劇場公開日 2025年8月1日

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「国家権力の最前線」入国審査 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 国家権力の最前線

2025年8月12日
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鑑賞方法:映画館

アメリカの永住権が得られる移住ビザが抽選で当たる制度があることは知らなかった。しかし、正規のビザを持っていても、作中で審査官が語るとおり、入国を認めるかどうかは審査官の裁量次第。入国審査という場は、国家権力が直接的に顕になる最前線とも言える。
本作は、作者の実体験から着想したそうだが、冒頭のラジオニュースで触れているように、第1次トランプ政権の移民へのスタンスも背景にしているのだろう。
始めは不条理で理不尽な状況に陥った夫婦の姿に見える。しかし、(おそらく大使館でビザ取得した時には見過ごされていた)ある事実が判明してから、一気にスリリングさが増す。夫への尋問の時に廊下での工事音を被せるあたり、上手い。
妻への屈辱的な尋問には、観ているこちらの感情も高ぶるが、それも妻の将来を慮ってのことのように見えてくるのも、作劇の巧みさ。
そして、あっと言わせるラスト。この後、二人はどうなるのだろうと考えさせられるが、同時に、現実世界のこととして、第2次トランプ政権下のアメリカ、そして、色々と外国人問題が取り沙汰される日本の今後の姿、といったところまで考えさせられることになる。

山の手ロック
ノーキッキングさんのコメント
2025年9月8日

遠い山なみ~への共感ありがとうございます。
久々に質の高い日本映画でした。
入国~はちょっと残念が私見です。

ノーキッキング
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