正体のレビュー・感想・評価
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予告にやられた
映画を観に行く→予告が流れ観に行きたくなる→映画を観る…無限ループか!
良いカモではないか〜い!
とまぁ、本作品もそんな感じで観たくなり、行ったわけ。
結果良かった〜←やはりカモ?
ただ、予告にあったシーンが見当たらなかったのは気のせいか?
あの長い吊り橋を鏑木君が走ったシーン。
見落としてた?汗
鏑木君が人を信じようと諦めなかったのは良かった。
周りにも助けられて、輪が広がっていく感じ。
ほっこりさせられる。
やはり滲み出る人の良さはいくら変装しても隠せない、多分。
しかし、最初の職場の寮のトイレ。
警察に通報しようとする仲間のところへ行った鏑木君、めっちゃホラーだったよ〜。
ちょっと台詞回しが長いというか、くどい気はしたが、概ね落ち着いていてよかったかな、と。
それにしても松重豊が一番の悪ではなかったか?
後を絶たない冤罪、こんなことあってはいけない。
大逆転勝利(消音)。涙の満点5.0
こんな真面目な青年が。。。
何故 死刑囚なんかに。それも 当時 高校3年生。突きつけられたタイムリミット。生か死か。。脱獄成功と逃走で とにかく 最終的に やり遂げないと いけない証言が。。ましてや 信用のない死刑囚なので。。話が進むにつれて 遂に 真犯人が分かるけど。。しかし 待ち受ける警視庁と 刑事。。初動ミスが 原因で こんなデタラメな事になったのを 今更 誤認逮捕とか 。このまま押しきろうと企む 警視庁トップが 「犯人は鏑木慶一です。つまり本件においては 真実が重要じゃないんです。」 って これ ありなの? 馬鹿げた発言に 最後の最後に どんでん返しがホントに あるのだろうか? とても不安でした。。しかし 刑事 山田孝之 やってくれました。。最後の最後 信じてました。。公開中の映画 十一人の賊軍にも 出演。逃げてばかりの役でしたが 最後の最後に やってくれました。 最高でしたね。。逃走先々で 鏑木と出会った人達が 冤罪を信じる街頭活動と 面会での それぞれの言葉掛けに 心を打たれ 涙が溢れました。山田孝之の最後の面会シーンでの 鏑木に 「どうして 逃げたんだ。」の 問いかけで 当たり前なんだけど その数々の答えに 更に涙が。。ヤバかった~ かなりキツかったけど 泣けましたね。 前半の 養護施設の園長の言葉は 見所で スゴく胸に刺さりました。山田孝之に向かって 「神に誓って そう言えるのね。貴方たちは 奪ったのよ。。」 って ここが ポイントでしたね。 とても インパクトがあり 重くのし掛かる言葉でした。。『信じる』がテーマの この作品 スゴく 良かったです。。杏奈ちゃんて カムイのアシリパさん。メチャクチャ あのイメージ強くて 寒空の雪が スゴく似合うなぁ。
この世界を信じたい‼️
「この世界を信じたい」‼️そんな映画ですね‼️凶悪事件の犯人として、死刑判決を言い渡された無実の青年が脱走し、様々な場所へ逃走し、潜伏していく中での刑事たちからの逃走劇と、出会っていく人々との交流を描いた作品‼️逃走劇としてはちょっとディティール不足かな⁉️主人公は建設会社で働いたり、コラムニストしてたり、水産工場で働いたり、看護師したりしてるんですけど、例えば身分証や看護師の資格証の偽造とか、吉岡里帆のマンションから川へダイブした後に、どうやってあれだけの警察の追跡を交わしたのか⁉️などの細かい描写を加えて欲しかったですね‼️そして逮捕された事件のフラッシュバックと、真犯人による新たな殺人事件のシーンが擬似していて、構成的にちょっとだけ分かりにくかったりする‼️そして横浜流星の変装シーンが、最初のボサボサ頭、太メガネ、ヒゲ面はいいんですけど、他のシーンは明らかに横浜流星で、すぐ通報されるだろうとツッコミ入れたくなる‼️ただ主人公は自分の無罪を証明したく逃走を続けるんですけど、自分を追う刑事を信じ、証拠の決め手となった被害者家族のことも信じ、そして主人公と関わった人たちは主人公の人柄と無罪を信じる‼️世の中そんな甘っちょろくはないと思うんですが、この作品の終盤はそんな人間の善意に満ちた展開で、心が温かくなりました‼️無罪になってヨカッタ〜‼️
人を信じる
冤罪って怖いよなーこんな杜撰なパターンはあり得ないと思うので警察の方は怒っていいと思うけど、笑。殺してないかもだが、過程で暴行、窃盗、立てこもり、器物損壊しまくってるので、他の罪には問われるだろ。
なんていう冷めた目を除いたら全体的には面白かったです。いろいろ表情を変える横浜くん良かったですね。ちょっと年齢もうちょい若い方がしっくりくるけど。でもカッコいい。吉岡里帆や山田杏奈とか好きな女優たちがかわいかった。素敵でした。
「正体」
私は流星群ですからね♪(流星君のファンの事をそう呼ぶらしいですw)
超楽しみにしていました。
加えて藤井監督作品ですからね。
朝イチでダッシュ٩( 'ω' )و
以前から目にしていた予告からして堪らん感じ&ヨルシカの主題歌が良過ぎる!
森本君の「お前こんな顔してたのかよ」で、泣き確!
それなのによ??
入場前に「正体」のリーフレットらしきものを貰い喜んだのも束の間、イオンカードの勧誘で萎えた(°▽°)
捨てにくいじゃないか!
おまけに着席して流れたコラボ(?)CMに又萎えた(°▽°)
何でこんな事するん〜??
嫌がらせか(°▽°)
これから観る作品の世界観が台無しになるやんけ!ちょっと考えろし。。
と、大きなため息が出たものの、朝イチ回でも中々の客入りで、皆さんの期待の高さが伺える。
藤井作品にしてはパンチに欠けたか?
エンタメに振ったのだろうご都合主義感は否めないものの、まぁそこは論点ではない。
と、思う反面、藤井監督の願望や希望を表現した内容になっていたのかなとも思った。
そして敢えて敷居を下げたことで冤罪について多くの人が考えるきっかけになればという想いもあったのかも。。
「信じる」という言葉がこの作品の中心にあったと思いました。
個人的に脚本は弱々だったと思うのだが、演者の重みのある芝居でカバー出来ていたと思います。
山田孝之の無表情の目力の圧!!
