正体のレビュー・感想・評価
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最初の印象と違いますね
慎太郎君がアカデミー新人男優賞に選出されたと聞き、映画館へ。受賞効果なのか23日終了予定が1週間延長されていました。原作を知らず、犯罪を犯した主人公が逃亡する話かと思ったが、第一発見者なのに犯人と誤認逮捕された男の逃亡劇でした。児童養護施設育ちの未成年というだけで警察に充分な捜査をしてもらえず、やっていないという言葉を、信じて貰えない怖さを感じた。
後に協力者となる複数の人物が、指名手配の男と気付くも、その優しく誠実な仕事ぶりから、本当は犯人ではないのでは?と疑念を抱く。その心境が変化していく過程が丁寧で良かった。自分だったら、自分の直感を信じて行動出来るか?甚だ疑問だ。
君には未来を生きる権利がある
年末、施設にいる高齢の母が体調不良で救急外来に連れて行き大事なかったものの、新春「ビーキーパー」1本観たら母がインフルエンザAに罹患し、付き添い、入院、面会等で評判だった映画も観られず。
1月16日(木)
母も無事退院したので施設から近いMOVIX川口でやっと「正体」を観る。
無実の罪で殺人罪、死刑宣告を受けた鏑木(横浜流星)は自傷し搬送される救急車から脱走する。
建設現場作業員、フリーライター、水産加工業者、介護施設職員と職を替えながらある目的のために逃亡を続ける。
高校生の時に冤罪で逮捕され3年後に死刑判決を受けた鏑木には就労経験が無いが、フリーライターを除けば人手不足で就労しやすい。家の近所の工事現場では外国人だらけ、母のいる介護施設の職員も外国人も含め良く変わっている。
それだけにフリーライターで採用された事の説明が欲しかった。
安藤(吉岡里帆)が父親の弁護士(田中哲司)が痴漢の冤罪で有罪になった事で鏑木の正体が判った時もやっていないと信じるのを補完する意味でも、最初のきっかけが何だったのかは重要だ。
私も映画に関するライターの仕事をバイトでやった事があるが、ライターの友人の紹介だった。いきなり出版社から依頼は来ない。何がきっかけだったのか。
安藤は、鏑木がやっていないと信じるから銃を向けた又貫(山田孝之)の腕にしがみつき鏑木を逃がす。「逃げて!」目があった鏑木の唇は「ありがとう」と動く。逃がしてもらえた事ではなく、信じてもらえた事への感謝だったと思う。本作のテーマは「信じる」
(しかし、東京都内であれだけの衆人環視の中、川に飛び込んで逃げ切るのは??ここが一番信じられない)
1960年代に「逃亡者」というTVドラマシリーズがあった。妻殺しの嫌疑がかけられ死刑を宣告された医師リチャード・キンブルが護送中の列車事故で脱走し、真犯人を探してあちこちの町で出会った人たちとの触れ合いを描いた。日本でもヒットした。4年に渡って放映され最終回の視聴率は米国で50.7%、日本でも31.8%だった(あ、これもTBSだ)。
これを元に逃げる医師キンブルをハリソン・フォード、追うジェラード警部をトミー・リー・ジョーンズで映画化したのが映画「逃亡者」(1993)である。追跡、捜査をする内に本当に真犯人なのかと思うようになる又貫は映画版のジェラード警部か。
本作もTVドラマ版があるらしい(未見)が、一部改変して映画向けの脚本にしてあるようだ。それがSNSによる証言のライブ配信で、その最中に署長命令で突入されて鏑木は右肩を撃たれる(鏑木は左利きなので一番ダメージが無い所)。そして又貫は上司の意向を無視し、記者会見で誤認逮捕の可能性に言及する。
ラスト、約3年後の鏑木の再審の判決言渡しのシーン、又貫や後藤も傍聴席で固唾を飲む中、裁判長の主文以降無音になる。しかし、法廷内の風景から無罪になったのが判る。「CODA あいのうた」の無音のような演出。
横浜流星と山田孝之は見事だった。特に上司の署長(松重豊)の理不尽な指示に従うしかない寡黙な刑事の苦悩が良く出ていたと思う。
本作も編集は見事である。また、長野や地方の風景を美しく撮るのも藤井作品か。
1年で二度藤井監督作品に泣かされた。
「青春18✕2 君へと続く道」「正体」と邦画マイベストを2本も撮った藤井監督、今度は公開されたら直ぐに観ます。
ひきこまれた、でもひとつ疑問
山田孝之を魅るために観たけど、横浜流星を初めてちゃんと観た気がします。
ストーリーは良かった。人と人との関わり、つながり、などを感じられた。
最後はハッピーエンド過ぎてありきたり…チープに感じた。
冤罪、無罪だと認められて拍手喝采のシーンがあったけど、あれは実際にありえないのでは。
海外ならまだしも、日本で法廷という重んじられている場であんなに日本人が感情を爆発することは映画ならではの絵空事?
