「カルマ、カルマ、カルマ!」国宝 joさんの映画レビュー(感想・評価)
カルマ、カルマ、カルマ!
序盤。雪景色に広がる父の「赤」から始まったこの物語。
終盤。今度は主人公自身が、舞台一面の白に、鮮やかな「紅」を花開かせる。
その対比を見ての、私の解釈。
「ラストで主人公が見た景色は、
父親が(に)見た景色と同じだったんじゃないか」。
◆
つまり、
「やくざ者」(父)と「(人間)国宝」(主人公)。
傍目には、そこには「大きな違い」しかない。
しかし、その両者は、本質的にはほぼ「同じ」。
どちらも、人間のどうしようもない「業」を背負っていて、
周りを傷つけながらも、必死に生きている。
風が吹けば、いとも簡単に吹き飛ばされてしまうような、
「儚い」存在にすぎないのに。
だけど。
そんな人間が、それでも美しい。
いや、それだからこそ愛おしい。
そんな物語として、私は受け止めました。
◆ ◆ ◆
原作未読ですが、
この物語を映画にしようとした製作陣の勇気と、
ここまで素晴らしい映像作品にした、
監督・脚本・出演者に、心からの賛辞を贈りたい。
李相日さん、相変わらず、ヒリヒリさせてくれます。
感情だけでなく、人生ごと。
三浦貴大さん、いい味出してたな。
黒川想矢さんも、どうか「芸」につぶされず、
役者として、人間として、生き抜いてほしい。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。