何も悪い事してないけれど、何か白状しちゃいそう(°▽°)
流星君の5変化も見所です。
実際に罪を犯した人間が、変装をして逃げ続けているなんて言語道断だが、鏑木(流星君)が逃亡中の死刑囚だなんて気付かないかもなと思った。
(彼が誠実な人間として他者と関わっていた事もあったが)
劇中でも触れていたが、特に都会じゃ他人の顔なんてじっくり見ない。
少しばかりの関わりじゃ、関心もないし気付かないのもリアルなのかもしれません。
徐々に明かされる逃亡劇の真相。
この"逃亡劇"にはちゃんと理由があって、まず、ジャンプ(森本君)と出会った工事現場で資金を集める為に働く。
次に、沙耶香(里帆ちゃん)と出会ったメディア会社(なのかな?)では自身の事件の情報を集めるためにライターとして働く。
そこでよしこ(原日出子さん)の証言が決定打となった事を知る。
その後、よしこの妹(西田尚美さん)の働く工場で働きはじめ、よしこの居場所を突き止める。
最終目的地、まい(杏奈ちゃん)と出会ったケア施設でよしこと接触し、証言を撤回してもらうこと。。。
これこそが鏑木の逃亡の理由だったのだ。
彼は本当に凶悪な事件を起こした殺人者なのか?それとも。。
そして「冤罪」について。。
こちらはかなり重いテーマ。
冤罪をテーマにした作品は他にもありますが毎回心が折れてしまいます。
メジャー作品だと「それでもボクはやってない」がありますね。
その中でも触れられていますが
「10人の犯人を取り逃しても、1人の無実の人間を犯人にしてはならない」
というような言葉が出てきますが、強烈に心に残っていて、本当にその通りだと思います。
8月に観た「マミー」も衝撃を受けました。
現実でも
無実の罪で何十年もの間拘束され、疑われ続け、自由を奪われ、精神的にも病んでしまったあの男性の事件を思い出します。
言葉では表現できない様々な感情が押し寄せてきて、心が折れてしまいます。
無罪判決が出たとしても時は戻せない。。
川田(松重さん)みたいな強引な捜査を部下に強要する刑事なんていないと信じたい。
慌しい年末だし、早めに片付けてしまえ。
犯人と思われる人物もその場で拘束できた、被害者家族の生存者の女性・よしこ(原日出子さん)の証言もとれた、18歳という年齢でも極刑が下されるというよい見せしめになるじゃないか。
人の一生を左右する重大な決定をこんな理由で"処理"出来る人間がいるなんて、映画の中だとわかっていても怒りの感情が湧いてくる。
現実でも冤罪事件は起きている。。
「疑わしきは被告人の利益」
裁判というと"人を裁く"という印象ですが、実際は、検察官が合理的な証拠を提出出来たかどうかを判断するものですよね。
証拠に基づき、検察官の言い分に確信が持てるか。
確信が持てなければ被告人の有利な方向で判断しなればならない。
鏑木事件は、この大前提に守られず、起きてしまった悲劇だった。
(沙耶香の父の痴漢の件も同様か)
やはり生存者で犯人の目撃者であるよしこの証言が決め手になってしまったのだろう。
鏑木は凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑宣告を受ける。。
施設育ちで18歳で逮捕された鏑木。
逃亡生活の中で"初めて"経験するあれこれ。
初めての友達、初めてのビール、初めての焼き鳥、初めての恋?
(あの焼き鳥の食べ方にはビックリw
一本取ってひと口パクッ!又取ってひと口パクッ!
演出なの??細かいww)
初めて「君を信じるよ」と言ってもらった。
彼の中の溜まっていた苦しみ悲しみが溢れ出し、ずっと言って欲しかった「信じる」という言葉をかけられた時の気持ち。
あの涙は苦しかったけど、やっと流せた涙だったね。
味方が現れたようで嬉しかったのだろうな。
逃亡中の鏑木を追って施設を訪れた又貫(山田君)が見たもの。
死刑囚となった鏑木が育った施設という事で、名もなき"善人達"に攻撃されたのだろう。
窓ガラスは割られ、枯れ葉が入り込み荒んだ部屋の様子から"兄弟達"ももうそこで暮らせなくなり離れ離れになってしまったと想像出来る。
関係のない人々が巻き込まれた、とても苦しいシーンだった。
面白半分なのか、正義感なのか。
攻撃し、"晒す"事を正義とする一定の人間が存在する事の恐怖。
藤井監督の想いが込められたシーンだったと思う。
又、最終的に、大きな国家権力に飲み込まれずに、自分が見たものを信じて、刑事として正しい行いをした(冤罪の可能性を認めた)又貫の姿に希望を感じた。
まだ18歳だった鏑木を死刑判決に追い込んだ自身の捜査は間違っていたのでは。。彼の中の正義がずっと揺らいでいたのだと思う。
逃亡中の鏑木と関わり、彼の優しさに触れ、彼を支援しようと動き出した人々の気持ちが暖かかった。
鏑木は容姿こそ変えていたが、彼自身の心は偽らず、誠実に皆んなと関わっていたからこそ、この支援の輪が広かったのだと思った。
人間を突き落とすのも救うのも又、人間なんだなと思う作品でした。
「正体」
とても考えさせられるタイトルでした。
。。。やっぱり触れたい終われないw
流石の太郎ちゃん!!いつの間にこんなに凄い役者になったのかw
もう本当にコイツはぁ〜!!と思わされ嫌いになりそうでした。
ブラック過ぎるでしょ!改めなさい!年配者に何だあの態度は!
ギャフンと言わせたかったぁ〜!!
アイドルさんなのは知らないが、いくつかの作品で目にしている森本慎太郎君。
偉そうですみませんですが、彼の芝居が良いのです!