リーガルハイでコミカド先生が拍手して侮辱罪だと言われていたような…これもドラマだけど。
真実
WOWOWドラマ、主人公亀梨君で観ていたので内容知りつつ鑑賞
横浜流星君も良かった
無実の罪で捕まり、
逃走するなかで
色んな人に出会い
知識を蓄え、無実をつかむドラマ
再度捕まり、面会の場面で逃走した時に出会った人達とのシーンには
まんまと泣かせられる
正しい事を正しいって言える自分でいたい
横浜流星×森本慎太郎のタッグをまた観たい
始まってすぐ、かなり激しい暴力の演出に引きつつ…
どうやって服変えれたの?仕事なんでできてる?とかはいいこっなしの、仕事を変え、人相を変え逃げまくる横浜流星
そりゃ、その美しさと儚さに女たちはメロメロになるわ
とはいいつつ、この映画の功労者はなんといっても
森本慎太郎
ドラマ『だが、情熱はある』の演技、最高でした。
また演技が見たいと思っていたら…やっぱいい男
話の内容としては、映画の2時間でまとめるにはいい感じに落ち着いたハッピーエンド。
しっかり泣きました。
微妙なツッコミとしては
『なぜ逃げたのか?』という問いに対して
『人の優しさに触れたかった。信じたかった』
みたいなこと言ったけど…
いやいや違うじゃんw
『死刑になってたまるかーーー!!
記憶喪失のおばちゃんに真実を話してもらうんだ!!」
って思ったから、どうにでもなれ!
ってあんな警察をボッコボッコにして逃げたんでしょ?
最初はこう思ってたけど、人の優しさに触れられてよかった
とか、なんとか言って語ってほしかった。
うすーーーい言葉になんじゃそりゃ!ってなったかなw
でもそれ抜きにしても評価の良き映画!
単調すぎる
物語が予想通りに進みすぎてて、伏線とかが好きな人にはつまらなく感じると思う。
例えば途中の
「僕にはやらなきゃいけないことがあるんです」
というセリフも結局自分の無罪証明をするだけの話で終始意外な展開がなかった。
あと所々違和感を覚えるシーンもあった。
演技力や演出は良かったと思う。
横浜流星の正体
横浜流星の演技は終始素晴らしかった。
逃亡犯鏑木慶一を生きていた。
涙がボロボロ出るかと思ったがそうではなかった。
彼と一緒に人生を歩み、かすかな光に同じように藁にもつかむ思いで祈り、そして最後には一筋の希望を一緒に感じられた。
ただ、18才の高校生の人生を奪う根拠があまりにも弱すぎた。
ありがちな設定だが、さすがにそんなに短絡的じゃないだろうと思ってしまった。
原作を知らないので、映画の時間枠に収めるために仕方がなかったのかもしれないが、もう少し演出がほしかった。悪者になりがちな警察上層部だけど、さすがに根拠が弱すぎて憎みきれず。
「正体」というタイトルに期待しすぎたのか、
「正体という映画を見た」というより
「横浜流星の正体を見た」というのが相応しい映画。
藤井監督が横浜流星に惚れ込んでつくった作品というかんじに思えた。
惜しい!
