正体のレビュー・感想・評価
全240件中、221~240件目を表示
信じる
横浜流星の快進撃が止まらない。
当初はイケメン俳優の一人ぐらいにしか認知してなかったが、『流浪の月』が大きな転換期と飛躍になった。以後、良作続く。このキャリアは松坂桃李を彷彿。来年の『国宝』も楽しみだ。
藤井道人監督も好調続く。ヒューマンドラマ、ラブストーリー、社会派、サスペンス/アクション、アニメまでジャンルは多岐に渡る。
そんな二人が映画/TVドラマを含め7度目のタッグ。『ヴィレッジ』も記憶に新しいが、決定打になったかもしれない。
一家惨殺事件の容疑者として逮捕された青年・鏑木慶一。当初から無実を訴えるが、裁判で死刑が確定。
収監されている刑務所で自殺を図り、病院へ搬送中、逃亡。全国指名手配に。
鏑木は姿や印象を変え、整形もし、各地を逃げ続け…。
実際の事件を思い起こさせる。福田和子や市橋達也が起こした事件。本作は後者だ。
一見その映画化に思うが、そうではない。あくまでベースであり、フィクション。
立ち上がりはそうであっても、これまた某冤罪事件を連想させるような司法や警察捜査の問題を問う展開になっていく…。
実は見る前から、ちょっと違和感を感じていた。
殺人事件を起こし、逃亡した死刑囚。逃亡先で出会った人々との交流…。
人を殺した死刑囚を擁護するような話なんてあり得るだろうか…?
本当に人を殺したのなら、裁かれなければならない。決して許されない。
が、もし、これが違っていたら…?
話は変わってくる。
実際、鏑木自身も訴え続けている。僕はやってない!
鏑木を逮捕し、逃亡後追う刑事・又貫も犯人は鏑木であるとしているが、引っ掛かる点も…。それに纏わる警察上層部の闇…。
では、何故逃げた…?
そして鏑木という青年はどういう人間なのか…?
前半は彼と関わった人々とのエピソードから明かされていく…。
大阪。列悪重労働&パワハラの工事現場。
ここでは“ベンゾー”と呼ばれ、髪ボサ髭モジャ分厚い眼鏡姿。
ある時一人の作業員・野々村(通称“ジャンプ”)が作業中に怪我を。会社はお前が勝手に怪我をしたと取り合ってくれない。そこを鏑木が法の知識で助け、会社から微々たる金を。その金で二人でプチ飲み会。
初めて飲む酒、初めて親しくなった人…。
野々村も鏑木を気に入るが…、連日の報道や特徴点(ほくろ、背中の火傷跡、左利き)や似ている風貌から疑惑を抱く…。
こっそり通報するが、そこを見られてしまい…。
鏑木は逃亡する。
東京。ネットニュース会社。
ここでは“那須”と名乗り、茶髪姿。フリーのライターとして仕事を貰っている。
社員の沙耶香は鏑木の文章力を高く評価している。
ある雨の夜、沙耶香はネットカフェの前で立ち往生している鏑木を見かけ、飲みに誘う。
人生初焼き鳥…? こんなに美味しいもの初めて食べたと感激する鏑木。
仕事ぶりとピュアな姿に母性心をくすぐられたのか、暫く自宅マンションに住まわせる。そのお礼に鏑木は料理を作ったりと、何だかまるで…。
根無し草イケメンとキャリアウーマンの同棲なんて何処ぞの映画かTVドラマで見た気がするが、お互い何かしらの感情を抱いたのは間違いない。
初めての恋…? 沙耶香から信じてるとも…。
しかしメディア世界で働いている勘からか、彼が鏑木である事を勘づいてしまう。
知らぬ素振りを続けていたが、そこを悪質パパラッチに知られ、又貫にも突き止められ…。
又貫が踏み込む。必死に抵抗する鏑木に、沙耶香は、
逃げて!
下手したら逃亡犯を手助けしたとして沙耶香も罪に問われたかもしれない。
なのに、何故沙耶香は鏑木を助けた…?
抱いた仄かな感情より、彼女が背負っているものが鏑木と通じているからであろう。
弁護士である沙耶香の父。痴漢で訴えられている。
冤罪。が、圧倒的不利で…。
法の世界で働いてきた父が法に裁かれようとしている皮肉。
父は諦めモード。誰も父を信じていない。味方もいない。
唯一の味方は沙耶香だけ。父を信じている。
鏑木と過ごした中で、沙耶香も感じたのではないか。
彼は、本当にあんな凄惨な事件を起こしたのか…?
確たる証拠はない。が、彼の人となりに触れた直感。彼は、冤罪ではないのか…?
マンションから飛び降り、河にダイブし、追っ手を振り切る。
鏑木は逃亡する。
長野。介護施設。
ここでは“桜井”と名乗り、髪を切り、根暗な雰囲気を払拭した爽やかイケメン。素の流星クンに最も近い…?
いつもながら仕事ぶりは有能。同僚や患者からも慕われている。
若い職員・舞に至っては、憧れの先輩にホの字。
ここでも潜伏と日々の糧稼ぎ…に非ず。
鏑木がここで働くのは、ある目的があって…。
先々で出会った人々が鏑木に抱いた印象。
いい奴。好意を抱く。好意を抱かれ…。
それぞれ微妙に異なるが、一貫しているのは鏑木に対して悪い印象は無い。
凄惨な事件を起こした殺人犯とは思えない。
世間で認知されている事、表面だけしか見てないもの。それがその人そのものなのか…?
