正体のレビュー・感想・評価
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ただしイケメンに限る。
18歳の時に一家惨殺事件の犯人として逮捕され死刑判決を受けた男が、3年後に拘置所から脱走し逃走を続ける話。
吐血したふりをして医療機関に救急搬送される最中に逃げた鏑木が偽名を使いながら何かの目的を果たす為に様々なところに潜伏する話しと、事件当時彼を逮捕した刑事が行方を追う話しをみせていく。
一部変装もあるにはあるものの、基本はメガネや髪型で特徴を隠して行動する鏑木が、その人間性から信用されていく感じだけれど、目力強過ぎて直ぐにバレそうな…w
内容についてはあまり触れないけれど、展開というか物語そのものがかなりご都合主義全開で、しかもラストはそれを解っていてこうすれば感動するんだろ?という感じの力技に感じてしまうし、警察と検察ごっちゃになってます?という感じ。
主人公というよりも、まわりの人物の機微が良かったし、確かにかなり面白かったもののイマイチ納得感はなかったかな。
今年最後のエンターテイメント
心のどこかに残る違和感は、信じたいものの先に光を宿してくれるかも
2024.11.29 イオンシネマ久御山
2024年の日本映画(120分、PG12)
原作は染井為人の同名小説
死刑囚の脱走を追う刑事と、潜伏先で知り合う人々との交流を描いた社会派ヒューマンドラマ
監督は藤井道人
脚本は小寺和久&藤井道人
物語は、拘置所内にて吐血を偽装する死刑囚・鏑木慶一(横浜流星)が、病院搬送の途上で救急車内から脱走する様子が描かれて始まる
彼の逃走に対して、刑事の又貫(山田孝之)と井澄(前田公輝)が担当にあたり、部長の川田(松重豊)の指揮で動くことになった
その頃、鏑木はキャップ場で食料や衣服などを奪った後、大阪に潜伏し、建設現場で物静かに働くようになっていた
映画は、その後鏑木と出会う人たちと又貫の取り調べのシーンが描かれ、良い印象を持っている人と悪い印象を持っている人々が描かれていく
あいつならやりそうと思う人もいれば、この人がやるとは思えないという感覚もあり、そんな感情がどうして生まれたのかを日を追って描いていく流れになっていた
大阪では、ベンゾーと呼ばれ、妙な縁からジャンプと呼ばれる野々村(森本慎太郎)と関わることになる
彼は偶然テレビで見た鏑木の映像から犯人ではないかと疑うようになり、懸賞金に釣られて発報することになった
その後、都内に潜伏した鏑木は、那須と言う名前でフリーライターを始め、ネットニュース会社に原稿を送るようになった
担当の安藤沙耶香(吉岡里帆)の信頼を経て、上司の後藤(宇野祥平)の仕事を請け負うようになっていく
後藤は鏑木の事件を洗い直していて、その音声データの文字起こしなどをしていくうちに、彼は自分の事件の知らない部分を見つけてしまう
沙耶香の父(田中哲司)が痴漢冤罪の裁判をしていたことで、記者(田島亮)が彼女にも張り付いていて、ある日の出来事以降に鏑木を泊めていることを知り、それが警察への通報へとつながっていく
又貫は沙耶香の部屋に潜伏していた鏑木を追い詰めるのだが、沙耶香が警察の盾になったことで、何とか逃げ出すことに成功した
映画は、リアルベースで突っ込んだら負けの映画で、世間を騒がせてきた事件と警察の暗部などを組み合わせたものになっている
かなりエンタメに振り切っていて、逃亡中に振り返って「ありがとう」とか言っている時点で、リアルに寄せる気はないことがわかる
警察は無能で隠蔽体質と言うところを誇張し、年末だからまともに捜査しないとか、未成年の刑罰の引き上げ関連のスケープゴートに使おうなんて話まで出てきてしまう
さらに、鏑木が有罪になった経路では、証拠となる凶器は彼が手にしたものだったが、それを手に入れた経緯、動機などは一切無視され、心身衰弱状態の「はいともいいえともわからない証言」を決定打に使っていたりする
警察も無能ならば、鏑木の弁護に回った方はさらに無能になっていて、それゆえに鏑木は自分自身で無罪を証明しようと、心身衰弱している被害者遺族(原日出子)から真相を聞き出そうと考える
それをたまたまバズったアカウントを持っている同僚の舞(山田杏奈)にライブ配信させると言う今どきっぽさがエモーショナルなのだが、世間では殺人犯だと思われている人に追い詰められて行った供述に何の意味があるかはわからない
