「「向日葵」と「狂った血」の扱いが雑 タイトルの意図が伝わらない」盤上の向日葵 スミスさんの映画レビュー(感想・評価)
「向日葵」と「狂った血」の扱いが雑 タイトルの意図が伝わらない
映画は時間の問題で「描き切れない」ことが多々あるが、本作は尺の問題というより、解釈の問題?
削ってはいけない部分が削られて、
不要な脚色が追加されていて非常に残念。
以下、好き勝手に書いてスミマセン
■向日葵の意味と残念なラストシーン
向日葵の咲き誇る風景は、主人公の母が一目を偲んで兄と密かに愛を紡いだ場所であり、上条にとっては唯一幸せだった母との短い記憶、若い頃の美しく悲しげな母の面影を重ねる場所である。
向日葵の記憶は血に刻まれているかのごとく、上条が将棋を刺す時に盤上に向日葵があらわれ、勝ち筋につながるマス目が見えるのだ。
この話がまったく描かれていない。
初めて見た人はタイトルの意味がわからない。
わたしは向日葵は登場人物たちにとって「生きた証」のように思うのだが、この映画ではぼんやりとしか描かれていないばかりか、
ラストシーンで上条に
「ここから飛び降りろ」と指し示す。
なんでやね〜ん! 向日葵に失礼やろ?!
ホンコワみたいな締めくくりで
今までのストーリーが台無しやろ!!!
と、冷めてしまったのは私だけ?
原作も、NHKドラマも、死にたくなる血に抗えず、主人公の上条は自死を選ぶ。(NHK版では上条の意志に反して刑事が飛び込みを阻止して生き延びる)
映画では東明の「生きろ」の声で我に返り、将棋の試合に向かうところで終わるが、こんなことで振り切れないから「狂った血」なのであって、受け継いだ血の苦しみがあまりに軽すぎだった。
兄以外も近親相姦の家系。兄はバレることを恐れたわけではなく血に導かれて自死したと思われる。上条の母は息子が成長するにつけ、愛した兄の面影を息子(主人公)に重ねてしまい精神を病む。つまり母の自死の原因は自分だと気づき血の因縁に絶望する。
■渡辺謙の東明は破天荒さが足りない
東明は将棋しか頭にない破天荒な策士。
渡辺謙の「生きろ」には、上条への優しさというか、父性を感じて、なんか違うなと。
東明は大事な駒を苦学生から騙しとっても何とも思わず逃げるような男。将棋以外は酒と借金とウソにまみれている。唯一将棋に生きた男が自分のノウハウを仕込んだ上条に自分自身を重ねて、ヒリヒリする将棋を指し続けてほしいと勝手に願ったのではないか。
NHK版では、東明(竹中直人)は「約束を果たした」といって最後の将棋をさし、わざと反則負けして自害する。しかし、ラストシーンで実は上条の父を殺していないことがわかる。最後まで上条を騙し、結果的に上条に罪を負わせなかった東名の描き方(自分の将棋が取れれば良し)は秀逸だった。
■いらない脚色、いらない演技
上条は優秀なディーラーとして才能を発揮したのち、IT業界で起業し成功する。「狂った血」は優秀で自死した親族もみんな優秀。ドラマ版で用意された父との手切れ金はたしか3000万...
上条にとっては、はした金といえる金額だった。クズ親父はそのことを見透かして、念書をかわさない。
が、映画ではなぜか「農家手伝い」
「狂った血」が向日葵畑にむかわせた??
いやいや、違うでしょ!
農家手伝いじゃ手切金1000万用意できないよ。
ディーラー時代の貯金? 駒買い戻してすぐディーラーやめて畑にくるのもわからないし、
ちょい出しなら恋人もいらない〜(T_T)
刑事役の台詞はオーバーだし
校長先生の奥様も申し訳ないけど
立ってるだけで色気があってミスキャスト
小日向さんの演技は良かったけど
耳をさわるクセ?が上条に引き継がれる
演出は謎…
子役は光っていたと思います。
とにかく、いろいろ残念で
NHK版と原作をもう一度見たくなった。
みき様 共感・コメントありがとうございます。どんな話もラストシーンって大事だと思うんですが、向日葵の使い方がどうにも… 共感してくださる方がいて良かったです(T_T)
すべての思いを書いていただいていて嬉しいくらいです🤣
原作との違いがあってもいいとは思っていますが、リスペクトを感じない演出の数々とラストシーンには「ええ?!」って声上げそうでした(笑)
農園ってなに?
盤上の向日葵というタイトルの意味が全く生かされていなくて驚きます。いやぁ、まだまだ愚痴りたい。
大変失礼致しました。
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