正体のレビュー・感想・評価
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実写化不可能な作品はない。藤井道人監督が伝えたい正体は何か?
📚️あらすじ 凶悪な殺人事件で服役中の鏑木。彼は日本中を逃亡しながら、新しい自分を作り上げる。正体不明であ る。工事現場の不法就労者、フリーのコピーライター、魚工場、そして介護士。それぞれに正体に目的があり、共通していることは関わった人が鏑木という人格を好きになる。彼はなぜ刑務所から脱走をしたのか。 📚️考察 ・キャスティングが完璧ですね。 ・自分がやってないという強い信念が勝利に導いている、冒頭の脱走の為の行動はなかなかできない。 ・日本の警察は現場に駆けつけるのが早いのは、交番という機能であり、検挙率が高いのはクロージングを早く求められている。日本の司法は凶悪な事件ほど冤罪が起きやすい仕組みになっている。 ・控訴は一人の力ではそう簡単にできない。駆け出して味方を作らないとできることがない。 ・信じることで自分も変わるきっかけとなる、信念とは何か。諦めた時はもう一度信じて見ると違う景色がある。 📚️学び ・人が人を裁きからこそ過ちがあり、過ちは正さないと行けない。 ・自分の行動が一人でも多くの人を動かせたら世界を信じてよかったと思っていい。 今に実写化不可能な作品はない。作品をどう世の中に伝えるかで成功か失敗かが現れる。 藤井道人監督が正体で伝えたいこと ・日本の司法 ・生きる権利と場所は一人一人にある ・人を信じること ・裁きにどう向き合うか
信用する大切さを感じました。
評判が良いので鑑賞してきました。「新聞記者」の藤井道人監督作品なので映像は落ち着いていて安心して見れました。 横浜流星の熱演のおかげで最後まで集中してサスペンス劇を楽しめましたが原作よりかなり省略されているらしくツッコミどころもちらほら。 いい加減な裁判も問題があるし、必死なのはわかりますが公務執行妨害シーンも多くて気になりました(笑) 信じる気持ちの大切さはわかりやすく伝わりました。おススメ度は普通のやや上。 新宿シーンが多かったので新宿の映画館で見ると臨場感を味わえます。
冤罪事件で感動ポルノ
冒頭は良かったと思う。 映画が始まって最初に観せられるものは、インパクト抜群なスプラッター映像。 観客に「こいつ何してんだ」と興味を惹かせつつ、そこから「刑務所からの脱走」という現実には不可能そうに見える展開に対し、圧倒的演技とリアルな映像によって「これなら本当に脱走できてしまうかも」と納得せざるを得ない作り。 その後、警察が死刑囚を脱走させてしまったことに関しての記者会見を開く場面になるが、ここで刑事の主観視点になるのが新鮮。 スクリーンの端から端まで大量のマスコミが映し出され、あちらこちらから質問攻め。 警察が世間からとてつもない重圧を受けていることがよく伝わる演出だったと思う。 ここまで観た時は映画への期待感が非常に高まったんだけど… 映画後半になると劇場からすすり泣く声があちこちから聞こえてきたので、きっと感動していた人が多かったのだろうと推測。 ドラマパートでの役者の演技は素晴らしく、感動する人がいるのは理解できる。 ただ、映画が進むにつれて個人的に疑問に感じることが増え始め、後半は一人でずっと腕組みしながらしかめっ面で画面を凝視していた気がする。 まずずっと気になってしまったのは「街中の監視カメラ、どうなってるの?」ということ。 今どき、警察が総出で街中に張り巡らされた監視カメラをチェックすれば、逃げた犯人の逃走経路なんて簡単に掴めそうな気がするんだけど、違うのかな? 