盤上の向日葵のレビュー・感想・評価
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将棋に人生を狂わされた人達
がっかり。
「原作読んで話わかってんのに映画観て面白いの?」とまた妻に言われながら映画館へ。
あるのだよ、原作を超えていく映画が。
と自分に言い聞かせないと、なかなかそういう作品には当たらないんだって事実に負けそうになるもんだけど、昨日「爆弾」は良かったからこっちも楽しみ。
って思ってたんだけどなあ・・・。
まずオープニング、主人公がアマ新人戦で将棋に勝ち続けるシーン。
主人公が打つと顔が引きつり、やばい!!って演技をする対戦相手たち。
これだけで、今日はダメだと思いました。将棋打つ人はそんな顔しませんのよ。
そして将棋のシーンはすべてノータイム(考え込む描写なし)でパチパチパチパチ打つんで、まったくヒリヒリ感が出ない、小学生の勝負を見るよう。
そして子ども時代の主人公が温泉施設で恩師と打っているとわらわらと集まってきて「子どもながらやるなあ」「その手があったか!」と興味をもつエキストラの演技が拙すぎる。
何人かの演技巧者以外への演技指導があまいので、全体的に安っぽい映画に見える。
そこに渡辺謙が熱演するもんだから、浮いちゃうんだよね。
さらになぜか原作より30年ほど昔の話になっているだけど、IT企業のトップになる主人公だったのが、農園で活躍するってことになっていて、父親に1000万円渡すんだけど、農園の雇われ従業員がどうやってそんな金つくったの?って思うし、そもそも原作にない土屋太鳳を登場させる意味もない。
まあ、乾いたストーリーなら恋愛要素を入れろとか、女優の裸出しとけっていう営業側の要望があるってことは知ってるけど、今、土屋太鳳入れたら観客増えるのか?
そして重い場面では重い音楽、固定されたカメラ、古臭い演技、なんだか昭和の映画をみてるようでした。
申し訳ないけど、監督の力不足なんじゃないかな。
しいてアガったところをあげるなら、「地面師」でニセ地主のじいちゃんがいたのが楽しかった。
心に響かなかったな‥
すごく素晴らしい作品だった
主人公は父親の呪縛からいつまでも逃れることが出来ていないように感じ...
ちょっとこれはいただけない。
役者さんたちが素晴らしい
良く作りこまれていると思う
そんなに興味の湧いた作品ではなかったが、佐々木蔵之介、高杉真宙が割と好きな役者だったことと、予告編の空気も少し期待させるものが有ったので観賞。
【物語】
長野県諏訪地方の山中で身元不明の白骨死体が発見され、死体と共に見つかった将棋の駒が唯一の手掛かりとなった。警察はその駒が伝説的匠により作られ、7組しか現存していない希少なものであることに気付く。刑事の石破(佐々木蔵之介)と佐野(高杉真宙)は7組の所有者を調べ歩き、唯一所在不明の1組は近年プロ将棋界にすい星のごとく現れた注目の棋士・上条桂介(坂口健太郎)であることを突き止める。
石破と佐野は上条の過去を探り、上条の恵まれない生い立ちと賭け将棋の世界で名を馳せた東明重慶(渡辺謙)との意外な関係に行きつく。
【感想】
なかなか見応えのある作品だった。予告編で受けた良い予感は外れていなかった。
作品ジャンルとしてはミステリー&ヒューマンドラマ。
良かったのは、真相にたどり着くまで、刑事の石破(佐々木蔵之介)と佐野(高杉真宙)がひとつずつ真相を詰めて行く捜査が緻密に練り上げられていることが大きい。捜査で明らかになっていく上条の生い立ちや過去のエピソードの挟み方も自然。エピソード一つ一つも引き込まれるものが有った。
そして結末は予告編で想像したものとは全く違う、意外性があると同時に納得性も高かった。結末はちょっと切ないが。
役者は
主演坂口健太郎は可もなく不可も無くというところだが、渡辺謙の東明はハマリ役だった。半分アウトローでヤクザな男を演じさせると実に上手い。
その他印象に残ったのは音尾琢真。クズ親っぷりが見事だった。
一見の価値があると思える作品。
登場人物の心情、行動に理解は難しいが
生い立ちを背負って生きるとは
原作より映画の方がよかった
大分、快適
将棋の闇の世界におけるサスペンス
2018本屋大賞にもノミネートされた、柚木裕子の同名小説の映画化。若き天才棋士・藤井聡太の出現によって、俄かに注目を浴びるようになった当時の将棋界。その頃の最前線の話題をモチーフに、見事なサスペンスをコラボした重厚な作品として記憶している。柚木作品の映画化と言えば『孤老の血』の様な血生臭いバイオレンス・サスペンスを思い出すが、本作は、児童虐待から人間の根源におけるモラルに関わる生き方までを取りあげた、ヒューマンタッチなサスペンス・ドラマに仕上げている。
