「地方政治の現状を浮き彫りにした作品」#つぶやき市長と議会のオキテ 劇場版 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
地方政治の現状を浮き彫りにした作品
東京都知事選で2位となって話題の石丸伸二の、安芸高田市での4年間を捉えたドキュメンタリーだ。地元の広島ホームテレビが制作で、地域メディアならではの4年間の密着体制で石丸氏と議会の軋轢を冷静な視点で見つめている。まず石丸氏が市長選に立候補したきっかけが、河合夫妻の収賄事件で市長と議員が辞職したこと。最初にどうしようもないほどの政治腐敗があったという点が重要。そこに、さっそうと「フレッシュ」な石丸氏が登場して改革の期待を背負って当選したわけだ。収賄事件以降も、議会はなかなかクリーンにならない実態が描かれる一方で、石丸氏の方もなかなか事態を打開できないまま、平行線のまま4年間が過ぎていく。
だが、石丸氏の登場で市民の政治参加意識は高くなっていることも伺える。
作品の核は、石丸氏の政治家としての資質ではない、むしろ、地方政治の惨状である。過疎化の進む地方で旧来の政治勢力が支配する状況を打破することの難しさが浮き彫りにされている。安芸高田市だけの問題ではなく、同じような課題は全国にあるだろう。観終わると、地元の議会の公聴会に参加してみようかという気にさせる。
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