シンプルなストーリーなので、途中から恐らくこうなるであろうと展開が予想できる。
日本の警察組織はやはりダメダメだと思う。これは映画だからとかではなく、実際にもこの映画のようにいかに速く解決するかにしか焦点を当てていないから。そんなことだから、袴田事件のような決めつけの冤罪がいつまでも起きるのだろう。
今回の映画は高得点がついてるだけに見応えは充分にあるし、現代社会だからこその方法で民衆を味方につけたのは流石だ。その手があったか!!と思わず拍手をしそうになった。
ただ1点だけもったいないと思った点がある。それは、役者の演技力は間違いなく素晴らしいのだが、悪役が悪役にならない。松重豊も山田孝之も本質的にいい人すぎるから。その影響からなのか、観てる側の心の揺さぶりが少ない。これが憎たらしいほどの悪役がこの2人の役を演じてくれたら、憎らしさで腹立度が高まり、そこからの大逆転が起きたら、感動はMAXになっただろう。いい人が悪役をするのは、せっかくの持ち味を壊してしまう。
誰が的役者か考えてみるのも面白いと思う。
いや そこじゃないっていうのは、はい。
美味しいハンバーグが作れる、料理がそこそこできる人はチェーン居酒屋の焼き鳥で「こんなにうまいものを食ったのは人生で初めてです 」などと言うクソ陳腐な言葉は発しません。あと、初めにもうちょい前菜的なもの挟みませんかね。 いきなり焼き鳥 だけ ドーンなんて食い物のセンスねえな。
っていう感じのが控えめに言ってあと15個ぐらいはありまして。全く引き込まれず。だいぶ雑に作られた話だなと思いました。そもそもあんなスピード判決で死刑は出ませんやね。
知らぬうちに入り込んでた
横浜流星、今まで言うほどうまいともかっこいいとも思ってなかったけど、この映画見て一気に見方が変わった。凄みがあったし、かっこよかった。特に最後のシーンの表情の移り変わり、本当に純粋な高校生に戻っての魂の叫びが伝わって涙止まらなかった。
ストーリーはあらかたわかるのに、すんごく集中して入り込んで。周りの咳とかでふと我にかえる感じだった。不思議。
実際はここまでなんの関係もない無垢な存在が冤罪で死刑にまでなる?というのはないのでは、という気はする。。それとも原作では何らか怪しい背景があったりしたのだろうか。直前まで血塗れの犯人がいたのに?しかも法律家目指すほどの思考能力あるのに?でも施設育ちで頼る人がいないとかも影響するのだろうか。。
私が冤罪になったとて真剣に庇ってくれる存在が家族以外にどれだけいるだろうと考えると切なくもなる。。
ジャンプくんは分かって一瞬で通報したんだよね、なぜそれでまだしれっと友達と言えるんだ?が謎でした。あと勝手に人の写真をsnsにあげなさんな。。
でもみなさんよかったです。山田孝之さんも吉岡里帆さんも松重さんの憎たらしさも流石の演技派揃い!
映画にしたらリアリティがなくなった
救急車の中で手錠をされて腰縄までされてたのに複数の警察とやりあって逃げられるとか現実味ない。普通の高校生が拘置所生活になって数年であんな動けるんかな。その後も怪我してる上にあんなに囲まれたのに川に飛び込んだだけで逃げ切れました〜ってアリ?和也も2万ぐらいでいいやつじゃん!って全部、説得力がない。逃げるためとは言え警察を躊躇なくボコボコにするし、殺人をするように思えないという人物像もイマイチ伝わってこない。辻褄が合わないなーと思って原作読んだら映画はとてもスリム化されてるんだなと思いました。原作には引っかかた部分がしっかりと描かれていました。あとこの話にサヤカのお父さんが冤罪で裁判中なの必要でした?解決してないし。
横浜流星がただただかっこよかったです。
おマヌケ犯人と無理くりプロットの眠い作品
顔バレ3回してるのは、ありえないでしょ。1回目はしょうがないとしても。んで、途中整形でもするのかと思ったら、目を若干細くして、ホクロ取ったくらい?その後、元に戻り、やっぱバレてるし。
途中で真犯人が捕まるご都合脚本。これ、原作もそうなんだろうか?
