正体のレビュー・感想・評価
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引き込まれた
冤罪の怖さ、組織の怖さ、先入観の怖さ
自分を信じる、相手を信じる、柔軟な余白を持つ
とはいえ、人間の優しさに漬け込む犯罪もあるから
優しいからいい人、というのも気をつけなければですね。
その辺は置いておいて
展開などがうまく、
引き込まれ、あっという間でした。
目的にまっすぐに生きる
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民家に侵入して3人惨殺した罪で死刑囚となった横浜。
ある日自殺未遂を起こし救急搬送、その道中で脱走する。
まずは住み込みで工場で働き、同僚の森本と親しくなるが、
脱獄犯と気付いた森本が通報、横浜は一足先に逃亡。
優等生だった横浜には文才があり、ライターになる。
やがて記者の里帆の口利きでその出版社の専属となる。
さらに里帆は宿無しなことを知り居候までさせてくれる。
やがて第三者の通報により警察に踏み込まれるが、
里帆が身を挺して刑事を妨害、またも横浜は逃亡に成功。
時が経ち、横浜は長野の介護施設で働いてた。
そこには一家惨殺事件の唯一の生き残りのオバちゃんがいた。
PTSDになってたが、横浜は親身になって介護する。
実は横浜は無実で、事件後に被害者を助けようとしただけ。
当時オバちゃんは真犯人の顔を見たが、心神喪失しており、
警察は強引な事情聴取で横浜を犯人に仕立て上げた。
なのでオバちゃんに記憶を取り戻してもらうために、
横浜は脱獄して金を作って長野まで来たのだった。
ただその施設も警察に包囲され、横浜は立てこもる。
そしてそこにいた後輩の杏奈に生配信をしてもらう。
ついにオバが記憶を取り戻しかけた時に警察が突入、逮捕。
ただ一連の件で、無実の可能性を世間に示すことはできた。
森本・里帆・杏奈らが行動を起こしてくれたこともあって、
警察は再捜査せざるを得なくなり、無実が証明される。
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いやー、これは面白かったなあ。
無実を晴らす唯一の方法と言える脱獄までして、
その一途な思いが報われることに感動した。
やっぱり人間、最後にモノを言うのは人間性なんよな。
横浜くん自身が素朴で浮ついたところのない印象なので、
まさにハマり役やと思った。共感して何度も泣いた。
収監されたのが18歳とかなので、彼は世の中を知らない。
しかも孤児だったか何だかで、施設で育った苦労人。
酒を飲んだこともなく、焼き鳥を食べたこともない。
だから酒を飲んで寝てしまったり、吐いてしまったり。
また働いたことも人や社会から信頼されたこともない。
だからちょっと信じてもらえただけで思わず涙ぐむ。
警察は杜撰な捜査で、こんな純朴な青年の人生を奪った。
ってか刑事部長の松重が犯人に仕立て上げたようなもの。
事件を手っ取り早く終わらせるために。最悪。
検挙さえできれば、それが真犯人がなくてもいい・・・
そんなことも抜かしてやがったな、この最低野郎は。
今回の松重豊さんの役は、ホンマにええとこなかった。
でもそれ以上なのが駿河太郎さん演じる社長。
パワハラ三昧、ってかふつーに暴力奮いまくり。
こんな糞野郎、今の時代いねーよってほどに最低過ぎ。
こんな役に名のある役者さん使わんでええんちゃう?w
あと気になってしまったのやが、里帆って無罪なの?
