「いい役者、いい原作!だけど…」盤上の向日葵 HIROKICHI2さんの映画レビュー(感想・評価)
いい役者、いい原作!だけど…
クリックして本文を読む
心に残る作品だった。
しかし、演出にはもう一段の奥行きが欲しかった。
監督としての力量が問われる。
刑事役の佐々木蔵之介は、確かな存在感と熱量で作品を引き締めていたが、その“激アツ”な演技演出がやや過剰に感じられた。
坂口と渡辺の物語がすでに激動のドラマを抱えているだけに、同時進行する警察パートは、むしろ冷静でクールに描いた方が全体のバランスにメリハリが出ただろうと熱量がぶつかり合いすぎて、少々息苦しくなった。
【ネタバレ】
ラストで、渡辺が坂口に「お前はプロの道に進め」と言い、自らにドスを突き立てるシーン。
その行動は一見矛盾しているように見える。
事件が明るみに出れば、坂口の“プロの道”は閉ざされてしまうからだ。
しかし渡辺は、それをも乗り越え、坂口が真のプロとして生き抜いていくと確信していたのだろう。
その思いの深さが、あの一突きに凝縮されていた。
「歩兵」は将棋で一番数が多く、最も弱い駒。
前に一歩ずつしか進めない、しかし敵陣に入ると「金」に成り一気に強力な駒に変わる。
苦くも力強い、余韻の残るラストだった。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