だが、そのライブ配信を機に鏑木は冤罪ではないかと言う声が持ち上がるものの、彼が無罪に至るには長い道のりが用意されている
又貫がクビを賭けて再捜査をして、真犯人が自供をすれば話は早いと思うが、真犯人がまともに話をするとも思えない
とは言え、自分から言いたそうな感じの含みを持たせているので、犯人自身は自分の武勇伝を横取りされたことが癪に障っている可能性も否定できない
このあたりの細かな心情は察してねと言うことになっているので、原作未読でも何となく辻褄を合わせることができる程度の情報は詰め込まれていると思った
いずれにせよ、一歩間違えば感動ポルノに属されそうな内容で、ちょっと心が荒んできている人向けのセラピー映画だと思った
リアルテイストのミステリーだと思うと粗が目立つが、映画館で良い話で泣きたいと言う層には受けるだろう
演者の演技は素晴らしく、表情だけで心情が伝わるので、それを目当てに観るのも良いと思う
エンディングテーマはさほど余韻を邪魔しないし、パンフレットもインタビューが充実しているので、良かった人は買っても損はないと感じた
最後はウルっとはしたけれど、
身体濡らすまではわかるけど、まず頭洗うでしょ
2024年劇場鑑賞101本目 秀作 66点
初日舞台挨拶にて鑑賞
前述すると、当方悪いところ含め藤井道人監督のファンである
彼のほとんどの作品をリアルタイム劇場鑑賞している上で遍歴を辿ってきたが、やはりバリューや完成度や公開からの広がり具合からして、新聞記者が日本アカデミー賞を重賞したしたあたりから、良い方向に転ぶ作品と悪い方向に転ぶ作品がはっきりした気がする
そして、今作は彼の兄弟であり、今作を標準にして役者として積み重ねてきたのではとハッとする横浜流星と、その彼女役として年齢的にも彼同様近年一歩一歩着実に厚みを増してきた吉岡里帆、若手女優筆頭の山田杏奈に動員確保のジャニーズ枠の森本慎一郎、過去作から継続でvillageの西田尚美、最後まで行くの山中崇、複数作出演歴のある松重豊や原日出子、田中哲司に木野花や駿河太郎など、、、そしてそれらわ据えるエンドクレジットで最後の方に出てくる重鎮ポジに山田孝之と、満を持して現代に求められる藤井道人決定版を作るに相応しい座組で挑んだのが、誰しも容易に伺える
簡単に今作の用意周到ぶりを書いたが、結論面白くはない
賞を携えありとあらゆる側面で大きくなってしまった彼は、クリエイティブという意味で面白みが全くないつまらない監督になったなと思ってしまった
取材力や細部が監督としても年齢としてもまだ若いなとは数年前のエッジが効いていた時も勿論あったが、それはそれで彼の色として許容でき、誰しもその時期を経ての名誉を迎えむもので、けれどその名誉までのスパンが短すぎる故に、求められるものに応えるあまり、普遍的で別に彼にやらせなくていい平凡さが拭えない
タイトルの男子二人風呂で肩を並べるシーンも、脱衣所から入場後1日働き疲れ果て汗を全身から流したいと思うのが当然な中肩を落として、肩から下にさらっとお湯を流す程度で、ヘアセットやメイクを崩さぬ様、あらゆる方面への配慮や女性ファンを意識して、豪快にぶしゃーーーと頭の先から浴びるのようにリアルを追求するより前にそんないらん演出が先行するほど、興行やスポンサーを意識する様になってしまった
まぁ自分も同じ立場ならそうせざるおえないのも確かだが、これは何かを生み出す一括りに芸術家(歌手も芸人も監督も全ての0から1を選び造る人)としては切っても切り離せない事象なのだろう
今回あえてこのシーンについて言及したが、他のシーンや作品全体を通してもつまらなかったのが本音である
心に刺さるヒューマンサスペンス
逃走劇はスリルがあり、映像も劇伴も迫力があり美しく圧巻。主演の横浜流星さんをはじめ、演者の演技も申しな分なく素晴らしい、心を打つヒューマンサスペンス。
この作品が提示するのは、映画にリアルな現実の闇を求める有識者にとっては日頃から深く認識しているテーマかもしれない。
しかし、本当にそのテーマを知るべき人にとっては重苦しさに支配される社会派作品は敷居が高く、結局そのテーマを届けることができない。
本作はその敷居を取り払い、誰にでも楽しめるエンタメ要素を取り込んだサスペンスに仕上げた所に価値がある。まずは楽しんで映画を観てもらう、そしてそこから何かを感じてもらうという制作者側が観客に寄り添うようにして作られた作品。年に数回しか劇場に足を運ばない人が多くなった昨今、こういった作品こそが映画界に必要なのではないか?