脱獄犯を匿ったうえ、逃亡の手助けまでしてる。
ってか里帆が邪魔しなければ警察は確実に逮捕できてた。
恋愛関係でもないのにそんな暴挙に出る男前な里帆。
それを呼び込んでるのは横浜の人柄と才能。
つくづく人間、最後は人間性なんよな~。
社会派映画としては少し違和感を感じたけど、まずまずかな
鏑木の死刑判決まで手際よすぎると思います。映画の中の回想シーンで、犯人の目撃者が1人いましたが、錯乱している状態で警察に通報できたのでしょうか?鏑木が殺害現場に来たとたん、すぐ警察が来ます。
警察が目撃者に鏑木が犯人かと問うと、うなずくだけで鏑木が犯人だと決めつけます。鏑木は「僕はやっていない❗️」と否定するのに。
もう1つに気になったのが、冒頭で鏑木は刑務所の中で吐血するのですが、命にかかわる危険な病気などにかかっていたのではなかったのですか?救急車の搬送中に、とても逃亡できるような状態ではなかったと思います。
横浜流星さんや山田孝之さんの演技は魂がこもっていて良かったです。
鏑木が逃亡中に出会う人々が温かく迎えるのは、鏑木が犯罪をする人柄ではないと感じたからでしょうね。
原作小説もぜひ
先に原作を読んで挑みました。
原作が大変面白かったので
少し期待せずに…(失礼)
原作の良さをしっかり残し
実写化にしっかり合わせた
見事な脚本だと思います。
原作ファンも大満足しませんか、これ。
原作では作者の染井為人氏があとがきで
鏑木慶一にその結末を詫びていたのが
とても印象的だったのですが
本作でそれが昇華されたように思いました。
小説の実写化で成功した作品は
個人的にとても少ないですが
これは文句なし。
山田孝之、横浜流星にしっかり
魅せられました。
真犯人の正体を暴いてよ警察!
公開前から観たくて観たくて、でも忙しくて、
やっと時間を捻出し鑑賞。
横浜流星はストイックに役に現実でなりきる人だから、殺人犯に現実でなりきることが出来ないのに役作りどうするんだろう?と心配していた。
そして、そうだ!だから横浜流星はやってないんだ!つまり冤罪逃亡者なんだ!と結論に至り鑑賞。
先に予想してしまっていたので、横浜流星の正体に怯えることなく、ひたすらに吉岡里帆の視点で見ていく。
養護施設で育っているから、守ってくれる人も、代わりに戦ってくれる家族もいない。
それでも、学生から死刑囚、死刑囚から逃亡犯となって、逃亡犯として初めて社会生活を味わった時、
どんな仕事でも周りの人に優しく、与えられた仕事以上を出す、逃亡犯として認知されてしまった「鏑木慶一」という名前の人物の、本当の姿が見えてくる。
関わったどの人も彼を悪く言わない。
殺人犯や逃亡犯が「正体」ではなく、
関わった人が感じ取った鏑木が、彼の「正体」。
下校中叫び声を聞いて、何事かと「失礼します」と家を覗いて、うめく人から左利きの手で鎌を抜いてあげた、その優しさが若い未来ある18歳の全てを変えてしまった。
友達ができ、お酒を飲み、外食して、恋をする、多くの若者にとって普通に味わえる成人の生き方全てを奪ってしまった、警察上位職の一存。
人の痛みに鈍い役に、松重豊。
1人でご飯を食べる孤独のグルメで映画が成り立つ俳優さん、私も好きだが、本作の役柄ばかりは許せない。
現場責任を取る刑事役に山田孝之。
どちらかと言うと逃げる側やとち狂う側が多かったような気がするが、キャリアを重ねて、幹部候補に載ってくるような責任ある刑事役がよく似合う。
横浜流星と対峙したら、世の多くは、もし彼が本当に殺人犯でも、騙されてしまうような気がするが、山田孝之は眼光鋭く疑惑の目をやめない。
司法の裁判が先に進み、先に死刑判決が出ているのが本当におかしな話だが、被告としての鏑木に動機は見つかっていないまま。
犯人を逃した事よりも、事件の衝撃で錯乱した被害者から無理やり言質を取り刑事として組織上位の意見の方を優先した事よりも、役割は捜査なんだから捜査をしておくれよ!
次の連続殺人が起きてから、「凶器が鎌だな、あ、あの時と似てる、模倣犯かな?」じゃないんだわ!
特に前田公輝。本質を見抜いてるぶって見えてない役がハマりすぎ。
それでも、真犯人と対峙し、進みゆく現実の事態から、山田孝之の目に映る鏑木の印象は少しずつ変わっていく。
若干の目の動き、眉の動きから、刑事の心情変化が伝わってきて、しっかりと、逃亡犯と向き合う刑事、の構図が成り立っていく。捜査に本気になるスピード、遅っ!ネット記事会社に情報を聞きに来るって、どれだけ怠慢なんだ!
