「素材は一級品、手法は二流、出来た作品は、三級品」#つぶやき市長と議会のオキテ 劇場版 うさぎさんさんの映画レビュー(感想・評価)
素材は一級品、手法は二流、出来た作品は、三級品
そもそも広島ホームテレビはこの映画をなぜ撮ろうとしたのだろう。出来上がったものは、初めの志とは大きく違うものになったのではないか?
マスコミとしての両論併記への忖度と保身、もしかしたら、うえからの横やりもあったかもしれない。なんのためのドキュメントなのか、その目的がぶれぶれの感じがしてならなかった。
前市長が大規模買収事件で辞職して、急遽実施された市長選挙で、市民が選んだのは、37歳のなんの政治経験もない、無名の元銀行員。それも8000票を超える圧勝で。
民意はどこにあるかはこの時点ではっきりしている筈。旧態依然の市政や議会運営に有権者は、あきあきしていたのはあきらか。
ならば、そこに切り込むのがこのドキュメンタリーの使命ではなかったのか。
もちろん市長は、公約どおり、民意に答えようとした。それ故の、旧態依然の市政、議員との全面対決である。軋轢である。それは当然のことで、もし、円満な議会運営ができていたとしたら、それはもう公約違反である。
だからこそ、そこをもっと掘り下げて伝えるのがマスコミの本来の使命ではなかったのか。本当の目的ではなかったのか。じつに中途半端である。及び腰である。
悪気はない。田舎の議員でしらなかった。勉強不足でした。に忖度する必要がどこになるのか。もっともっと鋭く踏み込むべきだと思う。
これでは、ドキュメンタリーの意味がない。テレビが新聞が、旧マスメディアが、SNSに完敗するのも仕方がないし、どんどん信用を失っていくと思う。ほんとうにひどい映画である。
それと、登場する人物は俳優ではない。全員素人である。だから、方言のうえに活舌が悪く、聞き取れない。全編に字幕をつけるべきであろうと思う。議員が追い詰められて、つい発した言葉であっても。それをきちんと伝えて欲しかった。
後半、石丸伸二氏に触発されて、市議会選挙に立候補し当選した2名の市議に時間を費やした。30分以上あったのではないか、結構な時間配分である。議会への忖度のため、議会の未来を彼らにうつすつもりだったのかもしれないが、まったく必要がないように思った。なぜなら、二人の議員は初々しさはあるが、石丸伸二氏の政治信条をきちんと理解できているとは思えないし覚悟もない。いずれ、安芸高田市は、旧態依然の市政へと急速に逆戻りし、その先頭にたっているのがあの二人ということも十分考えられるように思った。(考えすぎか)