いい味出してる。表情や仕草など細かく見てしまう、私の中ではしっかりと役者さんです。
原日出子さんはもちろんだが、本作での西田尚美さんがすごかった。
美人は封印。精神的に参ってしまった姉を守る事に注力し、自分も疲れ果てている"おばさん"を見事に演じておられました。
痴漢弁護士としてバッシングされ追い込まれていく自身の姿と重ねたのだろう。
娘と一緒に鏑木の冤罪の可能性にかけて尽力する安藤の姿が胸を打つ。
田中哲司さん、控えめでしたが重要な役割を担っていました。
メディア会社の沙耶香の上司・宇野祥平さんの役としての存在の仕方と雰囲気が好きでした。
(ラストマイルのWしょうへいが記憶に新しい。
日野正平さんご冥福をお祈りします)
メディアといえば。。
TVが本当の事を(つかめず?つかんでいても尚?)報道せず、SNSの力によって真実に迫っていく様子も皮肉でした。
懸賞金が上がるにつれ過剰に煽るような報道の仕方もイヤでした。。
わかるけど。。(°▽°)
里帆ちゃん杏奈ちゃんも安定の芝居で作品にリアルさを増していたと思います。
流星君の迫真の芝居は見応えあり、感情も動かされましたし、ラストも肩をなでおろす展開で後味は良いものの、今回の藤井作品。。
達者な役者が支えてくれた印象かなぁ〜。
あっ!個人的に矢柴さんが出てきたら要観察!なので、気にしていたのだけど、フツ〜のパパんでしたw
タイトルなし(ネタバレ)
いい役者、いい演技…なんですけど…なんだかのれなかった。
そしてココのレビューもいいだろうなぁ…と思ったらやっぱり好評のようで…。。
「逃走」自体や、「逃走中の犯罪」は、また別で裁かれる必要があるわけで、そこらへんはなんともご都合主義に思える。
そういった雑音も「意外な展開」や「圧倒的なカタルシス」があれば打ち消すこともできるが…なんか順調に残り時間を消化されてしまって…う~ん。
いい役者、いい演技だけに、構成をもう少しアレンジできたらよかったかな…と思う。
冤罪事件を扱った社会派ファンタジー
エンターテインメント映画として、私は楽しめました。
※原作未読、ドラマ未視聴です。
冒頭の死刑囚である鏑木(横浜流星)が救急車から逃げるシーンや
お金を持っていないはずなのに、いろんなところに転がり込んだり
仕事を見つけて何とか1年近く逃亡し続けているのは、
ちょっと理解に苦しみましたが、ツッコミを入れると面白くなくなっちゃうと思い、
ファンタジーだと割り切って鑑賞しました。
各地で出会う人たちが、みんな鏑木を好きになっちゃうところもすごいなと思いましたが
そういう魅力的な人なんでしょうね。
鏑木は21歳ということで、高校生のときに死刑囚になって以来、社会に出ていないため
世間知らずなところはあるものの、よく仕事を見つけることができたな〜と感心しました。
学業は優秀という情報は出てきていましたけれども。
そして、刑事の又貫(山田孝之)をも感化してしまう
(もともと犯人なのか?という疑問はもっていたようですが)ところもすごいなと思いましたし
その最たる場面が、記者会見での又貫の今までをひっくり返す発言でした。
ラストは逃亡から3年足らずで無罪判決を勝ち取るというスピード決着&ハッピーエンドは
現実世界だと違和感ありありながらも、ファンタジーだとカタルシスを感じました。
このあたりはさすが藤井道人監督だなと思いましたね。
ちょっと無理があるんちゃうん?と言いたいところではありますが、
俳優陣が魅力的、上述のおふたり以外には特に吉岡里帆と山田杏奈がステキでした。
他の俳優陣もしっかりと固めていて、存分に演技を堪能できたので、よかったです。
もっと冤罪事件を徹底的に掘り下げる、キリッとしたつくりあがりにもできたとは思うものの、
フィジカルにエンターテインするつくりにした藤井道人監督は、私としては期待通りであり、
今後も追っていきたい監督です。
横浜流星には来年の大河ドラマ、頑張っていただけると思いますし、楽しみにしています。
「1.5章」より先が抜け抜け(個別の採点においてネタバレを含みうるので注意)。
今年422本目(合計1,513本目/今月(2024年11月度)28本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
ネタバレありにしていますので、個々のストーリー紹介ほかはほぼほぼすっ飛ばします。
一人の法律系資格持ち(行政書士持ち)の立場からのレビューです。
うーん、どうなんだろう…といった作品です。作品自体は冤罪を描く映画で、これまた年に何本でもある作品だし、つい1~2か月に正式に確定した袴田事件を扱う映画でもないし、一方であるいはこの手の映画でありがちな「無茶苦茶な警察組織」の論点もテンプレ通りであり、かつ法律系資格持ちは途中からストーリーが抜け抜けで何を言ってるのかわからない展開になるのが極端に厳しいといったところです。
救いはハッピーエンドであること、あるいは「法律ワードが極端に出てこない」ことくらいくらいだろうと思います(後者は出す度合いによっては詰まる方が確実に出てくる)。
採点は以下のようにしています(3.2を3.0まで切り下げたもの)。
ネタバレありにもしていますし、理解の参考になればと思いますので詳しめに書いておきます(法律初学者の方でもわかるように書きました)。
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(減点0.5/冤罪を描く映画としてストーリーが明確に変)
第一審は地裁から始まっていると思われますが、その後最高裁まで描かれないため(刑事裁判においては、単に量刑不当を訴える等は上告が制限されます(刑事訴訟法。以下、刑訴法))、かなりヘンテコな展開になっています。もっとも、日本においては特に殺人罪など「死刑か無期懲役か」というような裁判に関しては国民の関心が高いこと、また誤審を防ぐために最高裁での審理は通常行われます。
ただ、その描写がないので第一審での有罪判決のあと控訴していないものと思われ、一方でその一方で冤罪を描くのは明らかに理論が矛盾しており(この点は後述)、何とかならなかったのかなという気がします。
(減点0.3/女性に関しての犯人隠匿罪関係)
犯人隠匿罪は、「懲役1年以上の罪の被疑者または、現に逮捕・収監されているものの脱走者」をかくまうことで成立します(刑法103条)。かつ、この罪は「無罪、冤罪、勘違い…」の場合でも「とりあえず取り調べをして、勘違いだったら帰ってもらえばそれでよい」ので(換言すれば、罪を犯したものを逃がさない、という趣旨の条文)、本人が無罪か冤罪か、あるいは具体的に何罪で問われているかまで問わずに成立します(判例)。これはこれで別の問題でちゃんと扱わないとまずいのではと思われます。
(※) ただし、刑法だけならともかく、個別の行政法規など一般人が知らないような事情まで本罪に問うのは酷に過ぎるので(特に何が「懲役1年以上の罪か」まで把握している人はまぁいない)、適用例は多くはないですが(毎日、死刑が確定するような事件が起きる国のほうが嫌)、少なくとも連日報道されている、それも死刑の脱走者の隠匿はほぼアウトです。
(減点0.3/裁判所の判決)
