「気持良い緊張の3時間」国宝 Eijiさんの映画レビュー(感想・評価)
気持良い緊張の3時間
信念を貫いた一人の男の人生を見せられました。
人生が違っていたら別の「血筋」で生き抜いていたはずの彼だったからこそ、というところも面白かったです。
先代からの教えと観客からの歓声を背に、限られた人にしか観られない景色を求めて、何があっても女形として踊り続けた、だからこそ最後に、これ以上ない名誉にも負けないほどの「ご褒美」を思いがけず手にできたんだと思います。それは数多くの犠牲を払ってきた彼の救いにもなったんではないでしょうか。
少年期を過ごした長崎ではあまり観ることのなかった?雪景色、それは時折脳裏にちらちらと浮かぶ景色と重なり、最後の紙吹雪につながりましたね。
「どんなに歌舞伎が憎くても舞台に立ち続けるんだ」って言葉は何だか印象に残りました。
そして、3時間続いた緊張のなかでも、緊張で化粧できずにいる東一郎に対して半弥が手を差し伸べる場面では、緊張が伝わって涙が漏れるということを初めて経験しました。
終始ストーリーを昇華させる映像でしたが、中盤と後半の2回、二人の男の人生と「曾根崎心中」をシンクロさせる場面は特に見事でした。
「怒り」で最後の一瞬で強烈な印象を残した高畑充希さんが今作でも、大切な役回りを抑えたトーンで上手に演じられていました。
これまで吉沢亮さんの出演作はあまり鑑賞する機会がなかったですが、他の作品も観てみたくなりました。
そして、歌舞伎が鑑賞したくなりました。
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