それとは違う中身や本質があり、それこそその人なのではないか…?
“人”の素顔、正体。
“人”について考えさせられる。
捜査にも進展が。
模倣と思われる事件が起きる。
同じく一家惨殺。手口も。
逮捕された男、足利。余罪もほのめかす。
鏑木の事件の事ではないのか…?
この男が真犯人ではないのか…?
又貫は捜査を見直す。
当初抱いた疑念が再び。
鏑木は本当に犯人なのか…?
真犯人は別にいるのではないか…?
逮捕された男こそ真犯人ではないのか…?
が、上層部は鏑木犯人を押し通す。
又貫は不服を抱きつつも、それに従うしかなく…。
見る我々も本当に鏑木が犯人なのか、曖昧。
状況から鏑木が犯人のように思える。
が、決定的なそのシーンを見ていない。
これが冤罪を生むのではないか…?
警察のずさんな捜査、誤認逮捕、世間の決め付け…。
袴田巌さんの事件のようだ。
先述の某冤罪事件とは、この事。間違いなくその含みはあるだろう。
罪を犯した者は許されないが、警察の事実の揉み消しや隠蔽も同罪。事によっては以上。
後半からはその問題に問い掛け、展開していく…。
3人との出会い、3つのエピソード。
似通っているように思えて、それぞれ違う。
野々村とのエピソードは初めて人と親しくなり、沙耶香とのエピソードは初めて人に好意を抱く。
舞とのエピソードは自身の事件に大きく影響する、ハイライトでもある。
長野の介護施設で有能に働く鏑木。
舞は鏑木と共に重症患者の介護に就く。
その患者というのが…、
事件時、現場に居合わせた被害者遺族で目撃者・由子。
この展開には驚いた。
本当に犯人だったら、口封じ。
彼の場合は違う。唯一の目撃者から真実を証言して貰う為に。
『逃亡者』など自力で真犯人を探そうとするのは定番だが、これは大胆。が、最善かもしれない。大変なリスクは伴うが。
回想エピソード。鏑木は事件のあった家の近くにたまたま居て、悲鳴を聞きつけ、家の中に。そこで見たものは…
血だまりの中に惨殺死体。犯人の男。あの足利だ。
それをはっきり見た。硬直する鏑木を尻目に、足利は現場から消える。
まだ被害者に息が。背中に刺さった釜を抜いて欲しいと被害者は目で訴える。
鏑木が釜を抜いた時…
不運なタイミングというのがある。釜を抜いた所を由子に見られ…。
その時警察もやって来て…。
“現行犯”として逮捕。
由子も真犯人を見ている。
それを証言してくれれば…。
が、事件のショックから由子の記憶は曖昧。
由子の証言で鏑木の有罪/無罪は決まる。
リスクを犯しても、鏑木は由子に会う必要があった。
各地を転々としていたのも、又貫や沙耶香に語った“やるべき事”もこれ。
真実をーーー。
舞がSNSに上げた動画から、桜井=鏑木疑惑が世間に。
あっという間に居場所を突き止められる。又貫も現場へ。
沙耶香も現場へ赴き、野々村でTVの生中継で見守る。
鏑木は施設に立て籠ってまで。
由子が本当の事を証言するその瞬間を、生配信で。
それを請け負う事になった舞。巻き込まれであり、舞もまた証人。
必死の鏑木。
由子の記憶も徐々に…。
その時、上層部の命令で警察が強行突入する。
鏑木に向けられた又貫の銃口。
これまでにも撃てる機会はあったが、又貫は撃てなかった。
やはり彼自身、鏑木が犯人ではないと感じていたからだろうか…?
しかし、今回は…。
又貫の銃口が火を吹き、鏑木を…。
ご都合主義や難点もある。
東京での逃亡劇。都会のあんな河にダイブしたら袋の鼠じゃ…?
作品の印象的にはどうしても市橋達也の事件。それと冤罪を絡ませるのか…?
逃亡サスペンスと冤罪テーマ、どちらを主軸に置きたいのか。
ちらほらそんな声も出てきそうだが、そんな両方を巧みに併せた見事なサスペンス×社会派×ヒューマンのエンターテイメント。
藤井監督にまたまた力作誕生。
そしてキャストたちのアンサンブル。
エピソード毎に印象変わる横浜流星の巧演/熱演。彼にも堂々たる主演作誕生。
鏑木にシンパシーを抱く吉岡里帆は大きな役所。彼女も良作続く。
森本慎太郎はアイドルオーラを消し去り、山田杏奈も今年は『ゴールデンカムイ』と本作でまた一段と飛躍。
陰ある役や追われる者も合う山田孝之が、追う側を抑えた演技で好助演。
これからの賞レース、作品も監督もキャストも台風の目になるだろう。
世間を騒がせた鏑木の事件から暫くして…。
会社を辞めた沙耶香は鏑木の冤罪や再審に奔走していた。
賛同者も。沙耶香の父、会社の元同僚、野々村や舞も。
私たちは知っている。鏑木慶一がどういう人間だったかという事を。
鏑木は生きていた。あの時被弾したが急所を外れ、今はまた収監の身。
が、今度は絶望の底ではない。
沙耶香たちの尽力が実を結ぶ。
由子の証言、真犯人とされる足利への疑い。
警察上層部は冤罪を認めようとしないが、会見で又貫が冤罪を認める。
再審。判決の時。
結果は…
これが『それでもボクはやってない』のような真に司法の在り方を問う作品だったら、望まぬ結果になっていただろう。
が、本作はエンターテイメントでもある。
出来すぎかもしれないが、この判決に安堵した。ホッとした。
これはただのフィクションの理想事か…?