真犯人の経歴から簡単に造園職と凶器は結び付いたはずなのに、そうすれば真犯人の存在アピールとも言うべき第二の犯行は起こらなかったかもしれないのに、眼力だけのとんだ間抜け刑事。こんなのが捜査担当になったせいで横浜流星が苦しんでいるじゃないか!と憤る。
でも、なぜ逃げたのかの質問に
「この世界をもう一度信じたかった。正しいことを正しいと言い信じて貰える世界。もっと生きたいと思った。」
と言われたら、刑事になった頃の正義感、再燃するはずだし、それは上司命令より勝るよね。
18歳が突然殺人死刑囚にされ、逃亡犯として自力で法律を学び、証拠集めしないといけない警察機能なんてどう考えてもおかしいし、お前何のためにいるんだよって存在になるもの。
勾留の面会室で、左に横浜流星、右に山田孝之の画は、弥生人と縄文人の対話に見えて面白かったが、若い鏑木が、稲作ではなく正義を人生をもって、刑事に教えた。その前から、撃ち殺して身柄確保できる場面で2度も仕留めなかったところから、鏑木が犯人と断定できる確信はなかったことがよくわかるのだが。信じる気持ちが少しでもあるのなら、検察じゃないんだから、仕事をちゃんとしてくれ!
警察の怠慢をよく知っている、弁護士の父親が痴漢冤罪で敗訴した記者役の吉岡里帆も、大々的に懸賞金をかけ連日報じられる鏑木と、会社に出入りするフリーライター那須くんに、確信はないがモヤモヤっと、あれ??と疑念を抱く演技が上手だった。見えない目撃者でも、真実に気付くまっすぐな女性を演じていて、本作もとても良かった。
森本慎太郎も、横浜流星と仲が良い平野紫耀の仲良しで、逃亡犯として鏑木が最初に働いた工事現場職の仲間にぴったりである。
鏑木を通して、ゴミだらけだった自室を片付け将来に向き合い、コミック本をくくって片付け、法律本や冤罪証明活動に向き合い始める。
もし鏑木がそのまま死刑になっていたら、養護施設を出て貧困から抜け出そうとするこの子の足掻く人生すらも、鏑木には与えられなかったと思うと恐ろしい。
精神を病んでしまった被害者から証言を得るために、被害者のいる介護施設に入り込み働いている鏑木も、同僚の若い子から好かれる程の人間的魅力があって。
逃げているから痩せ細っている横浜流星だが、だからか余計に関わる者の母性をくすぐる。
最後は結局、人間的な魅力が自分を救ってくれるのかな、という、当然で意外な、ご都合主義に見えてそういうものだよねと納得がいくような、人生の縮図を見たような作品。
「なんで俺だったんだろう」この世は赤の他人のテキトーな意見で、人の人生が簡単に書き換えられてしまう。こわい。
面会室の中で、冤罪を晴らそうとしてくれているメンバー1人1人と話す場面で、涙が止まらなかった。
死刑囚とは知らず、でも人間性に惹かれて好きになったら逃亡され、「もっと違う形で出会いたかったし、話したいことたくさんあるから早く出てきて」
という関係者の溢れ出す心の叫びが、それぞれの涙に溢れていて。
鏑木側は、そこまで信じて親身になって貰えた有り難みと、せっかく出会えて塀を隔てず話せた期間に、打ち明けたくても別人になりすますしかなかった、罪悪感と、正体を知られてから再会する気恥ずかしさが伝わってくる。
冤罪でどれだけのものを奪われるのか、世間の目に負けずに信じてくれる周りの人がどれだけ助けたくても、司法という障壁はどれだけ厚いことか。
その絶望と、痩せた横浜流星は、イエスキリストが十字架に架けられた時の姿となんだか重なった。
事件とは無関係の火傷。施設の生い立ち。他にも沢山傷付いて生きてきたのだろう。
出てから思いっきり陽の光を浴びて、人の温かさを沢山感じられる人生を謳歌してほしい。
もう左利きを隠す事なく。
テーマとして冤罪を扱うだけでなく、
冤罪関係者の心の機微まできちんと伝わるのは、
藤井監督と横浜流星の掛け合わせと、
良い俳優さんが結集しているから。
素晴らしい作品。
山田杏奈演じる介護施設の同僚の女の子の「自分からも周りからも逃げずに向き合うことにした」のあと、複雑で神妙な顔をして「僕は逃げてばかりだったけど」と言う鏑木くん、というか横浜流星と会話してみたい。
「おかえりなさい」「おつかれさまです」のような挨拶を、目を見てゆっくりと、優しく落ち着いて言う鏑木は、横浜流星が演じているから成り立っている。
鏑木の人物像は、横浜流星だからこそ築かれ、横浜流星だから作品の重みも人間味も喜怒哀楽を通り越した複雑で事細かな感情も、しっかりと可視化される素晴らしさ。
これからもずっとファンだし、私もゆっくり挨拶してみようかなと思った。
全てを握る真犯人の狂気の正体はわからずじまいだった。左利き、鎌、殺人、鼻水、ケーキ。。
恋人なったのかなってないのかだけ教えてくれ!!!!