一度だけならまだしも、何度も逃げられるなんてあり得るのだろうか? そもそも、発端となった冤罪事件だって、事件現場周辺の監視カメラの映像をチェックすれば、簡単に真相が掴めそうな気がするが… 現代が舞台の犯罪をテーマにしたドラマを作るなら、そこへの配慮は必要不可欠だと思う。 次に気になったのは、主人公がイケメンで無いと今回の話は成立しなそうということ。 出会った女性たちが、たいして話をしたことの無い主人公・鏑木に積極的に力を貸してくれた理由、それは「鏑木を演じていたのが横浜流星だから」であるようにしか見えず、もし見た目がイマイチな青年だった場合、女性が一人暮らしの部屋に住まわせてくれたり、休日を潰してわざわざ地元を案内してくれただろうか? 女性たちが、鏑木が世間を賑わしている「脱走した死刑囚」と知った後も鏑木のことを信じ続けていたが、そうした理由も「イケメンが悪いことをするはずが無い!」と思っているからにしか見えず。 「イケメンだと人生有利!」ということを描きたい話では無いと思うので、イケメンなことがむしろノイズに感じた。 ついでに言っておくと、女性編集者・安藤が仕事上弱い立場である鏑木を飲みに誘い、鏑木が酒に耐性が無さそうなことを認識しながら無理矢理飲ませ、酔いつぶれた鏑木を安藤は一人暮らしの部屋に運んでいたが、吉岡里帆と横浜流星が演じていたから問題なさそうに感じるが、もし男女入れ替えて同じようなことが起きたとしたら大問題なのでは?とは思った。 個人的にこの映画で一番問題に感じたのは「冤罪事件」の扱い方。 後半に「足利」という登場人物が出てくるあたり、有名な冤罪事件の一つ「足利事件」を意識しているのは間違いないと思う。 警察が事件を捜査する中で「こいつが犯人に違いない」と断定した後だと、冤罪の可能性なんてものは無視するようになり、何が何でも有罪に持っていこうとする。 この動きは実際の警察でも起きていることで、その通りだと思った。 だけど、実際には冤罪事件を引き起こすような警察や検察はもっと極悪。 拷問に近い取り調べによる自白強要、証拠捏造、文書改ざんなどなど。 現実の冤罪事件を匂わせるなら、そこまで描いてほしかった。 あと、冤罪事件には必ず別に真犯人がいるわけだが、そいつは死刑になってもおかしく無いようなことをしておきながら、運が良いことに他人が罪を被ってくれたおかげで自分は無罪。 大人しくしておけば無罪のまま人生を送ることができるはずなのに、再度同じような事件を引き起こす可能性ってあるのだろうか? 頭悪すぎでしょ。 何が言いたいのかといえば、この映画の後半のような展開は、現実ではまず起こらないということ。 後半の展開はご都合主義に感じた。 「凶悪犯罪における冤罪」と「痴漢冤罪」を同一視するような描き方も疑問を感じた。 この二つは似て非なるものというか、それぞれ問題点が別だと思うので。 藤井道人監督の今までの作風を考えると、監督は現実に起きている冤罪事件の問題点を描きたかったのではないかと勝手に推測するが、それにしては本作はフィクション度が高すぎるように感じた。 この作りだと、冤罪事件における問題点はそっちのけで、冤罪事件はあくまでドラマを盛り上げるための道具に過ぎず、観客の涙腺を刺激するため、濡れ衣を着せられた人間を悲劇的に描いているだけの感動ポルノといった印象。 感動してる人はこれで良いのかもしれないが、個人的には本気で期待していただけに非常に残念。
意外にストレートな物語
入り組んだ人間模様を想定していましたが、予想外にストレートな物語展開でした。その分、終盤(面会のあたり・・)はダイレクトに感情が揺さぶられ、結果、最後は涙ボロボロに。 あと、吉岡里帆はいいよねぇ。特に、幸薄い系女子の役柄の時、光るよねぇ。
圧巻!