自分は、将棋は指さないので、対局の有利不利はあまりよくわからないが、その対局にかける緊迫感と気迫は十分に伝わる作品に仕上がっていたと思う。ただし、本物の対局は、一手を打つだけでも何分も時間を要して、究極の頭脳戦を繰り広げられているが、それに比べて、次から次へと素早く駒を指していく様子は、将棋の対局のリアリティーさに欠いていたようにも感じた。
物語の前半では、主人公である東大出身の若き天才棋士・上条桂介が、父親からの酷い虐待を受けていた、辛い幼少期が映し出されていく。そんな暮らしの中で、桂介の唯一の救いとなった将棋の魅力を伝え、圭介に温かく救いの手を差し伸べた元校長の唐沢の優しさ。その反対に、桂介にまとわりつく酒浸りの父親、そして、博打将棋で生計を立てる真剣士・東明の病んだ生き方。それにも増して、佳介の中に潜んでいた、深い罪の十字架が刻まれた禁断の血と心の闇が、最後まで桂介を苦しめていく。
ある殺人事件に関わる様々な布石が、前半から散りばめられている中で、その事件の真相を追う2人の刑事。そして、その刑事が真相に迫ったときに明らかになった、桂介の非情なる運命。桂介が常々、夢見ていた一面の満開の向日葵畑、そこに見えた一人の女性、その向日葵畑はいったいどこにあり、桂介どこに向かおうとしていたのか・・・。最後に辿り着いた衝撃のラストに、胸が詰まる。
エンドロールと劇中歌に流れる、サザン・オール・スターズの『暮れゆく街のふたり』は、物語にピッタリな哀愁が漂うテーマ曲のチョイスだった。
切ない過去を引きずった天才棋士・上条桂介には、坂口健太郎が演じ、多分だが、アカデミー賞の男優賞にはノミネートされるだろうと思う熱演ぶりだった。それを支えたのは、東明役の渡辺謙。彼の演技は、どんな役でも存在感があり、今回も汚れ役によって坂口を大いに引き立てていたと感じた。高圧的な刑事役には佐々木蔵之介、若き刑事には高杉真宙、他にも土屋太鳳、小日向文世、土屋多恵、、そして柄本明も妖怪じみた真剣士を演じていた。
不思議な感覚
キャストの熱演の甲斐なく、サスペンスは人間に迫りきれなかった
演技陣の熱量が凄い。
坂口健太郎、渡辺謙、小日向文世、音尾琢真の4人が前面で牽引しているのだが、脇の俳優陣も総じて力演、怪演だ。ただ、佐々木蔵之介と高杉真宙はメインキャストだが坂口健太郎との絡みがないからか、ややトーンが低く感じた。
音楽がまた、良い。
鬼気迫る盤上の戦いや、主人公の数奇な運命が重厚なオーケストラによって迫力を増す。
音楽を担当した富貴晴美は劇伴ではベテランだと思っていたが、まだ40歳だったとは驚いた。大学卒業後間もなくTVドラマの劇伴を手がけたのか…。
TVドラマ、CM、アニメなどの音楽を担当しつつ映画音楽も精力的に手掛けていて、今年の公開作だけでも『ストロベリームーン 余命半年の恋』『火喰い鳥を、喰う』と本作の3本がある。これらが同時期に公開されているというのも、なんだか凄い。
一方、演出は人間を見せるより将棋の勝負場面に注力していたように思う。将棋がテーマなのだから当然かも知れないが、サスペンスの演出が淡白すぎた気がする。
広範囲でロケーションを展開したようで、ひまわり畑の絶景が本物かどうかは分からないが、いずれにしても映画らしいダイナミズムが見事だった。なのに、同じ映像を繰り返して見せるシーンが何回もあって、せっかくのスケール感が縮んでしまった印象だ。
脚本がさらに残念だ。
脚本も担当している監督の熊澤尚人は、映像のイメージが先行してしまったのではないか。
殺人死体遺棄事件を追うミステリーなので、犯人がなぜ犯行に及んだかがポイントとなる。その背景に犯人の生い立ちがあり、犯行のみならず彼が将棋に命を燃やす理由も併せて伝わるから読者が感情移入できるのだ。
だが、この映画ではその大事なところが中途半端だ。迫真の演技と重厚な音楽で胸に迫ってくるようでいて、冷静に観ていると、そうなった理由の筋道が成り立っていないことに気づいてしまう。
山梨の農場をエピソードとして追加する工夫をみせているが、その効果はどうなんだろうか。
『砂の器』路線で行くなら、刑事たちの捜査の描写に工夫が必要だっただろう。元奨励会員の若い刑事を解説者で終わらせてはもったいない。
棋士の勝負魂のようなものを描くのなら、思い切ってそっちに比重をおいてもよかった。
真剣師がプロ騎士にない勝負の恍惚感みたいなものを語るのは、もう使い古されたイメージだし、壬生名人を登場させているのに主人公が壬生打倒に執念を燃やすところがまるで描かれていないから、ラストシーンに悲愴感がなかった。
ということで、力作なのだが、色々と残念なところもある作品だった。
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