フリーライター那須の時にどんだけの期間同居してどんだけ仲が進展したのか知りたい!
あそこのラブストーリー3時間見たい!!
でもよく知らない異性を部屋に上げちゃ駄目!!!!!!
良い映画だと思いますが、警察が今時珍しいレベルで無能でノイズになってしまう。
自分で整形したり無人島行ったりした実際の逃走犯がモデルなんでしょうが、あの有り余るエネルギーを逃走に全振りしたヤツでさえ、部屋囲まれて刑事と対峙したら捕まってたと思うのよ。
部屋の窓下に警察一人もいないとか指示系統どうなってるのよ。
無能通り越してゴミなのよ!!!!!
冤罪は悪がテーマらしかったようだし、冤罪と一緒に警察も丸ごと悪役にしちゃった感じですかね。
キャラクターも魅力的で話もよく出来ていて、最後の流れも良い。
最後の真実の開示の流れが良くてよい。
でも返り血がこんなに少ない人を犯人扱いはあまりにも無能!!!!!!
それで全ての説得力を失うレベルで無能!!!
MU★NO★U★!!!!
なのに新米デカの射撃エイムだけ有能なのがまたフィクションッッッ!
ラストの山田孝之演じる刑事との会話…
非常に良かったです。
完全なる組織人にて失敗の許されない立場でありながら、記者会見で又貫に冤罪疑いだと言わせたその内容とは⁉︎
気になって仕方なかったんですが…
関わり合えた人々のおかげで、生きたいと願えるようになった鏑木の想いだったんですね。
私にも刺さりました。
原作を全く知らず、ポスターの横浜流星さんが只々レヴェナントのディカプリオ役の息子に似ていたので目に止まり、高評価だったので本日観てきました。
なので途中までなんやかんやで実は真犯人なのだろうと疑って観てました。
話の組み立て方がお上手な監督さんですね。
変装してるにせよ、すぐに働き口を見つけてすんなりやってのけてるあたり、とても地頭が良い青年の設定でしたね。ベースや目的は全然違いますが、キャッチミーイフユーキャンと重なってしまいました。
ただし血みどろの部屋にズカズカ上がり込んで、怯えつつも鎌を握るシーンにはやや違和感を感じました。知り合いの家ならともかく、通常なら腰抜かすか逃げるかかなと。
そこも含めて生き抜く力のある青年だったということでしょうか…
横浜流星さんが着実に名俳優への階段を登ってる最中だというのは、間違いなさそうです。
逃亡の果てに・・・
予告編を見た時から期待してましたが・・・
いや〜、裏切られません!納得の面白さでした。
横浜流星さん、スゴイですね!すっかり魅入っちゃいました。
【どこからがネタバレになるか分からないので】
変装しながら逃げ回るということで、横浜流星さんが数々の顔を見せてくれます。
まぁ、話の展開から無実を証明するために逃げてるんだろうなってのは想像できたけど、タイトルが「正体」だから、実際どっちなんだろう?とやきもきする感じもありました。
実際にはメチャカッコよくて、運動神経も良いはずな横浜さんが、無様に逃げる姿も見応えありました。
そして、犯人を執拗に追いかける山田孝之さんが、また良い!当初は非情な冷血漢を思わせる刑事だったのが、自らの行動に疑念を持ち始め、最後の発言はホンっと感動的。まさに正義を貫いた感じで、横の上司を見下してやればよかったのに。
吉岡里帆さん、大好きな女優さんです。本作でもいい感じで魅せてくれます。お父さんの冤罪もどうなるんだろう?ちょっと気になるところです。
そう言えば、つい先日も冤罪の裁判が終わって無罪になった事件があったけど、ホンっと切ないよね。人生の殆どが無駄に奪われちゃうんだから。それに家族もひどい目に遭っただろうに・・・
信用・信頼・人柄・勇気…ヒューマンサスペンス
原作知らず予習も無しでレビューの良さだけで鑑賞。
単なるサスペンスだけではなく、様々な生き様を考えさせられる感動サスペンスでした。
横浜流星さんの変装の凄さも素晴らしく、変装しながら逃亡場所を変えるオムニバス形式の展開もわかりやすかったです。
正体不明(住所不定)ながらも、どこへ行っても器用に働き、好意を持たれ、日々小さな事の積み重ねで人柄ってわかりあえるもんですね。
ラストもスッキリ!