内容 ☆★★★★ 小説が原作なだけあって結構面白くみれた。 逃亡系の話はスリルがあって 結末が分かってても最後までみたくなる。 飽きないペースで状況が切り替わる作品で 画替わり多いのもイマドキっぽくてよい。 真犯人が呆気なく捕まったのは 残念だったなー。 クライマックスが謎の無音である 理由も未だよく分からない。 キャスト ☆☆★★★ 横浜流星のアクションだけでも見応えある。 吉岡里帆は何やっても変わんないが 森本慎太郎も意外といい味出してた。 にしても山田孝之がずっと可哀想だったぜ スタッフ ☆☆★★★ TBSがバックにいれば これくらい規模もデカくなるよなー。 若手の作品感はかなり強かった気がする。 今はこういう映画が多いですね
エンタメ映画とはこういうものであってほしい
映画の日三連続鑑賞三回目。 お金と時間をかけて作られてる良質なエンタメ映画。 メッセージ性を視聴者に上手く訴えかけることが出来ていれば多少の脚本のガバには目を瞑ることが出来る。と私は思っている。 主要メンバーが皆良い人でそれが良い。そうそう、こういうので良いんだよって感じ。 これ以降映画本体の評価に関係ない話かもしれないけれど、予告やキャストのインタビュー等でもう見る前から鏑木慶一は冤罪だと視聴者が確信出来てしまっているのは非常に勿体無いと感じた。 一番最初に出会う森本慎太郎の恐怖に怯える表情がとても良かったんだけど、予告で既に鏑木は犯人では無いんだろうなと分かりきっていたからこそ見ている側としては恐怖が薄れてしまった。 そもそも藤井道人監督がここのシーンで観客にそこまで切迫した恐怖を与えたいと思っていただろうか?と考えるとそれは分からないが… しかし和也の立場になれば自分は今手負いだし一家惨殺事件の死刑囚に口封じに殺されるかもしれないという絶体絶命のシーンな訳で(彼も冷静になった後に擁護派に回るが) その後の吉岡里帆のパートで鏑木は絶対冤罪なんだろうなと確信に変わるんですが、森本慎太郎のパートまでは脱獄死刑囚か本当に無実か視聴者にも分からないようにしてくれたら面白かったかな〜と感じた。 これはドキドキハラハラを求める私の好みの問題なのであしからず。 原作との変更点は全て良い方向に働いていたと思う。エンタメなのだし、テーマ的にも救いのあるラストで良かった。 あと原作小説未読で鑑賞後に読もうと思っている人は、パンフレットに原作のネタバレが含まれているので注意した方が良いです。
藤井監督上手い
着地点は早い段階から見当がつくが、それでも興味をつなげてぐいぐい引っ張っていく藤井監督の手腕が光る。 最近やたらと、ヒューマンサスペンスとかヒューマンミステリーとかのキャッチコピー映画が氾濫しているが、これはまさにヒューマンサスペンスと言ってよい。 横浜流星、吉岡里帆、山田孝之らの好演が印象に残った。
キテレツの勉三さんとはね
あちこちからひっぱりだこの大人気監督藤井道人の新作冤罪もので面白いには違いないが横浜流星がちょっといい人過ぎてサスペンス部分が勿体ない。5つの顔を持つという惹句も疑問で「スオミ」の長澤まさみには遠く及ばず、だれもが証言しているように「いい人」確定のまま最後までいく。ただオーラスの判決が裁判長の「主文」以降をサイレントで見せた演出がかなり秀逸で観客の心を揺さぶる。申し訳ないが松重豊が悪く見えずキャスティングミス。犯行現場の回想があまりにも繰り返され、早い段階から真相が見えている中で犯人の逃走が予定調和としてあり、何度も取り逃がす山田孝之のダメ刑事ぶりが文字通り間が抜けていてハラハラできずしらけました。
俳優陣◎ ストーリー‥
俳優陣はみな素晴らしかった👍 その中でも個人的ベストは吉岡さん。見るたびに上手くなってるなぁと驚き😳 ただストーリーは微妙😭 正直イケメンで仕事ができる人だったからこんな奇跡の逆転に繋がったようにしか思えないです。 吉岡さんのパートが流石に無理あるだろって思うけど、たぶんガチで恋をしてた設定なのかな🤔 あと警察ボコボコにされてて笑った 完全に本作の悪役扱い🦹
