「足は前に向かって進んでいくが、心は過去を遡っていく」ハロルド・フライのまさかの旅立ち bionさんの映画レビュー(感想・評価)
足は前に向かって進んでいくが、心は過去を遡っていく
予告編を見て、ホスピスにいるのは、てっきり男の親友だと思っていた。ところが、ビール工場で一緒に働いていた女性とわかり、何やら事情がありそうで先が気になる。
足を痛めて立ち往生したハロルドに手当をしてくれる女性。彼女はスロバキアから移民らしく、本国では医者なのにイギリスでは清掃婦として働かなくてはいけない。そんな、移民事情にも触れながら、ハロルドの旅は続いていく。
ハロルドの心の澱となっている息子との確執。回想シーンで徐々に明かされていくが、誰もが想像してしまう最悪の結末。
ハロルドが本当の旅の目的に気がついたあたりから、涙をこらえることができない。
神仏に感謝をしながら信仰を深めるのが巡礼の目的と思っていたが、長い距離を自分の足で歩くことよって、自分と向き合う時間ができてしまうのであろう。
足は前に向かって進んでいるが、心は過去を遡っていく。そんな物語でございます。
コメントする