刑訴法における裁判での有罪無罪(「無罪」も含むので注意)には、主文のみでは足りず何をもって有罪無罪とするかの「理由」が必要です(刑訴法44条)。これは、それを不服として控訴上告する側は理由が不明であるからであり、また広く「なぜ有罪か無罪か」かが示されないと(無関係の)国民も理解できないからです。このことは冤罪を争う再審においても同じ話です。
((まとめて)減点0.7/「第1.5幕」以降の扱いが全般的に不足している)
(0.2) 再審における無罪の言い渡しは検察官側の控訴上告を放棄しないか最高裁のそれでない限り確定はしません(刑訴法。いわゆる四大冤罪事件の冤罪確定までの道のりが極端に長期化したのもこのことが理由)。この部分は暗黙に省略されているものと思いますが、映画の趣旨を鑑みるに少しでもちゃんと描くべきところです。
(0.2) 冤罪が確定すると「刑事補償法」に基づいて本人に補償金が支払われますが(通常は最高額の1日あたり12,500円で補償される)、ここで(元)被告人にも落ち度があるようなケース(裁判に非協力的である等)は金額上調整されえます。この点は最初に書いた「冤罪を訴えるのに控訴放棄したとみられる部分」にも関係しますので(途中から「死刑を言い渡された被告人」から「死刑囚」になっているので映画のストーリーが途中ワープしているようにも思えるが)、二重にまずいところです。
(0.2) 上記のことと国家賠償法とは別の話なので、今度は国を争って国家賠償請求がスタートしますがここも完全カットされています。ただこのことは映画の論点ではないのでまぁ仕方なしとしても、冤罪確定や刑事補償法での補償とは別の問題ですので(どちらかが成立すればもう一方が排斥されるといったものではない)、扱いはきちんとすべきです。
(減点なし/参考/外国人関係) このような冤罪による誤認逮捕などは日本人以外にも当然発生します。一方で国家賠償法6条で「外国人に対しては、その国において自国民(=日本人)に対して同様な規定がある場合、相互に補償する」という「相互補償規定」が存在します。
ただ、通常、適法非適法とわず、在住する外国人の大半にはその出身国の立法権など持ち合わせていないのであり、もともと国家賠償請求は誤認逮捕や「国立、都道府県営のビルがいきなり落下して下敷きになった」等の争いに対し「国の償い」であって、当該諸外国で「そのような法律が日本人に適用されない、または存在しない」ことをもって補償しないというのは極めてヘンテコな話なので、この規定は原告被告も事実上争わない運用になっています(特に日本では、北朝鮮・台湾のように「独立国家としての認知問題」という複雑な問題も明確に抱えるため。この国賠6条はもともと日本の敗戦後「全てに補償していたらきりがない」という事情で作られたものの、2024年時点ではかかる趣旨がそもそも妥当しない)。
(0.1) 被害者の生存者は正しい証言をしていれば何の問題も発生してなかった事案なので、不法行為(709条ほか)に基づく民事訴訟が考えられますが、日本においては事実上タブー扱いなので(日本におけるいわゆる四大冤罪事件や匹敵する事件でも「ちゃんと証言すれば問題にならなかったのに」という民事裁判は元被告から遺族(のうち、軽傷重傷など。要は亡くなっていない、という意味)には起こされていない。不法行為における排斥期間の論点ほか複雑な問題もありますが)、この点もすっ飛ばされた模様です(ただ、実際に裁判を起こされるとかなり面倒(これ一つを主軸にした映画のストーリーさえ作れうる)。刑事補償や国家賠償と民事訴訟での補償は別の話なので、3つ全部起こすことも可能)。
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(減点なし/参考/主人公が異様に法律に詳しいのは何故か(序盤の労災隠しのお話))
死刑確定後にも冤罪を訴える場合、弁護士との接見において法律を知る必要があるためで、逆に懲役(禁固)と違って極端に「すること」が限られる現状、六法を読むくらいしか時間のつぶしようがないためです(この点、確定囚に六法の貸与を認めなかった点について日弁連だったかが人権侵害で勧告したケースが存在します)。ただ、一般的なハンディサイズの六法に掲載されている個別の労働法規はせいぜい労働基準法くらいではないかと思います(いきなり安衛法やらマニアックな法律の話をするのは謎)。
(減点なし/参考/労災隠しが起きる理由)
この点は専ら社労士ネタだと思いますがどなたも書き込まないと思いますので、もともと社労士試験自体が行政書士試験から分離した事情(昭和55年)も鑑みて知る範囲は書いておきます。
もともと通勤・労災については全額が事業者負担です(いわゆる給与明細参照。これらの項目は存在しないはず。雇用保険は引かれる)。
一方で労災申請にかかわって、労災保険の負担は「過去にどの程度申請があって認められたか」によって、認められた率や業種によってその負担額が異なるようになっています(「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」。一般的に「徴収法」という)。この制度を「メリット制」といいます(労災が多いと負担が増えるので「デメリット制」ともいいうる)。
このため、事業者としても労災申請の申請自体を認めると負担額が増えるため(最終的に労災認定不認定を決めるのは労働行政の側です)、ということになります(ただし、業種によって負担率は機械的に決まるものの、特に工事現場等といった事業で何ら労災申請が一切発生しないのも逆に労災隠しを疑われるため、逆に少なすぎてもチェックされうる)。
(※) このあたりは完全に社労士ネタかなと思うのですが、こちらに話題を飛ばすと映画の方向がおかしくなるので(再審査請求やら行政事件訴訟法、あるいは個別の労働法の話をすると誰もついていけない。過去に社労士ネタ映画ってあったっけ?)、完全にすっ飛ばされた模様です。
松重豊が悪い奴に思えた
鎌で家族3人を狂気的に殺した事件の現場で現行犯逮捕、起訴され、死刑判決を受けた鏑木慶一が、吐血を偽装して救急車で病院に搬送中に脱走した。死刑囚の脱走という警視庁にとって重大な汚点であり、早期脱走犯確保のため、刑事の又貫は、逃走中の鏑木が出会った人々を取り調べた。しかし、彼らが語った鏑木は、殺人犯とは思えないような優しくて良い人だった。さまざまな場所で姿や顔を変えながら、鏑木が逃亡を続ける真の目的は・・・どうなる、という話。
一言で言えば警察の捏造による冤罪事件なんだけど、それがわかるのはラスト近くになってから。
そこまでは殺人犯として何を考えてるんだ、と気になって引き込まれた。
横浜流星はさすがで、素晴らしい表情と体当たりのアクションを見せてくれた。
吉岡里帆はカッコ良かったし、山田杏奈も可愛くて良かった。
山田孝之は松重豊を上司に持つ刑事で、ずっと悪い奴に見えてたが、最後は良かった。
松重豊は警察の権威を傘に冤罪事件を生み出した悪い奴だなぁ!と思った。もちろん演技は素晴らしいです。
インスタで動画を撮られてそれで指名手配犯とバレたとか、ちょっと薄いストーリーのようにも感じたが、全体的には面白かった。
横浜流星と山田孝之が向き合うシーンが有るが、横浜流星の首長いなぁ、と思った。山田孝之は肩からすぐ頭なのに。
期待度○観賞後の満足度△ うーん、もうひとつ面白くない、心に響かない原因は何だろうと観賞後2時間ほど考えた挙げ句、話の語り口が上手くないのだという結論。