いや、そうではない。袴田巌さんも半世紀の時を経て無実を掴んだ。
真実は決して埋もれない。葬られない。
必ず明らかになる。そう信じたい。
鏑木が信じたのは、もう一つ。
又貫の「何故逃げた?」への答え。
それがあったからここまで来れた。
人に運命を狂わされた鏑木だが、それによって救われたのである。
人との出会い。縁。善意。
人の“正体”を信じて。
私たちは生きていきたい。
冤罪か殺人犯?
殺人犯で死刑囚なった男が脱走。
何故逃げたのか?
逃亡中に出会った人々の視点から
描かれるサスペンス的でヒューマンストーリー。
鏑木の芯の人間性が真実に向かっていく。
逃亡劇はハラハラドキドキ。
『初めて働き、初めて人に信じて貰い、初めて人を好きになった』は印象的。
あの長い闘いを一人の少年が一人で挑む。
彼の信念が多くの人々を揺さぶり巻き込んでいく。
又貫刑事と井澄刑事はもう少し連携を取って
話して欲しかった。お互いに分かってたはず。
川田署長みたいな上司はリアルにありそうで怖い。
横浜流星さんは良い役者。山田杏奈さんは色白だから、頬が赤くなり照れる姿は似合ってたなぁ。
厚みのある俳優人で見応えあり、正しく感動の正体でした。面白かった。
【”警察は司法制度の鉄則”疑わしきは被告人の利益に”を遵守しているか!”今作は青年がある思いを抱え逃走する姿と逡巡しながら彼を追う刑事、青年を支える人達の姿がムネアツなヒューマンサスペンスである。】
ー ”疑わしきは被告人の利益に”
・・ご存じの通り、司法制度の鉄則である。且つ警察の捜査の際にも常に念頭に置くべき判断基準である。これがなされない捜査では、戦時の特高思想が警察に濃厚に残っていた昭和20年代を主に、数々の冤罪を生み出してしまっていた。つい最近でも、昭和40年代に死刑判決を受けた男性が長年の控訴の末に無罪判決を勝ち取った事は多くの方が知っている事であろう。
多くの免罪事件を無罪にする潮流を作った昭和50年に最高裁が示した”白鳥決定”は、故に、画期的な判断であったのである。
今作では、この鉄則がないがしろにされるとどのような事になるかを、今や邦画の若き名匠の域に達しつつある藤井道人監督が、エンターテインメント要素を盛り込みながらも、見事に描いているのである。-
■一家惨殺の罪で死刑宣告を受けた18歳の青年、鏑木慶一(横浜流星)が歯茎を自ら傷つけ血を吐くフリをし、病院に搬送途中に脱獄する。そして、彼は容姿を変えながら、真実を求めて逃亡の日々を過ごしていく・・。
<Caution!ここからは、鑑賞後に読んでください!>
■鏑木が、逃亡の日々で出会った善なる人達
1.大阪の工事現場で出会った野々村(森本慎太郎)。
借金がかさみ、ブラック業者の元で仕事をする中怪我をするが、偽名を使い働いていた鏑木が”労災隠し”を工事監督(駿河太郎)に告げ、2万円を貰う事で鏑木と野々村の間に友情が芽生えるのである。
ー このシーンでも、社会派でもある藤井監督は”労災隠し”という現代でも起こっているだろう事を、さり気無く糾弾しているのである。ー
2.出版社で勤めるライターの安藤(吉岡里帆)。
フリーライターの身分で那須と名を変えネットカフェで寝泊まりしていた鏑木の真実に気づきつつ、弁護士である父(田中哲司)が痴漢の免罪により有罪を受けた事もあり且つ彼の優しい素顔を知り、庇う姿勢に転じて行くのである。
3.諏訪の養護施設で働く酒井(山田杏奈)。
介護士の桜井を名乗る鏑木の優しさに惹かれて行く。だが、鏑木が介護士になった理由は別にある事が再後半に描かれるのである。
◆感想<印象的だったシーンを記す。>
・鏑木慶一を演じる横浜流星さんの、次々に変装しながらも哀しみと強い決意を秘め、全国を逃げながら、真実を追い求めるためにまずは大阪の工事現場で金を貯め、次にフリーライターになり出版社の数々の自身の事件の取材データを写真に撮り、諏訪の介護施設の介護士になりながら、一家惨殺事件の唯一の生き残りであるPTSDになった老婦人(原日出子)を介護しつつ、真実を口にして事件の真犯人を思い出して貰うように涙を流しながら頼む姿が沁みるのである。
・鏑木恵一を執拗に追いつつも、心のどこかで”彼は犯人ではないのではないか。”という疑念を持ちつつ、愚かしき警察署長(松重豊)のプレッシャーにより苦悩する又貫刑事を演じた山田孝之さんも、厳めしい顔を終始崩さない中で、秘めた苦悩の感情を僅かに表す流石の好演である。
