「123分という制約の中で原作を破綻なく描ききり、映像ならではの何かをプラスする難しさ🎬」盤上の向日葵 ななやおさんの映画レビュー(感想・評価)
123分という制約の中で原作を破綻なく描ききり、映像ならではの何かをプラスする難しさ🎬
「孤狼の血」で知られる作家・柚月裕子の同名小説を、坂口健太郎と渡辺謙の初共演で実写映画化したヒューマンミステリー。過酷な人生を生きる天才棋士の光と闇をドラマチックに描いた作品。
ドラマチックな予告編から、これは必ず観る映画リストの1番目に据えたものの、ちらっと覗く皆さまの評価が思わしくない😅
え〜そうなの🤫どうしようかな🫣と思っていましたが、本日初心を信じて鑑賞。
そして率直な感想は、
「うん、観ておいてよかった」です。
またまた恒例の原作未読、他公開作品(2019年NHKBSプレミアムドラマ化)は全く知りません😅
そして類推するに、原作はもっと重く面白かったんだろうな🤫という想像は容易にできました。
昨年、日本アカデミー賞最多受賞を獲得した横浜流星主演、映画「正体」がこの構造に少し似ていると感じました。重めテーマの名作小説の映画化。ラストが原作とは違い希望がありました。また鏑木(横浜流星)を追う刑事・又貫(山田孝之)の物語を加えたことで短い時間の中できちんとテーマが浮き彫りにされました。
今作は、それに比べて…といいたいのではなくて、みなさんがおっしゃるように「砂の器」を思わせるような重厚な名作というのは、造り手の解釈を携えて何度でも新しい姿で呼び出されるということ。その営み自体が映画の面白さだと私は思うのです。「原作をリスペクトしつつ、世界観を壊さないように気を遣いつつ、2時間という短い時間に全てを再構成することの難しさ、そして映像ならではの何かをプラスしてみせる難しさ」
きっとそこが映像化の肝であり、面白さでもあると思うのです。
そういう意味では、本作は存分に挑戦していたと思います。全てがうまくいったかといえば、疑問も残りますが、重苦しいテーマの中でもラストに「生」を選んだ主人公には希望がもてました。自死家系という業(ごう)と向き合うには、2時間という時間は少しショートでしたかね😅賭け将棋という裏社会があることもこの映画で初めて知りました。
元から何の情報もない私には、それなりに見応えある良作映画でした。特に、父親役の音尾琢真さんの演技は秀逸でしたね。クソ親父の中にみせるひと握りの優しさと愛、微妙な役どころを見事に演じていて、助演男優賞🏆をあげたい👏渡辺謙さん、柄本明さんの対決シーンは想像通りのそれ。坂口健太郎さんの子役さんのお上手なこと👏坂口さんのハードボイルドもかっこいいんですね😎確かに盤上の絵面はもう少し見たかったし、象徴だった向日葵の説明も足りなかったかもしれません🤫
しかしながら、映画という器に合わせた取捨選択を考えるとこの再構築も理解できる範囲ではあります。
将棋好きなあなたへ、
“人生を深く考える映画”を好む人へ、おすすめできる一本です🎬
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