「時間の長さを感じさせない」国宝　あいわたさんの映画レビュー（感想・評価）

今時珍しい3時間映画だが、その時間の長さを感じさせない臨場感と緊張感であった。
具体的にストーリーのどこが良かったのかと問われるとよく分からないというのが正直な感想だ。本当に山あり谷ありの人生を描いた作品だが、主人公等の人間性が優れている訳でも無く、描かれ方は淡々としていて、ここに感動するというピークの場面が設定されている訳でも無い。但し、美しい映像とともに1人の人生を丁寧に描き切った点に私は清々しさを感じた。
「人間国宝と呼ばれる人も色々な苦労をしてきた」というと安いストーリーになってしまうが、どちらかと言えば、「どんな人間にもストーリーがあって人生は美しい。ほら、人間国宝だってこんなもんだぜ。」と言われているような、孤高の世界を描いているはずなのに、不思議と観客に自分の人生を振り返らせてしまうような作品だった。