・愚かしき警察署長の”18歳か。(成人として裁けるので)凶悪化する少年事件の抑制として極刑にすればよいだろう。”という言葉を聞き、証拠が不十分なのに”犯人であると決めつける”姿が恐ろしい。
・又貫刑事は安藤の家に匿われていた鏑木に銃を向けるも、撃たない。部下に”何故、撃たなかったのですか!”と言われても、苦悩の表情を浮かべているのみである。
再び起きた一家殺害事件の狂った犯人(山中崇)が捕まった際に口にした”模倣犯じゃないよ。”という言葉と鎌による犯行手口が余りに似ているために、更に疑念を深めて行くのである。
・そして、諏訪の介護施設で酒井が”鏑木が老婦人に真実を告げるよう必死に求める姿”をリアル配信する。
又貫刑事が、酒井がプライベートで桜井と出掛けた際の動画を見て、現地に駆け付け、鏑木を追い詰めた際に、彼は左利きの鏑木の右肩の肋骨の下(一般的に、致命傷にならずに後の生活にも支障を来さない部位と言われている。)に的確に銃弾を撃ち込む姿も沁みたなあ。
■又貫刑事が、漸く捕らえた鏑木と拘置所で対峙するシーンは、今作の白眉であろう。
刑事は静に鏑木に問うのである。”身体はどうだ。一つ聞いていなかった事がある。何故、逃げた。”
それに対する鏑木の答えが沁みたなあ。
彼は柔らかい表情で”信じたかったんです、この世界を・・。そして、人間が好きになりました。生きてて、良かったと思いました。”と又貫に告げるのである。
彼が、安藤に”信じているよ。”と言われた時に流した涙の意味が、ここで再度分かるのである。
そして、ついに又貫刑事は記者会見を開き、鏑木の誤認捜査の可能性がある事を認めるのである。
・更に、捕らえられた鏑木が免罪である事を街中で訴える、それまで顔も知らなかった野々村、安藤とその父、酒井の姿も沁みるのである。
<そして、再び法廷に立つ鏑木。心配気に見守る野々村、安藤とその父、酒井の表情。
裁判長が”主文を言い渡す。”と言った後に、無音になるシーンはハラハラしたなあ。何故ならば、死刑判決は最初に主文を言い渡すことが多いからである。
だが、無音の中、歓喜の涙を流す安藤、酒井の顔が映し出され、拍手が沸き起こっている姿が大スクリーンに映し出された時に、久方ぶりに涙が込み上げてしまったモノである。
今作は、若き青年が”ある思い”を抱え逃走する姿と逡巡しながら彼を追う刑事及び青年を支える人達の姿がムネアツなヒューマンサスペンスなのである。>
<2024年11月29日 劇場で観賞>
<2024年12月1日 別劇場にて、再観賞。初回と同じシーンで涙し、更に初見時以上に胸に熱いモノが込み上げました。故に、評点を5点に変更させて頂きます。>
ラストは涙が溢れて困りました。
とても幸せ感のある涙で、
悲しみに身体を引き裂かれるような
慟哭・・・というより、満足感の涙でした。
ともかく横浜流星さんの美しさとカメレオン俳優ぶりに驚く‼️
そんな映画でした。
死刑囚→脱出劇→潜伏逃亡→日本全国を転々→343日間。
仕事選びも実は鏑木慶一には切実な目的がありました。
拘置所脱出の真の目的は、自分の無実を証明すること。
そのためには死刑宣告を受けた【一家三人惨殺事件】の
唯一の生き残りであり、
目撃者である井尾由子(原日出子)の証言を得ること。
由子は事件のPTSDから記憶を封印しているのです。
ハードルが高いですね。
だから鏑木は最終的には由子が入所する長野県の介護施設の職員に姿を
変えて近づくのです。
アクションシーン、
ほのぼのした紗那香(吉岡里帆)との短い同居生活。
しつこく追ってくる刑事の又貫(山田孝之)
そして又貫の中に芽生える“誤認逮捕?冤罪?“
鏑木に接触する人間は皆一応に
「優しかった」そう呟きます。
ラストの“立て篭もり犯人のSNS実況中継“
などエンタメ色も強くて、そこに冤罪をはらせるか?
という興味でどんどんひきこまれて夢中になりました。
藤井道人監督は盛り上げ方と、泣かせる演出が実に巧み。
ラストは拍手と涙、涙。
(流星くんの高校生ブレザー制服姿・・・なんかのシーンもあり、
(切ない映画なのに結構ほのぼのしたりします)
ただ、死刑囚になる事件の顛末は、いささか信憑性に欠ける‼️
無理クリだな、そう感じました。
が、杜撰な捜査や、不運の重なり・・・があるからこそ
“冤罪事件“が起こるのですね。
また鏑木の逃亡の巧みさ、あらゆる職業をマスターするスキルの高さ。
頭の良さにもビックリでした。
暗い内容なのに娯楽性が高く、楽しめて大満足でした。
タイトルのとおり、人の本性の不可解さを描いた方が良かったのではないだろうか?