そもそも流星くん、3審制を活用したんだろうか?現代劇だから、警察検察のでっち上げが既知の現状で、いきなり脱走して、無実を証明するという手段を取るのは悪手でしょ。 その核となる手段が、目撃者の証言ってのも、どうなんだろ?(かな〜り強要ともとれる感じだったけど→ネット配信してるし)しかも、自分の容疑者顔をさらして。
些末なことで言うと、初めの茶髪友人、通報しようとしてたよね、ラストでちゃっかり面会に来てたけど、関係破綻するだろ、普通。
以上星4つに釣られて見た、ハズレ作品だった。各役者の演技は素晴らしかった。
いける
最初から最後まで退屈しない
ストーリーは、わかりやすい、サスペン的な要素があればなお最高だが内容的に難しい。
最後裁判の判決で終わってるが、その後どうなったのか軽く触れて欲しかった。ただ人の優しさ、信じることの大切さであったり、逃亡し人との出会いがあり無罪になったという、ありえないストーリーですが、それも全て含めて、それが映画なので気にしない。まあ見て良かった。
報知映画賞三部門受賞
「第49回報知映画賞」において、作品賞、主演男優賞、助演女優賞を取ったというものだから、遅ればせながら映画館へ足を運んだ。
客席もまあまあ入っていた。全体的には悪くないのだが、
今年の最優秀作品と成りうるのか。
いささか疑問符が浮かぶ。
この国の有罪に至るまでの立証はあの程度なのか?
移送中に逃亡できるのか?
誰もが鏑木を好きになってしまうのか?
更に、主演の横浜流星さんより、刑事役の山田孝之さんのほうが良くも悪くも心に残った。
3月の日本アカデミー賞はどう評価するのだろうか。
人の優しさに触れる
こちらの映画の構成的に、逃亡先で出会う人々との場面がそれぞれで区切られていて、短い時間内での演出になっていました。そこでの物足りなさを一切感じさせない、素晴らしい演出。短い時間の中で、鏑木の魅力だったり根っからの優しさだったり、「本当はやっていないんじゃないか」という感情を、観ている側に植え付けてきます。
「警察を恨む」という直接的な描写がなかった分、なぜ逃げたのかという問いかけに対して、もっと生きていたいと思った、、という鏑木の言葉に、胸を締め付けました。
横浜流星をはじめ、脇を固める俳優さんたちの目で訴えかける演技に心を打たれました!
ハッとする言葉に感動した
引き込まれるような話の始まりだった。そこから転々と職を変えながら,自分の目的に向かって進んでいく。高校生で死刑囚となった彼は,逃亡生活の中で初めて仕事をしたりお酒を飲んだらするのだ。出会った人たちから受ける優しさや言葉は彼の中に宝物のように積もって力になった。
最後に刑事である山田孝之に語る言葉に涙が出た。
彼は確実に人生を生き直すことができるだろう。
冤罪の恐ろしさを訴える社会派の面と、人を信じて正しいことをしたいと動くヒューマンドラマの面,どちらも併せ持つ良い映画だった。横浜流星の熱い演技も素晴らしかった。
冤罪の怖さと信じる者の強さを描いた作品
一家惨殺事件の犯人に仕立て上げられ、裁判で死刑判決を受けた主人公が自身の冤罪を証明すべく、逃走を図り、容姿や職を変えながら潜伏先を転々とし、最終的に判決の決定打となった証言を翻して逆転無罪を勝ち取る。大筋としてはそんな物語です。
この映画を見て袴田事件を思い浮かべた方も多いかもしれません。わりとタイムリーな話題ですし、被害者一家が惨殺された点、警察が袴田さんを犯人と決めつけ、それに基づいて証拠を捏造した点など、いくつも類似点があります。
映画のなかの話とはいえ、警察幹部の意向ひとつでこれほど簡単に冤罪が作られ、ひとりの人生が狂わされるのかと思うとゾッとします。
『この世界を信じたかった』
真実を明らかにし、誤解が解ければ世の中はきっと自分の無罪を信じてくれる。そんな主人公の強い信念が、彼を逃避行へ駆り立てる原動力となっていたわけですが、心から無実を証明できると信じ、それを行動に移せる強さと行動力にはただただ感服します。もし自分が同じ立場に置かれたら、裁判で死刑判決が出た時点で司法と警察を恨み、絶望して心を失ってしまうだろうなと。
