「将来性豊かなキャスト陣が贈る青春部活学園モノコメディ映画」新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! ブリティッシュショートヘアさんの映画レビュー(感想・評価)
将来性豊かなキャスト陣が贈る青春部活学園モノコメディ映画
以前から気になっていた映画。時間ができて、やっとみることができました。
主演は櫻坂46・藤吉夏鈴さん。初映画初主演ということで、緊張とかプレッシャーを感じながらの挑戦だったと思いますが、演技についてはいい意味でこんなものかな、と。初めての映画出演と考えると上出来ではないでしょうか。まあ演技力というのは経験を重ねればいやでも上がっていくものですから、この作品を原点にして経験を重ねていけばいいのです。少しだけ気になったのは声の出し方。普段あまり声を張らない子ががんばって声を張っているような感じがしました。内気な文学少女役なので役通りといえば役通りなのかもしれませんが。役に応じた自然な発声は、これから自ずと身についてくると思います。
ストーリーは現役大学生の書いたシナリオが原案らしいですが、悪い意味での青臭さはあまり感じず。脚本家さんの手腕もあって、よくできています。日大タックル問題に端を発する大学経営不正がモデルなのかな。高嶋政宏さんが出現した時点で、着地点は見えたので、そこへ向かってどう着地していくかを見守る映画でした。高嶋さんの演技は本作のコメディ要素を一人で引き受けているようで、見事な立ち回りでした。
小慣れた脚本家だったら、恋愛要素を付け足したくなるかな。でもこの作品に関しては、入れなくてよかった。私立高校を舞台に、正義vs悪、大人vs子供という単純で分かりやすい構図に絞って描き切ったのがよかったです。
ナレーションを頻繁に用いる演出は、私は嫌いではない。説明ぜりふを多用するよりもわかりやすくてよかったです。それよりも気になったのは、学生新聞がテーマでありながら、実際に新聞を作るシーンがほとんどなかったこと。活字の新聞を作るからには、専用のソフトがあって、見出しとか本文をレイアウトとか文章にこだわって作り上げていくプロセスが必ずあるはず。言葉の力で正義を実現するというコンセプトならどういう新聞を作るか、というところにもっとフォーカスを当てて欲しかった。
音楽はクレナズム。クリーンギター主体のバンドサウンドでした。新海誠作品のRADWIMPS方式で、劇伴と主題歌を担当しています。劇伴と主題歌に一体性があって、終始青春の爽やかな雰囲気がありました。ただ、緊迫感のあるシーンも爽やかな音楽が流れているのは少し違和感がありました。
上映時間は98分。テンポよく話が進んでいくのがよかった。間延びすることなく、展開が早すぎることもなく、淡々としたスピード感がちょうどいい。最終的には無事着地すべきところに着地して、オチもついて未来への余韻を残しつつエンディングを迎えます。スッキリとした後味が残る作品でした。
映画初挑戦の藤吉さんをはじめ、将来ある成長途上の役者さんが多数出演されている映画です。出世魚でいえば、第一形態か第二形態。成長を見守る視点がほんの少しでもあれば、さらに楽しめる映画になっていると思います。これから先、この作品のキャストの方が別の大きな映画に出たとき、以前こんな面白い映画に出てたんだって、もう一度評価を受ける作品になるといいですね。そういう未来が訪れるように、がんばってください。
若い才能が結集した爽やかな青春映画。今後の伸びしろや将来への期待もこめて、星4つと評価させていただきます。おもしろかった!