思いがけなく観た映画で最高な1日になりました。
良かった
予告編をかなり前から劇場で観てきました。
とても期待値が高かったので、そういう作品はたいてい、思った程の作品じゃない場合が多いのですけど、良い作品でした。
横浜流星くんが、主役の作品ですから、当然話しは流星の目線で話しは成り立ってますが、山田孝之刑事の目線でやってみたらまた、違って面白い作品になりそうです。
そしたら、松茂さんが演じていた警察上層部のいやらさが際立っていたでしょう。
あの後の展開で、多分吉岡里帆と流星がくっつくのでしょうが、そうなると、流星にぞっこんの若い女の子が悲しいです、まぁどうでもいい話ですけど😀
本作大変素晴らしかった。だけど…
本作大変素晴らしかった。鑑賞後席から動けなくなるほどに。だけど僕はハッピーエンドを願いながら、バッドエンドに期待してしまっていた。勿論、結末に不満はない。でももし、主人公が死んでしまっていたら、泣きながら5点を付けていただろう。
う〜む、モヤモヤが溢れている
演者さんは精一杯の仕事をしていたと思います 真田広之の後継的位置にある流星くんも(キムタク信長の如く)貧相で迫力ない声だけが玉に瑕なのだけど、今回の役回りでは、その声色・声力が足枷にはなっていなかった
さて物語は分かり易く、そのままサラっと流しておけばよいのでしょうが、
どうしても引っかかってしまう突っ込みどころも少なからず....
[以降↓はネタバレともなり得るので閲覧注意で願います]
さて大きなところでは
松重演じる警視◯◯の冤罪誘導の乱暴さはどうだろう?(この大胆な軽さは非現実的)
その圧力に応じた前半の山田孝之演ずる又貫刑事は「証拠はあるんだから」と血色ばむのは、凶器指紋以外にも錯乱〜心神耗弱の目撃者=被害者遺族=由子から、警視◯◯のストーリーに沿った証言を誘導した調書を作成した警視◯◯側のBad Lieutenant (悪代官)だと思われたのだが.....
第一審で鏑木が無罪を主張した折には、凶器に指紋をつけた経緯、真犯人と対面した下りを陳述していた筈なのに....
更に、又貫刑事は真犯人・足利を取り調べ時に模倣犯と呼び、それを否定した足利が、後に事件現場の東村山で勤務→退職していた経歴に”たまたま“気がつく下り...はどうだろう? 又貫は単に職能不適合者なのか
一貫して横暴な警視◯◯の態度に、初めて?反感を覚え、記者会見時に捜査誤認の可能性を彼の一存で発表する
大体、一介の担当刑事が記者会見で常にマイクを握って主だって喋っている構図を見たことがない
その後、その反組織的発言に対しての処分についてもノータッチのままだった
鏑木に「なぜ逃げた?」を繰り返し聞く又貫 鏑木は自らの冤罪を晴らす為に隠密に実に効率よく情報を集めていたのだが「信じられるものが---何ちゃら」とか言い、又貫が揺さぶられた(ことになったらしい)
控訴裁(再審?)で詳細な進捗が示されないまま逆転無罪を勝ち取る下りは、何が決め手になったのか? 実際の袴田事件の捏造証拠、DNA鑑定くらいに明確な反証がなければ、日本では逆転無罪を勝ち取れない 凶器指紋が足利のものと一致したのだろうか? 目撃者=由子が正気に戻って有力な新証言を述べたのだろうか?