また、この映画では潜伏先で主人公と関わった人々が、自身のリスクを顧みず、自宅に匿った主人公を警察から守ったり、互いに連絡を取り合い冤罪の署名活動をするなど、主人公の味方となる場面がいくつか見られます。
心根が優しく、人が好きで、人を信じている主人公だからこそ周囲から信頼され、自然と人が集まり、味方となり助けてくれる。簡単そうで、なかなかできることではないのですが、この主人公はそんな資質を備えた人なのかなと思います。
そんな主人公と直に接し、冤罪を信じて我が事のように味方をしてくれる者がいる一方、メディアが伝える事実の表層だけを見て主人公を犯人だと決めつけ、SNSで誹謗中傷する者もいる。そんな対比も今の社会に対する警鐘なのだと思います。
我々が日々接している情報は、あくまでひとつの側面から見た事実の断片に過ぎませんし、部外者である我々には裏側にある事実を知る術もありません。だからこそ、断定的に人を非難してしまうことに対しては、より慎重であるべきだと思うのです。
突っ込みどころは色々あるのですが、映画に込められたメッセージ、抑揚をつけながらテンポ良く進む物語、俳優陣の演技力の高さなど、全体的によくまとまっていて4.0という高評価にも納得の内容でした。
以下、あらすじ(備忘録)
当時、東村山に住んでいた18歳の高校生・鏑木(横浜流星)は、悲鳴を聞いて駆けつけた家のなかで3人の遺体を発見する。遺体は無残に鎌で切り殺され、家中が血塗れになるほど凄惨な現場だった。鏑木はまだ息のあったひとりの被害者を助けようと、遺体に刺さった鎌を抜くものの、その瞬間、通報により駆け付けた警察官に取り押さえられ、現行犯で誤認逮捕されてしまう。
鏑木は一貫して無罪を主張し、事件の捜査責任者である捜査一課の又貫刑事(山田孝之)も、当初は鏑木が犯人であることに疑問を抱いていた。しかし、上司である川田部長(松重豊)の『犯人は鏑木で決まりだ!さっさと終わらせろ!』という圧力もあり、鏑木の線で強引に捜査を進めてしまう。
そして、決定打となったのは、被害者家族で唯一の生き残りである井尾(原日出子)の目撃証言だった。井尾は事件のショックから心神喪失の錯乱状態にあり、警察はそこに付け込んで誘導尋問を仕掛け、井尾から『犯人は鏑木だ』という事実とは異なる証言を引き出す。
そうして始まった裁判では警察の思惑通り、鏑木の死刑が確定。鏑木は一貫して無罪を主張したものの、現場の状況と井尾の証言が決め手となり、それが聞き入れられることはなかった。
鏑木は刑務所の独房で刃物のようなもので口を切り、口から血を吐いて警察病院に搬送されることになるのだが、警備が手薄な搬送中の救急車からの脱走を試みる。
その目的はもちろん冤罪の証明である。事件で唯一の目撃者である井尾の居場所を探し出し、警察の誘導尋問によって歪められた証言を覆し、自らの冤罪を証明する。
脱走に成功した鏑木は姿や雰囲気をガラリと変え、土木作業員やウェブライター、介護士などの仕事をしながら潜伏先を転々と変え、巧みに警察の捜査の手から逃れていく。
また、鏑木はもともと心優しく聡明な少年であり、潜伏先で出会った人々にその人柄を慕われ、味方につけていく。のちに彼ら彼女らは鏑木の味方となり、鏑木の冤罪を信じ、互いに連絡を取り合って再審請求の署名活動などを行うようになる。
鏑木が逃走を続けるなか、西東京市でとある事件が起こる。家に侵入した犯人が鎌で一家を惨殺。犯人である足利(山中崇)はその場で現行犯逮捕された。
捜査一課の又貫は、犯行現場の状況や犯行に使用された凶器が鎌であることなど、鏑木事件と類似点が多いことに気付く。また、鏑木事件が起きた当時、足利が東村山の事件現場付近に住んでいたことも突き止めた。