primevideoのドラマ方が
今年primevideoで亀梨和也主演のドラマで「正体」を観て凄く面白かったので、映画版も観た。 映画では上映時間120分という決められた時間の中だったので、各人間関係を描く時間が乏しく、感動はドラマの方が多かった。 プライムビデオのドラマの方は★5、映画は★4という感じかな
【信じる】ことがテーマの奥深い作品
藤井直人監督と、横浜流星さんが好きなので鑑賞。 藤井監督の作品は「余命10年」や「青春18×2…」を見てきただけなので、こういった社会派の映画は初めて見ました。 結論から言うと素晴らしい作品です。 今、世の中にはSNSを含めたくさんの情報があります。 その中で情報に振り回されるのではなく自分の目で見たもの、心で感じたものを強く信じることが大切だと気付かされました。 その思いが集まって、ラストに向かっていく後半部分は涙なしでは見れません! 逃走を終え、面会室で刑事の又貫(山田孝之さん)と対峙する場面。真実をねじ伏せられた憎い相手であったはずなのに、逆に晴れやかな面持ちで、「生きる」ことの幸せと希望を伝えられ、又貫が心動かされる場面がすごく好きです。 何を持っている、持っていない、そういう部分で人生を判断しがちですが、友達がいるということや、好きな人ができたということ、人生において心が動く経験が財産なんだと感じました。 2時間があっという間の映画です! キャストの方々の演技はもちろん、迫力もすごいので、ぜひ映画館で没入してご鑑賞ください✨
本当の顔
現実の世界に何十年も冤罪で苦しめられた方がいるなかではインパクトを欠く展開でしたが、ラストの「なぜ逃げたのか」という問いに対する鏑木の答えが全てであったように思います。 主人公は、この世の中で疎外感を感じ現状から逃げたいと考える人間の象徴だったんだと感じます。 隣にいる人の横顔、本当の顔なんて、誰もが分かった気になってるだけなんだと思います。でも何かを頼りに信じて隣で過ごします。その何かが何なのか、何であるべきなのかをみせてもらえた気がします。 主人公が出会う人たちに信じてもらえたのは、信じていたからなんですよね。
多くの登場人物の人生が絡み合う複雑な話ですか、回想シーンを多用した語り口が巧みで、人間ドラマ、サスペンス、ミステリーが濃密に一体化した映像世界に引き込まれました。
染井為人の同名ベストセラー小説を、横浜流星の主演、「新聞記者」「余命10年」の藤井道人監督のメガホンで映画化したサスペンスドラマ。 これまでも「ヴィレッジ」や「パレード」で藤井監督とタッグを組んできた横浜が、姿を変えて逃亡を続ける鏑木を熱演。343日間の逃走劇で見せる〝5つの顔〟の演じ分けが見どころです。 ●ストーリー 埼玉県の民家で、住人の夫婦と2歳の息子が殺害されます。悲鳴を聞いた隣人が通報し、駆けつけた警察官により逮捕されたのは、当時高校3年生だった鏑木慶一(横浜流星)でした。この日本中を震撼させた一家3人を惨殺した惨殺事件。犯行現場で凶器を手にしたまま逮捕された上に、生存者の目撃証言もあり、有罪は疑いないと思われていました。 その後の裁判では、未成年者犯罪厳罰化の流れの中で死刑判決が言い渡されたのです。けれども逮捕から一年半後、19歳になった鏑木は移送中に脱獄。鏑木を追う警視庁・捜査一課の刑事の又貫征吾(山田孝之)が彼の行方を追い、鏑木が潜伏先で出会った人々を取り調べます。東京でフリーライターをしている鏑木が家がないところを助け、一緒に暮らし安藤沙耶香(吉岡里帆)、大阪の日雇い労働者として共に工事現場で働く鏑木と親しい友人となる野々村和也(森本慎太郎)、長野の介護施設で働く鏑木と出会い恋心を抱く酒井舞(山田杏奈)。