.*《原作未読》
①いま人気のイケメン俳優(私の基準ではイケメンではありませんが)を主役にしたよくあるサスペンス物の一つだろうと余り期待せず(あまり面白くなかった『ビィレッジ』も同じタッグだったかな)に観に行ったけれども、はじめの三分の一ほどは「おっ、これは期待できるかも」と見直したが、心を打つシーンは一つ二つ有ったのに、後半に入ってから感情のレベルが下がり続けてそのままジ・エンド。
②題名は『正体』ってあるけれども、“正体”捜しの謎解きミステリーではなく、何か目的があって行く先々で姿・名前を変える男の“正体”が知り合った人々にばれるかどうかのスリル・サスペンスの方が主でありさ、初めの2エピソードは確かに少々ハラハラしたが、段々そのスリル感・サスペンスフルさは薄れていくというか物語の重要な核ではなくなって行く。
何故そう感じだしたかというと、横浜流星が正体を偽りなから目的に辿り着くまでに必死に逃亡するからにはかなり重要な事なんだろうとおもっていたら、語が進むにつれて、杜撰な警察の捜査の実態や警察の面子を立てたり面倒をミニマイズするための様子がきちんと描かれるので、死刑判決が出たら覆すのは殆ど出来ないことであるのは分かるけれども、先ずはあの程度の状況証拠で死刑に成るのかしら。検察官が非常に優秀(というか、悪知恵が回っ)で、弁護士は無能だったのかしら。
映画を観ている限りは唯一生存した原日左子の証言が決め手になったようだけれどと、当時はパニックに陥っていて、現在でもPDSTを抱える人間の証言にどれだけ信憑性があるが警察は疑義を挟まなかったのかしら。
あれくらいで裁判で死刑判決でるなんて、どんな裁判よ、と思ったくらい。
④横浜流星側にしても、冤罪であり疑いを晴らしたい、死刑になりたくないと必死なのはわかるけれど、逃亡を続けた目的が有罪を決定つけたらしい証言を覆しすために今でもPTSD に苦しむ原日出子に近づく為で、目的がハッキリしてからは、原日出子が思い出してくれたからいいものの、PTSDに苦しむ人を更に苦しめることには変わりはないので、とても共感できない。
足利が出てきた時点で話の先が読めちゃったし。
突入した警官隊にナイフで抵抗するところも若いからの突っ走りからしれないが、横浜流星自体がもう分別のある大人にしか見えないのでいい大人が頭に来ちゃったかとしか見えないし、横浜流星は熱演ではあるけれども、おしなべてミスキャストだと思う。
あんなイケメン(まあ、私はイケメンとは思いませんけど…これで二度目か)ならすぐ足がついちゃうだろうし(って現れたところでは実はすぐついちゃ炊けど)、もう少し特徴のない顔の演技力のある若手にやらせた方が良かったと思う(あま、それでは客入んないだろうけど)。
⑤賞なんて所詮人間が選ぶものだから受賞結果に拘っても仕方ないし、報知新聞賞と過去からの受賞作品賞等を見ると、「うん、わかる」と「えー、これ/この人が?」とか色々だけど、今年は本作が選らはれて「えー、これ/この人が?」の方。
少なくとも私には『ぼくらのお日さま』『本心』の池松壮亮より本作の横浜流星の演技かわ優れているとは思えない。
⑥私の働いている会社の健康保健室の先生と映画の話で盛り上がっている時に、その先生(女性)が横浜流星ファンで『正体』を観に行くと言っておられた。今からその先生に“『正体』どうだった?”と訊かれてどう答えるの方が私にとってはスリルとサスペンス😱
好意的なレビューを参考にさせてもらおうかな😅
あの顔を見ることができた!
原作本編は600ページを超える。これを二時間でどうやってまとめるのだろうと思った。勿論省かれ、脚色される。原作者の染井為人先生はパンフによると自由に作って構わないと申されていたようだ。
私の鏑木慶一(横浜流星)のイメージは姿を変えても必要以上に話さず、人付き合いもせず、それでいて誰かに何かあると非常に明晰な頭脳と判断力で助けになる。しかしその後警察が来る事態になると消息を絶ってしまう。何を標的としているのか分からない足音を立てない獣だった。介護施設での優しい雰囲気に違和感を覚えたほどだ。
それが薄れてしまったのは仕方がない。とても尺に入らないし鏑木の行動により注目させなければならない。
警察側の人物、又貫征吾(山田孝之)。原作での高圧な役割を変えた。鏑木を追いながら心の底で「もしかすると」と疑問を感じている。鏑木と又貫、エンタメ映画としては面白い。ただ途中で鏑木の事件を模倣したとされた足利清人(山中崇)を、それもいかにもという雰囲気で前に出してしまったために鏑木への疑惑が必要以上に弱まる。でも又貫の瞳は強い。それでもどこか信念が崩れているのだろうと思わせたのはさすがだった。
そして原作のあとがきに染井先生の言葉がある。『最後にこの場を借りて鏑木慶一に詫びたい。残酷な死を与えて本当にすまなかった。』と。原作で鏑木は警察の突入の中で倒れる。映画ではそうならなかった。自分を信じる人達の大拍手の中、天を仰いで喜びを表した。
この鏑木慶一が見たくて映画を観た!
そして偶然にも。本当に偶然も偶然だと思っているが、少し前に一人の死刑囚の冤罪が確定した。人生も、心も壊された方。もし映画のラストが原作通り、鏑木の去った世界で終わっていたらこの映画は全く違うとらえ方をされただろう。
鏑木慶一の人生はこれからまた始まると言いたい。しかし一度押された烙印に世間はどんな反応を示すだろう。でも今までとは違う。鏑木慶一には仲間がいる。本来の優しさを取り戻し、本当に弁護士になるのでは。そんなことを考えている。
信じる
横浜流星の快進撃が止まらない。
当初はイケメン俳優の一人ぐらいにしか認知してなかったが、『流浪の月』が大きな転換期と飛躍になった。以後、良作続く。このキャリアは松坂桃李を彷彿。来年の『国宝』も楽しみだ。
藤井道人監督も好調続く。ヒューマンドラマ、ラブストーリー、社会派、サスペンス/アクション、アニメまでジャンルは多岐に渡る。
そんな二人が映画/TVドラマを含め7度目のタッグ。『ヴィレッジ』も記憶に新しいが、決定打になったかもしれない。
一家惨殺事件の容疑者として逮捕された青年・鏑木慶一。当初から無実を訴えるが、裁判で死刑が確定。
収監されている刑務所で自殺を図り、病院へ搬送中、逃亡。全国指名手配に。
鏑木は姿や印象を変え、整形もし、各地を逃げ続け…。
実際の事件を思い起こさせる。福田和子や市橋達也が起こした事件。本作は後者だ。
一見その映画化に思うが、そうではない。あくまでベースであり、フィクション。
立ち上がりはそうであっても、これまた某冤罪事件を連想させるような司法や警察捜査の問題を問う展開になっていく…。
実は見る前から、ちょっと違和感を感じていた。
殺人事件を起こし、逃亡した死刑囚。逃亡先で出会った人々との交流…。
人を殺した死刑囚を擁護するような話なんてあり得るだろうか…?
本当に人を殺したのなら、裁かれなければならない。決して許されない。
が、もし、これが違っていたら…?
話は変わってくる。
実際、鏑木自身も訴え続けている。僕はやってない!
鏑木を逮捕し、逃亡後追う刑事・又貫も犯人は鏑木であるとしているが、引っ掛かる点も…。それに纏わる警察上層部の闇…。
では、何故逃げた…?
そして鏑木という青年はどういう人間なのか…?