映画のタイトルから、主人公に出逢った誰もが、彼を殺人犯とは気付かず、「人間の本性はなかなか分からない」みたいなことが描かれるのかと思っていた。
ところが、どうやら主人公は無実で、自らの潔白を証明しようとしているらしく、よくある「逃亡者」のような話であることが分かってくる。
確かに、主人公が逃亡先で出逢った人々が、主人公に感化され、彼を助けようと協力し合う姿には、胸が熱くなるものがある。
ただ、いくら警察や司法が無能だからと言っても、あれだけマスコミが大々的に取り上げている逃亡犯がうまく逃げおおせるとは思えないし、そもそも、明確な動機もなく、目撃者の証言も曖昧なのに、主人公の死刑が確定してしまうところにも大きな疑問を抱かざるを得ない。
特に、主人公が、マンションのベランダから逃走するシーンでは、階下の車の上に落下してから近所の川に飛び込むまでのワンカットの(ような)描写は見応えがあるのだが、都会の川に飛び込んでも、それで行方をくらますことは不可能だろう。
主人公の言動にしても、逃亡中の身なのに、わざわざ会社に逆らったり、ウェブ記事のライターになって(リモートでの会議ならいざ知らず)直接編集者と会って打ち合わせをしたりと、目立つようなことをしているところには違和感を覚えてしまう。
主人公と出逢った人々が、主人公を「善い人」だと思うのは良いのだが、吉岡里帆が演じる編集者が、どうして、そこまで主人公の無実を「信じる」ようになったのか、その理由もよく分からない。
確かに主人公は、ライターとして優秀なのだろうが、雨の日にネットカフェに入りあぐねていたり、居酒屋で酔いつぶれたり、料理が上手かったりするだけで、彼と同居を始めるところは「脇が甘い」としか思えないし、いくら父親が痴漢の冤罪事件に巻き込まれているからといっても、主人公まで無実であると決めつけるのは「思い込み」でしかないだろう。
この編集者のくだりは、人を「信じる」ことの尊さという、作品のテーマに直結するエピソードであっただけに、彼女が主人公を信じるようになった経緯は、もっと丁寧に描き込んでもらいたかったと思う。
主人公が脱獄した理由が、濡れ衣を晴らすためではなく、「世の中を信じてみたかったから」というところも、感動的ではあるのだが、その一方で、だったら脱獄などせず、自らの無罪を地道に訴え続けるべきだったのではないかとも思えてしまう。
何よりも、「殺人犯ではない」という主人公の「正体」を描くだけで、彼に会った人は皆、そのことに気付くという単純な話になってしまったことは、残念としか言いようがない。
横浜流星と山田孝之が素晴らしい!
監督・藤井道人、主演・横浜流星というと、去年公開された「ヴィレッジ」と同様の布陣。「ヴィレッジ」もそうでしたが、いずれの作品も絶対的な2枚目の横浜流星が、強大な存在に抑圧され、その結果暗くて鬱屈した若者を演じており、その辺りのアンバランスが非常に魅力的でした。
本作では、横浜流星演ずる主人公・鏑木慶一が、高校からの帰宅時にたまたま残虐な殺人事件の現場を目撃し、直後に到着した警察に誤認逮捕されて、冤罪による死刑判決が確定してしまった後のお話でした。彼は拘置所で敢えて自傷行為に及び、病院に搬送される際に脱走して、自らの潔白を晴らすために関係者に接触するという展開になりました。
脱走後の鏑木は、まずは大阪万博っぽい建設現場で働いてその後の生活資金を稼いだ上で、東京に戻って件の殺人事件の記事を調べるために雑誌社でライターとして働く。さらには目撃者が入所している長野の介護施設のヘルパーとして働くなど、八面六臂の大活躍。しかも恐らくは逮捕後に法律を独学して、刑法などの関連法規だけでなく、専門家並みに労働法規の知識も習得。その上一流スパイも顔負けの変装を施して自らの「正体」を隠すなど、冷静に考えるとちょっと無理筋な話ではありましたが、2時間の映画にするためにはこれくらいテンポ良くしないとならなかったのだろうし、この壮大な映画的な省略とかご都合主義もまあ許容出来るほどにキャラクターの魅力が満載であり、それを演じた横浜流星が素晴らしかったです。
そして鏑木は、その場その場で出会う同僚たちに好かれていくという仕掛けが、後半になって効いてくるストーリーも非常に面白かったです。
何よりも一番の見所は横浜流星の変装で、特に建設現場で働いていた時の極端に猫背になった不格好な様子は、やり過ぎじゃねと思ったほどでしたが、その不気味な感じが非常に印象的でした。そして職場を転々とするごとに段々と素顔に戻っていく様子も良く、観ていて飽きが来ませんでした。
まさに横浜流星の良い所が存分に発揮された作品でしたが、物語として最後に主役を喰うほどの活躍をしたのが鏑木担当の刑事・又貫征吾を演じた山田孝之でした。当初から鏑木の犯行に若干の疑問を持っていた又貫でしたが、解決を急ぐ上司の命令で取り調べを進め、最終的に冤罪被害者を生むことになってしまいました。しかし逃走後の鏑木を再度逮捕し、彼から逃走の動機を聞くに至り、自らの過ちを認めることに。又貫並びに彼を演じた山田孝之のカッコ良さは終盤に来て際立っており、横浜流星とのダブル主演だったと言っても良いような描かれ方でした。先日観た「十一人の賊軍」では、役柄的に仲野太賀に喰われていた感がありましたが、本作では面目躍如という感がありました。
そんな訳で、横浜流星と山田孝之の良さを存分に味わえた本作の評価は★4.6とします。
横浜流星の良さ全開
ビジュがいい。演技もいい。撮り方もいい。
色んなご尊顔拝めて最高すぎでした
ストーリーについてはよくある展開かなーって思う。
