「松重は「腹が減った」場合ではない!はず」正体 じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)
松重は「腹が減った」場合ではない!はず
横浜流星は本名なだけに、端正な顔立ちや格闘技を下敷きにした演技は、思わず「狙いすぎ」と思ってしまうが、
なかなかどうして、常に全身全霊で演技をする本格派なのだ。
鎌を持って振り返るシーンは「惨殺犯」を思わせるし、逃走のため口にガラスを咥えるシーンも鬼気迫る。
脱走して、大阪に移動し(どうやって?)いつの間にか場末の飯場で働いている。この容貌がまるで「おいどん」だ。人生に絶望している間が半端ない。次の職場ではマスクとニット帽で隠しているがイケメンは隠せない。しかし、もともと学のある人間なので、信頼を得て希望を取り戻していく。長野県諏訪で特養のヘルパーとして働く頃には顔出しして充実した表情だ。
残酷な殺人事件を目の前にした被害者の母親(原日出子)は既に軽度の認知症にPTSDという可哀想な役なのだが、その人に犯人は誰かと無理やり言わせる警察、証拠は十分あるという検察。なにかのドラマで聞いたが、検察は「スジ」を読み、それに合わせた捜査と証拠を集めるそうだ。だとしたら、それこそ冤罪の温床ではないか。
鏑木(流星)は第1発見者として巻き込まれただけだが、それで死刑の判決が出る。現実の捜査もそうなのだろうか。
痴漢冤罪を被る弁護士の件も、その場にいたら私達も冤罪被害に遭うのだろうか。そう、被害である。
そんな冤罪被害者にできることはなんだろう。
新しい証拠を見つけて再審するなんて気の遠くなる話だし。
原作は悲しい結末なんだって。( ꒪⌓꒪)
映画は希望の持てる結末だったし、山田孝之刑事も熱血ながらに最後はきちんと責任に言及した。上司の松重はなんの責任も取らないんだろうなあ。
予告編で散々「腹が減った」と言うので、本編でも登場する度頭に流れるわけである。そういうところ考えて欲しい。