劇場公開日 2025年6月6日

「魂が震えました」国宝 酒呑童子さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 魂が震えました

2025年6月27日
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鑑賞方法:映画館

鑑賞後、ここまで心を揺さぶられることを実感した映画は初めてです。
私はごくごく一般の映画好きなだけので、映画について専門的な評価や評論を下すことはできません。
でも、映画を観終えた時にここまで魂が揺さぶられ、感動という言葉が陳腐に思えるほどに感じた映画は未だかつてありませんでした。
それは監督さんをはじめとするスタッフの方々、出演された俳優さん、この映画に携わられた全ての皆さんが、何一つ手を抜くことなく、本気で、極限まで自分を追い込んで取り組まれたことの証であり、その気魄がスクリーンを通じて伝わってきたからこそ、終始涙が止まらずに3時間の長い時間を過ごすことができたのだと思います。
どのような世界であれ頂点を極めることの厳しさ、そこに至るために払わなければならない数多の犠牲、そしてそれらを乗り越え、頂点に辿り着いた者だけが見ることを許される風景は、私たち凡人には想像することすらできません。この映画を観終えた時、イチローさんが引退記者会見で、「後悔のあろうはずがない。」と自らの野球人生を語られたシーンが脳裏をよぎりました。ラストシーン、人間国宝となった喜久雄が、鷺娘を踊り終えた舞台で一人天を仰いで呟く最後の一言。頂点を極めた者だけに見える景色を見た瞬間。あの表情と台詞に心の底から痺れました。歌舞伎という日本の伝統芸能でありながら、多くの日本人に馴染みが薄くなってしまっている舞台芸術。そのような伝統文化を守り続け、紡ぎ続けてきた人たちに対する畏敬と感謝の念、そして私たち日本人はそんな奥深い伝統文化を自らの血液に受け継ぎながら生きている誇り高き民族なんだという自覚を改めて認識させられた映画でした。

酒呑童子
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