分かりきった結果に準えてお話が展開されていく
見つかってそんなに上手く逃げ切れるのか、とかそんなに都合のいい職場を見つけれるものなのか、とか逃亡中のお金の工面とか死刑判決の緩さとか気になることしかないけど、あまり触れないでおく。
悪者の人間らしさがまるでなくて私はダメだった
警視庁の上官、工場長、犯人、現実味なさすぎです。
ここだけは役者に任せず演技指導までちゃんとしてほしい
「絶対圧力の上官」「狂気的な犯人役」「頭の悪い工場長」だけ与えられて演技させられてる役者が可哀想
でも撮り方の構図がすごく綺麗で良かった。
撮り方1つにも動と静があって、鏡や反射を使った技巧が好きなのかな?顔もきれいに写ってて演者の細かい表情まで楽しめたのは良かった
諦めず信じることの力
最高でした。公開初日に鑑賞。
(※色々ツッコミどころ満載ではありましたが、先週に続き推し活寄りのレビューご容赦ください)
先週公開の「海の沈黙」主演の本木雅弘さん推しに続き、横浜流星さん推しでもある自身といたしましては、2週連続で推し活ができ、しかもどちらも最高という至福感と達成感。感動、感無量でした。
特に本作は鑑賞後の余韻が凄かったです。
七変化(六変化)な流星くんカッコよすぎました。
彼の人間性、ストイックさにも敬服、進化し続ける日本が誇る役者の1人ですね。昨年公開の「春に散る」も素晴らしかったですが、今回もお見事でした。ブラボー♡
(クールな中に光る美しい瞳とクルンとした綺麗な睫毛のギャップ、笑うと可愛い優しい笑顔も大好き♡)
いずれも傑作でしたが今回の「正体」の方が主人公である横浜流星さんの出演時間も長い上に(モッくんはまさかの後半から登場でした^^;)、展開や間も絶妙かつ、真実が報われるハッピーエンドで深く感動、推しとしても映画好きとしても大満足でした。
ツッコミどころを挙げたらきりはありませんが、この作品を通じて(利用して)訴えたかった事・・あえての誇張、振り切った演出にされたのかと・・賛否両論あると思いますが、これ、映画ですしね。
とにかく引き込まれ、非常に見応えがありました。脇を固める役者さんたちも皆さんの熱演、素晴らしかったです。特に山田孝之さん、吉岡里帆さん、森本慎太郎さん。出番は僅かでしたが養護施設の元園長役の木野花さんは優しさの中にある揺るぎない芯の強さが圧倒的で刺さり素敵でした。
(最初どぶろっく?と思ってしまいゴメンなさい笑➔味方してくれた上司役の宇野祥平さんも素敵でした!!)
どんなに厳しい逆境であろうと、その人の本質を認め「信じる」ことが、どれだけその人への救いと希望を与え助けとなることか。情けからの「信じてあげる」ではなく、「私はあなたを信じる」という主体的な強さ。諦めずに信じ続けることの大切さ。気づかされました。そして世界をも。
自分へのメッセージとも感じられ、涙が止まりませんでした。
そして冤罪ゼロの世界を強く願いました。
「信じたかったんです、この世界を」
ラスト、グッときました。
語りたいこと満載ですが、その他については、高評価者の方々のレビューに共感、割愛します。
プログラム(1,200円)は価格も本体も見ずに無条件で購入、A5サイズでコンパクトながら分厚くて驚き!振り返りができる写真集のようで見応えがありました。オススメです!!
素晴らしい最高作を有難うございました!!
=================================
★気づいた点 (マニアックおまけ編)
本作「正体」と「あんのこと」の共通点判明!
横浜流星さん演じる鏑木慶一が“ライターの那須くん”として潜伏させて貰っていた、吉岡里帆さんが演じる安藤沙耶香のマンションが、「あんのこと」(2024.6.7公開)で河合優実さんが演じる香川杏が毒親から逃げるためのシェルターとして住んでいたマンションと同じでした! 那須くんが飛び降りて逃げた際の外観や街並みも同じ!間違いない!と、思わず「あっっっ!!」と声が出てしまいました。各作品でも本人が飛び降りる(←ネタバレ)という衝撃的な展開も共通点。恐らく撮影用マンションかと思われますが、監督や制作陣は異なるものの、若くして理不尽な苦労を強いられた若者の社会派作としても共通、偶然とは思えない不思議な引力を感じ、我ながらマニアックで密かな胸アツポイントでした。
(気付いた人と分かち合いたい!件でした♪笑)
優しさは返ってくる。
一家惨殺事件で死刑判決を受けた鏑木慶一の話。
自傷行為から脱走に成功した鏑木慶一、潜伏先で出会った人間の優しさに触れ、潜伏先で芽生えた恋心を絡めながらも、ある独りの女性の元へ向かう鏑木慶一の逃走劇。
救急車内で荒れ狂う逃走から見せる冒頭の入りには犯人逃走と思うものの、潜伏先で見せる現場仕事中にケガした職人・野々村への優しさには、んっ?潜伏先がバレ次の潜伏先でフリーライターとして働き出会った女性・安藤、…とのやり取り、食事を取る鏑木の姿には感情移入で食べる物に感動する姿、安藤から言われた「信じてる」って言葉に涙する鏑木の姿には犯人じゃないよねと、確信へと変わるけど。
痴漢弁護士とレッテルをはられしまった安藤の父と、鏑木も“冤罪?”がリンクしてしまい鏑木を信じようとする安藤の姿にも涙で。
潜伏先で名前、顔を変えても根っ子に持ってる人の性格は変えようと思っても変わらなくてで、鏑木の持ってる優しさ、人への優しさ、人を好き、信じるといった気持ちからの返ってきたラストには納得の出来る展開だし、SNS配信で訴え掛ける姿、鏑木自身に芽生えた心情の変化には涙で良かったね。
山田君演じた又貫刑事の男気ある判断のラストも良かった!