良かった!横浜流星
面白かった。しっかり作られた映画でした。
誤認逮捕とかあったらダメだよね。良い人ならなおさら。無実で喜べないよ、失った社会からの目と、無意味に晒された存在と、無駄になった2年。それに同情しました。
吉岡里帆役がナイス助け船でなんだか嬉しかった。
余談、最後の刑務所シーンで、横浜流星の首が長すぎることを知りました(笑)
真実の正体!
死刑囚
死刑判決を受けて47年間もの間、袴田巌さんは傷つけられました。
年齢と精神的ダメージの為、100%無罪判決を理解出来ているのか分かりません。
今回の松重さんに、国家権力の正体を見た気がしました。
横浜流星は無罪判決が早かったので、これからの人生にまだまだ希望が持てそうです。
袴田さんは、人生を棒にふってしまいました。
冤罪について真剣に考えさせられました。
国家権力の皆さん、私たちに日本人で良かった。日本は素晴らしい国だ。これからも日本に誇りを持ち続けたい。と思わせて下さい。
横浜流星さん、吉岡里帆さん、山田孝之さん、山田杏奈さん、森本慎太郎さんはじめキャストの皆さんの表現力に心震えました。
藤井道人監督のテンポに心奪われました。
これは横浜流星さんの代表作になると思います。
中でも那須さんほ超カッコよかった!
横浜流星、魅せる!
きっと賞レース総なめなのでしょうね。演技賞には値するけれど展開に無理がある
試写会で拝見しました。横浜流星さん、吉岡里帆さん、山田孝之さんは熱演で、ファンではない私も横浜さんの代表作になるのだろうな、と思いました。恐らく映画賞たくさんとられるのでしょうね。
以下、ネタバレあり
しかし、まず発端の事件。「悲鳴が聞こえ、血だらけの人達が横たわる面識もない他人の家」に通りすがりの高校生は立ち入るのか?いくら正義感が強くとも、自分も被害にあうかもしれないのです。まず110番か119番通報ですよね?愚かとしか言いようがない。そして瀕死の重傷を負った人がまず頼むのは「鎌を抜いてくれ」ではないのでは?頼まれたとて、素直に血だらけの鎌を素手で抜きますか?
そしてタイミングよく、あるいは通報があったのか現場にすぐに踏み込んできた警察官も、通報したどこかのどなたかも、あんな田舎の見晴らしのよい道で現場から逃走した真犯人(返り血を浴びて挙動も不審)を目撃しなかったのか。そして全く動機も自供もなく目撃者証言のみで、警察上層部の一人の独断で司法まで曲げて死刑判決がくだされるのか。
さらに、逃走中の主人公が無防備に飲酒して居酒屋で顔をさらして寝てしまったり、絶対にSNSにあげるに決まっているような女子に顔をさらして動画を撮らせたりするのか(マフラーで顔半分隠すくらいできますよね?)現代人のライターでネット事情に明るい主人公なら撮影されたと気付いた時点で動画はアップしないよう頼みますよね?
さらに独身の女性ライターが仕事で多少付き合いがあるだけの男性をいきなり自室に運ぶのかしら?(どうでもいいけれど彼女のお父様は他人の支援している場合なのかしら。ご自分の冤罪は?)