う〜む、モヤモヤする
細かいところでは
ジャンプ野々村は110番通報しておいて「パニクったけど、ダチだから」と何のけれん味もなくしれっと冤罪(再審?)署名活動してるし
沙耶香の指名手配犯隠匿+「逃げて」公務執行妨害は不問に付されたようだし
沙耶香のマンションから衆人の見守る中逃走、橋から川に飛び込んだくらいで逃げ仰せてるし
物語としては沙耶香父の痴漢有罪同様に不当判決(有罪)が確定し、世の理不尽さは生易しくなかった、でも免職された?又貫ほか有志は無罪(冤罪)を立証するべく活動を続けた.....方がリアリティを勝ち得たかも
ヒューマン要素強めのサスペンス
鏑木は逃亡中各地で出会う人達の優しさに触れ、本来逮捕されていなければ普通にあったであろう小さな幸せを知っていく。
鏑木にとって沢山の初めてに出会った時の表情や仕草一つ一つが印象的だった。終盤に向かい徐々に鏑木の本当の正体が知れていくにつれ自然と涙が流れた。
キャスト全員が役をしっかり生きていたと思う。キャストの最大限の演技力を引き出した藤井監督の手腕も素晴らしいと思った。
情報に踊らされ鵜呑みにしてしまう人間の過ちと、残忍な権力。
冤罪事件はその人の限りある尊い人生を狂わせ、失った時間を取り戻すこともできない。
鑑賞後に祖母は涙を流しながら言いました。
冤罪事件が多数発生していた時代を思い出しながら観ていたそうです。
実際に早急に事件解決を図る上層部による圧力が存在していた数多の事件の真相も、私の世代のメディアでは度々放送されている印象が強いです。
人間が如何に情報に踊らされ鵜呑みにし、そこに隠された大切な事実を見落とし続けているか。
見たもの、聞いたもの全てをそのままに信じて疑うことのない怖さを改めて感じました。
生きた心地のしない逃亡生活とその先で信じてくれる人がいることで、彼(鏑木)の無実が証明されて良かった。祖母のその言葉に、私も共に涙しました。
いい映画だった イケメン過ぎて変装にならないけど
ハラハラドキドキの死刑囚逃亡の謎 ほんとにいい映画 見てよかった ただ学校帰りの高校生を有罪死刑囚は動機も状況もいくら証言があっても無い無い
原作読んで無いのでもっと深いのかもしれないが
弱め
悪い松重さんが好きなので嬉しいキャスティングでした。
横浜流星さんは大河ドラマにとっても期待してます。
この映画では正体ってほどの人物像もまわりの環境もさほど読み取れず…ハンバーグ作るのうまい優しいお兄さん、じゃ物足りないかなぁ…普通の人を演出したいのはわかるけど、それにしてはビジュアルよすぎだからなぁ…普通の人、とパワフルな脱出逃亡劇がアンバランス。もっと不器用な人なら共感&応援できたかも。器用なら器用で、もっと驚く欺き方をしてくれるとか。
あと、スピード解決が腑に落ちない…
山田孝之さんが唸るほど良かったです。石田杏奈さんと。
あと、せっかく山中崇さんなのに、ただのサイコなのか…残念。
そういう残念さも、リアルはドラマティックなものではないということにして呑み込もうと思います。ちょっと不発でしたが、役者さんがたは観に来てよかったと思わせてくれる演技でした。
生きねば。
冤罪。通りがかった高校生の第1発見者がかくも簡単に殺人犯に仕立て上げられるとは。この映画はまさに今年作られるべくして作られた作品だと思う。
生まれて初めて友達ができて、ビールを飲んで、人を好きになって、生きてて良かった。もっと生きたいと思った。
この映画の主人公・鏑木慶一のひととなりが良いからに違いないが、その信じる力が関わった人たち、自らを追い詰める刑事にさえ、影響を与えてていく。
実際はこんな風にはいかないかもしれない。
それでも、それだからこそ、信じる心、生きることを肯定するこの映画に私たちは感動する。
これが一昔前だったら、主人公が撃たれて終わり。警察組織・公権力の前に真実は埋もれてしまい、虚しい希望のない結末。
それがカッコいいと思っていた時代があった。作り手たちがいた。
今、藤井監督は観る者に希望を与えてくれる。(八犬伝を書いた馬琴のように)
映画っていいな。
目力
横浜流星の目力に引き込まれる。
目的を達成するために姿や佇まいを変化させながら目立たないように生活しているのだが、相手に気付かれそうになった瞬間の「目」にドキッとさせられる。
行く先々で懸命に生き、人のために働きかける主人公をみていると犯人ではない、ではなぜ逃げるのかと考えながらみた。
人に対して真摯に接すると自分もまた信頼される存在となる。それが、ラストに繋がっていく。
それにしても、冤罪によってしなくてもいい苦しみを味わうことになった主人公が哀れでならない。現代は大分工夫され、そのようなことはなくなったと思いたいがどうなのだろう。
原作のラストとは違うらしい。是非読んで確かめたい。
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