜久雄/黒川想也
任侠の一門に生まれるも上方歌舞伎界の大名跡二代目花井半二郎に女形の天賦の素養を見出される。「積恋雪関扉」の遊女墨染の姿にビジュアル的に感動するだけではなく所作がとても素晴らしく感動。◎

他オールスター豪華俳優陣でその演技は全員素晴らしかった。

監督:李相日
脚本:奥寺佐渡子
歌舞伎の舞台シーンは勿論の事、人間関係の緻密な演出手法にアングルを含め感嘆するシーンの連続であった。特に印象的なのは手、足の払いや振りを丁寧に画に取り込んでいて監督らしい素晴らしい描写と感じる。◎

脚本としても原作を良くこなしていて貴久雄と俊介の青春ストーリー展開が素晴らしかった。◎

美術:種田陽平
長崎の料亭シーンはタランティーノばりでワクワクする。舞台シーンがとにかく素晴らしい。俯瞰したアングルも全体を見渡せて上手下手が意識出来る映像となっていて素晴らしい。

撮影:ソフィアン・エル・ファニ
視点的に肩肘の張っていない自然な画が撮れていた。

音楽:原摩利彦
幻想的で印象に残る音楽であった。

想像以上の素晴らしい出来映え。

⭐️4.5

2025.8.30再観賞追記

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Moi
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