劇場公開日 2025年6月6日

「オールタイムベスト級」国宝 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0オールタイムベスト級

2025年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興味深い作品が多い今週公開分から、迷わず「初日はコレ」とチョイスした本作。大きな劇場であるTOHOシネマズ日比谷SCREEN1は、平日にもかかわらずかなり多くの客入りです。
ちなみに私、吉田修一氏による原作は未読。また、歌舞伎そして梨園について知識がないばかりか、(歌舞伎の)観劇経験も皆無で完全なる門外漢。とは言え、作品を重ねるごとに凄みが増していく李相日監督ですし、劇場でトレーラーを観て今回も間違いないだろうと楽しみに。ただ、一点気になるとしたら約3時間ある上映時間。ところが、観終わればそんなことは全くの杞憂で、175分は一切長いと感じないばかりか、無駄と感じるシーンは一つもありません。特に歌舞伎を演じる「舞台シーン」は複数回あってどれもしっかりと長尺で、撮る側と撮られる側双の方に一切の妥協が感じられず、そのあまりの凄まじさに度肝を抜かれて震えが止まらないほどの迫力です。そのためこれからご覧になる方は、吉沢亮さんと横浜流星さんの素晴らしい演技を堪能するためにも、是非とも劇場へはお早めにお越しいただき、しっかりと備えて作品に集中してください。(勿論、無理は禁物です。)
と、冒頭から抑えきれない絶賛が駄々洩れして止まりませんが、本作、(全ての俳優の)演技、演出、脚本、撮影、照明、音響、美術、音楽、編集などなど、どこをとっても素晴らしい「プロたち仕事」の集積が正に「映画」として仕上がっていて、「非の打ち所がない」と言う言葉すらおこがましいと感じるほどに完璧。作品全体の構成から見れば「中弛み」しかねない中盤のドラマシーンも、キャラクターそれぞれの心境がこれ以上ないほど伝わってきて、だからこそその後の展開に更なる感動が生まれます。
或いは、昨今当たり前となった「キャンセルカルチャー」の目線からみれば、作品冒頭の出来事(事件)に始まり、その設定や更に劇中に起こるアレコレに昭和後半の時代感も強く感じて、全く理解や共感が追いつかない方もいて当然かと思います。そして勿論、その時代を生きてきた私だって、現代(いま)それを肯定することは憚られますが、自身も少し前に世間をザワつかせた吉沢亮さんに対し、恐らくは多々あったであろう難しいことを乗り越えられたことと、今作における見事な演技を心から賞賛するとともに、今年度の映画賞を席捲してくれることを切に願ってます。
それにしても、本当に素晴らしかった。当然に配信ではなく劇場鑑賞を強くお勧めする一本です。私にとってはオールタイムベスト級の作品で久々の満点評価に。いやぁ、感動しました。

TWDera
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