劇場公開日 2025年10月31日

「渡辺謙さんがカッコ良く、桂介の子供時代のパートが良かった」盤上の向日葵 hiroishiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 渡辺謙さんがカッコ良く、桂介の子供時代のパートが良かった

2025年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

ドキドキ

冒頭、古いドラマのような演出や音楽(ワザと?)や、上条桂介(演:坂口健太郎)に将棋で負けた方々、棋戦を囲む人たちの演技に少し心配しましたが(失礼)、桂介の子供時代のパートでの唐沢(演:小日向文世)との心温まる回想シーン以降からようやく落ちつき、しかも、これが大変良いお話で「もう本題はいいから、唐沢夫妻に支援され、プロ棋士を目指す桂介の成長物語に変えてくれ」と思うくらいでした。回想パートから本筋に戻った瞬間、少し残念な気分になったほどです。

前・中盤での伏線や描写が後半で上手に繋がり、よくある「何でこうなるの?」みたいな違和感も無く、残る疑問だった「あの親で何で桂介はそんなに天才なの?」への回答含めた謎が事件の真相と共に後半、解き明かされて行きます。
この物語の背景には将棋(駒)があるわけですが、「命を削る」「魂のせめぎ合い」といったワードと、「鬼殺しの○○」といったサブネームをいい大人が口にしておかしくない1対1の対戦ゲームは将棋くらいですかね。囲碁やチェス、ましてやポケモンカードゲームには無いこの独特な世界観の中で、桂介と東明重慶(演:渡辺謙)、その他真剣師たちの人生模様、生き様が熱く演じられ厚みを感じます。ラストは「観る人それぞれで「桂介」という駒の次の一手を進めてもらえれば」というメッセージを感じます。

余談ですが、今回、東明重慶役の渡辺謙さんの最初の登場シーンがすごくカッコいい!(笑)。最近では「国宝」でお見かけしましたが、まだまだ今回のようなギラギラした役で、また何かの映画で観られたらと思いました。

hiroishi