前半は彼と関わった人々とのエピソードから明かされていく…。
大阪。列悪重労働&パワハラの工事現場。
ここでは“ベンゾー”と呼ばれ、髪ボサ髭モジャ分厚い眼鏡姿。
ある時一人の作業員・野々村(通称“ジャンプ”)が作業中に怪我を。会社はお前が勝手に怪我をしたと取り合ってくれない。そこを鏑木が法の知識で助け、会社から微々たる金を。その金で二人でプチ飲み会。
初めて飲む酒、初めて親しくなった人…。
野々村も鏑木を気に入るが…、連日の報道や特徴点(ほくろ、背中の火傷跡、左利き)や似ている風貌から疑惑を抱く…。
こっそり通報するが、そこを見られてしまい…。
鏑木は逃亡する。
東京。ネットニュース会社。
ここでは“那須”と名乗り、茶髪姿。フリーのライターとして仕事を貰っている。
社員の沙耶香は鏑木の文章力を高く評価している。
ある雨の夜、沙耶香はネットカフェの前で立ち往生している鏑木を見かけ、飲みに誘う。
人生初焼き鳥…? こんなに美味しいもの初めて食べたと感激する鏑木。
仕事ぶりとピュアな姿に母性心をくすぐられたのか、暫く自宅マンションに住まわせる。そのお礼に鏑木は料理を作ったりと、何だかまるで…。
根無し草イケメンとキャリアウーマンの同棲なんて何処ぞの映画かTVドラマで見た気がするが、お互い何かしらの感情を抱いたのは間違いない。
初めての恋…? 沙耶香から信じてるとも…。
しかしメディア世界で働いている勘からか、彼が鏑木である事を勘づいてしまう。
知らぬ素振りを続けていたが、そこを悪質パパラッチに知られ、又貫にも突き止められ…。
又貫が踏み込む。必死に抵抗する鏑木に、沙耶香は、
逃げて!
下手したら逃亡犯を手助けしたとして沙耶香も罪に問われたかもしれない。
なのに、何故沙耶香は鏑木を助けた…?
抱いた仄かな感情より、彼女が背負っているものが鏑木と通じているからであろう。
弁護士である沙耶香の父。痴漢で訴えられている。
冤罪。が、圧倒的不利で…。
法の世界で働いてきた父が法に裁かれようとしている皮肉。
父は諦めモード。誰も父を信じていない。味方もいない。
唯一の味方は沙耶香だけ。父を信じている。
鏑木と過ごした中で、沙耶香も感じたのではないか。
彼は、本当にあんな凄惨な事件を起こしたのか…?
確たる証拠はない。が、彼の人となりに触れた直感。彼は、冤罪ではないのか…?
マンションから飛び降り、河にダイブし、追っ手を振り切る。
鏑木は逃亡する。
長野。介護施設。
ここでは“桜井”と名乗り、髪を切り、根暗な雰囲気を払拭した爽やかイケメン。素の流星クンに最も近い…?
いつもながら仕事ぶりは有能。同僚や患者からも慕われている。
若い職員・舞に至っては、憧れの先輩にホの字。
ここでも潜伏と日々の糧稼ぎ…に非ず。
鏑木がここで働くのは、ある目的があって…。
先々で出会った人々が鏑木に抱いた印象。
いい奴。好意を抱く。好意を抱かれ…。
それぞれ微妙に異なるが、一貫しているのは鏑木に対して悪い印象は無い。
凄惨な事件を起こした殺人犯とは思えない。
世間で認知されている事、表面だけしか見てないもの。それがその人そのものなのか…?
それとは違う中身や本質があり、それこそその人なのではないか…?
“人”の素顔、正体。
“人”について考えさせられる。
捜査にも進展が。
模倣と思われる事件が起きる。
同じく一家惨殺。手口も。
逮捕された男、足利。余罪もほのめかす。
鏑木の事件の事ではないのか…?
この男が真犯人ではないのか…?
又貫は捜査を見直す。
当初抱いた疑念が再び。
鏑木は本当に犯人なのか…?
真犯人は別にいるのではないか…?
逮捕された男こそ真犯人ではないのか…?
が、上層部は鏑木犯人を押し通す。
又貫は不服を抱きつつも、それに従うしかなく…。
見る我々も本当に鏑木が犯人なのか、曖昧。
状況から鏑木が犯人のように思える。
が、決定的なそのシーンを見ていない。
これが冤罪を生むのではないか…?
警察のずさんな捜査、誤認逮捕、世間の決め付け…。
袴田巌さんの事件のようだ。
先述の某冤罪事件とは、この事。間違いなくその含みはあるだろう。
罪を犯した者は許されないが、警察の事実の揉み消しや隠蔽も同罪。事によっては以上。
後半からはその問題に問い掛け、展開していく…。
3人との出会い、3つのエピソード。
似通っているように思えて、それぞれ違う。
野々村とのエピソードは初めて人と親しくなり、沙耶香とのエピソードは初めて人に好意を抱く。
舞とのエピソードは自身の事件に大きく影響する、ハイライトでもある。
長野の介護施設で有能に働く鏑木。
舞は鏑木と共に重症患者の介護に就く。
その患者というのが…、
事件時、現場に居合わせた被害者遺族で目撃者・由子。
この展開には驚いた。
本当に犯人だったら、口封じ。
彼の場合は違う。唯一の目撃者から真実を証言して貰う為に。
『逃亡者』など自力で真犯人を探そうとするのは定番だが、これは大胆。が、最善かもしれない。大変なリスクは伴うが。
回想エピソード。鏑木は事件のあった家の近くにたまたま居て、悲鳴を聞きつけ、家の中に。そこで見たものは…
血だまりの中に惨殺死体。犯人の男。あの足利だ。
それをはっきり見た。硬直する鏑木を尻目に、足利は現場から消える。
まだ被害者に息が。背中に刺さった釜を抜いて欲しいと被害者は目で訴える。
鏑木が釜を抜いた時…
不運なタイミングというのがある。釜を抜いた所を由子に見られ…。
その時警察もやって来て…。
“現行犯”として逮捕。
由子も真犯人を見ている。
それを証言してくれれば…。
が、事件のショックから由子の記憶は曖昧。
由子の証言で鏑木の有罪/無罪は決まる。
リスクを犯しても、鏑木は由子に会う必要があった。
各地を転々としていたのも、又貫や沙耶香に語った“やるべき事”もこれ。
真実をーーー。
舞がSNSに上げた動画から、桜井=鏑木疑惑が世間に。
あっという間に居場所を突き止められる。又貫も現場へ。
沙耶香も現場へ赴き、野々村でTVの生中継で見守る。
鏑木は施設に立て籠ってまで。
由子が本当の事を証言するその瞬間を、生配信で。
それを請け負う事になった舞。巻き込まれであり、舞もまた証人。
必死の鏑木。
由子の記憶も徐々に…。
その時、上層部の命令で警察が強行突入する。
鏑木に向けられた又貫の銃口。
これまでにも撃てる機会はあったが、又貫は撃てなかった。
やはり彼自身、鏑木が犯人ではないと感じていたからだろうか…?
しかし、今回は…。
又貫の銃口が火を吹き、鏑木を…。
ご都合主義や難点もある。
東京での逃亡劇。都会のあんな河にダイブしたら袋の鼠じゃ…?
作品の印象的にはどうしても市橋達也の事件。それと冤罪を絡ませるのか…?
