劇場公開日 2025年6月6日

「芸のためには悪魔に魂を売る」国宝 Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5芸のためには悪魔に魂を売る

2025年6月11日
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鑑賞方法:映画館

ヤクザの息子の喜久雄は父を殺された後、歌舞伎役者の花井半二郎の弟子のなって東一郎を名乗り、半二郎の跡取り息子の俊介(花井半弥)と切磋琢磨しながら女形として頂点を目指す物語。

約3時間の長尺が気にならないくらい引き込まれて観ることができた大きな要因の一つは素晴らしい映像美があるだろう。

また、吉沢亮や横浜流星などの演技も、踊りや所作が素人目にはすっかり様になっているように映る。

プロットに関しては、あれだけ長編の原作小説をどう映像化するのかを楽しみに行ったのだが、思った以上に大胆に刈り込んでいて、徳次は最初の場面のみ、弁天や辻村はないことになっていたのには若干驚いた。

ただ、それは基本的に喜久雄と俊介に焦点を当てて視点がブレないようにするための工夫であり、その試みは成功していると言えるだろう。

そもそも原作を全部を入れようと思ったら、少なくとも本作の3倍くらいは必要になりそうだし、丁寧に舞台の場面を描いていけば「大河ドラマ」にすらなり得るだろう。

歌舞伎への見識があればもっと楽しめるのかも知れないが、歌舞伎弱者の自分でも十分に楽しめた。

昔、「読んでから観るか、観てから読むか」なんていう角川映画のコピーがあったが、どっちもありな気がするが、自分は事前に読んだ知識で欠けている部分を脳内で補填しながら観ることができていた。

Tofu
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