等々の設定への疑問で鑑賞中に気持ちが冷めてしまう。
面会の際に逃げた動機を問われての答えは感動的だったけれど「証言者に会って真相を証言し直しさせたい」が動機であろうに、副次的なそんな要素があったとしてもあれは刑事による「何故?」の問いかけに対する答えではないような。結果としてその言葉が刑事を動かしたとはいえ。あんな「きれいな」台詞を用意した監督さんと脚本家さん達(原作者?未読ですみません)は非常に”気持ちよかった”だろうとは思いますが。
「警察権力に踏みにじられた冤罪の被害者」は実際にいらっしゃるのだろうし、終始葛藤し、良心に従った山田さんの演技はさすがの説得力でした。横浜流星さん、吉岡里帆さんも素晴らしい演技で、様々な賞レースにきっとノミネートされるのでしょうね。けれど前述のような「普通しないでしょう?」という行動を主人公がしてしまうことが話の展開ありきの強引さと思われて違和感を覚えてしまい、作品としてはちょっと手放しでは賞賛できない感じです。
「いい人」だからこそ
一言で言うと
無実を訴える死刑囚が脱獄して
真相究明する話。
ってなっちゃうから
「ありがち」みたいになっちゃって悔しい。
見終わって、
振り返ってみると
めちゃくちゃいい人。
いい人だから
助けようと思って現場に行き
犯人にされてしまった。
たいていは
少なからず悪いやつだったり
真犯人と関係があったり
犯行動機があったりするけど
それがまったく無い。
真犯人にハメられたとかじゃなく
捕まえてしまった警察が
引っ込みつかなくなってしまった
だけのこと。
だからこそ、どうしようもない。
ここがこの作品の最大のポイント。
それをどうくつがえすのか。
結果として
いい人を貫いたことで
救われたのかも。
それも、
作戦でそうしてたわけではなく
[素]で自然とそうしていたことが
「この人はそんなことしない」に
つながったんでしょうね。
撃たれたところ、
捕まったところ、
で終わるのかと思ったら
その後
再審請求が出され、
それが通って裁判になり
判決が出る
というところまでやって
きれいにハッピーエンドになってるのも
良かったです。
ほろほろろ
試写にて鑑賞〜原作を読んでからの鑑賞を強くオススメします
ネタバレの感想とネタバレなしの感想「両方書きたい!」
と感じるくらいたくさんの想いが去来する作品でした
まずはネタバレなしの感想を…
オープニングからグイグイ吸い込まれ
エンディングまであっという間の映画です
監督や役者さんもみんな素晴らしく
国内各賞にノミネートされること間違いなしの力作です
横浜流星さんは当然のこと
準主役の山田孝之さん、吉岡里帆さん
その他脇を固める皆さん
それぞれが非常にハマってて良かったです!
ネタバレになってしまうから言えませんが
脚本、ストーリーも秀逸で
原作を知っているとラストシーンが
より心に突き刺さることになると思います
今年No.1と言っても過言でない
そう思えるほど素晴らしい作品でした
TOHOさん
お招きいただきありがとうございました!
ドラマ版とダブルで楽しめた!!
ドラマ版(全4話)をサブスクで観て、特に1話と2話が面白いと感じましたが、映画版はまた違った感じで、同じプロットでも制作者が違うと、ここまで変わるのかと楽しめました。ドラマ版の主人公は有能さを隠し切れない行動的な感じでしたが、映画版の主人公は精神的に追い込まれていて、特に序盤は怖いBGMを多用していました。シーンのみならず、ドラマ版で特に印象的だった台詞がいくつかカットされているので、映画版だけを観て熱い!面白い!と感じるかは分かりませんが、先に観るならドラマ版の方がお勧めです。弁護士の痴漢冤罪が晴れていないので、ヒロインの父親というだけでは彼が尽力するモチベーションが薄いと感じました。宗教団体のパートをどう怖く面白くするか観たかったです。吉岡さん良かったですが、口がベジータみたいに曲がっていて気になりました。横浜流星君目当てで行くと、山田孝之の同じ表情のアップを長時間観続ける事になります。山田杏奈ちゃんが可愛くなくなった気がします。「足利」という、実際の冤罪事件のキーワードが真犯人の名前なのは、原作者の悪趣味だと思います。
素晴らしいサスペンス映画
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