やさしい人の人生を壊す冤罪
横浜流星は事情を抱えた純粋な人の役が本当に天才的に上手いなとつくづく思う。
『village』のときも、どうにもこうにも人生がうまく行かない人の役を演じていたが、あんなに綺麗な顔立ちの俳優であるのにも関わらず、工事現場で汚く働く役がハマっているし、まるで本人かのように憑依して見える。
目が本当に希望を失っているように見えるからすごい。
また、今作は逃げた先で出会った人や警察など関わる登場人物も多いが、誰1人としてノイズになっておらず、それぞれが主人公に対して真剣に向き合っているのがよかった。
警視庁の長官(?)の松重豊はちょっとひどいなぁと思ったけど、そういう内部の事情で冤罪やその他にも巻き込まれている人はいるんだろうなと考えさせられるキャラクターでもあったと感じる。
主人公が普通に社会に出ていたらとても仕事のできる雰囲気もよく心優しい青年になっていたのだろうと思うと、なんとも切なく悲しい物語である。
主人公は素で「いいひと」であることが周りに伝わり、それゆえに最後に山田孝之演じる刑事が責任を自分で取って彼の再審を望む様子や、みんなが拍手して彼の無罪を喜んでいる様子に思わず涙なしでは見られない。
最後にちゃんと真犯人もわかって、主人公の行動の理由もわかって、ハッピーエンドで終わるのも大変よかったと感じる。
邦画では個人的今年ベストかも。
全体的に面白くはないが結末は良かった
(1)結末が良かった
終盤で主人公が撃たれた時は、「鬱エンドかよ!!」と低評価確定ぐらいの気持ちだったが、なぜか生きていて真・ハッピーエンド(生還&解決)になったのは良かった。
(気にしてはいけないこと:特殊部隊相手に包丁をかまえる謎行動・胸の辺り撃たれてなぜ生きていたのか説明無し)
欲を言うと、警察関係者やマスコミへの制裁は欲しかったかな!
(2)全体的に面白くない
特に序盤~中盤まで物足りない感がかなりあった。理由としては、主人公は犯人でもないただの普通の人だからつまらないのだと思う。
主人公が実は真犯人で超人的な能力を持っているパターンのほうが面白かっただろうね。その場合は鬱エンド必至になりそうだけど。
(3)ヒロインが主人公をかばう動機が弱すぎた。
序盤の労働基準監督署のくだりは伏線で、法律に詳しい主人公がヒロインの父親の痴漢冤罪解決するのかと思ったけど、何も無かったなw
ハンバーグ作っただけだし!
大して面白くなかったけど後味はとても良かったので★3.5で
良かった
真犯人、あんな血まみれで逃走したらすぐに見つかるのでは?とかちょっと疑問は残りますが、テンポも良くて引き込まれました。
山田孝之さん演じる刑事も会見できちんと誤認を発表してくれて良かった!
見応えもあったし、ヨルシカの歌声もとても合っていると感じました
心のどこかに残る違和感は、信じたいものの先に光を宿してくれるかも
2024.11.29 イオンシネマ久御山
2024年の日本映画(120分、PG12)
原作は染井為人の同名小説
死刑囚の脱走を追う刑事と、潜伏先で知り合う人々との交流を描いた社会派ヒューマンドラマ
監督は藤井道人
脚本は小寺和久&藤井道人
物語は、拘置所内にて吐血を偽装する死刑囚・鏑木慶一(横浜流星)が、病院搬送の途上で救急車内から脱走する様子が描かれて始まる
彼の逃走に対して、刑事の又貫(山田孝之)と井澄(前田公輝)が担当にあたり、部長の川田(松重豊)の指揮で動くことになった
その頃、鏑木はキャップ場で食料や衣服などを奪った後、大阪に潜伏し、建設現場で物静かに働くようになっていた
映画は、その後鏑木と出会う人たちと又貫の取り調べのシーンが描かれ、良い印象を持っている人と悪い印象を持っている人々が描かれていく
あいつならやりそうと思う人もいれば、この人がやるとは思えないという感覚もあり、そんな感情がどうして生まれたのかを日を追って描いていく流れになっていた
大阪では、ベンゾーと呼ばれ、妙な縁からジャンプと呼ばれる野々村(森本慎太郎)と関わることになる
彼は偶然テレビで見た鏑木の映像から犯人ではないかと疑うようになり、懸賞金に釣られて発報することになった
その後、都内に潜伏した鏑木は、那須と言う名前でフリーライターを始め、ネットニュース会社に原稿を送るようになった
担当の安藤沙耶香(吉岡里帆)の信頼を経て、上司の後藤(宇野祥平)の仕事を請け負うようになっていく
後藤は鏑木の事件を洗い直していて、その音声データの文字起こしなどをしていくうちに、彼は自分の事件の知らない部分を見つけてしまう
沙耶香の父(田中哲司)が痴漢冤罪の裁判をしていたことで、記者(田島亮)が彼女にも張り付いていて、ある日の出来事以降に鏑木を泊めていることを知り、それが警察への通報へとつながっていく
又貫は沙耶香の部屋に潜伏していた鏑木を追い詰めるのだが、沙耶香が警察の盾になったことで、何とか逃げ出すことに成功した
映画は、リアルベースで突っ込んだら負けの映画で、世間を騒がせてきた事件と警察の暗部などを組み合わせたものになっている
かなりエンタメに振り切っていて、逃亡中に振り返って「ありがとう」とか言っている時点で、リアルに寄せる気はないことがわかる
警察は無能で隠蔽体質と言うところを誇張し、年末だからまともに捜査しないとか、未成年の刑罰の引き上げ関連のスケープゴートに使おうなんて話まで出てきてしまう
さらに、鏑木が有罪になった経路では、証拠となる凶器は彼が手にしたものだったが、それを手に入れた経緯、動機などは一切無視され、心身衰弱状態の「はいともいいえともわからない証言」を決定打に使っていたりする