逃亡サスペンスと冤罪テーマ、どちらを主軸に置きたいのか。
ちらほらそんな声も出てきそうだが、そんな両方を巧みに併せた見事なサスペンス×社会派×ヒューマンのエンターテイメント。
藤井監督にまたまた力作誕生。
そしてキャストたちのアンサンブル。
エピソード毎に印象変わる横浜流星の巧演/熱演。彼にも堂々たる主演作誕生。
鏑木にシンパシーを抱く吉岡里帆は大きな役所。彼女も良作続く。
森本慎太郎はアイドルオーラを消し去り、山田杏奈も今年は『ゴールデンカムイ』と本作でまた一段と飛躍。
陰ある役や追われる者も合う山田孝之が、追う側を抑えた演技で好助演。
これからの賞レース、作品も監督もキャストも台風の目になるだろう。
世間を騒がせた鏑木の事件から暫くして…。
会社を辞めた沙耶香は鏑木の冤罪や再審に奔走していた。
賛同者も。沙耶香の父、会社の元同僚、野々村や舞も。
私たちは知っている。鏑木慶一がどういう人間だったかという事を。
鏑木は生きていた。あの時被弾したが急所を外れ、今はまた収監の身。
が、今度は絶望の底ではない。
沙耶香たちの尽力が実を結ぶ。
由子の証言、真犯人とされる足利への疑い。
警察上層部は冤罪を認めようとしないが、会見で又貫が冤罪を認める。
再審。判決の時。
結果は…
これが『それでもボクはやってない』のような真に司法の在り方を問う作品だったら、望まぬ結果になっていただろう。
が、本作はエンターテイメントでもある。
出来すぎかもしれないが、この判決に安堵した。ホッとした。
これはただのフィクションの理想事か…?
いや、そうではない。袴田巌さんも半世紀の時を経て無実を掴んだ。
真実は決して埋もれない。葬られない。
必ず明らかになる。そう信じたい。
鏑木が信じたのは、もう一つ。
又貫の「何故逃げた?」への答え。
それがあったからここまで来れた。
人に運命を狂わされた鏑木だが、それによって救われたのである。
人との出会い。縁。善意。
人の“正体”を信じて。
私たちは生きていきたい。
冤罪か殺人犯?
殺人犯で死刑囚なった男が脱走。
何故逃げたのか?
逃亡中に出会った人々の視点から
描かれるサスペンス的でヒューマンストーリー。
鏑木の芯の人間性が真実に向かっていく。
逃亡劇はハラハラドキドキ。
『初めて働き、初めて人に信じて貰い、初めて人を好きになった』は印象的。
あの長い闘いを一人の少年が一人で挑む。
彼の信念が多くの人々を揺さぶり巻き込んでいく。
又貫刑事と井澄刑事はもう少し連携を取って
話して欲しかった。お互いに分かってたはず。
川田署長みたいな上司はリアルにありそうで怖い。
横浜流星さんは良い役者。山田杏奈さんは色白だから、頬が赤くなり照れる姿は似合ってたなぁ。
厚みのある俳優人で見応えあり、正しく感動の正体でした。面白かった。
【”警察は司法制度の鉄則”疑わしきは被告人の利益に”を遵守しているか!”今作は青年がある思いを抱え逃走する姿と逡巡しながら彼を追う刑事、青年を支える人達の姿がムネアツなヒューマンサスペンスである。】
ー ”疑わしきは被告人の利益に”
・・ご存じの通り、司法制度の鉄則である。且つ警察の捜査の際にも常に念頭に置くべき判断基準である。これがなされない捜査では、戦時の特高思想が警察に濃厚に残っていた昭和20年代を主に、数々の冤罪を生み出してしまっていた。つい最近でも、昭和40年代に死刑判決を受けた男性が長年の控訴の末に無罪判決を勝ち取った事は多くの方が知っている事であろう。
多くの免罪事件を無罪にする潮流を作った昭和50年に最高裁が示した”白鳥決定”は、故に、画期的な判断であったのである。
今作では、この鉄則がないがしろにされるとどのような事になるかを、今や邦画の若き名匠の域に達しつつある藤井道人監督が、エンターテインメント要素を盛り込みながらも、見事に描いているのである。-
■一家惨殺の罪で死刑宣告を受けた18歳の青年、鏑木慶一(横浜流星)が歯茎を自ら傷つけ血を吐くフリをし、病院に搬送途中に脱獄する。そして、彼は容姿を変えながら、真実を求めて逃亡の日々を過ごしていく・・。
<Caution!ここからは、鑑賞後に読んでください!>
■鏑木が、逃亡の日々で出会った善なる人達
1.大阪の工事現場で出会った野々村(森本慎太郎)。
借金がかさみ、ブラック業者の元で仕事をする中怪我をするが、偽名を使い働いていた鏑木が”労災隠し”を工事監督(駿河太郎)に告げ、2万円を貰う事で鏑木と野々村の間に友情が芽生えるのである。
ー このシーンでも、社会派でもある藤井監督は”労災隠し”という現代でも起こっているだろう事を、さり気無く糾弾しているのである。ー
2.出版社で勤めるライターの安藤(吉岡里帆)。
フリーライターの身分で那須と名を変えネットカフェで寝泊まりしていた鏑木の真実に気づきつつ、弁護士である父(田中哲司)が痴漢の免罪により有罪を受けた事もあり且つ彼の優しい素顔を知り、庇う姿勢に転じて行くのである。
3.諏訪の養護施設で働く酒井(山田杏奈)。
介護士の桜井を名乗る鏑木の優しさに惹かれて行く。だが、鏑木が介護士になった理由は別にある事が再後半に描かれるのである。
◆感想<印象的だったシーンを記す。>
・鏑木慶一を演じる横浜流星さんの、次々に変装しながらも哀しみと強い決意を秘め、全国を逃げながら、真実を追い求めるためにまずは大阪の工事現場で金を貯め、次にフリーライターになり出版社の数々の自身の事件の取材データを写真に撮り、諏訪の介護施設の介護士になりながら、一家惨殺事件の唯一の生き残りであるPTSDになった老婦人(原日出子)を介護しつつ、真実を口にして事件の真犯人を思い出して貰うように涙を流しながら頼む姿が沁みるのである。
・鏑木恵一を執拗に追いつつも、心のどこかで”彼は犯人ではないのではないか。”という疑念を持ちつつ、愚かしき警察署長(松重豊)のプレッシャーにより苦悩する又貫刑事を演じた山田孝之さんも、厳めしい顔を終始崩さない中で、秘めた苦悩の感情を僅かに表す流石の好演である。
・愚かしき警察署長の”18歳か。(成人として裁けるので)凶悪化する少年事件の抑制として極刑にすればよいだろう。”という言葉を聞き、証拠が不十分なのに”犯人であると決めつける”姿が恐ろしい。
・又貫刑事は安藤の家に匿われていた鏑木に銃を向けるも、撃たない。部下に”何故、撃たなかったのですか!”と言われても、苦悩の表情を浮かべているのみである。
再び起きた一家殺害事件の狂った犯人(山中崇)が捕まった際に口にした”模倣犯じゃないよ。”という言葉と鎌による犯行手口が余りに似ているために、更に疑念を深めて行くのである。