さらに取り調べでは、足利が不気味な笑みを浮かべながら『これは鏑木事件の模倣じゃない』と話したことも引っ掛かった。まるで『あの事件は俺がやったんだよ』とでも言わんばかりの話しぶりだった。又貫刑事は鏑木の冤罪の可能性を感じ始める。
そんななか、鏑木はとうとう井尾の居場所を突き止める。井尾は長野の介護施設に入居しており、鏑木はその介護施設の職員として働きながら、井尾との接触に成功する。
そして、こう語りかける『思い出してください!あの時、何があったのか!お願いします!僕には時間がないんです!』と。そして、とうとう井尾は記憶を取り戻し、鏑木の無罪を裏付ける証言を引き出すことに成功する。それをSNSのライブ中継で配信し、鏑木は世間に自身の冤罪を訴えた。
鏑木事件が世間で注目を浴びていたこともあり、この配信は瞬く間に世間の関心を集めた。有罪の決定打となった井尾の証言が覆されたこともあり、又貫刑事は記者会見を開き、誤認逮捕である可能性を示唆。再捜査することを公表した。
そして、始まった再審。そこで鏑木は逆転無罪を勝ち取ることに成功したのだった。
期待はしてなかったけどおもしろかった
正直、横浜流星さんは暗い役が多いのもあってかどれ観ても似たような演技だと思ってましたが、この映画はそんな横浜流星さんの演技がちょうどハマってたのか気になりませんでした。
吉岡里穂さんに関しては1年ほど前に観た怪物のきこりを彷彿とさせるような役でなんでいつも訳あり男を好きになってしまう幸薄役ばかりなんだろうと少し笑ってしまいました。
思い出したのは朽ちないサクラで、ああいう結末のほうがリアリティがあって面白いと感じる反面、フィクションならではのご都合主義でそんなに簡単に警察は誤認を認めないし再捜査もされないとは思いつつも結局は救われる結末にも感動するもので全体的には良かったです。
時間がある時に亀梨和也さんのドラマ版も観て比較してみたいです。
隠れた傑作
あまり世間では話題に上がらないなと思いつつ、前から気になっていたので鑑賞。結論から言えば見てよかった、隠れた傑作だった。
主演の横浜流星の演技はもちろん良かったが、やはり目を惹くのは吉岡里帆と山田孝之の演技だった。吉岡里帆の演技をあまり見たことがなく、上手な印象はなかったが、こんなに上手かったっけ?と思ってしまうくらいには良かった。特に再度捕まった鏑木と面会するシーンでは思わず泣いてしまったし、最後の判決が言い渡されるシーンでは判決を無音にし吉岡里帆の表情で伝えるなど、監督の演技に対する信頼感すら感じた。
ストーリーとしては冤罪を主張する死刑囚が逃亡の中で関わった人達の人生に良くも悪くも影響を与えていくといった、悪く言えば今までにもありそうな内容だったが、昨今SNSでの誹謗中傷が激化する中で、臆さずに「正しいことを正しいと主張する」ことの大切さを改めて気付かせてくれる、社会風刺にも富んだものだったと思う。
2024年の邦画傑作と名高いミッシングにも、勝るとも劣らない隠れた傑作である。
脇が甘いのも若者らしくてよかった
日にちが経ってしまって忘れかけているので簡単に書く。
とてもおもしろかった。
主人公が警戒心を持ちきれていないところや矛盾をマイナスに感じる人もいそうだけど、世間知らずのままこの境遇になってしまった純粋な少年という感じがして私は良いと思った。
内容に入り込んで泣いたし、俳優さんたちの演技もとても良かった。
終わり方は、冤罪が認められてさっぱり終演しその後のことは何も触れられずちょっと物足りなく感じてしまったが、純粋に彼の逃亡劇を描きたかった作品なんだなと思った。
後に亀梨さんがドラマをやっていたことを知った。要となるような逃亡の理由は、少年がまだ若かったからこそ響くようなものだったけど、ドラマでは成人男性の設定のよう。(見てはいない)
そこは同じ理由にしてるのかな、ちょっと気になる。
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