警察も無能ならば、鏑木の弁護に回った方はさらに無能になっていて、それゆえに鏑木は自分自身で無罪を証明しようと、心身衰弱している被害者遺族(原日出子)から真相を聞き出そうと考える
それをたまたまバズったアカウントを持っている同僚の舞(山田杏奈)にライブ配信させると言う今どきっぽさがエモーショナルなのだが、世間では殺人犯だと思われている人に追い詰められて行った供述に何の意味があるかはわからない
だが、そのライブ配信を機に鏑木は冤罪ではないかと言う声が持ち上がるものの、彼が無罪に至るには長い道のりが用意されている
又貫がクビを賭けて再捜査をして、真犯人が自供をすれば話は早いと思うが、真犯人がまともに話をするとも思えない
とは言え、自分から言いたそうな感じの含みを持たせているので、犯人自身は自分の武勇伝を横取りされたことが癪に障っている可能性も否定できない
このあたりの細かな心情は察してねと言うことになっているので、原作未読でも何となく辻褄を合わせることができる程度の情報は詰め込まれていると思った
いずれにせよ、一歩間違えば感動ポルノに属されそうな内容で、ちょっと心が荒んできている人向けのセラピー映画だと思った
リアルテイストのミステリーだと思うと粗が目立つが、映画館で良い話で泣きたいと言う層には受けるだろう
演者の演技は素晴らしく、表情だけで心情が伝わるので、それを目当てに観るのも良いと思う
エンディングテーマはさほど余韻を邪魔しないし、パンフレットもインタビューが充実しているので、良かった人は買っても損はないと感じた
良かった!横浜流星
面白かった。しっかり作られた映画でした。
誤認逮捕とかあったらダメだよね。良い人ならなおさら。無実で喜べないよ、失った社会からの目と、無意味に晒された存在と、無駄になった2年。それに同情しました。
吉岡里帆役がナイス助け船でなんだか嬉しかった。
余談、最後の刑務所シーンで、横浜流星の首が長すぎることを知りました(笑)
死刑囚
死刑判決を受けて47年間もの間、袴田巌さんは傷つけられました。
年齢と精神的ダメージの為、100%無罪判決を理解出来ているのか分かりません。
今回の松重さんに、国家権力の正体を見た気がしました。
横浜流星は無罪判決が早かったので、これからの人生にまだまだ希望が持てそうです。
袴田さんは、人生を棒にふってしまいました。
冤罪について真剣に考えさせられました。
国家権力の皆さん、私たちに日本人で良かった。日本は素晴らしい国だ。これからも日本に誇りを持ち続けたい。と思わせて下さい。
横浜流星さん、吉岡里帆さん、山田孝之さん、山田杏奈さん、森本慎太郎さんはじめキャストの皆さんの表現力に心震えました。
藤井道人監督のテンポに心奪われました。
これは横浜流星さんの代表作になると思います。
中でも那須さんほ超カッコよかった!
「いい人」だからこそ
一言で言うと
無実を訴える死刑囚が脱獄して
真相究明する話。
ってなっちゃうから
「ありがち」みたいになっちゃって悔しい。
見終わって、
振り返ってみると
めちゃくちゃいい人。
いい人だから
助けようと思って現場に行き
犯人にされてしまった。
たいていは
少なからず悪いやつだったり
真犯人と関係があったり
犯行動機があったりするけど
それがまったく無い。
真犯人にハメられたとかじゃなく
捕まえてしまった警察が
引っ込みつかなくなってしまった
だけのこと。
だからこそ、どうしようもない。
ここがこの作品の最大のポイント。
それをどうくつがえすのか。
結果として
いい人を貫いたことで
救われたのかも。
それも、
作戦でそうしてたわけではなく
[素]で自然とそうしていたことが
「この人はそんなことしない」に
つながったんでしょうね。
撃たれたところ、
捕まったところ、
で終わるのかと思ったら
その後
再審請求が出され、
それが通って裁判になり
判決が出る
というところまでやって
きれいにハッピーエンドになってるのも
良かったです。
ドラマ版とダブルで楽しめた!!
ドラマ版(全4話)をサブスクで観て、特に1話と2話が面白いと感じましたが、映画版はまた違った感じで、同じプロットでも制作者が違うと、ここまで変わるのかと楽しめました。ドラマ版の主人公は有能さを隠し切れない行動的な感じでしたが、映画版の主人公は精神的に追い込まれていて、特に序盤は怖いBGMを多用していました。シーンのみならず、ドラマ版で特に印象的だった台詞がいくつかカットされているので、映画版だけを観て熱い!面白い!と感じるかは分かりませんが、先に観るならドラマ版の方がお勧めです。弁護士の痴漢冤罪が晴れていないので、ヒロインの父親というだけでは彼が尽力するモチベーションが薄いと感じました。宗教団体のパートをどう怖く面白くするか観たかったです。吉岡さん良かったですが、口がベジータみたいに曲がっていて気になりました。横浜流星君目当てで行くと、山田孝之の同じ表情のアップを長時間観続ける事になります。山田杏奈ちゃんが可愛くなくなった気がします。「足利」という、実際の冤罪事件のキーワードが真犯人の名前なのは、原作者の悪趣味だと思います。
simple is the best 向け
主人公のバックボーンも語られないし
ただただイケメンが逃げる物凄く真っ直ぐなシンプル映画
the 駄作
最後の追い詰められたシーンでナイフ振り回すの…
あーゆー演出もう古くない?
全240件中、221~240件目を表示













