劇場公開日 2025年6月6日

「役者として最高の景色を見るために」国宝 ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5役者として最高の景色を見るために

2025年7月4日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

人生の終盤にいる僕がこのような人生絵巻を見ると自分の人生と重ね合わせて観てしまう。歌舞伎という超伝統社会の中で、後ろ楯なしのアウトサイダーとして生き抜いた男の人生は感動的である。その激動の人生はヤクザの抗争で大親分である父親を殺されることから始まる。激しい浮き沈み、犠牲にされる女性、というと上昇志向の塊のような灰汁の強い男を想像するが、彼は彼の歌舞伎同様しなやかな男だと僕は思った。
彼の目指したものは富でも名誉でもない。歌舞伎役者として、最高の景色を見たいという一心で生き抜いたのである。
そして節々で彼の人生を導いた田中泯演じる人間国宝小野川万菊、そして歌舞伎という伝統的な社会の在り方にどこか懐疑的で喜久雄を陰から見守り続けた雑誌記者竹野の存在は忘れられない。この記者は在日として日本社会のアウトサイダーとして生きる李相日監督自身なのではないだろうか。
訂正/三浦貴大が演じた竹野は興行会社の社員ですね。

ゆみあり
ひなさんのコメント
2025年7月5日

ゆみありさま

長いレビューを読んでいただき、2作に共感とコメント返信、ありがとうございました🙂

竹野の件は失礼かと思ったのですが、竹野がキーパーソンかつアウトサイダーという視点に共感したので、コメントさせていただきました🤔

三浦貴大さん(三浦友和と山口百恵の息子)や、寺島しのぶさん(梨園)という、本物の「血筋」の役者にその「血筋」の台詞を語らせたこと。
最後の主題歌の作詞に坂本美雨(坂本龍一と矢野顕子の娘)を起用したことにも、本作に対する監督の譲れないものを感じました🧐

何故本物の歌舞伎役者を使わなかったという理由は、パンフレットにある李相日監督の「歌舞伎を見せる以上に”歌舞伎役者の生き様”を撮りたかった」、という言葉が答えだと思います。
私なりに答え合わせをしたくて、中村鴈治郎さんの言葉に行き着きました🫡

ひな
ゆみありさんのコメント
2025年7月5日

コメントありがとうございます。ご指摘のとおり、竹野は興行会社の社員でした。竹野は存在自体は地味かもしれませんが、話のなかではかなり重要な役回りだなと後になって気づきました。なのに迂闊でしたね。

ゆみあり
ひなさんのコメント
2025年7月4日

ゆみありさま、初めまして🙂
コメント失礼します。

>歌舞伎という伝統的な社会の在り方にどこか懐疑的で喜久雄を陰から見守り続けた雑誌記者竹野の存在は忘れられない。

竹野(三浦貴大)は記者ではなく、興行主(松竹がモデル)の社員です。
人間国宝になった喜久雄を取材したカメラマンは、藤駒(見上愛)との娘の綾乃(瀧内公美)でした。

>この記者は在日として日本社会のアウトサイダーとして生きる李相日監督自身なのではないだろうか。

李相日監督が「血」という意味で日本映画界のアウトサイダーと考えると、喜久雄(吉沢亮)の立ち位置ではないかと思いました。

ひな
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