「藤井道人監督の『正体』が問いかけるものとその曖昧さ」正体 Syochan17さんの映画レビュー(感想・評価)
藤井道人監督の『正体』が問いかけるものとその曖昧さ
映画「正体」では、藤井道人監督の描く警察の姿は、意図的に捜査を行わず、横浜流星演じる青年を犯人に仕立て上げるなど、正義が全く存在しないかのように描かれています。ラストで青年が無罪であることが明らかになるものの、それまでの捜査の意図や展開に疑問が残り、「この物語は何を伝えたかったのか」という思いが拭えません。横浜流星の熱演は印象的でしたが、その力強さがかえってリアリティを損ねたようにも感じられます。
また、藤井監督の作品には一貫して権力批判や社会問題への言及が見られますが、「新聞記者」では韓国人女優を日本人記者役に起用するなど、意図が不明瞭な要素も目立ちます。そのため、社会を憂いているようで、実際には自己満足的な主張に終始している印象を受けます。藤井監督の真意や「正体」とは何なのか――それは、観客の視点をどこへ導きたいのかが曖昧である以上、未だ掴みきれないままです。
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