「生きる権利を求める逃走劇」正体 TRINITYさんの映画レビュー(感想・評価)
生きる権利を求める逃走劇
公開前から報知映画賞を獲り話題をさらった「正体」
年末近くに公開される映画は来年の賞レースに持ち越されて、翌年の賞レースの頃には記憶が薄れてしまう。
来年の大河の主役がまたしても受賞となれば自動的に大河も話題に上る。
わかるよ。
社会派の名作だったし凄く熱演してたから彼にあげたくなる気持ち。
NHKや事務所への忖度じゃないって思いたいけど、ちょっとひっかかる部分ではあるよ。
しかしのっけから気持を掴まれて、私も最後は号泣しましたし。
彼のあの清らかな美しい表情はどこからやってくるんでしょうね。
最初は逃亡者として怪しげな雰囲気を醸し出していたのに、物語が進むにつれて清い心を持った彼の本当の姿が現れて、美しい青年に変貌していく様は本当に見事でした。
あんなにも清らかで捨てられた子犬のような悲しげなイケメンが冤罪で追われていたら匿っちゃうよね。
警察では真実よりも、1人の命よりも、警察のメンツを守る事を優先していたんだな、と感じる事件が多くて憂鬱になる社会。
でもこうして映画やドラマで扱われる事が多くなって来たと言う事は、少しでも変化している証なんだと思いたい。
最近も袴田さん事件が記憶に新しいけど、表に出たのは氷山の一角で、冤罪で人生を狂わされた人が沢山いるんじゃないかと思うとやりきれません。
映画では冤罪の苦しみの部分はあっさりで深掘りしてないけど、これはこれであり。
まだまだ発展途上の日本の社会がより良い進化を遂げる1つのきっかけになるといいですね。
警察が信用出来ない社会。
政治家が信用出来ない社会。
司法が信用出来ない社会。
報道が信用出来ない社会。
権力者がすべてを意のままにする独裁国家。
日本はそんな国じゃないよね。