・そして、諏訪の介護施設で酒井が”鏑木が老婦人に真実を告げるよう必死に求める姿”をリアル配信する。
又貫刑事が、酒井がプライベートで桜井と出掛けた際の動画を見て、現地に駆け付け、鏑木を追い詰めた際に、彼は左利きの鏑木の右肩の肋骨の下(一般的に、致命傷にならずに後の生活にも支障を来さない部位と言われている。)に的確に銃弾を撃ち込む姿も沁みたなあ。
■又貫刑事が、漸く捕らえた鏑木と拘置所で対峙するシーンは、今作の白眉であろう。
刑事は静に鏑木に問うのである。”身体はどうだ。一つ聞いていなかった事がある。何故、逃げた。”
それに対する鏑木の答えが沁みたなあ。
彼は柔らかい表情で”信じたかったんです、この世界を・・。そして、人間が好きになりました。生きてて、良かったと思いました。”と又貫に告げるのである。
彼が、安藤に”信じているよ。”と言われた時に流した涙の意味が、ここで再度分かるのである。
そして、ついに又貫刑事は記者会見を開き、鏑木の誤認捜査の可能性がある事を認めるのである。
・更に、捕らえられた鏑木が免罪である事を街中で訴える、それまで顔も知らなかった野々村、安藤とその父、酒井の姿も沁みるのである。
<そして、再び法廷に立つ鏑木。心配気に見守る野々村、安藤とその父、酒井の表情。
裁判長が”主文を言い渡す。”と言った後に、無音になるシーンはハラハラしたなあ。何故ならば、死刑判決は最初に主文を言い渡すことが多いからである。
だが、無音の中、歓喜の涙を流す安藤、酒井の顔が映し出され、拍手が沸き起こっている姿が大スクリーンに映し出された時に、久方ぶりに涙が込み上げてしまったモノである。
今作は、若き青年が”ある思い”を抱え逃走する姿と逡巡しながら彼を追う刑事及び青年を支える人達の姿がムネアツなヒューマンサスペンスなのである。>
<2024年11月29日 劇場で観賞>
<2024年12月1日 別劇場にて、再観賞。初回と同じシーンで涙し、更に初見時以上に胸に熱いモノが込み上げました。故に、評点を5点に変更させて頂きます。>
ラストは涙が溢れて困りました。
とても幸せ感のある涙で、
悲しみに身体を引き裂かれるような
慟哭・・・というより、満足感の涙でした。
ともかく横浜流星さんの美しさとカメレオン俳優ぶりに驚く‼️
そんな映画でした。
死刑囚→脱出劇→潜伏逃亡→日本全国を転々→343日間。
仕事選びも実は鏑木慶一には切実な目的がありました。
拘置所脱出の真の目的は、自分の無実を証明すること。
そのためには死刑宣告を受けた【一家三人惨殺事件】の
唯一の生き残りであり、
目撃者である井尾由子(原日出子)の証言を得ること。
由子は事件のPTSDから記憶を封印しているのです。
ハードルが高いですね。
だから鏑木は最終的には由子が入所する長野県の介護施設の職員に姿を
変えて近づくのです。
アクションシーン、
ほのぼのした紗那香(吉岡里帆)との短い同居生活。
しつこく追ってくる刑事の又貫(山田孝之)
そして又貫の中に芽生える“誤認逮捕?冤罪?“
鏑木に接触する人間は皆一応に
「優しかった」そう呟きます。
ラストの“立て篭もり犯人のSNS実況中継“
などエンタメ色も強くて、そこに冤罪をはらせるか?
という興味でどんどんひきこまれて夢中になりました。
藤井道人監督は盛り上げ方と、泣かせる演出が実に巧み。
ラストは拍手と涙、涙。
(流星くんの高校生ブレザー制服姿・・・なんかのシーンもあり、
(切ない映画なのに結構ほのぼのしたりします)
ただ、死刑囚になる事件の顛末は、いささか信憑性に欠ける‼️
無理クリだな、そう感じました。
が、杜撰な捜査や、不運の重なり・・・があるからこそ
“冤罪事件“が起こるのですね。
また鏑木の逃亡の巧みさ、あらゆる職業をマスターするスキルの高さ。
頭の良さにもビックリでした。
暗い内容なのに娯楽性が高く、楽しめて大満足でした。
タイトルのとおり、人の本性の不可解さを描いた方が良かったのではないだろうか?
映画のタイトルから、主人公に出逢った誰もが、彼を殺人犯とは気付かず、「人間の本性はなかなか分からない」みたいなことが描かれるのかと思っていた。
ところが、どうやら主人公は無実で、自らの潔白を証明しようとしているらしく、よくある「逃亡者」のような話であることが分かってくる。
確かに、主人公が逃亡先で出逢った人々が、主人公に感化され、彼を助けようと協力し合う姿には、胸が熱くなるものがある。
ただ、いくら警察や司法が無能だからと言っても、あれだけマスコミが大々的に取り上げている逃亡犯がうまく逃げおおせるとは思えないし、そもそも、明確な動機もなく、目撃者の証言も曖昧なのに、主人公の死刑が確定してしまうところにも大きな疑問を抱かざるを得ない。
特に、主人公が、マンションのベランダから逃走するシーンでは、階下の車の上に落下してから近所の川に飛び込むまでのワンカットの(ような)描写は見応えがあるのだが、都会の川に飛び込んでも、それで行方をくらますことは不可能だろう。
主人公の言動にしても、逃亡中の身なのに、わざわざ会社に逆らったり、ウェブ記事のライターになって(リモートでの会議ならいざ知らず)直接編集者と会って打ち合わせをしたりと、目立つようなことをしているところには違和感を覚えてしまう。
主人公と出逢った人々が、主人公を「善い人」だと思うのは良いのだが、吉岡里帆が演じる編集者が、どうして、そこまで主人公の無実を「信じる」ようになったのか、その理由もよく分からない。
確かに主人公は、ライターとして優秀なのだろうが、雨の日にネットカフェに入りあぐねていたり、居酒屋で酔いつぶれたり、料理が上手かったりするだけで、彼と同居を始めるところは「脇が甘い」としか思えないし、いくら父親が痴漢の冤罪事件に巻き込まれているからといっても、主人公まで無実であると決めつけるのは「思い込み」でしかないだろう。
この編集者のくだりは、人を「信じる」ことの尊さという、作品のテーマに直結するエピソードであっただけに、彼女が主人公を信じるようになった経緯は、もっと丁寧に描き込んでもらいたかったと思う。
主人公が脱獄した理由が、濡れ衣を晴らすためではなく、「世の中を信じてみたかったから」というところも、感動的ではあるのだが、その一方で、だったら脱獄などせず、自らの無罪を地道に訴え続けるべきだったのではないかとも思えてしまう。
何よりも、「殺人犯ではない」という主人公の「正体」を描くだけで、彼に会った人は皆、そのことに気付くという単純な話になってしまったことは、残念としか言いようがない。
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