「薄っぺらく冗長な予定調和」正体 おくとさんの映画レビュー(感想・評価)
薄っぺらく冗長な予定調和
山田孝之の空気感、森本慎太郎の馴染みなど随所に役者の演技が光った。
これは持論だが、役者の演技に目がいく作品は駄作である。鑑賞者が作品の世界観に没入出来ていない証だからだ。
前半の土木パート。その世界の質感からどのようなストーリーが繰り広げられるのだろうかと期待させられた。
しかし、東京に出て以降のそれは、あまりにもチグハグで冗長であった。
主人公の周りの人物が総じて良い人すぎるのだ。
普通、たった数ヶ月の仲である他人に対してあれほどに心を許し、延いては真偽不明の名誉回復のために集まって行動を起こそうとはしない。
よほど主人公に他人を突き動かすほどの魅力があったのであろうか。作品から、そのような彼の強い人徳を汲み取ることはできなかった。
あのような構成にするのであれば、主人公とその他人物との交流をもっと丁寧に描かなくてはならない。
あと、吉岡里帆の父親の痴漢は物語に何の影響をもたらす装置だったのだろう。単純に不要な要素のように感じた。
最初から最後まで予想の範疇に物語は進み、拍子抜けするばかりであった。
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