彼らが語る鏑木は、それぞれがまったく別人のような人物像だったのです。 実は鏑木は変装し仕事を替えて逃走し続けていました。監視カメラなどに取り囲まれた社会でも、さまざまな場所で潜伏生活を送り、入念に姿や顔を変えながら、間一髪の逃走を繰り返していたのです。 逃げる鏑木の生活と周辺の人たちとの関わり、追う又貫と関わった人たちの証言を交互に描くうちに、鏑木が逃走した目的が明らかになっていきます。 鏑木の本当の“正体”とは。彼は、凶悪犯なのか、無実の青年なのか?そして、鏑木の【真の目的】とは。343日間にわたる逃走劇の最後で、彼が見せた〝正体〟。その真相が明らかになったとき、「信じる想い」に心震えることでしょう。 ●解説 映画の見せ場の一つは、鏑木=横浜の変身ぶり。ほぼ1年に及ぶ逃亡生活の中で、獄中の死刑囚から土木作業員、フリーライター、工場労働者、介護施設職員と次々と別人になりすましていくのです。そんなにごまかせるものかというご都合主義的な展開は、横浜の熱演が救いました。〝5つの顔〟を巧みに使い分ける流星の憑依した演技は、本当に同一人物に見えないのです。 しかし俳優なら容姿や人格を操作するのは当たり前、とはいえ今作では、見かけは別人でも中身は同じ。顔つきや雰囲気、体形もガラリと変ともいえます。でもただ難役を演じるだけでなく、彼が出会う人々と関わる中で、“凶悪な殺人犯”の本当の姿を説得力をもって浮かび上がらせたのです。 工事現場では、ボサボサの長髪で、得体の知れない不気味さを漂わせ、仲間から「勉三さん」と呼ばれます。これはアニメ「キテレツ大百科」のガリ勉浪人キャラの名で、風貌はそのものです。仲間が労災事故を起こしたとき、獄中で熟読した六法全書の知識を駆使して、パワハラ上司と掛け合うなど凶悪犯とは思えぬ一面を見せます。未成年で逮捕されたため、工事仲間から生まれて初めて酒を振る舞われ、少しずつ心がほどけてゆくのでした。 逃亡生活の必死さを表した身体表現でも奮闘しました。又貫刑事らに踏み込まれた鏑木がアパートの2階から車の上に飛び降り、そのまま走って逃げて橋から川に飛び込むまでを1カットで見せるアクションなど、目を見張るものがありました。 横浜にとって、クランクインから遡ること約3年もの間、藤井監督と脚本やセリフなどのやりとりをし準備を進めてきた作品であり、「非常に思い入れのある作品」と語ります。横浜の代表作となる作品といって過言ではないでしょう。 そして物語の背景には、司法の危うさが置かれています。鏑木の事件の真相が少しずつ明かされる一方、安藤の父親安藤淳二(田中哲司)は、弁護士でしたが、今は冤罪で痴漢の容疑をかけられ、裁判中の身。それでも断固無罪を主張しています。人が人を裁く制度の不完全さ、冤罪(えんざい)の可能性は、元死刑囚、袴田巌さんの無罪判決や検察官の不祥事など、多くの事例が示しているところです。本作では、それをもっと誇張して、司法のメンツのために、冤罪の可能性まで否定し、何が何でも有罪に持ち込もうとする警察上層部の暴走ぶりが描かれるところが、藤井監督らしいところです。 ●感想 多くの登場人物の人生が絡み合う複雑な話ですか、回想シーンを多用した語り口が巧みで、人間ドラマ、サスペンス、ミステリーが濃密に一体化した映像世界に引き込まれました。俳優陣では“逃亡映画”に欠かせない追跡者役、山田孝之の感情を押し殺した演技がよかったです。加えていうなら、当初は上層部の番犬に徹していた刑事の又貫でしたが、鏑木の言葉に触れて、本来の警察官としての正義に目覚める姿が感動的でした。買い殺された番犬ではなかったのです。 そして話の展開が激しいテンポに粗削りの迫力がありました。 死刑判決を受けた男が、拘置所を脱け出し、姿を変えて逃走を続ける。それをひたすら冷徹に追う刑事。