劇場公開日 2025年10月31日

「若手とベテランという新旧の組み合わせに引き付けられる」盤上の向日葵 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 若手とベテランという新旧の組み合わせに引き付けられる

2025年11月3日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

興奮

知的

驚く

若手とベテランという新旧の組み合わせによる名作、秀作はこれまでにも数多く作られてきました。三船敏郎と志村喬(「野良犬」など)、ポール・ニューマンとトム・クルーズ(「ハスラー2」)、モーガン・フリーマンとブラッド・ピット(「セブン」)、レオナルド・ディカプリオとロバート・デ・ニーロ(「ボーイス・ライフ」)、松坂桃李と役所広司(「孤狼の血」)など枚挙に暇がありませんが、世代や境遇の違う二人(師弟)のぶつかり合いや刺激し合う関係性が物語を引っ張っていく展開は、観客を引き付ける大きな映画的要因のひとつです。

「盤上の向日葵」は、「孤狼の血」などの作家・柚月裕子さんの同名小説を、坂口健太郎さんと渡辺謙さんという初顔合わせで映画化した心を震わせられるヒューマンミステリーです。昭和から平成へと続く激動の時代を背景にして、過酷な人生を生きる天才棋士・上条桂介の光と闇をドラマチックに描いていきますが、ある事件を発端に、被害者や容疑者の過去や謎、血筋をめぐる業が次第に明らかになっていく物語展開は、名作「砂の器」(1974)を彷彿とさせ、現代版的な側面も持っていると言えるでしょう。

上条が自らの宿命のようなものを背負い、“生き切ろう”“生き直そう”とする姿が観る者の心に強いメッセージを突き付けます。

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和田隆
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