脱獄サスペンスの常で、行きつく先でひそかに助ける人々の目線で見てしまう。それらのシーンがスピード感だけでなく、肝心な重要シーンでカットアウトされて、お預け状態になるのです。見ている方は展開をカットアウトされてジラされると余計に、この先どうななるのかとストーリーに惹き付けらました。 さらに終盤、スローモーションの演出や音楽によって、ストーリーが情感たっぷりに強調されるのです。“人情”の押しつけがましさと感じる人もいるかもしれません。それでも又貫が鏑木に「どうして逃げたんだ」と根本的な問いを投げかけたとき、「信じたかったんです、この世界を」と答えた言葉をキーワードにした人間模様が胸に迫るものを感じました。 但し感動的ストーリーであるものの、脚本の荒いところがいささか気にはなりました。そもそも、鏑木逮捕の理由が弱いと思います。少年の凶悪犯罪ならなおさらです。そして鏑木がネットカフェで宿泊していたところ、安藤の気遣いで、彼女の部屋へ泊めてもらうようになる件。出会ったばかりで、見ず知らずの他人を若い独身女性が、自室でいきなり同棲を始めるのはあり得ないと思います。また安藤が鏑木の逃走を助けるのも理解しづらいところ。なぜ安藤が鏑木に肩入れするのか謎のままです。逃走にかかわる人たちとの関係を軸にするのはいいが、冤罪や裁判を扱うにはディテールへの配慮は不可欠です。エモーショナルな見せ場は、その土台あればこそ、胸を打つのではないでしょうか。 ただ考えられるのは安藤の父親が痴漢冤罪を抱えていたから、鏑木を信じたいという気持になったことは考えられます。でもこの件は本作においては些末です。ただ男性が抱く冤罪への恐怖もわかります。けれども、痴漢に比べ、本作の抱える事件の重大性は段違いで、安藤が鏑木を匿う気持の説明とするには、釣り合っていないと思いました。父親がもっと重大な事件の冤罪に晒されているという設定にすべきではなかったと思うのです。
自分だったら…諦めてた
主人公が自分ならば 早々と終わってる(笑) 主人公は、色々と何故?となるが 後半に納得。 色々書きたいけど ネタバレ嫌なのでやめときます。(笑) 納得出来ないのが、主人公は不死身で都合が良いのが…ね 気になるのが、主人公の年齢がわかりにくく 知りたかった
横浜流星✖️藤井道人…⭐︎
横浜流星演じる殺人事件で死刑が確定している片山が刑務所から脱走するところから始まる。 脱走してから、関わる人々との関係を中心に描かれて、山田孝之演じる彼を追う刑事の又貫の追跡と葛藤の物語。 とにかく、横浜流星が素晴らしくって ところどころ???の展開(どうして逃げれたのか疑問だったり、 なぜ働けるのかとか)も観れるけどそんなこと吹き飛ばすような渾身の演技。 彼が出逢う人に言う「ありがとう」、「ありがとうございます」の言葉、言い方がすごく良い。 又貫が中間管理職の刑事の苦悩を静かに燃やしながら、ひたすら片山を追う執拗さ。 今、検察の冤罪の話題がニュースになるけどこの映画にしても他人事ではないような気がして来る。 吉岡里帆をはじめ出逢う人々が彼に惹かれていく姿も丁寧になぞられて、観ている方も片山に情が 湧いて来るのだか、このあたりが藤井監督は本当に上手いと思う。 横浜流星と藤井道人のタッグはこれまでも良い作品を作って来たけど、これまでの作品と並ぶ素晴らしさだった。 この手の作品で涙ぐむって、あまりないと思うのだけどラストシーンは泣いている人がたくさんいらしたし、 自分も珍しくジワっとしてしまった。 結末は多分…とわかってはいても、カタルシスを感じた。 横浜流星って、どんどん良い役者さんになっていく。 最初はそれほど好きでもなかったのに、今では来年の大河ドラマを楽しみにしてしまっている。
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